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有栖川旧神の目的は何?

漫画や小説を読む時、音楽アルバムを聴く事をお勧めする。
音楽アルバムを勧めるのは、それ自体が一つの物語になっているからだ。
だから必ずそのシーンに合う曲が見つかったりする。
それがピッタリマッチすると、それは記憶の中に永遠に残るだろう。
この曲を聞くとあの日を思い出す。
この作品を読むたびにあの曲が思い出される。
俺は沢山の本を読みながら、沢山の音楽アルバムを聴いてきた。
今になってそれが凄く良かったと思わずにはいられない。

俺はガゼボでみんなが来るのを待っていた。
緑の匂いが漂う中、昔聞いたあの曲が思い出される。
時々、突然に思い出される曲はとってもエモい。
あの時音楽を聴いていて本当に良かった。
しかしこういうエモーションな時には、きっとやってくるだろう。
奴だ!きっと奴が現れる!
「策也さん!大変なんだよー!ニュースを見るんだよ!」
ほら来た!
さて今日はどんな大変が待っているのだろうか。
金魚の表情、声、言葉の内容から読み取るのだ。
俺の頭にあるスーパーコンピュータが、答えをはじき出す。
来た来た来た!
今日のニュースは、それほど大したものではないな。
「金魚はいつも大変だな。偶にはもう少しボキャぶってもいいんじゃないだろうか?」
「ボキャぶる?よく分からないんだよ。とにかくニュースなんだよ」
金魚にボキャブラリーを期待するのは間違っていたようだ。
語彙力がないんだよ。
キャラも固まってるんだよ。
とりあえずニュースを確認するんだよ。
俺は機器を操作してニュースを表示させた。
『火山の噴火は続いています。昨晩あった大きな地震と共に、火山が噴火したようです。場所は有栖川領と碓氷領の間にある越えられない山の頂上付近と思われます』
有栖川は自業自得だな。
魔法実験場で大きな爆発を起こすのはマズいと分かっていたはずだ。
昨晩のがそうだとは言い切れないけれど、実験場に近い山からの噴火だしね。
碓氷も可哀想だな。
この場所だと最も被害を受けるのは碓氷かもしれない。
そして有栖川も被害は出るだろう。
しかもこの辺りはまだ、これから穀物の収穫が行われる予定だった地域だ。
少なからず収穫量に影響が出てくる事は間違いないだろうな。
流石にもう知ったこっちゃないぞ。
此花領内だけでも既に自由な食事は不可能になっている。
魔界も含めて更に農地を広げ豊穣の能力で豊作にしていても、多少マシになるのは四ヶ月は先だ。
何より前回助ける為に義援金を送ったら、逆に怒らせてトンネル爆破とかしてきたよな。
そんな国を誰が助けるというのだろうか。
碓氷は知らんけどね。
「策也さんどうするんだよ?」
「どうもこうもないな。俺たちは俺たちの国を守る為に粛々と対応していくさ」
「助けないんだよ?」
「昨日の地震、アレはおそらく有栖川の魔法実験によるものだ。自分たちで自分たちの領地を壊したんだよ。それに前回助ける為に金とか人員を送ったら、ブレイブの町を爆破された。下手には動けないよな」
いやしかしどうして前回と同じ所が噴火しなかったんだろうか。
ああ、そういえばベルゼブブの豊穣の能力には災厄に対する耐性効果もあったな。
向こう十年は豊作が約束されているのだ。
尤も、人為的なものへの耐性は無かったはずだけれど、今回はあくまで自然現象という事になっているのだろう。
「碓氷はどうするんだよ?」
「碓氷か‥‥」
あそことは関わりたくないんだよな。
おそらく俺はあそこで作られたホムンクルスか強化人間だ。
そして吐きそうになるほどの洗脳が施されたと考えられる。
今はもうその記憶は無いけれど、そういう記憶があった事は覚えている訳で。
一応は故郷になるんだよな。
「助けを求めてきたらできる範囲で対処はするさ」
その後リンたちも続々集まってきて、四阿会議は開かれた。
