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進化した環奈

夢を見ていた。
これは何か魔法のようなものを感じる夢だ。
電波魔法に乗せて、こういう夢を見るように仕向けられているのか。
つまりこれは神からのメッセージと言えるのかもしれない。
俺は海を漂っていた。
意識はハッキリしないが、これは木花咲耶姫に会った後の記憶か。
海に投げ出され意識が遠のいてゆく。
不老不死だから死ぬ事はないが、このままじゃただ海を漂う毎日が続くかもしれない。
そう思った時、一羽の大きな烏のような鳥がやってきた。
これは、黒死鳥か。
俺を食べようと向かって来ているように見える。
でもその方が助かりそうだな。
だって不老不死だし。
このままだと混濁して薄れた意識のまま、海を彷徨い続ける事になるかもしれないのだから。
俺は黒死鳥に呑み込まれた。
デカい黒死鳥だった。
おそらくボスクラスの黒死鳥だな。
俺は腹の中で徐々に意識を取り戻していった。
なんとか此処から出ないとな。
蹴とばしてみるか。
えいっ!えいっ!えいっ!
『こりゃ食ったらダメな奴じゃったかのぅ。うげぇ~!』
俺はゲロられて黒死鳥の腹から外へと飛び出した。

俺は目が覚めた。
太陽はまだ出ていないが、うっすらと世界が明るくなり始める時間だった。
今の夢は、俺の中で空白となっていた記憶だろう。
そうか、俺は黒死鳥に助けられたのか。
向こうは助ける気ではなさそうだったが‥‥。
「アレ?今の黒死鳥って‥‥環奈か?」
「そうなのです。多分環奈なのです」
「策也タマはゲロから生まれたのね」
なるほどな。
だから俺たちは合体できたのだろう。
みんなゲロから産まれたナカーマなのだから。
少女隊プラスは後づけだけど。
しかし環奈があの時の俺を助けてくれていたとはね。
そう言えば前に大化が言っていた。
悪い神を倒す手助けをしてくれる者たち。
リン、総司、そして環奈だ。
今まで環奈には何度か助けられてきた訳だが、最近はほとんどかかわりが無い。
黒死鳥王国は手出し不要の国だしな。
でもここから先は、なんとなく環奈が助けてくれるような気もする。
今見た夢は悪い神の悪戯か、或いはどこかへ誘導しているようにも感じる。
それでも俺は今、環奈に会うべきだと感じていた。
俺の異世界ライフは環奈で始まり、そしてまた神として環奈で始まるのだ。

此花帝国の再編は順調に行われていた。
俺が神になったら皇に世界を任せる事になる訳で、移行しやすい形で統治を進める。
いきなり民主主義も無理だから、今の皇国をモデルとしていた。
皇はその国の王を任命してきた訳だが、町とその周辺を一つの国として統治者を決める形だ。
ただし町単位ばかりだと管理しづらいので、その上に地域の監視監督をする者も置く事になる。
小国は今までの区割りを活かし、大国はいくつかに分割して統治させる事とした。
傘下国は統治を任せるが、酷い統治にはアドバイス等も行って行く。
各地にある文化を否定しては統治は上手く行かないので、そこは最大限気を配った。
戦後アメリカが日本の統治に成功したのは、最大の文化であった皇室をしっかりと残したからだ。
その地域の者たちが何を大切にしているのかは絶対に無視できない。
この世界では宗教があまり発展していないので、その辺り俺に取っては統治しやすいと言えた。
だって俺、元日本人なんだもん。
ディープな宗教とか気持ちが理解できないからさ。
そもそもこの世界は魔法で神々を感じる事ができるので、宗教なんてものは発展しづらい。
助力をしてくれる神を信じれば、多くは八百万の神を信じる事になる。
つまり日本人のような宗教観を持っている者が多かった。
世界は大きな日本みたいなんだよ。
でも建物が西洋風なのは、RPGのようなんだよね。
何にしても巨大な日本を統治する気持ちで問題はほぼなかった。
そんな話を四阿会議でした後、俺は黒死鳥王国の環奈の元へと赴いた。
部屋に入ると既に環奈が待っていた。
「ういっす!突然で悪いな」
今朝夢を見てその日に会いに来る訳だから、相手の都合なんて考えてやしない。
でも友達の家に遊びに行くのなんてそんなもんだろう。
