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新たなステージへ!此花第二王国消滅?!

この世界は素晴らしい。
なんて美しいのだろうか。
何も考えないで愛する人と共にマッタリする時間ほど心が癒される時はない。
傍で聞こえる赤ん坊の泣き声も、それはそれでいいものだ。
俺は庭に建てたガゼボに置かれた椅子に座り、テーブルに突っ伏していた。
「ねぇねぇこれ何?」
三歳の娘が、俺の癒しのひと時を邪魔しにやってくるのもちょっとした美味しいスパイスに感じる。
「ん?それは‥‥ゴミムシさんだね」
「ごみむし?なんか変な名前‥‥じゃあこっちは?」
今度は逆の手に持った虫を見せてきた。
「ん?それは‥‥うぎゃー!そ、そ、それは、悪の組織が放った悪い虫だ!『|六華《リッカ》』!早く捨てなさい!」
俺のリアクションがあまりにも大きかったせいか、六華は手の中のゴキブリを握りつぶしていた。
それを見て六華は、今にも泣き出しそうな顔に変わった。
ヤバい、どうすればいいんだ。
そうだ俺はチート大賢者ではないか。
こういう時は最大呪文で全てをリセットすれば‥‥
俺は魔力を高めた。
「策也!なにやってんの!そんな魔法使ったらこの辺り一帯吹っ飛んじゃうよ」
赤ん坊を抱いたみゆきが、気が付けば六華の手にあるゴキブリを蘇生し、瞬間移動魔法で何処かへと飛ばしていた。
「助かったよみゆき。ありがとう。危うくこの世界が終わる所だったぜ」
しかしみゆきよ。
ゴキブリを蘇生する必要は何処にあったんだ?
昔から優しい子だったけど、今も変わらずとにかく優しい。
そして何と言っても超絶可愛いのはそのままだ。
あの頃と違うのは、色気がチョッピリあるのと髪の色が真っ白になった事くらいか。
魔力が大きすぎる影響で、常時スーパーなんちゃら状態だ。
とにかく十三年前に出会ってから今まで、俺の心が他の女に揺らぐ事は一度もなかった。
いやマジで理想の嫁だよ。
ちなみに俺の見た目は天照策也だった頃とほぼ変わらない。
身長が十一センチ伸びただけみたいなんだよな。
「頼むよー。策也が本気で魔法を使ったら、わたしでもフォローが大変なんだから」
「フォローできてしまう所が凄いんだけどね」
みゆきと出会った時からこの日が来るまで、俺はみゆきにだけは絶対に魔力レベルで負けないようにと思って生きて来たんだけどな。
結局追い抜かれてしまいましたよ。
将来みゆきと一緒に暮らすと決めたあの日、俺は色々な目標を立てていたんだ。
魔力レベルで負けない事。
子供は三人作る事。
子供が三人できてから再び不老不死となって末永く共に生きていく事。
子供は春に三人目が産まれ目標は達成された。
そして今日さきほど、みゆきと俺の体調や体型などがベストコンディションとなったので、二人で再び不老不死の魔法をかけた。
本当はみゆきが十八歳の内にする予定だったんだけど、残念ながら十九歳になってしまったよ。
でも六歳の時に少しの間成長を止めていた時期があったから、まあ実際は十八歳と言ってもいいだろう。
こうして目標を達成した俺は、これから愛するみゆきとのんびりマッタリ生きて行くのだ。
現在俺は、フレイムドラゴン王国炎龍の横にある里に住んでいる。
家族の家は洋裁たちにプレゼントしたが、やっぱりここで暮らしたいと思った俺は、少し離れた隣に新たなマイホームを建てた。
造りは家族の家とほとんど同じだ。
そんなわけで島津家ファミリーとは今も仲良くやっている。
と言っても此処に住み始めたのは四年前だから、ずっとという訳ではないけどね。
それまでの俺はとにかく忙しかったからな。
自分を鍛える為、俺の管轄する国や町を守る為、訓練して防衛力を高めた。
世界中の山で強力な魔物を狩りまくり、魔石や魂を集めまくった。
強力な魔物の魔石が必要なのは、町を大量破壊魔法から守る為の結界を構築するのに必要だったから。
魔石を揃えるだけで三年くらいかかったよ。
それからは戦闘員の再編成。
伊集院や有栖川が強力な魔物を蘇生して戦闘員にしている事が分かった以上、今後は数よりも質が大切だと考えた。
だから戦闘員だった多くのゴーレム蘇生兵士たちは、希望を聞いて元の体に戻して解放していった。
中には自由になって犯罪を犯す者もいたけれど、そういう者は厳しく罰していって、今ではもう酷い犯罪者はでなくなってきている。