話はほとんどが有栖川での火山噴火への対処に関してだった。
俺たちは更に魔界での食料増産体制を取り、収獲の早いものや肉類の出荷で領民ギルドの勢力を拡大する方向で対処する事となった。

さて、このような状況になれば当然有栖川は動いてくる訳で、早速次の日の午後にリモートによる世界会議の要請をしてきた。
九頭竜帝国が消滅した影響で、議長は元の皇に頼む事となった。
「それでは世界会議を始めます。今回は有栖川の要請に応じたものです。では早速話してもらいます」
「有栖川旧神だ。今日の会議は、ある提案をするために開かせてもらった」
流石に旧神はもう顔も隠さなかった。
伊集院は相変わらず黒塗りで、しかも独尊ではなさそうだけどね。
「その提案とは、魔界の領土もちゃんと決めた方がいいのではないかという話だ」
何を言い出すかと思えば、こりゃまた酷い提案だな。
既に魔界は佐天の管轄で、土地利用に関しては魔界の住人、主にヒューマンや知的上位種に迷惑が掛からない範囲で自由となっている。
尤も有栖川はその約束すら守らず、その後もゴミを捨てたりしているようだけどね。
何にしても今更そんな話が通る訳がないだろうが。
でもこいつは力づくでもやってくる奴なんだろうな。
「俺は反対だよ。既に悪魔王サタンの統治で魔界は成り立っている。そして土地利用も向こうの住人に迷惑にならなければ自由にしていいはずだ。俺たちは既に色々な所で利用させてもらっているし、今更決められても困るな」
どういう風に魔界の領地を主張するのか知らないけれど、目的は俺たちや魔界の住人の作物を奪う事なんだろ。
「悪魔王サタン一人で、広い魔界を統治するのは大変じゃないか?それを我々で助けてやろうと言うんだよ」
「余計なお世話だと思うぞ。現状そんなに問題は起こっていない」
「しかし問題は無い訳ではないのだろう?」
そんな事は当たり前だ。
お前たちがゴミを捨てているからな。
それに問題なんてものは、どれだけ素晴らしくしっかりとした統治をしていても起こるものなんだよ。
問題がゼロなんてあり得ないのだ。
「誰かさんが捨ててはいけないとされるマジックアイテムを魔界に捨てているからな」
「俺は捨てていないぞ?前国王の事は俺も知らないしな」
国を引き継いでおきながら、そんな理屈は通らないぞ。
国家のトップが変わったからと言って、国同士の約束や行いが全て無くなるわけじゃない。
それらもちゃんと引き継いでこその国王なんだけどな。
そんな事を言った所でこいつには通用しないんだろうなぁ。
転生前の世界でもこういうのは有ったよ。
政権が交代したり大統領が代わる事で、過去の約束を全部無かった事にする国。
そんな国をまともに相手していても無駄なんだよね。
「それにそもそも魔界は悪魔王サタンだけが統治してきた訳じゃないだろ?」
そうなのか?
「どういう意味だ?」
「悪魔王は他にもいた。ルシファー、レヴィアタン、アスモデウス、ベルゼブブ、ベリアル。この辺りも悪魔王として魔界を統治する者だった。しかし今全員いないという話だぞ」
そういえばそんな話あったな。
でも強い所はほとんど俺が狩っちゃったりしたんだよね。
つか全員俺の所にいるじゃねぇかよ。
「何を言っている?全員健在だぞ?」
「なんだと?どうしてそう言える?」
別に隠している訳でもなかったし、話してもいいか。
「全員俺の所にいるからな。そして悪魔王サタンに協力して魔界統治にも貢献している」
後の話は嘘だけど、必ずしも嘘って訳でもない。
畑の管理とか豊穣の魔法で、ベルゼブブである熊王葉絵には働いてもらっている訳だしね。
魔界に手出しをさせない為にももう少し言っておくか。
「それに悪魔王サタンとは友人でな。つまり魔界は既に俺が統治しているのと大して変わらないんだよ。別に独占しようなんて考えてはいない。迷惑にならない範囲の利用はサタンも認めているしな。でもそれ以上の事は認められないんだよ」
これ半分喧嘩売ってないか?
