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策也の出自と弟

俺の能力コピー能力は二種類ある。
一つはムジナからいただいたもので、触れた相手の能力をコピーする能力だ。
主にヒューマンにしか使っていないが、おそらく魔物やそれ以外にも使えるものと思われる。
次にもう一つの能力だが、これは金魚から得たもので、ヒューマン以外の能力をコピーする能力だ。
対象が能力を使用した時、或いは邪眼で能力を理解した時にコピーができる。
この二つの能力でコピーできなかった者は今までに二名だけ。
みゆきと兎白だ。
この二人に共通するのは自称も含めて神である事。
闇の神たちは割と普通にコピーできているので、分類としては神じゃなさそうだ。
それにしても最近能力が増えすぎて、戦いに迷いが生じる事が多くなった。
なまじ色々できてしまうのも考え物。
自由がいい、選択肢は多い方がいいって言うけれど、入ったファミレスにメニューが一万もあったら逆に困るよね。
世の中やっぱりバランスかぁ。

速水の領土を吸収した伊集院が、早速動き出した。
東西七百キロにも及ぶ陸地に運河を掘って航路を作ろうというのだ。
今まではそこより南にある有栖川の航路のみで、中央大陸や南の大陸から東の大陸に向かう船のほぼ全てがそこを通らざるを得なかった。
それによる利益は莫大なもので、有栖川が金持ちであり続けた理由の一つであるのは明白だった。
しかし伊集院が新たな航路を作る事で、おそらく通行料収入は半分以下となるだろう。
なんせ伊集院側の航路の方が、航行距離の短縮が期待できるのだから。
そして伊集院はこの大事業を、一ヶ月以内に終わらせると宣言していた。
まあ俺がやればオウムビーム三百五十発でだいたい終わるわけで、その後の整備を入れても特に短いとは感じない。
でも普通の人間がやればおそらく何年もかかる事業である。
それも万単位の人を集める必要があるだろう。
そんなわけで何故か傭兵隊にも仕事依頼が来ていたので、俺はそれを引き受ける事にした。
俺自身や資幣は参加しないけどね。
『ゆかり、作業はどんな感じだ?』
『地道な作業が続いているであります!』
『そうか。強そうな奴が来たら連絡をくれ』
『了解であります!』
おそらくだけど、これだけの大事業を一ヶ月で終わらせるとなると、主力級の戦士を使わないと終わらせる事ができないだろう。
だから必ずどこかで強い奴が作業をしに出てくるはずだ。
俺はそれがどんな奴なのか見ておきたいと考えていた。
情報は集められる時に集めておけってね。
傭兵隊の他にも、太陽が沈んでいる間にはヴァンパイア部隊も派遣しているし、太妖と日凛の天照兄弟や月詠三姉妹も監視任務に就かせていた。
そんな日が続いて三日目の深夜、とうとう強い奴が現れたようだ。
『策也ー?来たみたいだよ!多分あたしよりも強いんじゃないかなぁ』
『そうか。今すぐそちらに行く!』
那須香とは視覚を共有する事ができるので、俺はすぐにその場所へと瞬間移動した。
「あいつか?」
那須香はかなり離れた木の陰に隠れていて、俺も同じように木の陰からそいつを見た。
「どう?多分かなりの強さだよね?」
「ああ。そうだな‥‥でもあいつは知ってるな。確か海の嵐の奴だ」
九頭竜領を四人で進攻していた奴だった。
「なんだ知ってる人だったかぁ」
「でもありがとう。今日の所は一度休んでいいぞ。おそらくだがこっちにも気が付いてるな。あいつはかなり察知能力が高い」
「この那須香ちゃん、隠密行動には自信あるんだけどなぁ」
「どこか送ってほしい所はあるか?」
「とりあえず秘密基地でいいよ」
「分かった」
俺は那須香を秘密基地まで瞬間移動させた。
さて、ここからは俺一人で監視を続ける。
姿も消して更に影に潜っておく。
影の中では梅影姉妹が揃って寝ていた。
こいつらマジで仕事しねぇな。
別にいいけどさ。
おっと監視監視。
知ってる奴だが、何をするのかは見ておいた方がいいだろう。
それにまだ何もしていない所を見ると、他に誰かが来るのを待っているのかもしれない。
ん?何か魔法を発動したようだ。
すると二体の大きな魔獣が現れた。
こいつ|召喚師《サモナー》か。
俺は邪眼で魔獣を確認した。
バジリスクとコカトリスか。
この二体は同一視される事もあるが、姿形は結構違う。
能力が似通っているだけだ。
でも魔物とはおいしいな。
こいつらの能力ならコピーできそうだ。
大国が有している戦力は、大抵ヒューマンとして蘇生している者ばかり。
だから能力を盗むにしても実際相手に触れなければならないわけで、多少リスクがある。
向こうもこっちに触れる訳だしね。
その点魔物ならリスクは全くないのだ。
尤も、私と同じ能力を持った者がいたとしても、少し触れたくらいで全てを理解できる奴なんてまずいないだろうけどね。
俺の頭の中央処理装置CPUは百コアの優れものだから、一瞬でもコピーが可能なのだ。
コカトリスの能力は、猛毒腐敗の息と目による強烈な麻痺。
この麻痺によって死に至る事もある。
ここで使うのはおそらく猛毒腐敗の息か。
運河を掘るルートにある木々や土壌を腐敗させ、作業をやりやすくするのが目的かな。
思った通り風向きと逆方向にバックしながら息を吐いていた。
木々は見る間に枯れて行く。
これほど強力とはね。
ただこいつの息による攻撃は、かなり風向きに影響されそうだし、使いどころが難しいかもな。
ん?猛烈なスピードで別の誰かが接近してくる。
海の嵐のサモナーも警戒してそちらを見ていた。
つまり敵か?
