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九頭竜ミッションコンプリート

スポーツの試合で付き物と言えば‥‥
そうだね、『応援』だね。
そして応援は、時に信じられない奇跡を起こすものであるようだ。
野球の試合で、ホームランを打った事がない選手がサヨナラホームランを打ったり。
マラソンランナーが信じられない追い上げを見せたり。
でも俺は割と冷めているので、応援なんてものは自己満足であると解釈している。
だって俺、応援されてプレッシャーに押しつぶされそうになったからさ。

魔界では本格的に九頭竜と魔人との戦いが始まっていた。
俺たちはいつも通り、汽車のビデオカメラによるライブ映像を見ていた。
「どう見ても九頭竜有利か」
「セバスチャンは完全に動きを封じられているわね」
「九頭竜の狙いは敵を倒す事じゃありません。食料を奪えればそれでいい訳です」
九頭竜にしては珍しい戦い方だな。
完全に倒しに行くかと思ったけれど、目的を忘れてはいない。
いやむしろそれだけ追い込まれているとも考えられる。
昨日見たコメント欄にも、明日の食料も無いと発信していた奴もいた。
嘘かもしれないが、かなりそれに近い状況なのだろう。
そしてこういう戦い方をしていれば、味方を増やすプロパガンダにもなる。
「コメント欄では九頭竜の評判が良い方へと変わっているように感じます」
千えるは自分の住民カードでコメントを確認しているようだった。
世論って割と大切なんだよな。
もしも九頭竜に味方したい者がいたとして、良い評判が半分よりも下ならば実行に移す事は考えられない。
でも仮に九頭竜支持が九割を超えるような事になれば、参戦してくる可能性は十分にある。
食料が欲しい国は九頭竜だけではないからさ。
それは逆も言える。
九頭竜の評判が悪ければ、九頭竜を潰したい勢力が魔人を助けに行くだろう。
だからプロパガンダってとても需要なのだよね。
「魔人サイドは物量で完全に負けているよな」
「数で九頭竜に勝てる国はないわよね」
そして個々の能力でも魔人側が劣っている。
きっと鍛え抜かれたドラゴンが変化した人間なんだろうな。
口から炎吐いたりしてるしさ。
正にドラゴン対魔人って感じか。
普通の軍隊がドラゴンの軍隊に勝てる訳もなく。
元魔王軍の連中は負けてないけどね。
お互い死者はさほど出ていないように見える。
このままだと魔人側は全てを失うのではないだろうか。
なんて思っていたら、一人動きの違う者が現れた。
どう見ても魔物悪魔、本物の悪魔だ。
「アレはシトリーか‥‥」
シトリーは悪魔の中でも割と上位の悪魔で、魅了を得意とする奴だ。
おそらくこいつは早乙女が召喚したんだろう。
「たった一人の悪魔の参戦で、一気に状況が動き出したわね」
「でもすぐに九頭竜側も対応してますよ」
「悪魔のようなドラゴンが出てきました」
「アレはブネだな。シトリーよりも下位の悪魔でもあるが、戦闘という一点においては差はないだろう」
九頭竜は相変わらずドラゴンの仲間が多いな。
映像越しだけど邪眼で能力も解析できる。
銀の爪を持っているので悪魔などの上位魔物相手でも決め手はあるし、翡翠のウロコはダイヤよりも割れにくい|靭性《ジンセイ》の高いものだ。
知能と話術に優れており、死者操作もできるブネは手ごわいぞ。
そう思ったのも束の間、魔人側に味方する更なる悪魔が現れた。
「また何か来たわよ」
「アスタロトか。魔力はシトリーと変わらないが、こちらの方が戦闘には向いた能力を持っている。未来を見る先読みの能力があるからかなり強力な援軍だな」
しかし早乙女はこんな悪魔を召喚し従属させて大丈夫なのだろうか。
冬馬の持っていたクリスタルは命を削るものだったが。
