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赤ん坊が産まれる

世界ルールが定めらた泉黄歴が始まって二百五十九年目。
泉黄という名は、死者の世界である黄泉の時代が終わり逆になるという意味と同時に、『みよ』即ち三十四の一族が統治する時代という意味もある。
そんな三十四の人間の一族が支配してきた世界に、新たな統治国家が誕生した。
人間以外が住まう国家。
神武国だ。
そしてこの国は皇国でも王国でもなく、俺が神武大聖というゴーレムを使って統治する新しい形の国。
転生前の世界では別に新しくもなくむしろ最古の国の形なわけだが、俺はかなり理想に近い国家体制だと考えている。
君主は権威の存在で権力はない。
君主、統治者、国民がじゃんけんのグーチョキパーのようにお互いをけん制もし合える関係。
国民は君主の宝物であり、君主はその宝物を守る為に統治者を決める。
転生前の世界にあった、我が故郷日本国をモデルにした統治体制だった。
俺はまず、国家運営を行う三人を選出した。
エルフ王国スバルからエルフを一人、ドラゴン王国からドラゴンを一人、空中都市バルスから妖精を一人。
その三人で話し合い、当面は国家運営してもらう。
当然神武大聖である俺は相談には乗るし、最初の内は口出しもするが、できるだけ代表や国民の力で国家運営していけるようにしようと思っている。
正直面倒くさいからね。
次に防衛体制だが、悪魔の魂を使って『警察予備隊』を結成させた。
警察消防救急などを行う『治安警察』をいずれは結成して任せるわけだが、当面は軍的存在の警察予備隊に任せる。
隊長は悪魔の中で一番強くて賢そうなヤツを、ダイヤモンドミスリル製の不動の体に蘇生させた。
その下に各部隊長三人はミスリス製の体、隊員三十名はアダマンタイト製の体にした。
最も硬いと云われるダイヤモンドミスリルは希少で、そんなに多く所持していないからね。
ミスリルと言ってもダイヤモンドミスリルに近い硬度を持っているし、アダマンタイトだって一般的には最高級品の武器や防具に使われる金属だ。
決して駄目なわけじゃない。
そんな強い体で悪魔を復活させるのも多少不安はあったが、当然悪さができないよう体には細工してあるし、大魔王であったセバスチャンにしっかりと言い聞かせてもらったので大丈夫だろう。
ちなみにセバスチャンの体はオリハルコンで作られているので、洋裁同様ほぼ無敵だ。
洋裁と違うのは、洋裁はナイフとして蘇生し人に変化している状態だが、セバスチャンは人の形で蘇生している。
大きな違いはなさそうだが、それぞれ微妙に一長一短あったりするらしい。
国家の住民管理は、この世界で領地を持つ国家となる以上、ちゃんとやる事が条件となっている。
その為、大聖にはダイヤモンドカードが発行される事となった。
ただ王族みんなが持つわけではなく、常に君主のみに引き継ぐシステムとなった。
王様たちとしては、人間よりも良い待遇にはしたくないせめてもの抵抗といった所なのだろう。
役所のシステムは、全て九頭竜に任せる事を受け入れざるを得ない。
でないと住民カードの発行や変更手続きなどできないからね。
伊集院からは冒険者ギルドを、有栖川からは商人ギルドを置けるようにとの話があり、これに関してはエルフ王国スバルをモデルに置いてもらう事になった。
商売するのに一々商人ギルドの許可がいるとか、冒険者ギルドの派遣施設が他に作れないでは困るからね。
商売もギルド運営も自由だけど、独占はさせないという事になる。
島に作る唯一の町は島の南西に置き、元々あった村などには手を付けなかった。
新しい法ができ、それに違反するようなら何かしら対応もあるかもしれないけれど、できるだけ自由な国にしたいからね。
町の名前は『オトロシイ』に決定した。
意味は『面倒くさい』だ。
本当に国を作るハメになって面倒くさいからね。
城を建てる事はしなかった。
ホームを少し大きくしたような四階建ての屋敷にして、その四階を神武の生活空間とした。
ずっとゴーレムを動かしているのはしんどいので、普段予定の無い時はスリープモードにし、家族の家より移動させてきたメイドの津希に全てを任せる。
四階には転移ルームも設置し、家族の家の二階と繋げた。
通れるのは俺や俺のゴーレム、後は家族だ。
家族はもちろんみゆきと、後はセバスチャン、依瑠、津希という側近世話係の連中だ。
他にも屋敷の外に小屋を建て、その地下にホームと同じように転移ルームを作った。
此処からはホームの外にある小屋の地下の転移ルームへと繋がる転移ゲートを設置。
これはパーティーメンバーや妖精、ドラゴンなど仲間たちが自由に通れるようにしておいた。
これら全てを処理して落ち着くまでに一週間ほどかかったが、なんとか俺たちは再び冒険の旅にでる事ができていた。

