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勇者の世界とデイダラボウシ

憲法に罰則規定は存在しない。
それは何故か?
憲法ってのは『国柄』や『国体』を示し、『国家運営の方法』を定めたものだからなんだよね。
『憲法は国や政治家を縛るもの』なんて言う人がいるけれど、罰則規定がなければ縛る事なんてできやしないのだ。
その点この世界のルールは、全ての国で制裁するという規定があった分まだマシだった。
そんなルールが破棄されて以来、世界が動き出した事を見ても効果は明らかだろう。
だからと言って世界ルールが正しかったかどうかは、俺には判断できない。
その答えはきっと先の未来を見ても分からないかもしれないが、そこで答えを出す事にはなるのだろうな。
さてしかし現状は、次から次へと問題がやってくる。
自由は、いい事も悪い事も自由なのだ。
有栖川は有識者ランキングでトップに立ったのだから、もう少し余裕を持ってほしいものだよ。

俺は庭にあるいつものガゼボで世界地図を眺めていた。
有栖川が行う通行料徴収に対抗する為の策を考えているんだけどさ。
ぶっちゃけるとやるべき事なんてすぐに思い浮かんでいる。
熊のお姉さんが出てくる某アニメでやったあの方法しかないだろう。
「でもなぁ‥‥これやっちゃうと東雲がなぁ‥‥」
俺が考えている対抗策は簡単だ。
ドワーフの町三葉辺りから越えられない山をぶち抜いて、獣人王国サファリへとトンネル道を作るのだ。
こうすれば大陸中央の国々はそれなりに救われるだろうし、通り道にある町や西園寺は潤うだろう。
ただ一つ懸念されるのが東雲なのだ。
今まで船の輸送で稼いできた利益をほとんど失ってしまう。
他国の事なんてどうでもいいっちゃいいんだけど、東雲王妃はみゆきにとって伯母なんだよなぁ。
それにみゆきを三年間守り続けてくれた孤児院だってあるわけで、なんとかできないかと考えていた。
「迷うなら予言の魔法を使ってみましょうか。それをするとどうなるのか?」
総司は此花の秘密組織ともいうべき予言教団の一員だ。
この予言教団の力によって今日まで此花を守ってきたと言っていい。
俺は此花の国王になったわけで、それを使える立場になったのだ。
「でも総司の魔法はまだまだなんだよな」
「そうですね。修行中の身ですから。商人ギルドの事と両立するのは大変ですよ」
そういう総司だけれど、結構この庭で見かけるのはどうしてだろうか。
「そんなわけで今春に直接予言してもらってくるよ」
「今春さんの予言なら確実ですね」
「じゃあちょっと行ってくるわ」
俺はそう言って一旦マイホームへと戻った。
「みゆき!ちょっと子供たちはメイドに任せて一緒にこられないか?」
俺はみゆきに声をかけた。
みゆきは予言とかそっち系の魔法が得意そうだし、血統的にもなんとなく知っておいた方がいい気がした。
「どこ行くのー?デート?」
「残念ながらおっさん付きの仕事だ」
「そっかぁ。ちょっと待ってて、子供預けて来る」
みゆきはそう言って末の次女である菊花をメイドに預けに行った。
菊花は先日ようやく一歳になった。
親バカかもしれないけれど、かなり将来が有望な気がする。
織田の血統ってのは不安だけどな。
「おまたせー!」
みゆきが走ってきた。
チョコチョコと走る姿が超絶可愛かった。
くそう!今日も俺の負けだよ!