とは言え再び戦況は魔人側が有利になった。
「戦況は一進一退だね‥‥」
「九頭竜側もまた新たに何か来たわよ」
「今度はアンピプテラか。魔眼と毒ブレスが武器だ。アスタロトと毒ブレス対決したらどうなるかな」
ヤバい。
殺し合いをエンターテイメント気分で見てしまう。
映像越しだと現実感無くなるよな。
「千える、コメント欄はどうなっている?」
「盛り上がってますね。映像越しに見ている人はエンターテイメント気分になるのでしょう」
「だよなぁ‥‥」
俺は何となく自分の端末を操作してコメント欄を覗いてみた。
『ドラゴン対悪魔の対戦熱すぎ』
『魔物の王と言われる者同士の対戦だからな』
『普通このクラスのは滅多にお目にかかれないはずなのにすげえ』
『こいつら全員神クラスだよな』
『普通神クラスにまではなかなか成長しないと云われているけれど、ドラゴンの神と悪魔の神が誕生する時、ほとんどのドラゴンや悪魔が最高レベルまで成長するって話だ』
『それで両者は数千年に一回争うと‥‥』
『そんな伝説はあるけど、もしかしたら今俺たちは伝説の瞬間に立ち会っているのかもしれないな』
『そういえばそうだな。ドラゴン王国の王がヴリトラで、魔界の悪魔王サタンも十三年ほど前に姿を現している』
『でも此処にはヴリトラもいなければドラゴン王国も関係がないぞ?』
『これから何かが起こる気がするわ』
『そうだな。今はお互い相手の出方を窺いながら戦っている気もするし』
そんな伝説があるのか。
本に書かれている事は大抵知っているはずなんだけど、つまりこれは本当の伝説。
テンション上がってくるじゃねぇかよ。
ただヴリトラがこの戦いに参加する事はまずありえないんだよな。
この戦いに入ったら力不足だし、魂はヴリトラってだけで既に一度死んでるし。
まあ佐天は知らんけど、やっぱり伝説は伝説か。
そんな事を考えている間に、九頭竜が徐々に引き始めていた。
ある程度食料は奪ったし、今日の所はって感じかな。
魔人側も深追いはしないようだった。

次の日も似たような展開は続いた。
「早乙女は新たな悪魔を出してきたな。ガープか」
「かなり能力の高い悪魔だと聞いています。予言教団員なら誰もが知る『未来予知』能力を持っている悪魔です」
「それに何か変よ?九頭竜側の兵士が魔人側に寝返っているわよ」
「裏切らせる能力でしょうか?」
「アレは従魔を奪う能力だ。九頭竜の兵士の多くは使役された従魔が多いからな。これは九頭竜にとってはかなり相性が悪い相手だ」
能力が分かればコピーできる俺にとってはいい悪魔が見られたものだ。
しかしこの程度で負ける九頭竜でもない。
「やたらと大きなドラゴンが出て来たわよ」
「五十メートルはあるね」
「アレはニーズヘッグだな。ぼほ不死と云われているかなり上位のユニークドラゴンだ。ダークドラゴンの上位種とも云われているか」
ニーズヘッグの覇気に当てられて、コントロールを奪われていたドラゴンたちが動きを止めた。
従魔を取り戻す事はできないけれど、敵にはならないようにできるのか。
これでまた九頭竜が若干押す形となった。
今日も一進一退だ。
この状況が続けば、いずれ魔人は全ての食料を奪われる事になる。
「早乙女はまた何か出してきたみたいね」
「今度はアガレスか。戦闘能力はまずまずだが、九頭竜にとっては地味に嫌な能力を持っている。さてどうなるか」
アガレスの能力は、地震を起こすほどの地属性魔法と、逃亡者を引き戻す事ができる能力を持っている。
魔力的に自分より高い者に効果は無いかもしれないが、九頭竜は撤退する時に必ず誰か一人を生贄に取られる可能性がある。
この能力に九頭竜が気づいた時、果たして九頭竜は今の戦いを続けられるだろうか。