向かってきた者はそのままサモナーに突進してゆく。
拳が顔面に当たる寸前でサモナーは後ろへかわし、バジリスクとコカトリスを前に出した。
風向きが逆なので息による攻撃はできない。
ならば目か。
しかし襲ってきた者のスペックは高くて、麻痺を|抵抗《レジスト》したようだ。
「なかなか強いのです」
「私には負けるのね」
「お前ら起きたのか。というか妃子、確実にあっちの方が能力高いだろ?」
こいつらも人の姿になってから、シャドウデーモンの限界を超えて強くなっている。
しかしこの襲ってきた者は、魔物なら最高位クラスだ。
「更に仲間がやってきたみたいなのです」
「こっちの仲間の事を言ったのね」
「減らず口だな」
でもその通りで、後からきた奴らは少し戦闘力は低そうだった。
とは言っても並みの刺客ではないレベルだけどね。
サモナーくんは五人を相手に戦わなければならなくなったようだ。
正直俺は、今回の伊集院の事業は応援している。
市場を独占ってあまり好きじゃないからね。
自分がやる分には構わないけれどさ。
そんなわけでちょっくら手を貸してやるかな。
俺がそう思って動き出そうとした時、サモナーくんはバジリスクとコカトリスを盾にして撤退していった。
この判断は正しいだろう。
おそらくこの五人相手には勝てなかっただろうから。
しかし何者だろうなこの五人。
作業の邪魔をするのは有栖川以外には考えられないか。
それにこれだけ強いのを揃えられる勢力が他にあったら、それはそれで怖いしね。
「さて‥‥もう終わりかな。今日の所は帰るか」
「今起きたばかりなのね」
「今、何でもいいから何かがしたいのです」
普段働かないくせに、こういう時だけやる気を見せるとは。
『勉強しろ』と言われるとやる気を失くすけれど、しなくていいと言われるとやりたくなる子供だよな。
「分かった。帰ってから今日撮影した映像をアップして、何処の誰なのか探すぞ」
「急に眠くなってきたのね」
「私はもう、グーグーなのです」
「おーまーえーらー!」
俺は影の中で二人にプロレス技をかけてお仕置きした。
なんだかんだ言いながら、結局こいつらと遊んでいたら夜が明けていた。

次の日、早速俺は映像をネットに上げてから、後から来た五人の素性を探した。
伊集院の提供するデータベースも全て探したが、五人の素性は分からなかった。
「有栖川の諜報機関が持ってるデータベースにも無かったんだよ」
「アルカディアの諜報機関も把握していない人物だった」
つか金魚、なんだかんだ有栖川とは繋がっているっていうか、利用しているよね。
つかなんで小麟アカウントで未だに有栖川の機密情報を見る事ができるんだ?
有栖川ザルすぎだろ。
形としては『領主がちょっと嫌になって家出している子』、みたいになっているのかもしれないけどさ。
「ところで有栖川の諜報機関では、俺はどのように扱われているんだ?」
「金魚の見られる権限内だけだけど、先日ミケコちゃんと話をしている映像が公開されてから注意人物に指定されているんだよ」
「注意人物ねぇ」
「それよりもむしろ謎乃汽車の方が警戒されているんだよ」
つまりバレたら更に警戒されるという事か。
でも、俺は此花策也として名前に責任を持って生きろと言われたんだよな。
ネットにアップする時だけとはいえこれはアリなのだろうか。
転生前の世界じゃ、ネットに本名を晒すのは一部だけだったもんな。
或いは本名限定のサイトか。
この世界じゃほぼ匿名な訳だし、問題ないよね?