これが良かったのか悪かったのかは難しいよね。
被害にあった人たちにしてみれば、なんで蘇生したんだよって話だろうし。
でも逆に、無理強いはしてこなかったつもりでも、大勢を本意じゃない兵隊や部下として扱ってきたわけで、それが本当に良かったのかも分からない。
それに今も強い奴らは手の内で仕事をしてもらっているわけで、少し申し訳ない気もしている。
一応確認はしているし、嫌だという魔物の魂は成仏させたりもしているけれど、生きる為には俺の言う事を聞かないといけないわけで、やっぱり少し心に引っかかるものはあった。
一般人に迷惑にならないようにできるだけ蘇生をするなら、多分今の選択は大きく外れてはいないよね、きっと。
だからその辺りは一応納得はしている。
そんな忙しい生活から抜け出したのは、みゆきが学園を卒業してから。
当然此処から即新婚生活だ。
俺は資幣を元の商人へと戻し、俺が学園で生徒を教えるようになった。
その時にマイホームを建てた。
「策也ー!望海とデートするの」
えっと、その頃からこの望海とも一つ屋根の下で暮らすようになった。
この子、西園寺に帰ろうとしないんだよね。
四十八願の助言で十二年前に預かったんだけど、学園に通わせるために島津家の二階に引っ越してきた。
空中都市バルスでの生活だとちょっと不便があるからね。
それで今度は『資幣先生が霧島と中の人が同じだから』とボディーガードしていた訳だけど、ある時俺の中から霧島を召喚する事を知られて、俺が霧島と同一人物だとバレたんだ。
それ以来俺は望海の想い人になったようで、ボディーガードの都合上なんだかんだ一つ屋根の下で暮らすようになっていた。
「いやだから俺結婚しているし、子供も三人いるちゅーの!」
「みゆちゃん綺麗なの。でも望海も霧島が好きなの。霧島と結婚するの」
「だから霧島も俺なんだよ」
「でも別なの。霧島を召喚するの」
一体どうしたらいいのやら。
確かに妖精霧島は別人と言えば別人かもだけど、俺の魂で完全に俺の思考とリンクしている。
そんな結婚が許されるのだろうか。
「駄目だ駄目だ駄目だ!」
みゆきは何も言わないけれど、俺はみゆきだけは絶対に裏切らないと誓ったのだ。
マジで西園寺、さっさと引き取ってくれよな。
だけどこの子はずっと狙われる可能性がある。
だからナンデスカの町の学園にコッソリと通って、資幣や俺がずっと守っていなくちゃダメだったんだ。
今もマイホームには強力な執事とメイドを置いて守っているし、全くどうして俺がこんな事をしなくちゃいけないんだよ。
「じゃあ六華ちゃんと遊ぶの」
「そうしてくれ‥‥」
まあでも、子供の面倒は見てくれるし、悪い子じゃないんだよな。
それに、命を狙われる理由も今ではハッキリと分かる。
この子の近くにいるだけで、俺の魔力は格段に上がるのだ。
この力はマジでヤバいよ。
だからこの子が此処にいて、そして俺がいれば、どんな攻撃が有ってもこの地は確実に守れるんだろうな。
そういう意味では此処にいてもらいたい存在でもあるわけだ。
「望海お嬢様~!食事の用意ができましたよ~!お戻りください~」
今望海を呼んだのは原敬弥生だ。
こいつがもっと強くなっていれば、このボディーガードの仕事もとっくに終わっていたかもしれない。
毎日鍛えたんだけど、まるで強くならなかった。
いや、普通の人にしたらメチャメチャ頑張った方なんだけど、元々のレベルが低かったからな。
マスタークラスまで強くはなったけど、望海の命を狙う奴らから守れるだけの強さには程遠い。
結局こいつの面倒も見る事になっている。
金魚の従妹だしいいけどさ。
それに面倒を見ているのは主に俺じゃなく、執事やメイドたちなんだけどね。
執事はセバスチャン、メイドは津希と新顔の『咲耶うらら』だ。
咲耶の苗字を付けている事で分かるかもしれないが、こいつはかなりヤバいレベルの元魔物だ。
魔物と言うよりはポセイドン同様、いやそれ以上に神と言える存在。
どちらかと言うと邪神なんだけどね。
有栖川に捨てられたマジックアイテムの整理を本格的にやり始めたのは、結局新婚生活を始める少し前くらいから。
そしたらヤバいのが三つほど見つかった。
呪いのアイテムで扱いが難しいから捨てるしかなかったんだろう。