「早乙女が悪魔を出せば、九頭竜はドラゴンを出してくるわね」
「麟堂。でも今度のは龍だよ」
ドラゴンと龍は同じものと扱われたりもするが、厳密には少し違う。
ただし九頭竜にとっては同じという事か。
「体長百メートルのウロボロスか。長いだけだからヴリトラと同じには考えられないが、ただこいつは龍の中では最高種と云われている」
能力は極めて高く、あらゆる属性魔法を操る不老不死の龍だ。
アガレスの能力を知ってか知らずかは知らないが、九頭竜はソロソロ本気を出し始めたか。
こうなってくると早乙女と魔人だけでは勝てないだろう。
これでもまだ九頭竜は本気ではないはずだ。
多くのドラゴンを使役している奴もまだ出てきていないからな。
それが九頭竜皇帝本人かもしれないが。
何にしてもこのままでは今日中に決着がつくかもしれない。
元魔王たちに関しては、死んだ場合の魂の回収はミケコたちに依頼してある。
汽車もいるからそれくらいは楽勝だろう。
でも九頭竜に負けるのは納得いかねぇよな。
「このまま九頭竜に勝たせていいのでしょうか。この後おそらく此花が管理している畑も襲いにきますよね」
千えるの言う通りなんだけど、セバスチャン大魔王には手を出すなと言われているんだよ。
もちろんそれは俺たちを想っての事だけどさ。
本当は助けて欲しいのだろうか。
とりあえず現場に行ってみるか。
「あっ!佐天さんが来たわよ」
「おおっ!そういえば魔界は佐天の統治下だったよな。そこを襲うとなると当然佐天が出てくるか」
そして今の佐天は暗黒界に行って強くなった。
おそらく佐天ならウロボロスだって倒せるだろう。
『魔界の住人たちよ!安心するのじゃ。わらわが来たからにはドラゴン風情に好きにはさせないのじゃ!月誅!』
出てきて早々、佐天は悪魔王サタンへと姿を変えニーズヘッグをぶっ飛ばした。
これは戦況が大きく変わるかもしれない。
一気に九頭竜側が殺られる可能性もある。
当然そう考えるのは俺だけじゃない。
直ぐに九頭竜は撤退を開始した。
ニーズヘッグもまだ動けるようで、襲い来る魔人たちを振り払って去って行った。
月誅一発で追い払ったか。
流石は佐天だ。
その後アガレスが能力を使ってブネの撤退を阻止し、悪魔たちによって亡き者とされていた。
クッソ嫌な能力だな。
逃げた敵から一人をセレクトし処刑するとか、少しブネには同情するわ。
ブネの魔石は大魔王が回収し、それを汽車の方へと投げて来た。
つまりビデオカメラの方に飛んできた訳ね。
「ひゃっ!」
「おっと!」
「おお~‥‥ちょっとビックリだな。カメラと分かってはいるけど、自分の方に突然物が飛んで来たらな」
つかセバスチャン、俺たちに魔石をくれるというのか。
ならばありがたく使わせてもらうよ。
後でブネの魔石を使った超再生のベルトを作らないとな。
色々と能力付与できそうだし、山女ちゃん辺りに上げればかなり強くなるだろう。
いやらしい能力ばかり集まっちゃうけどさ。
何にしても今日は佐天の参戦で魔人側の勝利と言える結果となった。

さて次の日、戦いは頂上決戦の様相を呈してきた。
九頭竜としてはソロソロ決着をつけて、ここら辺り一帯の作物全てを手に入れたいのだろう。
ネットのコメントもいよいよヤバそうなのが増えてきていた。
『一昨日はパン一個と雑草、昨日はセミと雑草、そして今日は塩を舐めて過ごしている。俺はもう駄目かも』
『私はもうあきらめたよ。昨日全財産はたいてご飯をどんぶりで食べたんだ。もう思い残す事はないよ』
『俺も死ぬ前にかつ丼とか食いたかったな。犯罪したら取り調べの時に出してくれないかな』
『だったら俺、即行犯罪者になるよ』
『九頭竜領から出る選択肢はないのか?』
『九頭竜領に住む奴は、大抵九頭竜のぬるま湯につかってきた奴らばかりだよ。自分たちで生きる能力が欠落している』
