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霧島年貢の納め時!邪神の召喚

現在俺の意思思考を持つ者は六人いる。
俺自身はもちろん、俺の中にいる妖精霧島、妖精大帝、神武大聖に月詠資幣、そして資幣の中にいる俺の魂から生まれた妖精資幣だ。
その内妖精霧島と妖精資幣は、常に俺や資幣に同調しているので実質は四人である。
これに特に問題はなかったのだが、今俺は魂の再編を行おうとしていた。
理由は、霧島を望海と結婚させる為だ。
ずっと西園寺の王様から望海の婿に欲しいと頼まれていたのだが、とうとう土下座までして頼まれてしまった。
流石に無理だと断り続けてきたけれど、王様に此処までされては手を考えなければならない。
俺は仕方なくみゆきに相談してみた。
すると‥‥
「ムジナは策也じゃないんだよね。じゃあムジナを婿に上げればいいんだよ!」
と、アッサリ解決方法を言われてしまった。
確かに俺じゃない。
俺じゃないけど俺なんだよ。
でもそれでみゆきが納得するのなら仕方がない。
色々な意味で罪悪感や背徳感はあるんだけれど、解決方法がそれしかないのならやるしかなかった。
まず、資幣の体を霧島ボディへと作り替える。
これで月詠資幣はいなくなり、霧島が復活だ。
しかし魂に一つ分の欠損があるので、そこを何かの魂で埋めなければならない。
本来なら妖精大帝を戻す事になるわけだが、流石に妖精王国の王様を殺すのもまずいので、神武大聖の魂を入れる事にした。
妖精大帝は新たに作る事はできないが、神武大聖なら作れるからね。
そんなわけで神武大聖も一時的にいなくなり、霧島が完成する。
霧島には人間に変化してもらって、今後は望海と生きていってもらう。
将来不老不死となるのかは分からないが、望海が了解すればそうなる可能性は高い。
俺の意思だからな。
さて資幣と大聖をなんとかしなければならないが、資幣の代わりは妖精資幣にやってもらう。
これは俺の魂から生まれた妖精だが、そいつにゴーレムを与えて月詠資幣とするのだ。
ゴーレムは今までの研究で得た全てのノウハウを結集して、超絶強力な『パーフェクトゴーレム』を作った。
これで資幣の引継ぎは問題ないだろう。
そして俺の中にいる妖精霧島を今後大聖とし、常に今までの大聖の姿に変化して対応してもらう。
こうする事で一応全てを丸く収める事ができた。
できたよね?
できてないけどこれしか解決方法はなかったんだよ。
ムジナの俺ゴメンよ。
いや、望海だって可愛くていい子だし、良かったよね霧島。
って霧島は俺なんだよ。
複雑な気分だ!
でも霧島となった俺は全てを受け入れるしかないのだ。
二人ハーレムが完成したと思ってあきらめよう。
こうして霧島はとうとう西園寺霧島となるのだった。

話が決まれば結婚式まで早かった。
というか既に準備は進められており、西園寺はもう参列者まで集めていたのだ。
そりゃ土下座してでもお願いするわな。
みんなを集めておいて結婚は無しでした、なんて王様として恥以外の何者でもない。
他国の王族に土下座するのもアレだと思うけどね。
そんな訳で霧島である俺は、この日西園寺の王都である『オゴワ』の町に来ていた。
目的はもちろん結婚式だ。
いきなりすぎて正直気持ちがついていかない。
つい先日までは俺は資幣だったのだ。
いや別にどの体でも一緒なんだけど、今までボディーガードの対象だった女の子と結婚とか言われても、そういう目で見られるわけ‥‥
見られるか‥‥
目の前にドレス姿の望海が現れた。
とても可愛い。
みゆきには負けるけど、よくこれほど可愛く育ったものだ。
俺が言うのもなんだけど、愛する男とずっと一緒にいたんだ。
可愛くなって当然だろう。
うおー!マジでなんか凄い複雑な気分だ!
霧島の俺は割とお得な役回りなのかもしれないと感じてしまっている。
「望海、霧島と結婚するのが夢だったの。今日はとっても嬉しいの」
「俺も望海と結婚できてうれしいよ」
って俺何を言ってるんだぁ!!
