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風里の戦い

この世界は、あらゆるものが何かと繋がっている。
何かが動けば必ず別の何かが動くのだ。
平和というのは、もしかしたら何もしない事なのかもしれない。
しかし何もしなければ何も良くならないし、そんな世界に生きる価値は無いかもしれない。
平和が一番だとは言うけれど、虐げられた人々にとってそれは幸せなのだろうか。
本当の平和な幸せは、戦いや混乱の先に勝ち取るものなのかもしれない。

オーガは、ヒューマンの中では元々優等種族と言っていい。
例えばドワーフはパワーに優れ、エルフは高い知能と魔力に優れている。
獣人は圧倒的な身体能力を持ち、魔人は魔力、身体能力共に優れている。
そしてオーガは、魔人と同様に魔力と身体能力に優れた優等種族だ。
一方人間は、魔力も身体能力も低く、ヒューマンの中では最劣等種族だ。
なのに何故世界は人間が支配してきたのだろうか。
その最たる理由が、弱いが故の努力だったと考えられる。
誰にも勝てないから、勝てるように努力し、そして今の地位を掴んだのだ。
だから今の状況に対して、無条件に否定する事はできない。
しかし、もしも他の種族も努力したとしたらどうだろうか。
この十数年、風里たちオーガは努力に努力を重ねて強く賢くなっていた。

戦争は突然始まった。
国境付近で、オーガ王国旭に向かう荷馬車が御剣の兵たちによって襲われた。
ギリギリオーガ王国領内だった。
それを察知した国境警備兵が、荷馬車を襲った者たちを追って国境を越え、御剣領でその者たちを打倒した。
御剣はそれを映像記録していて世界に配信し、オーガ王国に宣戦布告をしたのである。
それに対してオーガ王国も映像を魔法通信ネットワークに上げて反論したが、それはすぐに消されてしまっていた。
改めてマイチューブにも『先に荷馬車を襲ったのは御剣側だ』と訴えるも、オーガを責める者の意見は固まっており結果世論は完全に二つに割れていた。
『悪いのは御剣だ』という声と、『オーガはやはり排除するべきだ』という声とに。
戦争は止めよと声を上げるオーガに対し、御剣は進攻を持って返事とした。
「敵は私たちの声を聞かないアルよ!もう戦うしかないアル!」
風里の声に、オーガたちは戦う決意をしたようだ。
しかし‥‥俺は風里にこの喋り方を教えて良かったのだろうか。
今一締まらないよな。
まあ戦士たちの士気は上がっているようだし、問題無いと言えば問題ないのだけれど。
オーガ領を取り囲むように、御剣の部隊は三方向から攻めてきている。
旭の町は俺が設置した大量破壊魔法用の結界装置があるので、一日くらいなら通常攻撃を防ぎきれるだけの結界を維持できる。
つまり一日なら町の守りを空にしても大丈夫だという事だ。
ならばこの状況、絶好の各個撃破チャンスである。
風里は、俺が集めた本の多くを読んでいたので、多少戦術を知っていた。
西にある部隊から順に、風里は全軍を持って攻撃を仕掛けていったのである。
「凄いな風里は。圧倒的じゃないか我が軍は」
「影の中で見てるだけなんて暇なのです」
「見てるだけじゃないのね。ちゃんと映像を記録しているのね。策也タマが」
「いやだからそれは見てるだけっていうんだよ」
菜乃と妃子は相変わらずだった。
十年経っても変わらないゴーレム蘇生って素晴らしいね。
時々こいつらと話していると腹立つけれど、概ね何処か安心するんだよな。
「それにしてもみんな弱いのです。見ていてイライラするのです」
「そりゃ菜乃は強いからそう見えるが、普通からしたらかなりヤバいレベルだぞ?」
「そうなのね。ヤバすぎていい加減皆殺しにしたくなるのね」
「ヤバいのは妃子だよ!」
俺は影の中で妃子にチョップを入れた。
「頭が割れたのね」
「策也タマ酷いのです」