『愚民化政策か。それはそれでおいしかったんだけどな』
『こうなると真面目に生きれば良かったと思うけど、今更だな』
『生まれ変わったら俺、神武国で暮らしてみたいわ』
『ネットする金ももうない。じゃあみんなさようなら』
『おい諦めるな!生きろよ!』
なんかちょっと泣けてくるぞ。
一応助ける方法が無い事もない。
デメリットはあるけれど、俺にはそれしか思いつかない。
その方法は、九頭竜を俺がぶっ飛ばして国ごといただく事だ。
そうすればすべて自国民として、平等に食料を分ける事ができる。
今の住民は不満だろうし、俺を王から降ろそうと声を上げる者も出てくるかもしれない。
その辺りは領土が増える事で将来的にカバーできるから、説得も可能だとは思うけどさ。
でも最も大きな懸念は、他国領土を武力で奪うなと言ってきた本人がそれをする訳で、俺の発言力が無くなる事か。
言ってるのはミケコでアルカディアだけど、俺自身も同じだしな。
そして世界から敵視されかねない。
そんな馬鹿な事をしてまで九頭竜の民を救うのか?
俺はずっと悩んでいた。
「とうとう出て来たわね。ヤバそうなのが‥‥」
「ヒュドラだね。魔石が無いから一度死んだ事のあるヒュドラか‥‥」
「こいつは強いぞ。佐天でも勝つのは難しいな。おそらくボスクラスだ」
ヒドラの魔生の魔石があったのは、旧九頭竜領だ。
おそらく魔生の魔石に使われていたのはこのヒュドラの物だろう。
くそっ!本当にこのまま見ているのか?
もう何もせずにじっとはしていられないぞ。
「洋裁、金魚、七魅、とりあえず現地に行くぞ。とにかく応援する!」
「応援‥‥って」
「応援?」
「応援なのだ!きっと力になるのだ!」
流石にただ応援しているだけじゃ、多分力にはならないよな。
かといって祝福系のステータスアップ魔法でサポートしたら助けた事になるだろうし。
ならば‥‥
「相手のドラゴンたちを威圧しながら応援する!お前らこれ以上やったらただじゃおかないって殺気をぶつけてやるんだ!」
「とりあえずやってみるっす」
「分かったんだよ‥‥」
「頑張るのだ!」
乗り気なのは七魅だけか。
そうだよな。
これであのヒュドラが引いてくれる可能性はゼロに近いけど、何もしないよりはいいだろう。
精神衛生的にも、俺はできる範囲で全力を出す事にした。
瞬間移動魔法で現場にはすぐに到着した。
「汽車、ライブ放送ありがとうな」
「兄さん。もしかして助けるんですか?」
「いや。流石に現時点で此花が加勢したら世界を敵に回しかねない。とりあえず応援に来たんだ」
「兄上様。応援ですか?」
「ミケコ。本当は助けたいのに我慢させてすまないな。だからせめて応援して助けないで助けになればと思ったんだ」
応援なんて自己満足だ。
力になったりはしないだろう。
だけどこのまま皆が殺られるのを見ているのも辛い。
国を背負った俺たちが魔人に味方をすれば、たちまち世界が俺たちを敵視する可能性もある。
早乙女も悪魔を送り込んではいるけれど、加勢していると分かっているのは俺たちくらいなものだろう。
この戦いへの介入はデリケートなもので、特に魔人側に加勢したら問題になるのだ。
「分かりました。精一杯応援しましょう。兄上様」
「僕も頑張って応援するよ‥‥」
「よし。洋裁、金魚、七魅。みんなで佐天たちを応援するぞ!」
俺は何もできない悔しさもあって、狂ったように応援を始めた。
「佐天頑張れ!お前なら勝てる!大魔王!本当の強さを見せてやれ!」
「がんばれー!‥‥」
「頑張るんだよー!応援してるんだよー!」
「頑張るのだ!策也がついてるのだ!」
ミケコも汽車も俺たちに続いて声を上げた。
助けたいのに助けられないこの思い、みんな受け取ってくれ!