ヤバい、ヤバいって。
キモイよ俺。
でも望海の気持ちを考えれば、いい加減な気持ちで結婚なんてできない。
結婚する以上死ぬまで守って幸せにしなければ。
でないと俺はきっと弥生に殺される。
そんな弥生も俺たちの事を嬉しそうに見ていた。
そういやこいつももうすぐ結婚するんだよな。
望海の後にって決めていたらしい。
だったら早く結婚してやらんとな。
もう三十一歳だしさ。
そしてようやく望海の世話係から解放されて、このオゴワで新婚生活だとさ。
ちなみに俺たちは、結局望海が命を狙われる可能性は変わらないので、引き続きフレイムドラゴンの里で暮らす事になる。
西園寺邸は既に策也が建てた。
メイドには、結婚式にも来てくれている家郷ファミリーを付けてくれるとか。
俺も一応役職が無いと世間体もあるからさ、ちゃんと働くんだよ。
それで家の事ができないからメイドは必要だよね。
仕事は毎日西園寺の屋敷まできて王様の補佐をする予定なのだ。
だけど俺はキャラを崩さない。
相手が王様だろうと敬語なんて使わないぜ。
考え事をしている間に指輪の交換も終わり、誓いのキスをする所まで来ていた。
いやマジでキスするの?
おいしい役回りだと思ってしまう自分もいるんだよな。
ああ可愛いなこいつ、霧島だけはこいつの事を好きになるよ。
俺は望海にキスをした。
霧島は振り返らないのだ。
望海と幸せになるのだ。
今晩からは子作りも待っているのだ。
頑張れ霧島の俺。
そんな感じで結婚式は終わった。
とりあえず此処までは何事もなく刺客も来なくて良かった。
もう今更有栖川も脅しをかけてはこないよな。
あの頃のオーガ問題も有栖川の中では解決してるみたいだし。
それに確か金魚の話だと望海の能力の事は知られてはいない。
この後の披露宴もおそらく大丈夫だろう。
そう思っていたのだが‥‥
どこの国の刺客かは分からないけれど、披露宴の招待客に紛れ込んで五人ほどいましたよ。
でもそんなに強くないな。
「家郷ファミリーは一応望海を守って。俺は軽く遊んでやる事にする」
「分かりました。良い所を見せてあげてください」
「霧島様なら余裕でしょう」
依瑠の言う通り良い所を見せるか。
安藤の言う通り余裕だしね。
俺は一瞬のうちに一人を軽く死なない程度に倒した。
望海の力で霧島の俺はパワーアップしまくっている。
本体の俺にはかなわないが、近いレベルまで引き上げられているんだよな。
この能力マジチート。
「流石なの。霧島がいると望海は何も怖くないの」
期待に応えないとな。
「お前ら何処の刺客だ?どうせ裏の組織とか傭兵とかそんなんだろうと思うけどな」
「表に出てくる結婚式がチャンスだって言ったのは誰だよ?」
「まさか結婚相手が本当に強いとは‥‥」
結局答えないか。
殺しちゃってもいいけど、せっかくの披露宴を血で汚したくないし、全員気絶させて捕まえるか。
「話にならないし全員倒して捕まえるよ」
俺は一瞬にして四人を倒し、五人全員に魔力ドレインの手枷を取り付けた。
「はい終わり」
「おお!!素晴らしい」
「望海姫の婿殿はこれほど強かったのか」
「王族では無いと聞いて侮っていたが、これは見方を変えなければな」
西園寺一族の中には俺との結婚を疑問に思っていた者もいたと聞く。
でも刺客のおかげで結果的に株を上げる事ができたみたいだな。
しかし手を抜くのが難しいよ。
この新しい体で、しかも人間に変化した状態で戦うなんて初めてだからな。
結局披露宴は大盛り上がりで、俺は集まっていた女性の方々に終始取り囲まれていた。
望海の姉上さんから『私に乗り換えない?』とか言われたけれど、流石に冗談だよね。
あまりこういうモテモテ状態は経験がないから本気にしちゃうよ。

披露宴も終わり、俺たちはフレイムドラゴンの里にある西園寺邸まで戻ってきた。
ああ、いよいよこの時がやってきてしまったか。
今日からここの三階には、俺と望海だけで住む事になるのだ。
ちなみに二階には家郷ファミリーが住んで世話係をしてくれる。
でも今日は家郷ファミリーも策也のマイホームに行ってるから二人っきりなのだ。
俺はまずのんびりと風呂に入る。
大浴場は一応家郷ファミリーも使うという事で、男女分けてある。
ぶっちゃけ俺たちの着る服には汚れを自動で落としてくれる機能も付いているから、風呂に入る必要はない。
でも気持ちいいよね、風呂。
それに汚れは無いけどリンスはした方がいいよな。
俺ももう不老不死ではないのだし。
俺は三十分ほど風呂を満喫した。
さてそろそろ行くか。
風呂を出て俺は部屋に戻る。
今日から望海と二人一緒の部屋で寝るのだ。
寝るだと?