「問題ないぞぃ。わしの時間は夜じゃからのぉ」
この爺さんは元気だなぁ。
国が出来てから十年以上、毎日のように励んでいて飽きないのかねぇ。
「策也さん久しぶりだピヨ」
「おお!陽菜も元気だったか!」
つか未だに『ピヨ』とか言ってるのかよ。
ちょっと本当にゴメンって感じだな。
あの頃の俺は若かったんだよ、きっと。
「元気だったピヨ。毎日とても楽しいピヨ」
「お、おう。それは良かったよ」
本当に、そう言ってもらえてなんか俺の罪が許された気がする。
涙が出て来るぜ。
俺は適当なソファーへと座った。
すると環奈たちも適当なソファーへと座る。
「おい、どうして俺の後ろのソファーに座るんだ?微妙に話しづらくないか?」
俺たちは背中合わせに座っていた。
「内緒の話をする時はこうじゃと教えてもろうたんじゃがのぅ?」
「なんだかかっこいいピヨ!」
まあこいつらがこれでいいならいいけどさ。
「そうだな。じゃあこのままで話すか」
「恥ずかしい話は顔を見ん方が話しやすかろう。わしに何でも相談していいぞぃ?」
なんだか思春期の少年が性の相談に来たみたいになってるな。
「いや別に恥ずかしい話じゃないんだが、環奈は十四年ほど前の事は覚えているか?」
「十四年前と言うとわしらが出会った頃じゃのぅ。それなりには覚えておるぞぃ」
「そうだな。出会った頃だ。その一ヶ月ほど前くらいになると思うんだけどさ、環奈お前、この辺りの海を飛んでたりしなかったか?」
もしも飛んでいたなら、今朝見た夢は過去の記憶で間違いないだろう。
「ふむ。どうじゃったかのぅ?もしかしたら飛んでおったかもしれんが忘れてもうたわぃ」
「そうか。その時多分海を漂う人間の子供を食ったはずなんだ。そしてそれをゲロったんじゃないか?」
流石にゲロした記憶くらいはあるだろ。
本人ならな。
「そう言えば‥‥。あの時は確かウンコした気がするんじゃがのぅ」
えっ?ウンコなの?
俺もしかしてウンコとしてあそこに排出されていたの?
ゲロよりもヤバいじゃねぇか!
「よく思い出せ!ウンコじゃなくゲロだったはずだ!」
「そうじゃったろうか?でもウンコもゲロも似たようなもんじゃろぅ?」
「違う!これは俺の尊厳がかかった問題だ!嘘でもいいから!記憶を捏造しろ!」
俺がそう言うと、後ろから環奈の笑みが聞こえてきた。
「ちゃんと覚えておるぞぃ。アレはやっぱり策也殿じゃったか。あの時はちゃんと小便をかけて綺麗にしておいてやったわぃ」
ガーン!
なんかもうゲロでもウンコでも俺の尊厳は守られなかったようだった。
「そうか。ありがとう‥‥」
あの時結構、俺はボロを着ていて汚かったよなぁ。
「それでそのウンコ策也殿が今日話をしにきたのはどうしてなんじゃ?」
やっぱりウンコだったのかもしれない。
「いや、単純にその辺りの話をすれば、何かが分かるんじゃないかと来てみたんだが?」
「何かというのはなんじゃ?」
そう言えば環奈とはほとんど話してないんだよな。
でも大化の話は聞いていたはずなんだけど。
「俺がこの世界の悪い神を倒さなければならないってのは知ってるよな」
「大化殿が言っておったのぅ。じゃがずっと疑問だったのじゃが、その悪い神ってのはどんな悪さをしたんじゃ?」
アレレ?何が悪いのか知らないぞ?
聞いたような気もするんだけど、覚えてはいないから聞いてないのか。
よくそんなんで俺はモチベーションを保てていたな。
みゆきと一緒になるってのは、最大の理由ではあるんだけどさ。
大化は知らないみたいだったから、ちょっと南に聞いてみるか。
「ちょっと待ってくれ。今知ってそうな奴に聞いてみる」
「うむ」
俺は南にテレパシー通信を送った。
『南、今大丈夫か?』
『大丈夫じゃないですけれど大丈夫ですよ』
こりゃまた何かあの二人がやっているのだろうな。
『じゃあ単刀直入に聞くぞ?この世界の悪い神は一体どんな悪さをしたから討たれる事になったんだ?』
どんな答えが返ってくる?
それによっちゃ倒す必要もないかもしれない。
いや、それでも俺はみゆきと一緒になる為に倒さなければならないんだ。
頼むから悪い神であってくれ。
『ああ、他の世界の人間に天使の卵を産み付けまくりやがるのですよ』
天使の卵?