しかし戦況は変わらなかった。
魔人たちは次々と殺られていく。
佐天たち悪魔も押され、大魔王セバスチャンももう満身創痍だった。
駄目なのか?
このままやられてしまうのか?
殺られるのを見ているだけなのか?
「応援が足りない!洋裁はダークドラゴンになれ!七魅もリンドヴルムになって応援しろ!九頭竜たちに圧力をかけるんだ!」
「うっす‥‥」
「分かったのだ。でっかくなってでっかい声で応援するのだ」
洋裁のダークドラゴン姿、久しぶりに見たな。
そして七魅のリンドヴルム姿は流石にでけぇな。
百メートル近くあるんだもんな。
更にリンドヴルムって美しさもあるドラゴンだ。
ヴリトラは邪悪なドラゴンの王って感じがするけど、リンドヴルムは華やかな王って感じだね。
「じゃあ応援するぞ!フレー!フレー!し・ろ・ぐ・み!」
「えっ?何それ?‥‥」
「偶に策也さんはおかしくなるんだよ」
「フレーフレーし・ろ・ぐ・み!フレーフレーし・ろ・ぐ・み!ワー!」
七魅ありがとうよ。
よく分かっているじゃないか。
どうして俺の応援についてこられたかは謎だけどな。
こうして俺たちは力の限り応援した。
魔力を使い果たすくらい気合を入れた。
声は魔界に響き渡った。
そんな応援がみんなに届いたのだろうか。
どういう訳か戦いが止まっていた。
「何があった?」
「兄上様。突然ヒュドラが攻撃を止めるよう命令しました」
「兄さんどうしよう?みんながこっちを見ているよ」
汽車の言う通り、確かにさっきまで戦っていた面々がこちらを見ている。
特に九頭竜サイドはほぼ百パーセントだ。
それに驚いたのか、魔人たちもフリーズ状態になっていた。
それからすぐ、ヒュドラがこちらに向かって歩き始めた。
それに続いて他のドラゴンたちもこちらに向かってくる。
「あわわわわ‥‥応援に怒っているのだ?」
「五月蠅かったのかな‥‥」
「でも五百メートルは離れているんだよ。アレくらいの声で大丈夫なんだよ」
これはどういう事だろうか。
魔人側を名指しで俺たちは応援した。
しかしそれでは何も動かなかった。
声が届いていなかったかもしれない。
その後白組を応援した。
すると九頭竜は戦闘を止めてこちらへ向かってくる?
意味が分からないんだが。
九頭竜は赤組だったとか?
九頭竜のドラゴン軍勢が、そろってこちらに向かってくる。
そしてとうとう俺たちの前までやってきた。
近くでみるとヒュドラも結構でかいな。
七十メートルはあるかもしれない。
でも、七魅の前だと小さくも見えるから不思議だ。
つかこいつら、俺たちとやろうってのか?
いいぜ、そっちから襲ってくるなら望む所だ。
ふっふっふ、実は応援とは名ばかりで、こういう展開を待っていたのよ。
さあ攻撃してこい!
ヒュドラが口を開けた。
ブレスを吐くか?
「リンドヴルム様!復活されておられたのですね!おめでとうございます!」
「えっ?」
「えっ?なんなのだ?」
えっとこれは‥‥どういう事?
「我々九頭竜一族は、リンドヴルム様が復活した時の為に、色々と準備しておりました。狭い領土ではございますが、どうぞ受け取ってください」
「えっ?」
「ほへ?よく分からないのだ」
いきなりそんな話?
