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第四十一話 テスト勉強

不思議な事。
この世の中には不思議な事が多々ある。
正直いちいち不思議だと思っていては、不思議だらけだ。
それでも俺は不思議だと思わなければならない。
何故ならそれは、俺が高校生だから。
 達也「どうしてテスト1週間前は部活休みになるんだ?何故1日前とか10日前とかじゃないんだ?」
まあぶっちゃけ、部活が休みになると寂しいのだ。
今日から中間テスト1週間前で部活は休み。
しかし、何故かみんな部室に集まって共に勉強していた。
 きらら「あー数学なんてわからないよー!」
 うらら「あー国語なんてわからないよー!」
この2人は、2人で一人前だ。
てか、天才一人前なんだけど。
普通双子って、全てに似るものだと思っていたけど、この2人は真逆なところが多い。
育った環境なんかが同じだから、そうなるのは至極当然のはず。
俺はなんとなく疑問を口にしていた。
 達也「君たちは、双子なのに全く似てないね」
もちろんこの疑問は容姿の話ではない。
それ以外のところだ。
特に勉強。
 きらら「まあね。これでも私たち、色々苦労してるのさ」
軽い感じできららが話す。
いったい何を苦労してるんだかって気持ちになるが、本当に苦労していたら洒落にならないから俺は納得する。
 達也「ふーん。でもきららはもう少し数学できないと、進級できないかもな」
 きらら「大丈夫だよ。いざとなったら」
きららはうららを見る。
他の部員達は、教えてもらうと思っているようだが、これは入れ替わるって事だろう。
でもまあ話す事もないので、俺は何も言わなかった。
美鈴の所には、勉強を教えてもらいたい人が集まっていた。
主にまこちゃんとかまこちゃんとかまこちゃんとか。
吉田君と新垣さんは、2人隅っこで勉強している。
チリちゃんはPCを使って凄い集中力だ。
高鳥姉妹はお互い教え合ったり、偶に美鈴に聞いたり。
で、謎なのは夢ちゃんだ。
なんの勉強をしているのかわからないが、さっきからずっと参考書らしきものを見つめ続けている。
俺は気になって、その参考書らしきものをのぞき込んだ。
・・・
バトルグリード攻略本?
どうやらネットゲームの攻略本を見ているようだ。
 達也「夢ちゃん、勉強しなくていいの?」
夢ちゃんの学力は知らないし、余裕なのかそれともやりたくないのかわからない。
 夢「しない。つまんない」
夢ちゃんの言い方で、おそらく学力は低いのではと思った。
まあ教師の勘って奴だ。
 達也「でも、留年しない程度にはやった方がいいんじゃない?」
俺は学力が低いと決めつけて勉強を促す。
 夢「だったら教えてくれる?」
面倒だ。
それに俺も勉強しなくてはならない。
でも、教師の血が了承してしまう。
って、教師の血はながれてないけどね。
 達也「おけ」
まあ、あれだけゲームが強い夢ちゃんだ。
記憶力もありそうだし、頭の回転も良い。
きっと学力が低いなんて思った俺の勘は間違っているんだ。
教え始めて、俺は後悔した。
なんてこった。
あまりにも阿呆だ。
うましかだ。
どうやってこの森学への編入試験に合格したんだ?
とにかく覚えが悪い。
ってか、教えても聞いていない。
暗記する物を与えると寝てるし。
夢ちゃんが夜ほとんど寝ないのは、授業中寝てるんじゃないかと思った。
これでは夢ちゃんのテストの結果は、おそらく最悪なものになってしまうだろう。
何とかしなくては・・・
俺の目に、チリちゃんがPCを使って勉強している姿が映った。
 達也「夢ちゃんって、いつもテストの成績はどうなの?」
とりあえず成績がどうなのか聞いてみた。
まずは確認せねば。
 夢「・・・赤点はとらないよ?」
これはきっと赤点ギリギリって事だ。
そして時には赤点をとってしまう感じか。
 達也「試験勉強はいつもはどうしてるの?」
 夢「なんでそんな事聞くの?前の日だけは勉強してるよ」
なるほど。
全ての試験で一夜漬けってやつだ。
最後にもうひとつだけ。
 達也「何で聞くかと聞かれても理由などないのだよ。で、夢ちゃんが授業でとってるノート見せて」
これはノートの字が綺麗かどうかが見たいわけではない。
授業中どうしているか知る、一番手っ取り早い方法だからだ。
 夢「ノートなんてないよ」
・・・
なんて奴だと思う前に、全然勉強していないのに赤点とらない夢ちゃんを誉めよう。
 達也「それで赤点とらないなんて、夢ちゃんてもしかして天才?」
誉めてるよね?