今まで何度も一緒に寝た事はあったが、同じベッドで寝るのは初めてだ。
そして寝るの意味も少し違ってくるのだろう。
ああとうとう霧島の俺はやってしまうのだろうか。
少しドキドキしながら部屋へと入った。
なるほど、望海はベッドに倒れるようにして既に眠っていた。
ほとんど下着姿でね。
結婚式大変だったからな。
そりゃ疲れるよな。
魔力ほぼゼロの子だから、完全に生身の人間なのだ。
この世界に来てチートをしているからよっぽどじゃないと疲れない俺とは違うのだったな。
仕方がない。
プロレスする気満々だったが、今日はおとなしく寝るか。
でも同衾か。
添い寝とかいうとなんとなくさわやかなイメージがあるけれど、同衾っていうと少しエロさを感じるのは俺だけだろうか。
俺は望海を布団へ入れると、俺も一緒に入った。
結構拷問かもしれない。
とりあえず抱きしめるくらいはいいだろうか。
それくらいは良いよな。
「う、う~ん‥‥」
望海は寝返りをうって俺の腕にしがみついてきた。
こっちが抱きしめる前に先にやられてしまった。
これでは身動きが取れないではないか。
「こーほーこーほー」
あのおでこに肉と書かれたキャラが活躍するアニメに出てくる黒いヤツっぽくなってしまっている。
こりゃもう寝るしかないな。
その前に邪念を全て祓う必要があるか。
臨兵闘者皆陣裂在前臨兵闘者皆陣裂在前‥‥
転生前の世界で使っていた邪念を払う為の呪文だ。
通学の時に満員電車で可愛い子を抱きしめるような恰好になってしまった時によくお世話になったものだ。
ほら邪念が祓われてきたぞ。
後は寝るだけだ。
確か誰かが猫を数えるといいとか言ってたな。
ニャンコが一匹、ニャンコが二匹、ニャンニャン三回‥‥
しまった!
猫を数えるのは罠だったか!
もう一度邪念を祓う所からやり直しだ。
こうして霧島の俺は、なんだかんだずっと起きている事になった。

そんなわけで次の日の本体の俺。
邪念が伝わって来て全然眠れなかったぞ。
しかも朝っぱらから家郷ファミリーの杏奈が騒いで五月蠅いし。
あいつ見た目は十歳の子供だけど、中身は何十年と生きているはずだよな。
なんでずっと子供のままなんだ。
やっぱり行動ってのは見た目に引きずられるものなのかね。
さてこうしてとりあえず霧島と望海の問題は解決したけれど、重要な手駒が一つ欠けた事になる。
霧島は当分というかこれからは、望海の為西園寺の為に生きていく事になるだろうからな。
大聖は普段ずっと俺の中にいるわけだし、家郷ファミリーも一応護衛の為に霧島の所だし、強力な奴が欲しい。
かといって強い魔物も探すのが大変で、結局ここ十年でも納得できる者を見つける事はできなかった。
手に入れたのは全員廃棄魔法アイテムからだもんな。
ヴァンパイアたちも竜宮洞窟だし。
邪神クラスのヤツが欲しいよなぁ。
神武国を任せられる大聖の代わり。
そんなわけで思い出したのが賢太の言っていた召喚アイテムだ。
俺は早速それを貰いに行って、乱馬の所を訪れていた。
「このアイテムで一体何が召喚できると思う?魔界の魔物を召喚するものとは違うみたいなんだよな」
「そうだね。かなり強力な対象を呼び出すもののようだけど、魔界じゃないし人間界でもない」
「妖精界はあり得ないし、精霊界にはそもそも召喚対象がいないよな」
つまりこの時点で召喚する世界は、天界か暗黒界かと考えられる。
そしてうららや夕凪がこの世界に存在する事を考えれば、おそらくは暗黒界ではないだろうか。
暗黒界と人間界は自由に行き来できるものではない。
おそらく人間界から行く場合は深淵の闇を通って行けるのだろうが、向こうからは来られない。
唯一の方法が魔法による召喚なのだと思われる。
そしてこれがそのアイテムだとしたら、うららたちのような暗黒界の住人を召喚できるはずなのだ。
「おそらく暗黒界なんだろうね。今の策也なら召喚しても大丈夫だとは思うよ。おそらくコレ、召喚者の魔力によって呼び出せる対象も強くなるみたいだから、少し下のクラスが召喚されるはずだ」
「となると、うららや夕凪を召喚した奴も相当強いんだろうな」
「いや、きっと大人数で召喚したんだと思うよ。そして大人数で倒したか、従属させたか」
なるほどなぁ。
それで倒したヤツは蘇生して意のままに動かせれば、強い兵隊の完成ってわけか。