「策也!此花の諜報機関のも調べたけれど無かったわ。ところでこの五人の内の一人なんだけど、子供の頃の策也に似てない?」
リンに言われて確かにそう思えなくもない。
子供の頃はずっとマスクをしていたから、自分の顔はそっちの方が割と印象に残っている。
でも確かにあの頃の俺が成長したらこんな感じになるだろうなって想像していたのとマッチする。
今の俺は変化の影響か知らないけれど、想像とは少し違った大人に育っちゃったけどね。
「自分の顔なんてマスクしたのしか覚えてないけど、木花咲耶だった海神を大人にしたような感じには見えるな」
魔法記憶を探れば覚えているんだけどさ。
「それってつまり子供の頃のあんたに似ているって事じゃない」
「まあでも世界には自分と同じ顔が三人はいるっていうし‥‥」
「いわないわよ?」
「えっ?いわないの?‥‥」
どうやらこの異世界ではいわないようだ。
とは言え似ているのは事実なわけで、ネット上では徐々に似ているという声が大きくなっていった。
『こいつ、昔死んだ木花咲耶に似てね?』
『言われてみれば似てるかも。成長したら丁度こんな感じになりそうだな』
『海の嵐のを襲ったスピードも半端なかったし、これ、あの時の木花咲耶よりも強いだろ』
『間違いないよ。成長した木花咲耶なんだ。木花咲耶は生きてたんだ』
『となると、謎乃汽車と木花咲耶が同一人物って線も復活か?』
『いや。今回この映像を上げてるのは謎乃汽車だぜ?自分で自分の映像上げるか?』
『そうだな。やっぱり別人か』
木花咲耶に似た奴か。
こいつなかなか強いし、仲間になったら色々便利そうだなぁ。
三国志のゲームみたいに、こいつに馬贈ったら仲間にならねぇかなぁ。
自ら出向くと殺される可能性があるしな。
冗談はさておき、結構気になるな。
『お兄ちゃん!あの人の事を見たって人がいたよ!』
『おっ!マジか禰子!』
アルカディアは諜報員をほぼすべての町に持っているのだ。
見た事のある奴くらいはいるだろうと思っていたけど、やはりいたか。
『場所は碓氷王国の王都ハエルだよ』
碓氷か。
俺は確か碓氷の最高傑作とか云われていたんだよな。
こりゃ何か繋がりがある予感もする。
とりあえず今回の航路が開通して損失が出るのは有栖川だけだと思っていたけれど、碓氷も多少マイナスになりそうなんだよね。
西側ルートの距離が短くなれば、東側ルートを行く必要性が下がるのだから。
『ありがとう禰子!また何か分かったらよろしくね』
『うん。じゃあね!』
とりあえず、次に見つけた時には捕まえてみるか。
そんな訳でこの日の夜、俺は再び伊集院の運河造りの現場に来ていた。
そして王仁や天照兄弟も二キロ以上上空に待機させている。
海の嵐のサモナーくんは、昨日と同じように作業していた。
昨日は東側からやってきたよな。
俺は東へ十キロほど移動した。
この辺りで待ち構えていればおそらくやってくる。
別のルートだったら今日は諦めよう。
なんて思っていたら昨日とほぼ同じ時間に奴はやってきた。
今日も先行して一人か。
『王仁、太妖、日凛、来たぞ。俺は奴を捕らえるから、それまで誰も近づけないようにしておいてくれ』
『かしこまりました』
『はい‥‥』
『記者さんみっけ!排除しておきます!』
やっぱり記者も来ているよな。
俺の千里眼や索敵能力はだいたい二キロまでだ。
ビデオカメラがあればそれよりも遠くからの撮影も可能だから、こうやって実際に見て警戒してもらわないと駄目なんだよね。
まあ本人が特定できるほど大きくは映らないけどさ。
「はい、ちょっと待った!」
俺は西に向かう俺に似ているという奴を止めた。
実際に向かい合ってみると確かに昔の俺に似ている。
歳も今の俺と同じくらいに見えるな。
これじゃ確かに木花咲耶が生きていたと言われても信じてしまうだろう。
「ちょっと話をしないか?」
俺がそう言うと、奴はいきなり襲ってきた。
全く話もできないのか。
でも目に光がない気がするし、なんとなく洗脳されているような行っちゃってる感じはする。
つまり正気ではなさそうだ。
話をするならとりあえず目を覚ましてもらわないとだけど、捕まえてしまう方が早いな。
こいつは正直転生してきた時の俺よりも魔力は大きいし強い。
攻撃もバラエティに富んでいて昔の俺を彷彿とさせる。
でもこれじゃ昔の俺にちょっと毛が生えた程度だな。
殺すのは簡単だが、やっぱり捕まえる方がいいだろう。
「バクゥの目」
これが効くなら楽勝だ。
効かないのは闇の神以上の存在くらいかな。
俺は時を止めている間に魔力ドレインの手枷足枷を付けてそいつを捕らえた。
こいつの強さは既に神クラスだけど、ただの人間なら俺の敵ではない。
チート最高!