でも俺にかかれば魔石も魂も美味しく頂けちゃったのです。
俺はバクゥの魂を取り込んでチートがちぃと行き過ぎているからね。
魂は、『ティアマト』、『アプスー』そしてうららとなった『イタクァ』だった。
どれも闇系の神様で、魔力の強さはお墨付きなのだ。
この三人のおかげで、俺の戦力強化の仕事は終わらせる事ができたと言っていいだろう。
ちなみに魔石は本人のモノではなかった。
話を聞けば、この者たちに魔石などはない。
邪神は魔物とは違うのだ。
そして住んでいる場所は『暗黒界』だという。
やっぱり存在したようだね、暗黒界。
つまり神様が住む天界、或いは神界とも呼ぶ世界と、暗黒神など闇に落ちた神が住む暗黒界が存在する。
更に妖精界と精霊界があって、人間界と魔界がある。
この六つの世界でおそらく全てだと思われる。
本に書いてある事なんて所詮は分かった所までであって、それが全て正しい訳ではないのだ。
俺のこれから先の人生は、きっと長いものになるだろう。
ならばこういう話も書き残していこうかな。
当然今すぐそんな面倒な事をするつもりはないけどね。
これからはみゆきとのマッタリライフのターンなのだ。
今は子供たちが小さいから半分だけだけどさ。
「おーい!策也さん!大変なんだよー!」
俺が再びマッタリとしていると、今度は金魚が慌てて俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
全く騒がしいな。
俺とみゆきのマッタリライフのターンはすぐに終了するようだ。
「どうした金魚?もうおばさんの域なんだから少しは落ち着いたらどうだ?」
金魚は年齢的には既に三十歳を超えている。
でも洋裁との子供を産み終わった後に、俺に不老不死の魔法をかけてくれと言ってきた。
だから見た目は二十四歳で止まっている。
不老不死にしてほしいと言ってきた理由は、『洋裁がオリハルコンナイフで不老不死だから』って事だったのだが、人間に変化して子供を作ると何故か人間になってしまう訳で、既に洋裁は不老不死ではなかった。
今度は洋裁が不老不死にしてくれと頼みにきて、結局こいつらも俺とみゆき同様の不老不死夫婦となった。
幽霊に変化できる不老不死ってものなんだか変なキャラだよな。
俺もなんだけどさ。
「そんな事言っている場合じゃないんだよ。ニュースを見るんだよ。此花第二王国国王が亡くなられたんだよ」
「マジかよ‥‥」
俺は左手に付けた腕輪から、捨て垢用住民カードを取り出した。
このカードは謎の記者活動に使っているものでもあり、現在は捨て垢用とは言えなくなっている。
名前の『|謎乃汽車《ナゾノキシャ》』もかなり有名人だ。
それに伴って、俺のサイト『マイチューブ』もそれなりに視聴者は増えている。
冒険者ギルドのニュースサイトほどではないけれど、設備面も整って来て一般人も許可制で使えるようにしたからな。
アクセスポイントが宇宙に一つしかなかった問題は、人工衛星を増やす事で解決した。
現在は十二機の衛星が地球の周りをグルグルと回っている。
ヴァンパイアの魔石は、だいたい年に一回は手に入れられる事が分かったんだよね。
魔界の竜宮洞窟に限る可能性は高いが、魔力蝙蝠のボスを倒さずに置いておくと、一年未満でヴァンパイアに成長する事が分かった。
だからボスは倒さずヴァンパイアにして手に入れてきたのだ。
これだけ増えれば今度は逆に余裕も出て来たわけで、この人工衛星には別の効果も付与しておいた。
それに関してはまた別の機会に話す事にしよう。
「早くニュースを見るんだよ」
「そうだな」
俺は住民カードを操作してマイチューブを開いた。
『此花第二王国国王が死去!新しい王には貴信王子がなる事に?!』
あらあら、あの貴信がねぇ。
此花第二王国国王と言えば、一応俺の伯父に当たる。
これはあくまで勝手にリンが決めた事なんだけど、事実としてそうなっていた。
「伯父さんが亡くなられたんだよ。悲しいんだよ」
「多少はな。でも前にも言ったけど、本当の所は違うんだよ。俺が此花の人間ってのはリンが勝手に決めた事で、俺は俺が何者なのか記憶にないんだ」
今も記憶は戻っていない。
戻っていないっていうか、最初から無いと言った方が正しいのだけれどね。
俺は転生者で、基本的な世界の事以外はほとんど記憶を与えられていなかったのだ。