「いやお前、自由に体の形変えられるだろ。さっさと元に戻してくれ。頭の割れた状態なんて見てるだけで気持ちが悪い」
「可愛いと思ったのに残念なのね」
俺はお前の頭の方が残念だと思うぞ。
とりあえずここでの戦闘は完全に風里たちの勝ちだな。
オーガに負傷者はいるが死人は出ていない。
そして倒した相手は無視して、次の戦場へと向かう。
俺は影の中に潜んだまま風里たちについて行った。
今度の相手は中央軍で、敵の総大将もそこにいた。
流石にこの相手には手こずるだろう。
御剣家は剣技の優れた王族で、とにかく剣での戦闘には強い。
ただ、今までのオーガなら普通に戦って勝てる相手ではないけれど、今の風里たちなら互角以上の戦いができるだろう。
優れた魔力も使えるように魔法の訓練も重ねてきていた。
「悟空も頑張ってるな。でも大将だし安全圏で戦っている分目立たない」
「アレは全くダメなのです。大将同士なら完全に負けなのです」
「まあそうだけどさ。実質オーガ軍の大将は風里だからな」
とは言え風里でも、御剣の大将である国王には魔力レベルで負けているぞ。
この大将、十数年前と比べると別人のように強くなっている。
風里は負ける戦いはしないと思うが‥‥どうする風里。
俺がそんな事を考えている間にも、既に風里は大将に向かって行っていた。
「風里はやる気なのね」
「そうみたいだな。勝算が十分にあるという事か」
一緒にキャッツも行ったから、おそらく殺られる事はないだろうが、お父さんなんか心配しちゃうよ。
完全に娘を応援する気持ちになってくる。
ある意味俺が育てた子だからな。
おこがましいと言われても、そう思うのだから仕方がない。
キャッツは風里の戦いに邪魔が入らないように、周りの雑魚を片付けていた。
本当にそんな戦いで勝てるのか?
傭兵隊をもっと積極的に使っていいんだぞ?
ゆかりなら御剣の大将も倒せるぞ?
夜美ちゃんは悟空の護衛だから傍を離れられないか。
なんとなく戦いは、大将同士の一騎打ちの雰囲気になってきた。
風里は今もスォードトンファ―を使っている。
一方御剣の大将は、邪眼で調べた所サラマンダーのインテリジェンススォードを使っているようだ。
ミスリル製でなかなかいい武器だと思う。
でもな、スォードトンファーは俺が作ったダイヤモンドミスリル製なんだよね。
しかも二本。
圧倒的では無いにしても、武器では風里が上だろう。
それでどこまでレベルの差を埋められるか。
そして超えられるのか。
御剣の大将は流石だな。
この十数年、くやしさの中で努力してきたのが窺える。
頑張って強くなったヤツは素直に認めたい。
ただそれも此処までかな。
いくら剣技に優れていても、実戦では圧倒的に風里だよな。
戦ってきた相手の経験値が違うんだよ。
風里は御剣の大将の胸の辺りを十字に斬りつけた。
「ん?どうしたんだ?風里、最後に手を抜いた?」
「わざと傷を浅くしたのです」
「だよな。これで勝負はついたはずだったのに」
「大将が逃げて行くのね」
わざと大将を逃がした?
これはアレか。
相手が完全に敗北を認めるまで殺さず生かしてやろうというのだろうか。
そんな余裕が風里にはあるのか。
「風里にはまいるよなぁ。そこまで徹底するのかね」
「かっこいいのね」
「逃げる大将は追わず、今度は東の部隊を倒しに行くのです」
又も追撃や掃討戦はせず、風里は東へと向かった。
東の部隊は旭に攻め入っていたので、風里たちは少し遠回りをしたのち背後を襲う形となった。
敵の中には豪傑奉先の姿もあった。
「よし菜乃、妃子。奉先を捕らえてこい」
「今風里が別の強敵と戦闘中なのね」
「捕まえるのなら自分で捕まえてきてほしいのです」
こいつら‥‥
本当に言う事聞かないよな。
まあでもいざって時には流石に働くだろうし‥‥
働くよね?
仕方ない影から魔法で捕らえるか。
まずは魔力ドレインの結界!
「う‥‥なんだこれは?」
そして魔力ドレインの拘束!
