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作戦は順調

 アライヴ「よし、プレイヤは全部始末したな?」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
 アライヴ「次いくぞ!」
俺達はとにかく攻めて攻めて攻めまくって、無茶苦茶な戦いを続けていた。
何処が無茶苦茶かと言えば、今回のゲームでは完全に攻め手不利なゲームなのに、攻めるだけの戦闘を繰り返し、尚かつ少数だ。
本来ならこんな戦いはできないはずだけど、俺達の強さと、そして敵戦力の分散が生む弱さによって、可能となっている。
更には、一度取った要塞はすぐ取りかえされるわけだけど、取ったり取られたりを繰り返す事によって、守りも弱くなるし、生産性も下がる。
最初こそこの作戦はきつかったが、今ではだいぶ楽になっていた。
俺達のコンビもかなり精錬されていて、全く負ける気がしない。
ちなみに母艦は、紫苑さんのリアル友達のひとり、「てけとー」大佐の艦である。
てけとーさんは、作戦期間中だけ頑張ってくれと紫苑さんに頼まれて、いやいや引き受けたらしいけど、今では結構ノリノリだ。
 てけとー「ははは、次だ次!!」
別に弱い人ではないけど、調子乗りすぎだって。
母艦落とされないように、注意しないとな。
ちなみに拠点の守りをしっかりやっているのは、コロニーシオンだけだ。
もし攻められたら、紫苑さんのリアル友達の「壁」中佐さんに電話を入れて、オンラインさせる手はずになっている。
この人は漫画家らしく、いつも忙しいからゲームどころではないが、いつも家にいるので、都合良く使わせてもらっているとか。
まあ実際攻められるような状況は、今のところはなさそうだけど。
取られたら速攻取り返す状況だし、前線が崩れるのは一瞬だからね。
結局今日も、拠点の数がトータルで減る事はなかった。
最初こそ減る方が多かったが、最近はこの方法ですら少しずつ拠点を増やせている。
それに合わせるように、志願してくるプレイヤも増えてきていた。
それ以上にサイファ陣営には人が集まっているらしいけれど。
今回の作戦で、今のところ一番恩恵にあずかっているのが、サイファ軍で、次がジーク軍、そして紫苑軍だ。
それでも今だけを見るなら、我が紫苑軍が一番いい感じだ。
なんせ紫苑領の周りは、ほとんどが空白化していると言っていい。
プレイヤを倒す為には、少しずつ遠征しなければならなくなっているから。
作戦では一応、紫苑軍とサイファ軍で、最前線を固めながら侵攻できる100人以上のアクティブプレイヤを確保できるまで。
地球攻略を考えると、150人くらいは欲しいところだけど、今の戦い方を続けていけば、100人でも十分やっていけそうだ。
だけど、現状良い感じでも、潜在的には紫苑軍はかなりきつい状況にもなっている。
他へ志願したプレイヤのほとんどが、紫苑軍に強い敵対意識を持つことになったのだから。
多くと友好関係を持つサイファさんですら、入ってきたプレイヤに事情を説明してわかってもらうのはかなり難しいだろうと言っていた。
みんな紫苑軍とやりたがっているらしいから。
それを、いろいろと理由をつけてうまくごまかしているらしいけど、本当の事を言ってどれだけわかってくれるか。
それに、もう本当の事は言えないだろうと思う。
言ってしまえば、サイファ軍もこの作戦に加担していた事がばれるのだから。
もしジーク軍と隣接していたら、きっとすでに全面戦争だったかもしれない。
実は我が領域は、ジーク軍とはもっとも離れた位置にある。
だから決戦はおそらく終盤になるだろう。
もしくは地球あたりから直接対決が始まるのだろうけど、今のところまだまだだ。
 アライヴ「そろそろ12時だな。」
 てけとー「だな。今日はこのへんにするか。」
 じぇにぃ「は~ぃ」
 アライヴ「では、コロコロに帰投する~」
現在俺達が主に使っている拠点は、コロコロコロニーだ。
最初はシオンを使う予定だったのだけど、攻撃しまくっていれば、思ったよりも攻められないものだ。