だから会った事も無い人が死のうが、正直俺に思う所は何もなかった。
ただ貴信の事は知っているので、このニュースを見て思うのは『これから貴信は大変だな』というくらいだった。
それにむしろ俺にとってはいい事とも言えた。
貴信が国王になれば、俺の継承権は落ちて行く。
今まで継承権第二位だったのだが、貴信には既に三人の王子がいるのだ。
俺の継承権は四位まで下がるのだから、厄介事を押し付けられる可能性が減って助かるよ。
そんな事を考えていると、今度はセバスチャンがやってきた。
セバスチャンの容姿は、共に暮らすようになってから変更した。
やっぱり若くて格好いい方がいいかと思ってね。
黒髪に赤髪のポイントを入れた、強いキャラによくある感じにしておいた。
「策也様。至急の連絡が入っております。今お伝えしてよろしいですか?」
セバスチャンが至急と言うのだからそうなのだろうけれど、今伝える事を確認してくるってのは、そんなに急ぎではないか。
おそらく連絡してきた者が急いでいるだけで、俺にとってはそれほどでもないのだろう。
でも此処に聞かれて困るヤツはいない。
金魚も他のみんなも家族のようなものだからな。
「言ってくれ」
「此花貴信からの連絡です。大切な話があるから一度王都まで来てほしいとの事です。もしかしたら国王は殺された可能性があるようです」
「殺された可能性?」
マジですか。
ここ十年ほど平和だったのに、なんだか嫌な予感しかしないよな。
平和と言っても小さないざこざは、絶えず色々な所であったりする。
でも自分に関係が無ければ、それは平和と言い表せてしまうんだよね。
「詳しくは会ってから話すそうです。いかがいたしますか?」
「分かった。今日中に行くと伝えておいてくれ」
「御意」
確か此花第二の王都は『ハジマイン』の町だったな。
時差は一時間ほどか。
俺ならここから飛んでいけば一時間で行けるだろう。
「策也さんはお兄さんが心配なんだよ」
「いや別に心配なんてしてないけどね」
とは言え殺された可能性か。
こういう事をするのは有栖川な可能性が高いけれど、第二の国王に恨みがあるのは伊集院なんだよな。
どちらでもない可能性もあるけれど、どちらかなら嫌な予感が当たりそうだ。
「みゆきー!ちょっと貴信の所に行ってくる!後はよろしく!」
「分かったよー!行ってらっしゃーい!」
いやぁ、やっぱり愛する人に行ってらっしゃいと言ってもらえるだけで、なんだかこの日一日勝った気がするな。
「じゃあな金魚!偶にはちゃんと仕事しろよ」
「ちゃんと毎日仕事してるんだよ!」
金魚の仕事は七魅国王の側近秘書みたいなものなんだが、出産してからはずっと家にいる気がするんだよな。
まあいいんだけどね。
洋裁がちゃんとやってるみたいだし。
俺は一気に上空へと上がった。
直ぐに俺たちの住むフレイムドラゴンの里は見えなくなる。
見つからないように意識阻害の魔法やなんかで隠してあるのだ。
尤も邪眼を使えばアッサリと見つけられるのだが、そう滅多に使える者もいないし、まず見つからないと言っていいだろう。
俺は一気に南東方面へと向かった。

一時間ほどでハジマインの町が見えてきた。
いっちょろ前に大きな城だな。
ここ最近のトレンドとしては、城を壊して屋敷にする流れが有ったりする。
城は住むには不便だからね。
平和なら城なんて必要がないのだ。
屋敷の方が王の元で働く人たちも、もう少し楽でいい生活ができるしね。
でもこの流れは平和だからという訳でもない。
大量破壊魔法や設置型爆破魔法を見せられたら、城を必要とする意味が感じられなくなるのも当然かな。
いや、そうでなくても城の意味はもう権威の象徴でしかなくなってきている。
この世界にはごまんと強いヤツがいるのだから。
俺は上空から城へと降りていった。
ほらね。
部外者である俺が簡単に入る事ができるんだから、むしろ屋敷の方が今じゃ防衛しやすいのよ。
俺は堂々と城の中へと入っていった。
すると何やら慌ただしい様子で、執事やらメイドやらが走り回っていた。
部外者の俺にも気づかないほど焦っている様子だった。
これは何か異常事態が発生しているな。
適当なヤツを捕まえて聞くか。
俺がそう思った時、知った顔が目の前に現れた。
「あなたは、策也様でございますね」
貴信の側近である難波津冬籠だった。
