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第二十二話 なんでもない日

蛇の道は蛇に聞け。
蛇道、ではなく邪道。
チリちゃんの奇策に魅せられた俺は、「遊び王」でチリちゃんと対決していた。
俺のプレイスタイルは、どちらかというと美鈴先輩に近い。
美鈴先輩ほど完璧にはできないし、好き嫌いでカードを選んだりもするから、全く同じというわけではないけど。
とにかく何かを盗もうと、俺はチリちゃんとデュエルしていた。
普段見かけないし使わないカードを、チリちゃんは平気で大量に使う。
初戦は負けた。
サイドデッキとカードを入れ替える。
チリちゃんもサイドデッキ全てと入れ替えていた。
2回戦。
また負けた。
1回戦と全く違った戦術にとまどった。
サイドとの入れ替えだけで、ココまで戦術を変えられるチリちゃんは凄い。
とにかく今日は練習なので、俺は何度も何度も対戦を繰り返した。
部室のテレビモニタの前では、RPGのシナリオの前半部分を担当していたきららの支持で、美鈴先輩がキーボードをたたいていた。
夏休みも前半部分が終了していたので、RPGもそろそろ前半部分を完成させたいところだ。
ちなみに、うららが中盤のシナリオを、俺が後半を担当している。
まあきららが前半を担当するのは、前回作成したのを見れば納得だと思う。
とにかく次に進めれば問題ないところをまかせておけば、失敗する事は無いだろう。
少しどんなシナリオなのか気になったが、俺は「遊び王」の調整に燃えた。
今日の部活が終わる頃には、チリちゃんに負ける事はほとんどなくなっていた。
ナイスな調整ができたと思った。
夕方、部活はお開きになったが、きららのシナリオ部分の完成が間近だったので、美鈴先輩ときららは部室に残っていた。
他の部員は皆部室をでると、各々の部屋に帰っていった。
吉田君と新垣さんは、2人でどこかに行ったみたいだった。
ふと気がつくと、俺の後ろにうららだけが残っていた。
 達也「あれ?帰らないの?」
俺がそう言うと、うららはチョコチョコと寄ってきて、
 うらら「私たちもRPGがんばろ」
と言ってきた。
言っている意味がわからなかった。
俺がはてなマークを出していたら、うららはニコッと笑って続けた。
 うらら「だから、シナリオ、一緒にやらない?話のつながりとか話し合わないとうまくできないだろうし」
なるほど。
言われてみればそうだ。
うららがどんな風に話をもってくるかで、こっちのシナリオも調整しなくてはいけないところがでてくるはずなのだ。
 達也「だな。で、何処でやる?っても、俺の部屋じゃないとできないか」
俺はシナリオや設定を、部屋のPCに保存している。
まあデータを抜き出してノートPCに移せば持っていけなくはないけど。
 うらら「うん。じゃあ、USBにデータ入れてもって行くね」
うららはそう言うと、俺が歩くより遅そうな駆け足で、寮の方へと消えていった。
やべ。
部屋かたづけないと。
俺も駆け足で部屋に戻った。
といっても、部屋はさほどちらかっている訳もなかった。
なんせ俺、綺麗好きだから。
よく見れば隅の方には埃がたまりまくりなのだけど、それくらいはいいだろう。
俺はお腹も減っていたので、冷凍ピザをレンジでチンして、食べながらPCを立ち上げた。
すると、怪しい音楽が部屋に響いた。
誰だ?
携帯電話のモニタを見ると、「うらら」と表示していた。
これなくなったのかな?
そう思って電話に出ると、部屋の前にいるから開けてと言われた。
 達也「何故にインターホンつかわんのかねチミは」
 うらら「んー気分?」
俺に聞かれても困るしわからないのだが、まあ気分という事で落ち着かせた。
とりあえず、ドアを開けてうららを招き入れる。
 うらら「なんだか美味しそうなにおいがするよ」
なんだか前回来た時と同じような流れだが、そういえば今日はきららがいない。
俺はチョッピリドキドキしてきた。
 達也「ああ、ザーピー食ってたんだ。うららも食うか?」
 うらら「わーい。達也くんの手作りだぁー!」
 達也「いや、冷凍だけど」
 うらら「・・・わーい。達也くんの手作りだぁー!」
 達也「だから冷凍だって」
 うらら「・・・・・・わーい。達也くんの手作りだぁー!」
俺はこれ以上のツッコミを諦めて、冷凍ピザに冷蔵庫の余り物を適当に乗せて、レンジでチンして与えてやった。
うららはそれを嬉しそうに食べた。
やばい。
可愛すぎる。
だって元々可愛い系のうららが、俺の作った、キュウリとかにんじんとかごはんどすよとか、そんなのが乗ってるピザを美味しそうに食べるんだよ?
そら抱きしめそうにもなるは。
俺は野生の本能を、理性という名のロープで縛り上げて押さえつけた。
食事も終えて、今日の目的を遂行する事にする。
俺はうららのUSBメモリを差し込んで、データを写す。
お互いのデータを見比べ、きららのストーリーを聞いたところで、俺は今日話し合えた事に感謝した。
全くつながらない。
きららは、お笑い系なストーリー展開の中に、ラブロマンスを求め、その後うららはそれを受け継ぐ形で話を進めていた。
お笑い系は受け継がれていなかったけど。
そして後半は俺のストーりー。
ラブロマンスは何処にもなく、家族と友情と感動をテーマにしていた。
てか、タダの思いつきの殴り書きストーリーなのだけど。
しかし、既にきららの話はそのまま制作されているわけで、ココは俺がラブロマンスに修正しなくてはならなくなったって事。
俺はうららにも手伝ってもらいながら、家族と友情を愛情に、感動を萌えに変えていった。
面倒な事をしているはずなんだけど、楽しかった。
義経だった頃、きららよりもうららと仲が良かった事が、なんとなく理解できた。
かといって、きららとうららを比べる事なんてできないけど。
どちらが好きかと言われても、おそらく答えがないように思えた。
大まかな流れが完成して、うららは帰っていった。
少し部屋が淋しく感じたが、気分は良かった。
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ドクダミ

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