「お、おう!」
俺はみゆきの手を取り瞬間移動魔法でホームへと飛んだ。
現在ホームは此花王国の王の屋敷という事になっている。
だけどリンたちがフレイムドラゴンの里で暮らすようになったし、王様になったからと言って正直あまりここに来る事はない。
ここ王都には天照兄弟や月詠三姉妹もいるからね。
仕事は任せられるのだ。
「えっと今春は‥‥」
千里眼と邪眼で確認すると、どうやら教会にいるようだった。
予言教団は普段、ただの聖職者をやっているのだ。
裏の組織にはちゃんと表の顔もあるのです。
俺は続けて瞬間移動して今春の所へ移動した。
「やあ今春」
「これはこれは策也様ではありませんか」
「こんにちは」
「そしてみゆき様も、こんにちは」
今春は相変わらず少しとぼけた感じだった。
これで何故か妙な貫禄があるから面白いんだよな。
「今日はちょっと予言の魔法を見せてもらいにやってきた」
「おお。策也様が使われるのは初めてですね」
「どんな時に使うものなのかよく分かってないからな」
ぶっちゃけ忘れてたんだけどさ。
「左様ですか。先代は毎日のように使っておられましたよ」
「マジか?‥‥」
そんなに毎日使ってどうするんだ?
人生全て予言どおりに生きるのだろうか。
そんな人生クッソつまらない気がするんだけどな。
「まあとにかく予言の魔法を使ってもらいたいんだが‥‥」
俺はこれからやろうとしている事を説明した。
「このままこれをやって大丈夫なのかどうか、どうなるのか予言できるか?」
「お安い御用です」
今春はそう言って魔法を発動した。
「みゆき、よく見ておけよ。多分みゆきなら使える魔法だから」
「うん。大丈夫だと思う」
なんとなく魔法は分かるのだが、思ったよりも軽い感じのする魔法だった。
「はい分かりました」
「えっ?もう分かったの?」
「はい。全て上手くいきます。そのままやっちゃって大丈夫ですよ」
「それって、東雲も大丈夫って事?」
「知りません。ただ、少なくとも此花にとっては大丈夫だという事です」
やっぱ此花にとってどうなのかしか分からないのか。
俺も見た魔法を真似て自分でやってみた。
ん~‥‥なんとなくいい感じになるような気がするが、こんな感じにしか分からないもんなのかな。
「予言は、災悪や災厄や最悪を回避する為のものですから、そうでない場合は詳細を見る事はできません」
「なるほどね‥‥」
つまり今回の出来事、或いは俺がやる事に大きな意味はないって事か。
少なくとも此花にとっては。
「みゆきはどんな感じだ?」
「ちょっとやってみるね‥‥ん?うおぉぉぉぉー!なんじゃこりゃー!力が集まってくるうぅぅぅ!」
「おいみゆき大丈夫か?」
なんだなんだ?
みゆきの魔力が大きく跳ね上がったぞ?
何かが解放されたみたいだ。
「大丈夫だよ‥‥よくわかんないけど、凄くポジティブな感じがするよ!」
そりゃそうだろうな。
よく分からないけれど、みゆきの魔力がまたなんだか凄い事になっているからな。
つまりみゆきがなんだかよくわからないけれど強くなったわけだ。
つかみゆきのリアクションが超絶可愛かったな。
今日は二連敗か。
いや、更に力の差をつけられて完敗だから三連敗だよ。
「何が起こったのか知らないけれど、みゆきはまた一回り大きくなったみたいだな。おめでとう」
おそらく皇と四十八願の血に此花の能力も加わって、元の完全体に近づいたって所だろうか。
何かありそうだと思って連れて来たわけだし、そういう意味では予想通りだったけれど、こんな事になるとは全く予想してなかったよ。
未来を見通す目の復活を期待していたんだけどな。
そんな訳で、結局予言の魔法は本当のピンチにしか役立たない事が分かりました。

とは言え、やるだけやる決心はつきましたよー。
飛んできましたドワーフの町三葉。
この町にエルフは入れないが、その他の種族は一応入れる事になっている。
ただし多くの町が採用しているように、獣人は耳を隠す、オーガや魔人はツノを隠す、なんてルールが有った。
でもこういうのは仕方ないよね。
ドワーフがエルフを嫌いなのは本能だからさ。