大丈夫かな?
でもどうもこの旧神は、真っ向から戦おうとはしてこないんだよな。
邪神のトップなら、此処まで人間に言われたら暴力に訴えそうなものなんだけど。
「そうか。ならば仕方がないな。しかし魔界を守っても人間界で問題が起こっては意味が無いと思うぞ?」
こいつ何かしでかすつもりか?
まあそりゃ食いもんが無くなればなんとかするしかないもんな。
「食料に関しては、できる範囲で流通に乗せるつもりだ。金持ちの有栖川なら対処は可能だろ?」
「やるだけはやるがな」
「それにここにいる他の国の代表も、自国に被害が出るなら多少はなんとかするはずだ。俺はそれに期待するよ」
尤も、出せるだけの食料を持っている国なんて数えるほどしかなさそうだけどさ。
「伊集院は正直もう出せる食料はない。せいぜい魔獣の肉くらいなものだ」
「‥‥」
俺の期待もむなしく、発言は伊集院だけで他は誰も話さなかった。
出せる食料もないのだろうが、旧神とはなるべく関わりたくないのだろうな。
俺も関わりたくなかったけれど、流石に魔界の領土を主張してこられたら仕方がないよね。
これ、完全に此花対有栖川な展開だよ。
「それでは今回の話は無かったという事で終わらせてもらいます」
皇の言葉で世界会議は終了した。

世界会議から一週間が過ぎた。
その間特に何も無かった。
なんだかんだと有栖川も上手くやっていけているのかな。
あと二週間もすれば最初のジャガイモが収獲の時期を迎えるし、多少は世界に安心感も出てくるだろう。
何処から来ているのか分からないけれど、未だに少数ながら移民も確認できているし犯罪もある。
その中での火山の噴火な訳で、今後移民や犯罪が増える懸念は大きかった。
だから早く安心感を世界に広げる必要があった。
そんな中で行われた今日の四阿会議で、ついに問題が出てきているという話を聞かされる事となった。
それは千えるの所属国、愛洲領での話だった。
「昨日の夜から、愛洲領内に盗賊のような輩が現れるようになりました。村人が殺され、収穫前のジャガイモや野菜が奪われています」
「それでその盗賊の情報は何かあるのか?」
「いえほとんど何も。スイショの町の北側、オーガの里曙のある辺りの村が襲われているのですが、盗賊は北から来て北へと去って行ったとの情報があるくらいです」
それだけでも分かる事はある。
「その盗賊は間違いなく有栖川領から来ているって事だよな」
盗賊を装った有栖川の手の者の可能性が高いか。
「ただ、その盗賊はプロではなさそうと言いますか、有栖川の為に村を襲っているのはで無いと考えられます。襲われた村人の話としてですが、盗賊はただの一般人に見えたらしいです」
一般人が空腹に耐えかねて、愛洲領の村を襲い始めたって事だろうか。
もしかして一般人をけしかけて武器に使っている?