「うお!どうなっている?誰だ!?出てこい!」
更にそこから瞬間移動魔法でさようなら、神武国の牢獄へゴー!
俺は奉先を捕らえて神武国へと無事送りました。
しかしマジ俺ってチートだよな。
このクラスのヤツなら余裕で捕らえる事ができる。
奉先は確かに一般レベルから見ればケタ外れに強いけれど、悟空と同レベルくらいだから俺から見れば雑魚でした。
さて風里の方はどうなったかな。
やはり余裕か。
御剣軍で最強はおそらく大将である国王だろうから、もう敵はいないと考えていいだろう。
そして御剣家と豪傑家を見ても分かる通り、小細工抜きの物理戦闘を得意とする国だ。
魔法も使うようになったオーガ相手じゃもう勝ち目は見えなかった。
どうやら戦場に有栖川の者も来ていないみたいだし、伊集院の報道記者カメラマンもいない。
おそらく今日いきなり風里たちから打って出て来るとは予想していなかったのだろうな。
今日の戦闘をネットに上げるのは保留するか。
おっとこれからは魔法通信ネットワークの事をネットと略す事にする。
転生前の世界にあったインターネットに似てきているしね。
最近九頭竜が第三の情報サイトを稼働させ始めているんだよな。
秘密組織が魔力蝙蝠の魔石を皇に提供するようになって、魔石が余ってるんだろう。
マイチューブの存在もあるし、伊集院が情報分野を独占できなくなっている。
ならばそこに切り込んでいっても、伊集院から大きな反感は買わないと考えたのかもしれない。
サイト名は『盗賊報道』で、現在は一部会員限定となっている。
これで魔法通信ネットワーク上にあるサイトと言えるものは三つになった。
冒険者ギルドの『魔法通信ニュース』と、秘密組織の『マイチューブ』、そして九頭竜の『盗賊報道』だね。
魔法通信ニュースは、魔法通信ネットワークの一部機能みたいな感じだったが、もう切り離して考えた方が分かりやすいだろう。
話が逸れたが、とにかく一日目の戦いは終わった。
二日目以降も風里の戦いは続いた。
今度は町と領地を占領し始めたのである。
御剣の王都を中心に、時計回りで町を占拠していった。
敵軍の半数は初日に倒されており、ほとんど抵抗はなかった。
町に入る前に住民を建物内へ避難させており、住民の死者を一人も出さないのは流石だった。
伊集院の記者はなんとかオーガの事を貶めるような報道をしたいようだが、風里に隙はなかった。
徐々に世論は御剣への降伏の声が高まってきていた。
でも流石に二度も負ける訳にはいかないのだろう。
或いは裏で有栖川に脅されているのかもしれないが、戦争は続けられた。
その結果、僅か二週間で王都であるヤイトの町を残すのみとなっていた。
「流石に御剣も降伏するしかないだろう」
俺はヤイトの町の遥か上空にいた。
風里たちオーガ兵たちが既に町を取り囲んでいる。
おそらく降伏勧告をして、現在は返事待ちといった所だろうか。
俺は兎獣人の能力である|瞬間移動《テレポート》で地上へと降り影に潜んだ。
「菜乃、敵の大将の様子はどうだった?」
「元気だったのです。やる気なのです」
「バカかよ。傷が癒えたら風里に勝てるとでも思ったのか?」
「新しい剣を用意していたのです。アレは呪いの剣だったのです」
呪いの剣か。
呪いの剣は自分よりも強い相手には従うが、弱いと体を乗っ取ってしまう厄介なモノだ。
どちらにしてもかなり戦闘力は上がるけれど、弱い呪いの剣ではサラマンダーのインテリジェンススォードは超えられない。
自分を捨ててまで御剣は勝ちにこだわるのか。
そこまでしてどうなるというのだ。
オーガ兵が動き出した。
とうとう最後の戦いが始まった。
町に入ると、町の住民が何人か出てきて抵抗を始めた。
抵抗する住民に対しての攻撃は世界ルールでも認められている。
それでも民への攻撃はやはり反感を買う。
かといって攻撃しない訳にもいかない。
オーガ兵としては身を守る為に攻撃せざるを得ないのだ。
いや、人間に対する不信感もあり、それを喜ぶ兵もいた。
これはマズい。
ここでオーガの印象を悪くするような報道がされれば、世界中の人間を敵に回す事にもなりかねない。
仕方ない。
俺が手を貸すか。
俺は影から顔だけを出して叫んだ。