いくら『同じヒューマンじゃないか!』とか理屈を並べられても、生理的に嫌悪感を持ってしまうんだからどうしようもない。
きっとそうDNAに刻まれているのだ。
だったら住み分けするしかないわけで、一緒に暮らせる場所と、別々に暮らせる場所、両方世界にあるのが一番健全だと思うよ。
ドワーフの町長に挨拶してから、俺は町にほど近い山の麓へとやってきた。
此処から獣人王国に近い山までトンネルを掘る。
「菜乃、妃子、お前らも出てきて手伝ってくれ」
「ん~‥‥寝ていたのです‥‥」
「むしろまだ寝てるのね」
二人は眠い目を擦りながら影から出てきた。
つか二人同時に寝てたら意味がないだろう。
俺のピンチにどちらかが対処できるようにしておけと言ってるんだけどな。
まあもう期待はしていないんだけどね。
俺はボディプレスで二人の目を覚まさせてやった。
「目は覚めたか?」
「目は覚めたけど何故か体が痛いのです」
「偶然なのね。私も痛いのね」
「そうか。多分病気だよ。それを治す為には穴を掘らなければならないんだ。ここから七時の方向に真っすぐだ」
「そうなのね!掘るのね!」
「痛いのは嫌なのです!」
二人は一心不乱に穴を掘り始めた。
こいつらチョロくて良かったぜ。
「はっ!騙されたのです!」
「策也タマ、騙すなんて酷いのね」
二秒で終了か。
みじけぇ夢だったな。
「冗談はこの辺にしておこう。俺が穴をドンドン掘って行くから、お前らは穴が崩れないように強化していってくれ」
「分かったのね」
「偶には真面目に仕事するのです」
仕事していないと自覚はしているのね。
さて穴掘りだが、そう簡単には進まなかった。
距離としては伊集院運河よりも短い五百キロなのだが、溝を掘るのとトンネルを掘るのでは訳が違う。
溝ならそこにある土を適当にフッ飛ばす事もできるが、穴掘りはそういう訳にはいかない。
深淵の闇に落として後で土を回収する手もあるが、他人様のテリトリーを汚す事は俺にはできなかった。
地道に壊して異次元に土を回収する作業が続いた。

二日が経ち、だいたい中間点まで来た所で、少し困った事が起こった。
何かよく分からない結界のようなもので、穴掘りが思うように進まなくなったのだ。
「クッソ硬い岩盤だな」
「アダマンタイト級なのです」
「これはミスリル級なのね」
「いや、完全にダイヤモンドミスリル級だ」
とりあえず三人の意見が割れたので、プロレスで結論を出した。
「俺の勝ちだからダイヤモンドミスリル級って事で決定な」
「結局超硬くて作業が進まないのです」
「どれでもいいのね」
まあその通りなんだけどな。
しかし誰かが此処に穴を開けさせないようにしているとしか思えない。
それもかなりの能力者だ。
別に壊せない訳じゃないからなんとかはなるんだけれど、チョッピリ精神的にきつかった。
俺の侵入を拒むとは、ガードが堅すぎるぜ。
それでも俺は無理やり掘り進んでいった。
すると岩の隙間から光が洩れて来た。
「なんだ?まだ外に出るには早いぞ?」
「もう終わりなのね。きっと外なのね」
「太陽の暖かさを感じるのです。間違いないのです」
流石に外ではないと思うが、確かに太陽のような温かさは感じた。
俺は一気に壁を突き破った。
すると目の前には広大な大地が広がっていた。
「どうなっているんだ?」
「よく見るのね。ここは外じゃないのね」
「あの太陽、太陽じゃないのです」
一見外に出たように錯覚したが、そこはどうやら山の中に作られた人工的な世界だった。
太陽は魔法で作られた人工太陽で、空はなくそこはよく見れば岩の天井といった感じだった。
「山の中の世界か」
「でもここなら十分に生活できそうなのです」
「畑の跡があるのね。でもずっと使われてなさそうなのね」
見て分かる。
この世界で、おそらく人が暮らしていたのだ。
でも遠い昔にここで暮らす人はいなくなった、そんな風に感じた。
俺は少し何かの気配を感じた。
邪眼を発動し辺りを警戒した。
すると一つの魂がこちらへと飛んできた。
「魂?今もまだ生きて暮らしている人がいるのか?」
俺は魂を捕らえた。
でも何かが違った。
この魂は既に死んでいるようだ。
魂自体が死んでいるってどういう状態だ?