「我々九頭竜一族は、リンドヴルム様の復活を何百年も待っていたのです。そしてその際、リンドヴルム様にふさわしい椅子を用意しておこうと国を大きくしてまいりました」
「なるほど‥‥」
九頭竜ってのはこのヒュドラたちの事で、ドラゴンの家系であり国だったって事か。
「どうしてなのだ?」
「それはもちろんリンドヴルム様が我々の王だからです。王に喜んでいただくのは我らが幸せ」
「ヴリトラじゃないんだな」
「此花策也か。ヴリトラだと?あんな邪悪なドラゴンに仕えるものか。我々はリンドヴルム様にのみ仕える九頭竜だぞ!」
「お、おう。そうか。悪かったな」
「ほえ?」
「ですからリンドヴルム様、今は食料不足で困った状態ではありますが、なにとぞ全てをお受け取りください。そして我々を導いてください」
「だそうだ七魅‥‥」
「ええっ!どうしたらいいのだ?あたしはそんな事できる器じゃないのだ」
「流石はリンドヴルム様だ。謙虚であらせられる。立派にドラゴン王国の国王をしておられたのを覚えていますよ」
今さっき七魅がリンドヴルムだって気が付いたくせによく言うな。
なんて思っていたら、九つの首全ての目が俺を睨んできた。
ちょっと怖いぞ。
心が読まれている。
「えっと‥‥正直に言うとあたしは本当に自信がないのだ。今は大変な状況だし、あたしの力じゃどうにもできないのを知っているのだ」
「そんな‥‥リンドヴルム様なら‥‥」
「でもあたしの自由にしていいなら引き受けてもいいのだ。その代わりどうなっても文句を言わない事が条件なのだ」
「もちろんですリンドヴルム様。我々九頭竜は、リンドヴルム様の言葉には全て従う覚悟はできております」
「分かったのだ。じゃあ九頭竜の国は今から全てあたしの国なのだ!」
「おお!九頭竜帝国万歳!リンドヴルム様万歳!」
「万歳!万歳!」
何だこれ?
どう考えてもおかしいだろこの流れ?
もしかしたら何かの詐欺なのではないだろうか?
「じゃあ策也、九頭竜帝国は今から此花に吸収してもらうのだ!」
「はい?」
「えっ?リンドヴルム様、本当ですか?」
「本当なのだ。それが一番いい方法なのだ!」
はいはいはい‥‥
そりゃ一緒になれば一番助けやすいとは思っていたよ。
だけど都合よく行きすぎじゃね?
「自分は反対っすよ‥‥」
「金魚も止めた方がいいと思うんだよ」
まあ普通は関わりたくないよな。
でもこれが一番民を助けやすいんだよな。
「兄上様のご友人方。兄上様はもう決めておられる」
「そうそう。兄さんは受け入れるよ」
「そうなの?」
「そうなんだよ(金魚の真似)」
いいんだよこれで。
これ以上誰も死なない為にはこれが一番だ。
しかしこれからしばらく超絶大変だろうな。
此花の民には苦労かけるけれど、将来この苦労を取り返せるだけのものを与えられるように頑張るさ。
「なんだかよくわからないけど、これで争いは終わったのだ!めでたいのだ!」
「そんな訳で九頭竜たちには最初のミッションだ。お前らドラゴンがほとんどなんだろ?だったらこの食料危機、魔界で魔物を食って凌いでくれ。人間の方の飯は俺がなんとかするから」
「此花策也‥‥俺に命令するとは‥‥」
「策也はあたしの友達なのだ。言う事聞いてほしいのだ」
「もちろんです!」
九頭竜たちには少し可哀想な気もするが、俺が七魅の下僕とでも思ってもらって納得してもらおう。
こうして俺は、九頭竜から七魅に渡された九頭竜領を預かる事になった。
なんとかなるのかねぇ‥‥
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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