「びえぇぇぇーーーーーーん!!」
この声はジャージーデビルの鳴き声だ。
この不快な声を聞けば、普通の人間なら気絶、マスタークラスでさえ何もする気がおきないくらいに鬱になるだろう。
俺は影へと戻った。
「よし、これで民との戦いは避けられるな」
「あんなのやるなら先に言っておいてほしいのです」
「あーもう駄目なのね。仕事は二週間休むのね」
妃子よ、お前が仕事をまともにした事があっただろうか。
『ゆかり、聞こえるか?』
『策也隊長!感度良好であります!』
『一部の民がオーガ兵の攻撃で傷ついている。助けてやってくれ』
『了解であります』
そうそう、この十年の間に俺のゴーレム蘇生人たちには、ほぼ全てテレパシー通信ができるようにしてある。
一部拒否してきたヤツもいるからそうでない者もいるけれど、俺は概ね部下たちとは何時でも話ができるようになっているのだ。
プライバシーの都合上、なるべく使わないようにはしているけれどね。
さて、後は最後の戦いを見届けるだけだな。
俺は影を移りながら風里の後を追った。
御剣の大将である国王は待ち構えていた。
環奈が戦ったあの時の場所だ。
言葉を交わす事もなく、大将はいきなり襲い掛かってくる。
完全に呪いの剣に支配されているな。
風里もそれには気が付いているようだ。
風里はただ大将を迎え撃った。
流石に初戦の時のような余裕はなさそうだな。
でも、やっぱり風里が負けるイメージはわかない。
風里はスタンガンの魔法を放つ。
精霊の加護を得ている風里の精霊魔術は威力が倍増している。
助けて良かった精霊界ってね。
完全に相手の動きを封じる事はできないが、隙を作るには十分だった。
風里のスォードトンファーが、呪いの剣を打ち砕いた。
更に風里は体にも一撃を入れて、大将を打倒した。
「勝ったな」
当然御剣の大将は殺してはいない。
ここまですべての王族はやっつけてきている訳で。
完全に御剣をやっつけると世界から何を言われるか分からんもんね。
まあ世界ルールは人間だけのものだけど、一応守っておいた方がいいだろう。
風里は振り返り歩き出す。
何かのヒーローアニメのワンシーンを見ているようだ。
かっこいいぜ風里。
そんな事を思った一瞬だった。
何かが倒れた大将である国王に向かって行った。
そして一瞬のうちに剣で首を刎ねていた。
「なんだ?今のは誰だ?」
「私にはほとんど見えなかったのです」
「私もなのね。獣人だったような気もするのね」
そうだ。
俺にはハッキリ見えた。
アレは猫獣人だ。
すると今度はおばけが現れた。
「なんだ?召喚か?」
そして王様の魂を食らって幽霊となった。
幽霊は一気に空高く上昇する。
考えている場合じゃない。
せっかく風里が生かしておいたのに、これじゃマジで御剣家が滅亡してしまう。
俺は空へとテレポートした。
そして幽霊を追った。
幽霊の飛行速度は速い。
なんの空気抵抗も受けないからな。
俺の全力とほぼ同じ速度とはやるな幽霊。
とにかく俺は全力で追い続けた。

気が付けば二時間以上経っていた。
南へ南へと飛び、中央大陸から出て海の上だ。
更に南へ行けば南の大陸まで行く事になるだろう。
いったい何処まで飛んでいく気なんだ。
丁度海のど真ん中へ来た頃、幽霊は突然海に向かって急降下した。
俺も後を追う。
するとそのまま海に飛び込んだ。
海の中だと?もしかしてコレは‥‥
海の中と言えば、俺にはアレしか思い浮かばなかった。
魔界だ。
思った通り幽霊は、深海から海の落とし穴を通って魔界へと入っていった。
俺は更に幽霊を追いかけた。
今度は南西へと進路を変えて進む。
水中で追いかけるのは厳しいな。
テレポートを連続して使えば、俺の飛行速度並みには移動が可能。
しかし圧倒的に疲れる。
俺も幽霊化して追いかけるか。
いや、幽霊化はなるべく使いたくない。
それに今使うのは何か嫌な予感しかしない。
俺は少しずつ引き離される中、なんとか追い続けた。
もう少しで千里眼からも外れようかという所まで引き離された時、ようやく海から出た。
これで何とか追いかけられるか。
そう思った次の瞬間、幽霊が急降下して地面の中へと消えていった。
どうしたんだ?