「おっ、冬籠か。久しぶりだな。何やら城内が騒がしいようだが、何かあったのか?」
結構不味い事が起こっているとは思いながら、俺はいたって軽い口調で尋ねた。
しかしそれに対して軽く返せる様子ではなかった。
「策也様。お力をお貸しください。一刻を争う事態でございます。お願いします」
あまりに冬籠が真剣なので、俺も真面目に答える事にした。
「分かった。どうしたらいいんだ?」
「とにかく私についてきてください。状況は最悪です。貴信王子とその子らが皆、食事中に倒れました」
そこまで聞いて状況を理解した。
総司の親父が暗殺された時と同じか。
これはきっと毒殺に違いない。
俺たちは部屋に向かって速足で歩いた。
「それは何時の事だ?」
「一時間は経っていないものと思われます」
つまり一時間に近い時間が経っているとも聞こえる。
もしも死んでいるなら、蘇生は間に合わないだろう。
生きているのならいいが、この様子では期待が持てなかった。
食堂に入ると、貴信とその子らが床に倒れていた。
直ぐに死んでいると分かった。
それを診ているのはヒーラーか。
「蘇生は間に合わなかったのか?」
「誰だ?」
「俺はこの国の継承権第二位、此花策也だ」
「おお。これは失礼しました。残念ながら私は蘇生魔法が使えないのです」
蘇生ってそんな簡単に使える魔法じゃないからな。
特にヒーラーで蘇生が使える者は少ない。
「蘇生ができる神官はいないのか?」
「数名おりますが、ただいま他の町に出ております」
なるほどな。
神官の留守を狙われたのか。
「魂はもう見当たらない。蘇生は無理だな。後は犯人捜しだが、そちらも難しそうか‥‥」
「はい。おそらく三人のメイドが犯人なのですが、既にこの町から姿を消しています」
瞬間移動が使えるアイテムでも持っていたのだろう。
もう追う事も無理だな。
「さて、どうしたらいいもんかね‥‥」
「策也様、この国をよろしくお願いします」
まあそうなるわな。
でもそれって、次に命を狙われるのは俺って事なんですが?
そして俺が殺されたり継承しなければ、此花第一の王族の誰かが継承する事になるのだろう。
一応こういう事態を想定して、事前に話し合っておいたのは良かったか。
まさか殺されるとは予想していなかったけどね。
あくまで俺が継承しなければならない事態になった場合って話をしていただけだよ。
「冬籠、俺がこの国の王になる事に異論のあるヤツはいないのか?」
「おりません。この世界のルールは絶対ですから」
本当なら王座を争って、みたいな展開もあるのだろうけれど、この世界にあるルールがこういう時には役立つのだな。
「ではまず、俺はすぐに国王として世界に発信する。そしてその後の事は既に色々な者と話して決めてあるんだ。元島津領土は全て島津に返す。そして残りの領土を持って神武国へ全てを預ける事とする」
「ちょっと待って下さい。それじゃ民が納得しません。我が領民は人間だけの町で暮らしたいという者が集まっております。全てを受け入れる神武国では無理があり過ぎます」
そりゃそうか。
この世界じゃまだまだ神武国のような誰でもウエルカムな所は珍しい。
いや、神武国ですら問題が起こっているのだから、敬遠されて当然なのだ。
エルフ王国スバルだって、一時期エルが声を上げて、オーガや獣人を受け入れようとしていた。
しかしそれが逆効果となって、今ではほとんどエルフしかいない町になっている。
ドワーフ王国にもほぼドワーフしか住んでいないし、オーガ王国は多少猫獣人なんかを受け入れてはいるが、それに納得できない者はまだまだ世界各地に隠れ里を持って暮らしている。
獣人王国だってほぼ獣人しか暮らしていないし、同じ人間でも人種によって一緒に暮らせない人もいるほどだ。
俺の理想はみんなが共に暮らせる世界だ。
しかし現実問題、違うモノはやはり怖いとか嫌だとか感じる人がほとんど。
これは理屈ではないから、どうにもならない。
そういった民の気持ちを受け入れ無ければ世界は混乱しかなく、結論としては同じ種族や民族で暮らせる場所と、みんなが一緒に暮らせる場所の両方を用意する必要がある。
既に全ての者が一緒に暮らせる場所はあるのだから、この場所をそうしなければならない理由はないだろう。
「此花第二の全ての町は、今まで通り人間だけが暮らす町としてやっていこう。変更の場合は町に住む人たちの同意を得なければならない事にする。これは神武国に約束させる」