そんな話、転生前の世界でもあったな。
清朝末期にあった義和団事件とか。
食べ物が無くなったなら、『外国人を襲って食えばいいじゃないか』ってね。
流石にこの世界じゃ人まで食わないだろうが、少なくとも統治能力がかなり衰えているという事だろう。
仮にけしかけているなら、これは挑発にも値する。
転生前の世界の国際法では、挑発行為は宣戦布告と同義だった。
つまり有栖川は愛洲に戦争をしかけているのとあまり変わらないという事だ。
戦前日本が日中戦争へと突入していった決定的な要因も、中華民国側からの挑発行為だったからな。
尤もそれは、大日本帝国と中華民国を争わせる為に仕組まれたものだという話もある。
仕組んだのは別の大陸側組織だったという話もあるが、その辺りはハッキリしないので組織名は伏せておこう。
ちなみに義和団事件の頃、日本兵は世界に称賛される活躍をした。
強くて規律正しく、略奪なんかも一切しなくて、記録に全く批判が残らなかったとか。
俺にはそんな日本人の魂が受け継がれている訳で、DNAレベルで悪い事ができないんだと思えてならないよ。
悪い事をしようとしても、どうしてもストッパーみたいなものが働くよね。
日本人なら分かると思うけれどさ。
別にそれがいいか悪いかは別にして、アイデンティティと言うか本質はそう簡単には変わらないという事だ。
「おそらく今後もそういう盗賊紛いの輩はやってくるだろう。七魅。ミケコにこの事は伝えておいてくれ」
「伝えておくだけでいいのだ?」
「後はミケコの判断に任せて大丈夫だよ」
伝えるという事それ自体にメッセージは込められている。
ミケコならそれを確実に受け止めてくれるという確信があった。
しかし金の持ちのはずの有栖川がそこまでして食料をね‥‥。
碓氷は大丈夫なのだろうか。
あちらは全く情報が出てこないから分からないんだけど、各町にいる諜報員からは『普段と何も変わらない』という報告が入っている。
つまり碓氷はしっかりと対応してきていて、それが間に合っているという事だ。
かなり統治者能力が高いんだな。
でもほとんど表舞台には出てこない国。
唯一今までに動きがあったのは汽車だけだ。
汽車がもしも仮面を外して行動したら、取り返しにくるのだろうか。
この話以外はいつも通りの状況報告だけで、サクッと朝の四阿会議は終了した。

夕方の四阿会議で、更に事件は身近な所へもやってきていた。
「ドラゴン王国の東征からの連絡なのだ。悪魔っ子たちの集落が人間に襲われたらしいのだ。なんとか撃退はしたけれどかなりの被害が出たそうなのだ」
「それも兵隊や盗賊ではなく一般人なのか?」
「一般の魔人が追い返せたレベルだからきっとそうなのだ」
だよな‥‥。
今度は魔界の魔人の集落も襲うのかよ。
しかも一般人ってのが逆に厄介だな。
まあ悪い事をした奴にはお仕置きが必要だけれど、直接食い物に困っている人達だと考えると情状酌量の余地はある。
「なんにしても悪魔っ子たちの集落は、俺たちにとっても大切な場所だ。リン、対応を頼む」
「それはもちろんするんだけどさ、元御剣領内にも有栖川領から盗賊紛いの人たちがやってきているのよね」
今度は此花領内にもか。
「他にも隣接する国はほとんど被害が出ているって話よ」
「具体的には何処だ?」
「東雲、遠江、伊集院、大山祇辺りかしら」
全部隣接している国か。
「ん?碓氷は?」
「碓氷はそう言った情報は無いわね。公開していないだけかもしれないけれど」
よく分からない国だからな。
おそらく碓氷も被害は出ているだろう。
「犯人は捕まえられていないのか?」
「元御剣領もちゃんと危機対応はやっているんだけど、上手く逃げられているのよね。何故か有栖川領内に立ち入り禁止区域までできていてそれ以上追いかけられないのよ」
「それはもう完全に有栖川旧神が主導しているな」
かといって旧神に文句を言った所で、民が勝手にやっている事だと言い張られたら終わりだ。
しっかりと統治しろって話だけれど、これでこちらから乗り込んでいったらまるで満州事変だしなぁ。