しかも成仏せずにここに残っている。
「兄上様、その魂は既に死んでいます。でも、未練があって成仏できずに取り憑く体を探しているのです」
「ミケコ?どうして此処に?」
いつの間にかミケコがやってきていた。
「兄上様の作業を手伝おうとやってまいりました。そしたら死んだ魂の存在を多く感じましたので何事かと急いでやってきた次第です」
「やっぱりこの魂は魂自体が死んでいるんだな」
「はい。蘇生しても本当の意味で生き返る事はできません。ただ、その魂は蘇生を望んでいます。ひと時、おそらく人間の寿命程度の時間となるでしょうが、それを欲しているようです」
「蘇生したらいいんだな?」
「わたくしは火車です。本当はその魂を成仏させるのが仕事なのです。でも‥‥でも、凄く悲しい気持ちを感じます。悲しすぎるのです。どうか兄上様、蘇生してあげてください」
ミケコはこの魂からとてつもない悲しみを感じたのだろう。
涙を流しながら涙に耐えていた。
俺は神の加護による蘇生でその魂を蘇生した。
すると魂は、一人の女性の姿へと形を変えた。
「えっ?勇者なのか?」
「勇者というよりは黒人でしょうか」
とりあえず俺は魔法で服を着せた。
その女性は目を覚ました。
「あ‥‥どうして私は生きているのでしょうか?‥‥」
「兄上様が今あなたを蘇生したのです。気分はどうですか?」
「蘇生?どうして私たちを殺そうとしたあなた方が私を蘇生するのですか?」
「敵じゃないよ。別に君を憎む理由も何もないからな」
「でも‥‥白人や黄色人たちは、私たち黒人を敵視し殺そうとしていたじゃないですか‥‥」
なんだって?どういう事だ?
それは一体いつの事なんだ?
「それは今から三千年以上も前の話です。おそらくここは、その頃から時が止まった場所なのでしょう」
「まさかそんな‥‥」
話を聞くと、どうやらここは約三千年前につくられた場所のようだった。
黒人狩りが始まり、一部の者だけが此処に逃げてきてこの世界を作り上げたのだそうだ。
しかし反撃の為に闇の神を召喚した所、逆に全員食われてしまった。
しかもその闇の神は魂を食らう者だったらしく、今も尚何度も食われ続けているとか。
この世界に深い憎しみを残し、未練があるから成仏できず、食われても食われても魂はこの場に復活し続けた。
時々なんとかこの場から出られた者もあるらしいが、その行方は分かっていない。
これは俺の推測だが、ミケコの言葉を合わせて考えれば、出て行った魂は誰かに取り憑き世界で生きてきたと思われる。
時々産まれる勇者はそういう事だったんだ。
勇者に子ができなかった事を考えても、既に死んだ魂だったと考えれば説明がつく。
基本的に魂は魂を持つ者には宿らないから、おそらくお腹の中で死んだ赤ん坊なんかに取り憑いたのだろう。
俺は一度勇者の出産に立ち会った事があるが、おそらくあの両親の赤ん坊は産まれる前に死んでいたに違いないのだ。
でも勇者の魂のおかげで悲しい思いをせず、むしろ喜べた事は良かったと言える。
この事はあまり話さない方がいいなと感じた。
「まだ向こうには、仲間の魂が沢山あります。今も尚闇の神に魂は食べられ続けているのです」
「それは止めないとな。そして出来ればみんな蘇生してやりたい」
蘇生した所で本当の意味で生き返る訳ではない。
でも未練を断ち切るだけの時間は与えられるはずだ。
過去の人たちがやった過ちを少しでも償ってやれればと思う。
「兄上様、何やら嫌な気配が近づいてきます。わたくしでは力になれない巨大なものです」