なんかそれ、割と良さそうにも聞こえるんだけどさ。
『それの何が悪いんだ?』
『天使の卵が孵った後、その人間はバーサーカーになるんです』
狂戦士ねぇ。
この世界にはそういうの会った事がないけれど、それは他の世界で天使の卵とやらを産み付けていたからって事だろうか。
『バーサーカーって厄介なのか?』
『策也さんは朝里ちゃんを見てなんとも感じませんか?』
なるほど。
それは酷いな。
あんな冷たい目ができる子が世界に沢山いたら、俺はきっと生きてはいけない。
『分かった。ありがとう。きっと俺が悪い神を倒して見せるよ』
『分かっていただけで良かったです。そんな訳でこれ以上の通信は俺の身と尊厳がヤバいので失礼します』
『おう。お大事に』
きっと朝里ちゃんと今何かやっていたのだろうな。
南には悪い事をしたかもしれない。
何にしても理由は分かったよ。
「どんな悪さをしていたか分かったぞ。自分とは別の世界を闇と混沌の世界へと変えていたみたいだ。生き地獄だな」
「それは酷いのぉ。なるほど仕方がなさそうじゃなぁ」
環奈はそう言って立ち上がった。
俺は振り返って環奈を見た。
「策也殿に見せたいものがあるのじゃ。ちょっと庭に来てもらえるかのぅ」
やはり環奈は何かを知っている?
「じゃ、じゃあうちは仕事に戻ってるピヨ」
「よろしく頼むぞぃ」
陽菜はどういう訳か、ついて行くのが嫌なように見えた。
何があるっていうのだろうか?
俺は陽菜に一言『またな!』と言った後、黙って環奈について行った。
庭に出ると環奈は陽気に話し始めた。
「わしが日々第三の足を鍛えておるのは知っておるじゃろぅ?」
この爺さんいきなり何を言い出すんだ?
そりゃまあ励んでいるのは知っているけどさ。
「ま、まあな‥‥」
「それで鍛えに鍛えておったら、第三の足が本当に足になってしもうてのぉ」
何を言ってるんだ?
頼むから日本語でお願いします。
「意味が分からないのだが?」
「じゃあその証拠を見せてやるわぃ」
環奈はそう言うと、黒死鳥の姿へと変化した。
現在の環奈は人間の姿がデフォルトだが、当然元々黒死鳥な訳で姿を変える事はできる。
環奈は二十メートルくらいの大きさの黒死鳥となった。
だが普通の黒死鳥とは少し違う。
足元を見ると、本来は二本の足が三本になっていた。
「どうじゃ?足が三本になっておるじゃろぅ?」
「そ、そうだな。つまり真ん中の足はポコチ‥‥。いや何でもない」
なんだかそう思うと、三本目の足はあまり見ない方がいい気がするじゃないか。
「それでこうなってからの事なんじゃが、わしは無性にとある場所に行きたくなっておるのじゃ」
「とある場所に行きたくなっている?」
「そうじゃ。誰かがそこで待っているような、そんな気がするんじゃよ」
日本における最初の歴史書である古事記。
元々は『ふることふみ』と言われていた。
古事記は全三巻からなり、神話、伝説、歴史と続く過去の日本が記録されている。
その古事記の中に、『|八咫烏《ヤタガラス》』という三本足の烏が登場する。
日本サッカー協会の旗に描かれている三本足の烏ね。
神武東征の際、道案内をしたとされている神の遣いだ。
そんな八咫烏を思わせる今の環奈が、無性に行きたくなる場所があると言う。
そしてそこには、誰かが待っていると言うのだ。
これは普通に考えて、その待っている誰かと言うのは俺が倒すべき神なのではないだろうか。
或いはそうでなくても、俺はそこに行かなければならない気がする。
「その場所、案内してもらってもいいか?」
「構わんぞぃ。多分此処からはかなり西になりそうじゃから、とりあえず元伊集院領辺りまで連れて行ってもらえるかの?」
「分かった」
俺は瞬間移動魔法で元王都リッパカの町近くの上空へと移動した。
「それじゃ、わしに乗っていいぞぃ。ここからじゃとそんなに時間はかからんじゃろうて」
「頼む」
俺が環奈の背中に乗ると、もうスピードで空を北へと向かった。
どうやら環奈自身、目的地をハッキリとは把握していないようだ。
だからいきなり目的地を指定はできない。
探り探り何となく思う方向へ向けて飛び続けた。
二時間くらい飛んでいただろうか。
ようやく目的の場所に近くなったようで、環奈は飛行速度を一気に落としてきた。
「そろそろのようじゃ。しかしなんじゃろうか。その場所に行きたいと感じておったはずなのじゃが、今は猛烈に逃げ出したくなっておるのじゃ」
「奇遇だな。俺も正直これ以上は近づかない方がいい気がしてならない」
少女隊たちもテレパシー通信で悲鳴を上げていた。
『ぎゃー!駄目なのです!これ以上は|心《シン》の臓が持たないのです!』
『うげぇー!ヤバいのね!ケツからゲロが発射されそうなのね!』
『コクコクガクブルガクブル‥‥』