紫苑さんが言っていたけど、攻めて殺しまくるゲームの攻略法は、他のシミュレーションゲームなら、常套手段であり、つまらないものだと言っていた。
これをすると簡単に攻略できるのだけど、それを嫌うゲーム会社は、殺す事に重いリスクを持たせる事も多いらしい。
今回はそんな事しなくても、大きなリスクを背負っているわけだけどね。
でも流石にお金がかかっているから、感情だけで行動する人は多くはないようだ。
俺達が勝ち続けていれば、敵ではなく味方にもなるのだ。
 紫苑「ごくろう。」
丁度コロコロコロニーに入ったところで、紫苑さんからの通信が入った。
12時を回って、戦闘時間はすでに終わっているから、家に戻ってきたのだろう。
てか、実家とかなり近いところに住んでるんだろうな。
もしくは普通に、IDだけ借りているのか。
 アライヴ「紫苑さんおひさ~」
 じぇにぃ「こんばんわぁ」
 てけとー「おい紫苑、いつまでこれ続けるんだ?まあ楽しいけど。」
久しぶりの紫苑さんの登場に、皆少しうれしそうだ。
そう思うのは、俺がなんとなくうれしいからなのか、完璧に任務をこなしている達成感からくる自信が、会うことに喜びを感じているようだ。
そんな喜びをよそに、紫苑さんは軍全体に通信を送る。
 紫苑「我が軍に入ってくれた皆様、感謝します。一部、我々にやられても尚、入ってくれた方々もおられると聞きます。我々があなた方を殺してまで味方に引き入れたのは、早いうちに優勝争いのできる軍に入り、このゲームの本当の楽しさを味わっていただきたかった、と同時に、早くから我が軍でプレイしている方が、報酬が多くなる事は必至だと考えたからです。みなさんの為に行った行為である事をわかっていただきたい。」
適当な事を言っている。
少し苦笑いだ。
しかし、これが適当な事を言っているとわかっていても、結果的にはそうなるだろうから、それなりにゲームを理解している人は、今後結束できるだろう。
新しく入った仲間が、何人か紫苑さんへと返事を入れていた。
概ね理解しているようだし、我が軍に入ってきた人だから、そんな事はすでにわかっているようだ。
問題は他の軍だけど、サイファさんのところでも、紫苑さんは適当な事を言って、皆の敵対意識を薄めているのだろうと思った。
紫苑軍に敵対意識を持ってる人に「早めに強いところに移動できてラッキーじゃん?逆に紫苑軍に感謝するべきだよ。」なんてね。
 紫苑「みんなありがとう。後少し、もう少し味方プレイヤが増えたら、本格的な侵攻を再開する。それ以降よりそれ以前に我が軍に入っていた方が、ゲームが終わった時の報酬は多くなるだろう。だからもし迷っている友達プレイヤがいるなら、今のうちに入る事を勧めてあげてほしい。後、勝っても負けても、充実したゲームライフを約束する。では、私は失礼する。」
紫苑さんはそう言った後、軍の全体通信を終了し、我々一部だけの通信へと切り替えた。
通信には、軍通信、グループ通信、個人通信などがあり、今はグループ通信で、主要メンバーだけの通信だ。
 紫苑「順調(^0^)/」
 アライヴ「ですねぇ。」
 てけとー「敵もえらい増えてるけどな。」
 じぇにぃ「わたしわぁたのしぃからぃぃ」
 アライヴ「紫苑さん、もう少しって言ってたけど、まだまだ人数的には足りませんよ?」
そうなのだ。
先ほどの演説のような通信で、後少しで本格的に侵攻するって言っていたけれど、まだまだ予定の3割にも満たない人数だ。
少し増員が加速してはいるけど、このまま増えても後3ヶ月は頑張らないと無理だろう。
 紫苑「大丈夫。きっとすぐだよ。」
えらい自信だな。
さっき言っていた、友達を誘うって事なのだろうか?
まあ、紫苑さんが言うのだから間違いないだろう。
俺は信じる事にした。
というか、もともと信じているけどね。
後は少し雑談をして、今日のプレイを終えた。
明日はバイトだ。
なんか面倒くせぇ。
そんな事を考えながらベッドに入った。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
ドクダミ

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