その方法なら強い人間がいなくても、強い兵隊は作れる。
「強い魔力ならより強い闇の神が出てくるんだよな?だったら俺とみゆきで召喚すれば、とんでもなく強いのが召喚できないか?」
「そりゃできるだろうけれど、倒せる相手が出て来るかは分からないよ。危険だからおすすめはできないね。下手するとこの世界が終わるかもしれない」
「でも闇の神って言っても魔力がなければ何もできないよな?だったらなんとかなると思うんだよな」
「それにそんなのを倒せたとしても、蘇生して制御できなければ意味がないと思うよ」
確かに乱馬の言う通りだ。
制御できない可能性は十分にある。
「そうだな。無理はやめておこう」
と言ってもできるだけ強いのが欲しいし、みゆきに召喚させてみるか。
「召喚した奴って普通は召喚者のいう事を聞くよな?」
「闇の神とは言え神だから、人間の言う事を何処まで聞くかは分からないけれどね」
やはり聞かない事を前提に考えておくか。

そんなわけでみゆきを連れてやってきたのは魔界だ。
魔界には魔人の住んでないエリアも多いし、多少何かが有っても大丈夫。
それに最悪深淵の闇に落としてお帰りいただけばオッケーだしな。
そういえば魔界から人間界に来る方法はないけど、デイダラボッチや白玉は深淵の闇を通って魔界に来ていた。
奴らだけの特別な能力なのか、もしくは深淵の闇を逆に行けば戻れるのか、その辺りも今後調べていかないとな。
「とにかく、今日は何かを召喚するぞ!」
「策也、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だろ。魔力ドレインの結界もあれば、バクゥの目で時を止める事もできる。それにみゆきもいるしな。多分みゆきは無敵だ」
冗談抜きでね。
「じゃあみゆき、召喚してみてくれ。戦闘が必要なら俺がやるからな。みゆきは俺がピンチになるまでは手を出さなくていいぞ」
戦闘も偶にはやっておかないと鈍るよね。
「じゃあいくよ!出てこいなんか!」
みゆきの掛け声というかこういう時に言う言葉が可愛いよね。
さて出てくるのはおそらく闇の神だ。
そして乱馬とこの指輪を解析した結果、術者の魔力の半分程度のヤツが出てくると見ている。
俺が普段数値化しているレベルで言えばだいたい十四ほど下。
みゆきは今三百五十二レベルだから、出てくるのは三百三十八レベルとなる。
そのレベルなら俺でも倒せるはずだ。
ちなみに俺は三百四十五レベルね。
さあ一体何が出てくる?
ヤバければ即行で魔力ドレインの結界で閉じ込めてやるぜ‥‥
「って、ちょっとでかすぎるだろ!」
でてきたのは六十メートルはある大物だった。
いきなり計算が狂うなぁ。
邪眼で確認するとハスターという邪神のようだ。
見た目は黄色い衣をまとった怪しい奴で、割と人間に近い姿をしている。
ただどこから出ているのか分からないけど、大量の触手を持っているようだった。
「どう?勝てそう?」
「どうだろうな。とりあえずみゆき、ハスターに言う事を聞くかどうか話してみてくれ」
「分かったよ。ねぇねぇ君!ハスターっていうの?わたしが召喚したんだけど言う事聞いてくれるかなぁ?」
まだこちらに来て覚醒していないのか、動きも重くこちらを見た。
「そんな訳がなかろう。神が人間の言う事を聞く道理が何処にある?」
「策也、駄目みたいだよー」
だよねぇ。
つかみゆきのその軽さが可愛いよ。
「じゃあ倒すしかないか。いう事きかない子はお仕置きしちゃうぞぉ!」
「やれるものならやってみろ」
とは言ったものの、こいつヤバそうだな。
属性は風、能力は色々あるようだが、空間を操り、人に取り憑いたりできるのか。
バイアクヘーなんて怪獣の召喚も可能と。
通常は触手攻撃ねぇ。
ヤバそうなのでいきなりバクゥの目だ。
俺はハスターの時を止めてみた。
「バクゥの時を止める能力を使えるとは驚きだな。しかし俺には効かんぞ!」
ありゃりゃ。
一瞬止められたんだけど、直ぐに破られたか。
全く効かない訳ではないからいざって時は使えるかもだけど、こりゃ結構倒すの大変かも。
まあでも俺のスピードならこいつに捕まる事はない。
じっくり長期戦で対応を考えるか。
と思ったけど空間を捻じ曲げてくるから油断できねぇ。
離れていてもすぐそこから攻撃されるのと同じだ。
それも突然やってくるから猫獣人の反射神経が無かったら捕まってるぞ。