「国を作るのは大変だわ」
「そりゃそうじゃ。そんな面倒な事、賢い種族ほどやらないもんじゃぞぃ」
環奈の言う通りなんだよな。
争いが無駄だと考える賢い種族ドラゴンや黒死鳥は、決して国なんて作らない。
有能な者に里を任せ、皆が普通に幸せに暮らすのだ。
ただ、バカな人間だからこそバカをやって面白いってのもあるから、娯楽という意味ではそういうのにかかわりたいとも思ったりもするわけで。
ドラゴン連中の中にも、普通にのどかに暮らしたい者もいれば、人間の生活に興味を持ってあえてそこに飛び込もうとする者もいる。
どちらが幸せなのかは分からないけれど、人それぞれだし両方あってもいいのかもしれないな。
「やっと速水領だねー!」
「そうアルね。予定よりも一週間以上遅れたアル」
「わたくし、此花領や新しい神武の国を行き来して大変だったので、伊集院領から出る感動ももうなくなりましたよ」
エルも大変だったけれど、一応やる事をやって直ぐにパーティーには戻ってきていた。
一応神武の国は、エルフ王国スバルとドラゴン王国、黒死鳥王国と空中都市バルスの共同国家のような感じだからな。
それぞれの所属をどうするとか、そういう話も出てきていた。
結局スバルは今のまま伊集院領内にある自治区的扱いのまま。
ドラゴン王国も似たようなものだが、半分は島津領となる。
黒死鳥王国は場所を明かしていないので国としては認められておらず、空中都市バルスは飛鳥の上空を借りているから、半分飛鳥領的な扱いとなっていた。
バルスは海に出してもいいんだけど、そうするとまた何処の領域に属するのかって話になって面倒だから、今はそのままでいいだろう。
利害関係は特に無く、王族の面子の問題だからな。
「これからどうする?一応神武の国までは瞬間移動もできるから、旅の距離をかなり縮める事もできるが?」
「わたくしは、できれば自分の足で旅をしたいですね。瞬間移動もちょっと気持ち悪くなりますからできるだけ避けたいですし」
スバルには転移ゲートを設置できないから、移動の際ドラゴンの里までは瞬間移動で連れて行くしかなかった。
何度も瞬間移動しているうちに気持ち悪くなってしまったみたいだな。
「わたしも歩きたーい!」
「情報収集も必要じゃしのぉ」
俺は一応『亀浦王国』を目指しているわけだが、此処に行けば間違いなく呪いが解かれるという確信は持っていない。
小さな国だし遠い東の大陸とあってあまり情報もない。
それに何より慌てる事もない。
正直な気持ち、みゆきと一緒なら今のままでも良いとさせ思っている。
だから俺の気持ちも皆と同じだった。
「まあのんびり行くか。とりあえず速水王国の王都『ボチボチデンナ』に寄って行くぞ!」
「おー!」
「オー!アル」
しかし、今更だけどこの世界の町の名前、どうにかならんのかねぇ。
俺も結局神武の国の町の名前、オトロシイとかにしちまったけど。
ホントこの世界の空気、オットロシイわ。
こうして俺たちののんびりとした旅は続き、二時間後にボチボチデンナの町に到着した。

「思っていた以上に活気の無い町だな」
「噂通りではありますが、此処まで住民に活力が無い状況を見るに、かなり伊集院に接収されているのでしょう」
速水王国は、西の大陸の北と南を繋ぐ重要な位置に存在する。
だから物資の移動は陸路なら必ず速水領を通らなくてはならない。
そうなれば本来国は豊かになるはずなのだけれど、別の要因でこの国は苦しい立場にある。
この世界の大国である伊集院と、飛び地領地にはなるが有栖川に挟まれているのだ。
大国に挟まれる小国というのは概ね緩衝地帯である場合が多く、速水王国も例外ではない。
伊集院と有栖川は別に仲が悪いわけではないが、それはこうやって緩衝地帯を置いているからでもある。
速水領内の町は二つで、一つは王都のボチボチデンナの町、もう一つは『モウカリマッカ』の町となる。
ボチボチデンナは伊集院の息が強くかかっており、この町の利益の多くは伊集院に流れているという話だ。
モウカリマッカの方は有栖川の影響力が強く、一部流通にかかわる者は豊かな生活をしているようだが、やはり多くの国民はあまり豊かではないという。
「伊集院は魔王や魔界の扉によってかなり弱っておるからのぉ。接収も激しくなっておるのじゃろうて」
「そうですね。トップの王国ですが今年度の順位は有栖川に抜かれる可能性もあります。焦りもあるのでしょう」
「スバルを取り込もうとしていたアル」
「あんまりそういうの関わりたくないんだけどなぁ」
でもこういう状況を見ると、何かしたくなってしまう。
俺ってそんなにお人よしでもなかったんだけどな。
力があるとなんとかしたいと思ってしまうのだろうか。
権力者の気持ち、少し分かった気がした。
そんな事を考えていると、歩いていた大通りの隅に倒れている女性が見えた。
「あれ!もしかしたらアレアル!」
アレってなんだ?