『みんな!対象は捕らえた。ポイントGに集合してくれ』
『かしこまりました』
『はい‥‥』
『じゃあ記者さんはリリースしておきます!』
俺は一旦みんなと集合場所に集まり、三人を秘密基地へと送ってから、捕らえた奴を連れて炎龍の地下にある魔法実験場へと戻ってきた。
魔力を失ったそいつはすっかりおとなしかった。
そして死んだ魚のような目で何処か一点を見つめているようだった。
「あんた、名前は?」
俺が話しかけても全く反応がない。
命令だけを聞く戦うマシーンなのかね。
邪眼で調べても普通の人間のようだ。
「答えないなら記憶に聞くぞ?」
全く反応無しか。
えっと、記憶を奪うならゴーレムじゃないとマズイんだよな。
俺が直接奪うと返せないから。
返す必要があるようには見えない奴なんだけどさ。
俺は蝙蝠型エアゴーレムを作り、分裂させた魂の一つを使って機動させた。
そしてそのエアゴーレムでそいつに噛みつき記憶を奪った。
その情報はすぐに本人にも伝わる。
なんだこの記憶は?
まさしく洗脳だ、洗脳魔法だ。
毎日あらゆる魔法知識を植え付けられ、そして毎日洗脳魔法によって洗脳され続ける日々。
狂っているとしか言いようがない記憶。
もしかして皇でもこのような事が行われているのだろうかとふと思う。
いやこれは碓氷で行われている事だ。
そして何処か懐かしさを感じる。
俺も、俺もこんな事をされていたのか?
碓氷の最高傑作?
もしかして俺は、良い感じに洗脳された人間だったとでも言うのだろうか。
頭がおかしくなりそうだ。
俺はエアゴーレムを解除し記憶を戻した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
これはヤバい。
凄く過去の記憶とリンクしている気がする。
これは思い出したら駄目な奴だ。
「ふぅー‥‥」
落ち着いてきた。
もしもこんな記憶だけしか持たないとしたら、こいつは不幸過ぎる。
いや、少しだけ楽しかった記憶もあったみたいだな。
両親の記憶だろうか。
アレ?この両親どこかで俺は知っている。
俺の両親か?
となるとこいつは俺の弟なのか?
確信は持てないが、なんとなくそんな気がする。
なんとか普通の人間にしてやりたいな。
記憶の中から一部だけ抜き取る事はできないだろうか。
俺は炎魔にテレパシーを送った。
『炎魔、ちょっと聞きたい事あるんだけどいいか?』
『どうぞ』
『炎の吸血鬼の記憶を奪う能力で、特定の記憶だけ奪う事は可能か?』
『可能だね。でもその場合返す方法がないし、返したとしても元には戻らないと思うよ』
『どういう事だ?』
『記憶は常に整理が行われている。だから一部を抜き取るとすぐにその部分が埋まって戻せなくなるんだ。無理に戻すとその記憶だけ別に固まった状態になるから、夢の出来事のように感じる‥‥らしい。僕が実際に試した訳じゃないからね。あくまで僕が昔一部だけ記憶を奪った者の話だよ』
『それはどうすればできる?』
『召喚した炎の吸血鬼に頼めばやってくれるよ』
『そっか。ありがとう』
『どういたしまして』
炎魔の話だから安易に信じていいものかどうか迷うが、炎魔だけに嘘は付かないだろう。
この程度の事で俺を裏切って死にたくはないだろうしな。
俺は炎の吸血鬼を召喚した。
多分みんなが想像するよりも小さいんだよな。
吸血鬼って云うから普通ヒューマンサイズかと思うよね。
でも実際はちょっと大きめの蝙蝠サイズなんだよな。
「こいつから、洗脳魔法をかけられて洗脳されている部分の記憶だけ奪う事はできるか?」
俺がそう尋ねると、炎の吸血鬼は黙って頷いた。
「じゃあやってみてくれ」
俺がそう言うと、炎の吸血鬼は噛みついて記憶を吸い取っていった。
さて上手くいくかな。
奴の目に光が戻っている気がする。
これは上手くいったか?