俺は急いでその場所まで行った。
するとそこには、深淵の闇があった。
確かこの辺りは人間界の有栖川領とリンクする場所だな。
思った通り辺りには捨てられたマジックアイムが散乱していた。
最近は捨てられていないようだが、有栖川はこんな所でも捨てていたのか。
嫌な感じは伝わってこないし、深淵の闇がある事から、おそらく既にデイダラボッチか何かが出現した後なのだろう。
マジックアイテムを回収しても、多分もう魂も残っていないはずだ。
それでも一応俺はゴミを全て回収しておいた。
全く、掃除する人の気持ちになれよな。
さてしかし、幽霊を追い続けてきたがここまでのようだ。
おそらくこの深淵の闇の向こうは、暗黒界だと思われる。
元住人であるイタクァの咲耶うららや、ティアマトの『|東江夕凪《アガリエユウナギ》』。
或いはアスプーの『|東江駈斗《アガリエカルト》』に聞いた話から、確かに暗黒界は存在する。
そして千えるの記憶にもそれに関するものが少しあって、総合して考えると暗黒界は魔界にある深淵の闇の向こうだと判断できた。
そして行ったら最後、今の所戻ってくる方法は分かっていない。
ではうららや夕凪や駈斗は何故人間界にいるのか。
自らの意思で人間界に来る事はできないが、人間が召喚する事で低位の暗黒神なんかはこちらに来る事ができると言っていた。
何処までが本当かは分からないが、今の俺に分かっているのはそこまでだった。
つまりこれ以上追うのは危険って事。
「帰るか」
俺は人間界へと戻った。

「風里、おつかれさん」
「策也、どこ行っていたアル?」
「さっき御剣の魂を奪った幽霊が空に上がって行っただろ?アレを追いかけていた」
「そうだったアルか。それで魂はどうなったアル?」
「残念ながら、深淵の闇の中へ持って行かれた」
どうするかねぇ。
とうとう王族の一つが完全に消えて無くなる事になってしまう訳だが。
「何が起こったのかさっぱりアル。一応人間のルールに乗っ取って戦ったアルが‥‥」
「誰かがはめようとしているんだろうな。オーガが人間のルールを守らなければならないって事はないが、それをネタにオーガを責める奴らは出てくるだろう」
だからなんとか殺した犯人を突き止めたいのだが、手掛かりはあの猫獣人だけか。
とはいえ猫獣人だからな。
今人間界で猫獣人がいるのは、オーガ王国、神武国、黒死鳥王国、妖精王国だけのはず。
そして俺はあの猫獣人を知らない。
となると可能性として考えられるのは‥‥
「とりあえず策也、もう戦争は終わりアル。御剣が死んだ事で未統治の領土が出来てしまったアル」
「風里が統治する為に占領していったんじゃないのか?」
「無理アル!オーガと人間、両方の気持ちを考えれば私に統治は無理アルよ。だから神武国でなんとかしてほしいアル」
マジかぁ。
また神武国の領土が増えてしまう感じね。
でもそれしかないよな。
「分かった。とりあえず預かるよ」
「ありがとうアル」
こうして戦争は、オーガ王国の完全勝利で終わった。
しかし本当の戦いはこれからなんだろう。
誰かが御剣を殺ったせいで大変そうだわ。
俺は御剣を殺った猫獣人の確認の為、再び魔界へと向かった。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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