俺がそんな事を思う間もなくみゆきと風里がすっとんで行った。
「どうやら産まれそうな感じですね」
「うむ。しかし町のもんは素通りじゃのぅ」
「えっ?産まれる?もしかして子供か!?」
俺とエルと環奈も後を追った。
女性は苦しそうだった。
「大丈夫アルか?頑張れアル!」
「大丈夫だよ!策也!なんとかならないの?」
「おっ、おう!」
くっそ!
こんな時男は何をしたらいいのか分からんぞ。
「とにかく子供が産めそうな場所に連れて行くのじゃ」
「よ、よし!一旦町の外に瞬間移動で連れて行く」
俺は瞬間移動で町の外に出た。
そして移動用の家を取り出す。
「俺の部屋のベッドを使おう!」
俺は魔法でドアを開け女性を持ち上げ運んだ。
「お湯はわしが用意するわぃ」
環奈が適当な器に水をいれ、炎の魔法で水を温めた。
「タオルなんかも必要でしたっけ?」
エルもタオルを出して持ってきた。
マジで何をしていいか分からない。
冷静になれ俺!
「部屋に男は入ってきたら駄目アル」
「うん。わたしたちで頑張るから」
「おう」
不安だ。
出産に立ち会うのが風里とみゆきだけなんて。
「エル!お前が一番話せるはずだ。役所に行ってこの町の出産を助けてくれる人を呼んできてほしい!霧島を付ける!」
「分かりました!」
悪いな。
瞬間移動で気分が悪くなるかもしれんが頑張ってくれ。
俺は不安の中、移動用の家の居間でただ無事産まれてくる事を祈っていた。
なんだかこんな気持ちになるのは二回目だな。
転生前の世界では、娘が産まれてくる時にこんな気持ちを味わった。
でもあの時は病院だったし、何かある可能性も低かったから今ほどの緊張は無かった。
ファンタジー世界は素晴らしい世界だと思っていたけれど、実際に来て感じるのは、あまり転生前の世界と変わらない。
むしろこういう時は大変だと思った。
「そうだ!津希と依瑠も呼んでこよう。今後の為に勉強させる」
俺はそういうと、直ぐに瞬間移動で神武の屋敷と家族の家に行って二人を連れて来た。
「あの部屋の中にいる。お前たち手伝ってちゃんと勉強してきてくれ」
「承り~」
「はい。しっかりと勉強してきますね」
二人は扉をノックして声をかけてから、中へと入っていった。
国を作るんだから、こういう時に誰もが安心して出産できるようにしておきたい。
俺は椅子に座って産まれるのを待った。
役所の方ではエルが話をしているが、この町の行政はその辺りに関与していないようだ。
病院があるみたいで全てそちらでの対応との事。
しかし結構な金がかかるらしく、八割の国民は知り合いが助け合って出産するという話だった。
助けた女性の身なりから、貴族ではなくただの一般人だ。
そしてさほど裕福にも思えない。
この女性を助けてくれる知り合いが分かればいいが、この町の事なんてわかるはずもない。
風里とみゆき、そして津希と依瑠に任せるしかなかった。
外は既に暗くなっていた。
みゆきや風里が頑張っている中、俺たちだけ飯を食うのも悪い気がしたが、手持無沙汰で少し食事をする事にした。
「心配しても始まらんのじゃ。わしらはいつも通りでええと思うぞぃ」
「そうですね。それに一番心配しているのは、奥さんがいなくなっている旦那さんかもしれません。何処にいるのかもわかりませんが」
「そうだな。ちょっと町に探しに行ってみるか。きっと町の中をウロウロしているだろ?見つけられる可能性はある」
俺は居ても立っても居られなくなって、立ち上がった。
そして一人で町へと瞬間移動した。
何処かにいるはずだ。
あの女性の旦那が。
俺は千里眼と邪眼で、平常心でなく町を走り回っている人を探した。
三人ほど引っかかった。
俺は一番近い男の所へと向かった。
「ねぇあんた!そんなに慌てて何か探しているのか?」
ちょっと見た目的に無しだったか?