「そうだな。これは俺じゃなきゃ倒すのは無理だ。ミケコは下がっていてくれ。それと菜乃と妃子はその人と一緒にな」
「頑張れ策也タマー!」
「応援だけはするのね!」
既に下がっていたか。
こういう時の行動だけは早いよな。
頼もしい奴らだ。
俺は少しテンションが上がってきた。
倒せる奴ならいいけど、倒せないヤツなら一緒に別世界に道連れだな。
それにしても今回も山の中じゃアレは使えないか。
せっかく最強兵器を作ってあるんだけど、使う機会がまるでないな。
おっといよいよ来たか。
俺は気配がする方を最大限警戒した。
すると地面から黒い影が浮き上がってきた。
まさかこんな所で再会するとはな。
デイダラボッチ。
前のと同じ個体かどうかは知らないが、ヤバい雰囲気はそのまま同じモノだった。
ただあの時と違うのは‥‥
「俺は格段に強くなっているんだよ!蘇生!」
俺はデイダラボッチが抱えている魂を全て一気に蘇生した。
直ぐにデイダラボッチは苦しみ始め、次の瞬間倒れて消滅した。
その場には蘇生された黒人たちが残された。
「チョロいな。でも、本番はこれからだよな」
その向こうから、笠を被った僧侶のような恰好をした者が近づいてきた。
そいつからとにかくヤバい魔力が伝わってくる。
俺は邪眼でそいつを確認した。
デイダラボウシか。
つまりデイダラボッチを操る親玉って事だ。
能力は、デイダラボッチの召喚、神通力、そして魂を食らう。
あんまりコピーしたくない能力だけど、ギリギリ俺の方が魔力が勝っているようだし一応コピーしておくか。
「うちのボッチちゃんを倒したのはあなたですね?」
こいつ、普通に喋れるのか。
つかボッチちゃんって、あのアニメに出てくるキャラみたいな呼び方はやめてくれ。
俺は結構好きなんだから。
むしろ菜乃はあのキャラをモデルに作ったんだぞ。
「雑魚は早々に退散してもらったよ」
倒れていた黒人たちが目を覚まし、起き上がり始めた。
このまま戦闘を始めるとまた死ぬな。
既に死んでるけど。
「お前ら、動けるなら下がっていろ!今から俺がこいつを倒してやるから」
どうなっているのかよく分からないといった感じで戸惑う人がほとんどだったが、後ろで最初に蘇生した彼女が呼ぶ声に皆早々と俺の後ろ側へ走って行った。
「私を倒すだと?人間が神に敵う訳がないだろう。久しぶりの生きた魂だ。じっくり味わわせて貰うぞ」
デイダラボウシがそう言い終わると同時に、強烈なパンチらしき攻撃が俺の顔面を捉えてきた。
俺は百メートル以上フッ飛ばされた。
何処から攻撃してきやがった。
いや、これが神通力の力か。
空気を動かしたな。
だけどこいつじゃ俺には勝てないよ。
俺はコピーした神通力で場の空気を沈黙させた。
「ん?何をした?私の力が封じられている?」
俺はその状態で透明化し、高速移動を使って動き回りながら、恐怖の息を吐き、病と毒と精神攻撃を繰り返した。
「どうした?」
「どうなっている?私の力が使えない?」
「どうした?」
「なんだ?体が動かないぞ?」
「どうした?」
「体が重くなってきた‥‥」
「お前は動くな」
「動けない‥‥」
此処まで弱れば王の命令も三秒は持つな。
ならば‥‥
「魔力ドレインの拘束!からの~!リア充|爆発しろ《シネ》!」
今回から『リア充爆発しろ』には爆殺だけでなく体の消滅効果も加えておきました。
|最強神天照降臨《カワイイハセイギ》の能力をアレンジしてね!