「しかし‥‥策也様はこの国を自ら統治してはくださらないのですか?」
神武国も俺が統治しているんだけどね。
冬籠はこれほど国を想ってくれている重臣だ。
此花を支える家系でもある。
話してもいいだろう。
「冬籠、安心してくれ。実はあの国は俺の国なんだ。他にも妖精王国は完全に俺の国と言っていい。裏で全部俺が指揮している。俺の国が二つあるなら、一緒にしても同じだろ?」
「まさか、そんな事が‥‥」
信じられないか。
だったらちょっと召喚するか。
大聖と大帝が瞬間移動で俺の横にやってきた。
「どうだ?こいつらは俺の分身なんだ。知ってるのは俺の仲間だけ。当然リンや総司も知ってるぞ」
「なんと。そうだったのですね。つまり神武国の実態は此花だったと考えてよろしいのですね?」
「ん~‥‥少し違うが、事実上そういう事だな」
「分かりました。ならば策也様にお任せします」
そんなわけで冬籠も納得してくれた。
俺は早速予定通り事を進めた。
『此花第二王国の王、そしてその王子たちが何者かによって暗殺された。それを受けて俺が新たな王となった。しかし俺は国王をするつもりはない。そこで元島津領は全て島津にお返しし、残りの領土は全て神武国へ預ける事とする。領民の心配もあるだろうが、町は今まで通り人間のみが暮らせるものとし、おそらくこれまで以上に自由で住み良い町になるはずだ。町の事は代表会議を開いて決定されるものとするから、何かを押し付けられる事もないだろう」
これをマイチューブと冒険者ギルドのニュースサイトへもアップした。
流石に国家の発信という事で削除はされなかった。
これでなんとか此花第二の国内が混乱する事は避けられたかな。
誰も統治しない場所は、混乱しか生まないから。
先に持ち主を決めておけば、世界各国が取り合いする事もない。
領地は小さいが、今では伊集院、有栖川と肩を並べる武力を持つ国と見られている神武国だ。
何処も手出しなんてできない。
「ふぅ~‥‥とりあえずなんとかなるかな‥‥」
「そうですね‥‥」
とは言え、貴信家族がいきなり殺害されるとか、冬籠にとっては悲しいだろうな。
俺も少しは悲しみがある。
でも今まで必死に守ってきた国が消えて無くなる気持ちなんて、今の俺には分からんよ。
「島津の方は元々領主が島津の者たちだったから問題なく返還できるな。こちらの領主も当面はそのままでいいだろう。王妃や王太子妃は?」
「元王妃は郊外に療養に出ておられたので無事ですが、王太子妃は一緒に食事をしておられたので‥‥」
「そっか。王妃に今後の希望が有れば聞いておいてくれ。できる限り哀しみが癒えるような余生を送ってもらいたい」
やはり王族としてやってきた人は、最後まで王族としてしか生きられないのだろうか。
だったらリンに預けるしかないかもな。
それにしても、どうして王や貴信は殺されなくてはならなかったのだろうか。
俺に国王をやらせたかったとか、そんなヤツはおらんよね。
おそらく俺もその後狙われていたのだろう。
第二王国は王族が少ないし、領土を奪うなら恰好の標的にもなり得る。
恨みという意味なら伊集院が考えられたが、領土を広げたいっていう意味なら誰が犯人でもおかしくはない。
そういえば最近、第二や第三の王国を統合してゆく動きもあったんだよな。
そういった国を狙う流れでもあるのだろうか。
もしもそうなら、此花には第三王国がある。
まだ行った事はないけれど、一度どんな国なのか見ておいた方が良いかもしれない。
俺はハジマインの町を冬籠に任せ、この日はマイホームへと戻った。
マイホームにはリンたちも集まって俺の帰りを待っていた。
「結局、準備していた通りやらなくちゃならなくなったわね」
「全く、誰だよ暗殺なんて考えるヤツは」
世界は再び動き出した。
なんとなくそんな風に思えた。

追記。
本日寝る前、俺の部屋にゴキブリが出ました。
部屋中を紅蓮の炎で包み消し炭にしてやりましたが、部屋は無事でした。
我が家はみゆき印の結界で完全に守られていると、改めて確認できました。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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