この世界は、人々の移動という意味では国境線が無いに等しい。
しかし領内をどう使うかは国ごとに違う。
立ち入り禁止区域を設ける国もあるし、此花のように妖精や動物の保護区など行動を制限している国もある。
それを破れば、当然国はその者を制裁する事になる。
『郷に入りては郷に従え』で、その国ではその国のルールや文化伝統に従うべきなのだ。
それがたとえ理不尽だとしても、他国に自分の正義を押し付けてはいけない。
ジャッジメンタルは問題を広げるからな。
ちなみにジャッジメンタルとは、『人を決めつけで判断したり、偏見を持って接したりする事』だね。
そして『自分の価値観で他人に評価を下す』なんて意味で使われる事が多い。
とにかく、『自分の正義と他人の正義は違う』という事を常に意識しておく事が大切って話だよ。
転生前の世界でそれが一番問題になっているのが、『国家統治は民主主義である必要がある』ってのだな。
そうでない国は『野蛮人国家』としたのが幕末から後の時代だ。
今もそれは残っていたが、そのせいで国家の関係がこじれて修復不可能となっていたりもする。
もしかしたら全ての国が民主主義国家になるのは理想かもしれないけれど、理想を押し付けても上手くはいかないって事だよ。
今この世界でそんな事をしたら、間違いなく世界は荒れるだろう。
人々の意識や価値観、文化を変えるのには、地道に順番を経ていく時間が必要なんだろうさ。
ちなみに俺自身は、民主主義が最良だとは思っていない。
かといって独裁や社会主義はもっと良くないと思っている。
そうだな。
俺の理想を語るなら『立憲君主内政民主主義』だろうか。
昔の日本と今の日本の間くらいの体制になるのかな。
そのテスト国家として神武国は統治している訳だが、上手く行くかどうかは神のみぞ知るってね。
「策也?何ボーっとしてるのよ?とりあえず対応は国内と悪魔っ子の集落だけでいいわね?」
「お、おう。そうだな。一応佐天との連絡網も確立しておくか。その内サタン王国にも何かしらやってきそうだしな」
「分かったわ。その辺りはアルカディアにも協力を頼むわよ」
「そうした方がいいか。魔界の扉が常時繋がっているのは三日月島と地下実験場だけだからな」
こうして俺たちは、有栖川の民による盗賊問題への対応を広げていった。
でも本当にこれは有栖川旧神の謀略なのだろうか。
一体何を求めてやっているのだろうか。
メリットはあるのだろうか。
食料確保にしては生ぬるいし、挑発行為だとしたら戦争を望んでいる事になる。
そうすると世界を相手にやる事になる訳だが、だったら会った時に俺を殺せば早かったのではないか。
どうもしっくりこないな。
でも戦争が始まった時、その理由がハッキリ分かる事の方が珍しいのかもしれない。
日本が戦争したのだって、表向きは『植民地からのアジアの解放』を謳っていた。
だから大東亜戦争なのだ。
でも本当は別にも色々な理由があった。
アメリカからの最後通牒『ハルノート』も大きな理由の一つだろう。
アメリカ人でさえ、『これを見たら戦争をするしかない』と言っていたのだ。
戦争に踏み切るよう仕向けられたのは間違いない。
だから真珠湾攻撃も分かっていたという話。
コミンテルンの影響も色々な所に見られる。
コミンテルンってのは国際共産主義組織の事で、色々な所で影響を与えた。
ハルノートの原案を作成したのも、コミンテルンのスパイだったホワイトなのだ。
このように色々な要因が重なり合って始まるのが戦争であり、その理由なんて然う然うハッキリとは言えない。
もしも旧神が戦争をしようと動き出したとしても、その理由なんて分からないよ。
単純に闇の神が人類よりも優れている所を見せたいだけかもしれないからね。
ただし、考えても分からないかもしれないけれど、考えるのを止めてはいけない。
何かが分かれば対応策だって見つかるかもしれないのだから。
こうして俺は眠れない夜へと向かうのだった。
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