「ん?なんだぁ?ガキか?こんな時間に出歩いちゃ悪い人につかまるぞ?というか何やらいいナイフ持ってるみたいだな?」
こりゃ駄目なヤツだ。
俺は一発腹にパンチをぶち込んでから次の男の所へと向かった。
今度は見た目も確認。
うん。
あの女性の旦那として結構しっくりくる。
「ねぇあんた。何か探し物してるのか?」
「えっ?子供?いや、うちの上さんが帰ってこなくてね。お腹が大きいから心配で探していたんだよ。君、知らないかい?」
「おっ!ビンゴか!その女性は髪が長く少し茶色で、身長は百六十くらい。茶色い長めの服を着た人か?」
「そうその人だよ!知ってるんだね!彼女は大丈夫かい!?」
男は俺の肩を掴んで顔を近づけてきた。
相当心配していたみたいだな。
でも顔を近づけるのは止めてくれ。
「知ってる。もうすぐ子供が産まれそうだ。俺の仲間がついているから大丈夫だとは思うが、今から一緒に来てくれ」
「ああ分かった」
「それとこれから俺が使う魔法とか色々内緒にしてくれよ」
「分かったから早く連れて行ってくれ」
子供相手に必死だな。
俺は瞬間移動魔法で部屋の前まで連れて来た。
「うぉ!なんだ?いきなり家の中に来たぞ?」
「俺の魔法だ。嫁はこの中にいる。あんた名前はなんていうんだ?」
「健太だが?」
俺は部屋をノックし、中に声をかけた。
「健太ってのは女性の旦那さんで間違いないか?」
すると少ししてから中からみゆきの声が聞こえてくる。
「うんそうだよ!」
「じゃあ今から旦那に入ってもらうから」
「分かった!」
「というわけだ。入ってくれ」
「ありがとう」
健太はドアを開け部屋に入っていった。
これでひとまず安心‥‥。
ちょっと待て。
旦那なら出産を助けてくれる人を知ってたんじゃないか?
でも今更聞けないか。
それにそんな人がいれば健太から声をかけてくるはずだ。
俺はドアの前から離れ居間へと移動した。
「とりあえず旦那は連れて来た。後は産まれるのを待つしかないだろう」
「お疲れ様です」
「落ち着いて待つしかないのじゃ」
分かってはいるんだよ。
でもなぁ。
なんか子供が産まれるってやっぱとんでもなく緊張するよなぁ。
俺たちはその後もちょくちょく話をしたが、普段のようには盛り上がらなかった。
そして更に時は進み、日付が変わった頃、少し俺の部屋の方から声が聞こえてきた。
励ます男の声。
みゆきや風里の声も聞こえる。
もうすぐだ。
もうすぐ産まれるんだ。
心臓がドキドキしてきた。
俺たち男は無言のままただ待っていた。
そしてとうとう部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえた。
同時に歓声も沸きあがった。
「よっしゃー!」
「無事産まれたようじゃのぅ」
「今更ですが、スバルに行けば出産を手伝える人、連れてこられましたね」
そう言われると、リンに相談すれば誰か連れてこられたかもな。
病院に金を積んでも良かったかもしれない。
でももう今更だ。
部屋から津希と依瑠が出てきた。
「元気な子が産まれましたよ」
「はい。とっても元気そうな男の子でした。きっと将来私たちと同じくらい強くなると思います」
いやいや流石にそれはないだろ。
依瑠と同じくらい強くなったらそりゃもう魔王クラスだっちゅーの。
「部屋に入ってきて良いアルよ!」
「とってもかわいい赤ちゃんだよ!」
俺たちは部屋へと入っていった。
ベッドでは母親が赤ん坊を抱いていた。
「皆さんありがとうございます。助かりました」
母親は涙を流していた。
父親も母親の傍でこちらに会釈した。
感激で言葉を詰まらせているようだった。
さてどんな赤ん坊が産まれのかな。
俺は顔が見える位置に移動した。
「えっ?まさか‥‥」
俺は驚いた。
驚かずにはいられなかった。
産まれて来た赤ん坊の肌は、日に焼けたように茶色だったからだ。
「これは黒人というヤツですか」
「ああ。そして将来は勇者になると言われている」
勇者の出産に立ち会えた事は、それはそれで嬉しく思う。
しかし、俺には嫌な予感しかしなかった。
これが此花の町で生まれていたなら何も心配はしない。
でも此処は速水王国だから。
「どういう事でしょうか。確かにこの赤ん坊は肌が普通よりも黒い気がしますが」
健太は心配そうに聞いてきた。
本当の事を言うべきだろうか。
隠してもいずれは分かる事だ。
ちゃんと伝えておくべきだろう。
俺は黒人が産まれてきたら勇者として育てられるという話を伝えた。
両親は喜んでいるようだったが、果たして本当に喜べる展開になるだろうか。
また厄介ごとに巻き込まれる事にならなきゃいいけど。
ただ今は素直に、無事産まれたのを喜ぶ事にした。
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