「逃げてばかりだと俺には勝てんぞ」
ハスターはそう言ってバイアクヘーを召喚した。
一対二になったか。
でも召喚してきた方は大して大きくないから‥‥
「魔力ドレインの結界!エーンド!魔力ドレインの拘束!」
割と簡単に捕まえられました。
何やら本調子じゃなかったようだな。
そういえばハスターも少し何処か戦いづらそうだ。
何かを嫌がっているというか、そんな感じがする。
ちょっと試してみるか。
「魔素封じの結界!」
この結界は、魔素を集めて閉じ込める結界だ。
微レ存を発動する時に使う魔法で、今回は俺も一緒に中に入る。
「くっ!魔力結晶気体を濃くしてきたか」
あら、嫌がってるじゃん。
そして俺はみゆきの能力をコピーさせてもらって、魔素が濃くなっても大丈夫なんだよね。
結界から逃げられないように広げておこう。
「絶対領域!」
この魔法は魔素の濃いエリアを作り出し、敵と自分を結界で完全に閉じ込めるものだ。
魔素によってパワーアップできる俺やみゆきには有効で、普通は抜け出せない。
だけどこいつ、空間を操作するからな。
冷静に対処できないようにしておかないと。
「びえぇぇーん!」
まずはジャージーデビルの鳴き声。
「からのー‥‥スフィンクスの目!」
これで動きがある程度封じられるかな?
「この程度の能力で何がしたいんだ?」
全く効いてないわけじゃないけど、こいつやっぱり強いな。
「手伝おうかー?」
「いや、まだ大丈夫だー!」
絶対領域から抜け出される可能性もあるけど、此処は攻撃していくか。
「バクゥビーム!」
「こんなビーム効くわけないだろ!」
割と効いたな。
でもこのビームだとこの絶対領域を生かせてはいない。
「|終末闇裁判《デスカーニバル》!エーンド!|光背彗星《ライトニングコメット》!でどうだ?」
「うげぇ!」
効いてる効いてる。
でもこの魔素の中で放つこの魔法を食らってもこの程度なんだな。
流石ハスター先輩だ。
でも魔素が効くって事は、この魔法も効くはず。
俺は体を熱して自分の体のオリハルコンを敵の体内へと打ち込んだ。
「なんだその攻撃は?」
こいつ、さっきから反撃もできないくせに偉そうだな。
何か狙っているのかもしれないけれど、複数の思考で警戒もしてるんだよ。
魔力を体内にぶち込んでやれ!
「ぐはぁ!貴様、何をしている?俺の体内に魔力を送り込んでいるのか?」
「まあね。この魔素の濃さ、そして体内魔力の増幅。そろそろ限界だろ?」
「間抜けめ。魔力を相手に与えたらどういう事になるのか思い知らせてやる!」
俺の魔力も使って何か大技を繰り出してくるのか?
でも遅い。
体内にぶち込んだオリハルコンを拡散させ、広げた結界を急速に収縮し魔素の濃さを一気に上げる。
「絶対領域下の微レ存!」
ハスターの体のあちこちから体液が噴出した。
「これにも耐えるか。ならば!リア充|爆発しろ《シネ》!」
ハスターは爆発した。
「こいつマジしぶとかったな。でも取り憑く以外に怖い攻撃もなかったし、そこだけ気を付ければ‥‥」
「危ない策也!ダリアぱーんち!」
みゆきの放ったダリアパンチが、最後の力で襲い来るハスターを捕らえた。
まだここまで動けたのか。
凄い生命力だ。
「サンキューみゆき」
「死んじゃったかな?」
「そうだな。ようやく魂が出てきたよ」
俺はハスターの魂を捕らえた。
「ん~なんかもう少し強い奴が出てきてほしかったな。空間操作は多少厄介だったけど、俺の反射神経があれば対応可能だったしなぁ。俺が使えばもっと使えるんだろうけど」
「そうだね。人に取り憑くのがこの人の最大の能力なのかも」
「だな。せっかくだしもう一体召喚してみるか」
「そうだね。あ‥‥」
指輪を見ると魔石部分が割れていた。
どうやら一回きりのアイテムのようだった。
「一回だけか」
「そうみたいだね。ションボリ」
「まあいいか。作り方はなんとなく分かるし、必要になれば挑戦してみる事にしよう」
「うん」
こうしておれはハスターの魂を手に入れた。
ちなみにバイアクヘーはハスターが死んだら消えてしまいましたとさ。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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