「どうだ気分は?俺の事が分かるか?」
「えっと‥‥誰?」
「俺は策也、此花策也だ。お前名前は?」
「策也?僕の名前は‥‥『|OU―2《オウツー》』って呼ばれていた」
そう言えば洗脳の記憶にもその言葉が何度もあったな。
名前だったか。
でもなんというか、完全にモルモット的な名前だよな。
或いは強化人間に付けるような。
強化人間!?
まさかね。
それはともかく、どうやら上手くいったようだ。
「その名前は名前じゃないな。俺がいい名前を付けてやる」
そこでふと思いついた。
そうだ、こいつにやってもらおう。
「お前の名前は今日から謎乃汽車だ!」
「謎乃汽車?」
「ああ。これは俺のもう一つの名前だったんだが、お前にやる。おそらくお前は俺の弟だからな」
「えっ?僕に兄さんがいたんだ?」
「多分な。確信は持てないが似てるしな」
「似てる?」
おっと、今の俺とはそんなに似てないんだっけか。
「昔の俺とな」
「そっか‥‥兄さんがいたのか。なんだか嬉しいよ」
「そうか。俺も嬉しいよ」
しかし、どうしようかなぁ。
弟とか言っても一緒にいるのはなんか照れ臭いし、でもおそらくこいつにはこれからこの世界の教育が必要だろう。
よし、ミケコに預けよう。
あいつならきっと面白おかしくできる人間らしい人間にしてくれそうだ。
「そうそう、俺には妹分的な奴がいてな。見た目は小さいけど多分お前のお姉ちゃんになってくれる。これからはそいつの所でとりあえず生活してみてくれ」
「あれ?そういえば僕は一体何を‥‥」
「実はお前、なんか酷い洗脳魔法に掛けられていたようでな。それをさっき解いたんだ」
「洗脳?」
「そうそう。お前をただの戦闘兵器として使おうとしていた奴にな。俺はそんな事許せないから洗脳を解いた。だからお前にはそこに戻らずに俺たちの仲間になって欲しいんだ」
「そうだったんだ‥‥分かった。兄さんを信じるよ」
「おう!信じてくれ!」
そんなわけで汽車が仲間になった。
今は歳の割にかなり子供っぽい感じがするが、ミケコの元にいればすぐにいい感じに変化があるだろうと確信していた。
俺は汽車をミケコに預けた後、今度は資幣を呼んだ。
現在の資幣は妖精だ。
それもかなり並みの妖精ね。
それで何をするかというと、魂からの記憶の除去だ。
一部の記憶を奪えるのなら、俺の魂にあるおぞましい洗脳の記憶も除去できるだろう。
炎の吸血鬼に聞けばできるというので、とりあえず資幣で試す事にした。
「じゃあ頼む」
炎の吸血鬼は妖精資幣に噛みついた。
何かが奪われていく感じがしたが、特に何も変化はなかった。
「できたのか?」
俺が聞くと、炎の吸血鬼は三度頷いた。
「だったら俺と大聖からも奪ってくれ」
今度は俺本人もだ。
間違って全て奪われても、俺には記憶の共有してる体が他にもあるのだ。
何とでもなるだろう。
少し不安もあったが、終わってみれば特に何も変化を感じなかった。
まあ、きっと上手く行ったんだろう。
もしも俺が洗脳されていたとしても、これで思い出して誰かに操られるような事はないはずだ。
しかし碓氷か。
目立たない王族だけれど、コッソリ何かをやってるんだろう。
第一の候補は強化人間の研究と育成。
或いはホムンクルスか。
多少気にはなるけれど、それくらいの研究は何処の国でもやってそうだよな。
だいたい自分の出自は分かったし、これ以上は知る必要もないだろう。
汽車の記憶を覗いた時に、両親が既に死んでいる事が分かったから。
少し悲しいな。
転生してきた俺には全く関係がないんだけどさ。
目からカブトムシが出てきそうだよ。
俺はマイホームに戻って、今日はみゆきを抱きしめて寝るのだった。
直ぐにその時間は終わったけどね。
赤ん坊が泣きだしたからさ。
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