デイダラボウシは魂を残して消滅した。
俺は素早く魂を回収した。
「デイダラボウシ、ゲットだぜ!」
「策也タマ、ちょっと恥ずかしいのね」
「楽しそうだから私は見なかった事にしてあげるのです」
‥‥
ついやっちゃうんだよな。
もう十年以上こっちの世界で生きているんだけどな。
人は十年程度じゃ大人にはならないのです。
男は死ぬまで子供って言うしな。
さて、他にも魂ありそうだから、とりあえず一回りしてくるか。
「ミケコ!ちょっと魂だけ回収してくるから、その間にここ三千年の話でもしておいてくれ」
「兄上様、承知いたしました!」
しかしここ、本当に山の中なのかね。
よくこんな世界を作ったものだ。
勇者は三千年前から勇者だったのか。
でもそれ故に白人や黄色人から恐れられたのだろう。
どうやってこれだけ出来る者たちを倒していったのかも興味あるな。
まあ上杉のようなイレギュラーな奴らもいる訳だから、なんとかなったんだろうけどさ。
俺はのんびり飛行しながら魂を全て集めた。
みんなの所に戻ると、既に笑い声が聞こえてくるくらいに打ち解けたようだった。
多少乾いた笑い声だけどさ。
「魂を全て集めて来た。今みんな蘇生するから待っててくれ」
俺はその場に魂を開放して皆を一気に蘇生した。
流石に蘇生しまくって能力も使いまくった後だから少し疲れたな。
能力は自らのエネルギーを多く使うので疲れるのだ。
できるだけ魔法でなんとかできるようにしないとな。
この後俺たちは三千年の時を埋めるように話をした。
俺の頭の中には一応言い伝えられてきた歴史が沢山ある。
どれが本当なのか、或いは全て本当かもしれないし嘘かもしれないけれど、できるだけ伝えていった。
「それでお前たちはこれからどうする?俺たちの町で一緒に暮らすなら受け入れるし、何処かにお前たちだけの町を作りたいならそれもいいだろう。ただ一つ約束してほしいのは、領地や町のルールだけは守ってほしい」
黒人、今は勇者と言った方が皆が理解できると思うが、やはり俺たちの中に入れば目立つのだ。
目立てば当然良くも悪くも区別される。
そしていい事をすればより称えられるし、悪い事をすれば全員が同じように悪く見られる可能性もある。
目立つ存在ってのはそういうものだ。
「分かっているさ。俺たちは別に悪い事をしたつもりはなかったが、今思うと能力の高さに驕っていたところもあった。それが嫌われる原因になったのも薄々感じていたからな」
「そうか。だからと言ってお前たちを殺すってのはやり過ぎだよな。三千年前の人たちが本当は何を思っていたのかは分からないけれど、自分が特別だとか他とは違うと考えた時は注意した方がいい。きっと相手も同じように違う者だと感じているから」
俺は自分の事を黄色人だと意識した事はない。
チートで転生者だから特別だと思った事はあるれど、普段常に思っている訳じゃない。
だから誰も俺を特別視しないし、差別も区別もされない。
でも自分が常に特別だと思った瞬間、きっと他のみんなもそう思うようになる。
差別や区別はそこから始まるのだ。
逆の場合もあるけれどね。
命を奪い合うような事になったのは、おそらくそこにお互い特別視する何かが行き過ぎたのだろうな。
或いはドワーフとエルフのように本能的に何かが有った可能性もあるけれど、気を付けられる所を気を付ければ、いずれはきっと分かり合えると思うよ。
結局一部は神武国で共に生活したいというので受け入れる事になったが、しばらくはこの場所でもう一度やり直してみるらしい。
とりあえずトンネル工事が終わってから、俺がもう一度此処に来るという事になった。
当面の食事などに必要な物資は、俺の異次元収納から一部放出しておいた。
ミノタウロスの魂もまだ残っていたので、牛も数頭置いて行った。
「この空間のおかげで、かなり掘る距離が稼げたぞ。あと少しだ、頑張るぞ!」
「おー!」
「ミケコは元気なのね」
「策也タマもあれだけ能力を使ったのに|気違い《チート》なのです」
「自分でもそう思うよ。俺ってチート過ぎるよな」
でもそれに驕ってはいけない。
今度狙われるのは俺になるのかもしれないのだから。
それから二日後、トンネルは開通した。
その後沢山の勇者発見と、勇者を神武国で受け入れる話を大々的にネットで報道した。
運搬用トンネルの話もネットにアップしたが、勇者の発見があまりにも大きなニュースだったので、どうやらあまり関心を集めなかった。
尤も、有栖川だけはきっと悔しがっているとは思うけどね!
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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