 夢「まあね」
うわぁ~この人、素直に喜んでるよ。
てか謙遜するとかってないのか?
 達也「勉強は今日はいいや。また後日だ」
俺がそういうと、夢ちゃんは少し残念そうだったけど、やる気なかったよね?
何故残念そうなの?
とにかく俺はチリちゃんのところに向かう。
 達也「チリちゃん、ちょっといいかな?」
 知里「うん。いいよぉ~」
動きは低速再生、喋りはまったり。
う~む。
チリちゃんと話すのは、なんだかいいよなぁ~
癒されるよなぁ~
これが恋?
でも付き合うとか考えると、メッチャご遠慮願いたくなるから、やっぱ違うんだろうけど。
でも、いいよなぁ~
この気持ちはいったいなんなんだろう。
 知里「どうしたんですかぁ~よく聞こえませんよぉ~」
おっと危ない。
心の声が口からあふれ出していたらしい。
 達也「いやいやごめん。チリちゃんと話すと癒されるから、ちょっと感動してたんだよ」
いけね。
本音だ。
 知里「ありがとぉ~私も達也ちゃんと話すの楽しいよぉ~」
いい。
いいよチミ。
って、俺最近自分出しすぎてるかもな。
気を付けよう。
 達也「ありがとう。で、話は変わるんだけど、中間が終わったらまもなく文化祭なんだけどさ」
そうなのだ。
中間試験が終わって約2週間後に、我が森学文化祭があるのだ。
 達也「そこでゲーム部の成果発表で、クイズゲームをみんなにプレイしてもらえるようにしようと思ってるんだよ」
 知里「へぇ~そうなんだぁ~私頑張っちゃうよぉ~」
うむ。
流石チリちゃん、わかってくれているようだ。
 達也「で、今回のテスト範囲でのクイズを作ってほしいんだけど、作れる?」
 知里「う~ん。大丈夫だと思うよぉ~」
おお、流石チリちゃん。
これでチリちゃんはきっとテストの点数がよくなるはずだ。
なんせクイズの問題と答えをプログラムする時に、きっと全部覚えるだろうから。
そしてこのゲームを夢ちゃんにやらせれば、ゲーム王のプライドにかけて全問解けるようになるはず。
 達也「で、何時までにできそう?」
そう、これは重要。
1週間以上かかるようだと意味がない。
 知里「明日学校休めば、夕方までにはできると思うよぉ」
・・・
それはまずい。
でも早い。
 達也「学校は休まなくていいから、3日後くらいまでにはできるかな?」
なんだか子供に話してるような感覚だけど、求めている事は常人レベルではないんだよなぁ。
不思議な感覚だ。
 知里「そんなに遅くていいの?だったら楽勝だよぉ~」
・・・
まあ、文化祭に必要って意味なら、3週間後でもいいんだけどね。
 達也「じゃあ、3日後でよろしく頼むよ」
おれは笑顔でチリちゃんの頭をなでると、夢ちゃんのところに戻った。
チリちゃんは少し照れた顔をした後、狂ったようにキーボードをたたきはじめた。
指が見えない・・・
とりあえず夢ちゃんに向き直って、勉強は4日後から頑張ってもらう事を告げた。
そして4日後、夢ちゃんにゲームをプレイさせた。
思ったとおりのめり込んでいた。
計算どおり。
しかし夢ちゃんの中間試験の成績は、赤点ギリギリ、いつもどおりだった。
何故だ?
俺はチリちゃんの作ったゲームをプレイした。
・・・
問題が2年の問題ってオチね。
はぁー
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
ドクダミ

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