でももう遅かったな。
ここは既に|彼奴《キャツ》のテリトリーに入っているようだった。
「ようやく来たね!ちゃんと来られるようにしてあげていたのに、なかなか来てくれないんだもん。待ちくたびれちゃったよ」
目の前に現れたのは、当然悪い神である守死だった。
俺は環奈から離れて守死の目の前十メートルの所で静止した。
そして環奈に逃げるよう手で合図を送る。
それを見て環奈はその場から飛び去った。
「別に来るつもりはなかったんだけどさ。とりあえず挨拶だけでもと思ってね」
「挨拶だけなの?つれないなぁ。でもそれだけじゃ帰さないよ?だって今なら僕の勝利は確実なのに!」
こいつの言う通りだ。
今戦っても全く勝てる気がしねぇ。
まさか此処まで魔力が大きいとはな。
地形効果があるらしいから、おそらくこの辺りはこいつのテリトリーで間違いはない。
それでどれだけパワーアップされているのかは分からないけれど、少なくともテリトリー内で勝てる可能性はゼロに思えた。
「いやいや、そんな楽勝しても面白くないだろ?お互い万全の状態で戦わないと視聴者が許してくれないぞ?」
「別に僕は俳優でもなんでもないんだ。楽して勝てるならそちらを望むよ」
クソッ‥‥なんとか逃がしてもらう方法を考えろ。
正直神を舐めていたわ。
いくら強くても少しくらいは可能性があるだろうと思っていた。
でも少なくとも現時点では勝利はあり得ない。
「あんたの強さがあれば、別に俺なんて恐れる必要はないよね?後八十六年の間にあんたを倒さないと駄目らしいけど、それもどう考えても無理っしょ?逃がして生かしておく方があんたにとって安全なんじゃないかな?」
「どういう意味?」
「ほら。俺が死んだらあんたを倒す為に別のもっと強い神候補が現れる可能性がある。ならば弱い俺を生かしておいた方が安全でしょ?」
なんとか言いくるめないと俺はもうすぐ死ぬだろう。
こいつなら絶対魂を成仏させる力を持っている。
「なるほど。一理あるね。どうしようかなぁ?」
もう一息かな?
「それに守死ってさ、見た目まだ十二三歳でしょ?おれたちの世界じゃ小学生から中学生って所じゃん。これからまだまだ強くなりそうだし、時間が経てば経つほど有利なんじゃ?」
「君‥‥。今言ってはいけない事を言っちゃったね‥‥」
あれっ?何がどうした?
もしかして俺、地雷を踏んじゃったのか?
「僕はこの子供っぽい見た目を気にしているんだよ。全く会う奴会う奴、どいつもこいつも子ども扱いしやがって‥‥」
ヤバい。
これはもう一刻の猶予もないな。
「じゃあそういう事で‥‥」
俺はそう言って全力で逃げた。
「後方手!えーんど!逆手!」
禍津日神の能力もあるし、なんとか逃げられればいいのだけれど‥‥。
「残念!その魔法の攻略は僕には容易いんだよ!」
何事もなく俺の逃げ道をふさぐように守死が移動してきた。
どうなっている?
魔法は効いているはずなのに!
『奴は追いかけたくても、追ったりはしないのです!』
『そうなのね。そして別の行動なのね!』
なるほどな。
やりたい事をやらずに我慢する事で、他の事はできてしまうってのか。
こりゃ絶対絶命って奴だな。
「もうあきらめようよ。君は僕のテリトリーからは逃げられないよ」
「そうか?でもまだ死にたくないんだよ。全力で逃げさせてもらう!」
俺は自分の持つあらゆる能力を使って、守死から逃げようとあがいた。
駄目だ。
未来を先読みしてもそれ以上にあいつの反応が早すぎる。
バンシーの最高の選択も答えが出ない。
ただ救いは、ガープの未来予知では俺はまだ死なない事になっている。
つまりまだ何か逃げる方法があるという事だ。
考えろ、考えるんだ俺!
つか少女隊も何かアイデア出せよ。
『無茶ぶりなのね』
『そうなのです。私たちに思いつくくらいなら誰でも東大に合格するのです』
いや正にその通りなんだが、『藁にも縋る』とか『猫の手も借りたい』とか言うだろ?
『猫の手も借りたいってのはちょっと意味が違うのね』
『それに私たちは藁よりはチョッピリだけマシなのです』
心を読んだ上にツッコミが悲しすぎるぞ?
自分で自分の事を藁程度に思っちゃダメだ!
自分たちをもっと大切にしろよ!
なんて思っている間も逃げ回っている訳だが、全く逃げられる気がしない。
みゆき、もしかしたら駄目かもしんない。
テレパシー通信で最後の会話でもしておくか。
俺はなんとなくそんな事を思いながら、抜け出せない迷路をただひたすら飛び回るのだった。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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