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天才?周瑜と北都尚成の助言

満洲事変を起こした首謀者とも言われる石原莞爾は、東京裁判の頃に外国人記者から東条との対立について聞かれた。
『貴方は東条と意見が合わなかったようですね』
そう問われ石原莞爾はこう言い返したという。
『私には多少の意見もあり思想もある。東条には思想もなければ意見もない。意見も思想もない東条との間に、どうして意見の対立があり得よう。それは愚問である』
これを言った石原莞爾にどういう思いがあったのか、俺がどうのこうの言うのは野暮というものだろう。
でも別の問に対しての答えから、石原莞爾がどんな人物だったかは読み取れるのではないだろうか。
ニュージーランドのノースクロフト判事に『なにか質問は?』と聞かれこう返したという。
『満州事変の中心は自分であり、軍の満州建国の立案は、自分の手になったものである。その自分が戦犯として法廷に召喚されないのは不思議である』
この嫌味を含んだ潔さと自信は、まあ‥‥格好いいとは思うよ。

俺たちの前に突然現れた周瑜という人物。
彼曰く、どうやら俺たちを探していたらしい。
一体どんな理由なのだろうかねぇ。
「私たちを‥‥探していた?‥‥」
「そうそう、探していたんでっすよ。あれ?敬語ってコレで合ってるっですか?」
敬語を話そうとしていたのか。
つまり俺たちを上に見ている訳で、相手は新米冒険者か、或いは何かを頼みにやってきたって所かな。
どう見ても新米冒険者には見えない事から、おそらく萬屋に依頼をしにきたに違いない。
「敬語はいらないんだお。オデたちはそういうの気にしないんだお」
そうそう。
だいたいそっちの方が年上に思える訳で、元日本人としてはむしろ気持ち悪くも感じるんだよな。
「えっ?そう?じゃあ普通に話すよ。いやぁ~ヘタに敬語とか話そうとしても上手くいかないよなぁ~ははははは!」
コレが地か。
あまりに予想通りの軽さで少し笑えてくるよ。
「それで‥‥どうして‥‥探してたの?‥‥」
「あっ、そうだったそうだった。ちょっと話がしたかったんだけど‥‥。ん~何にも無い所だねぇ~‥‥。ゆっくりと話せる場所があればいいんだけど‥‥」
いやキョロキョロと見回した所で、最初からこんな所に何かがある訳ないんだけどさ。
気がついたらこんな所に来ていたって感じだな。
探索魔法か何かで俺たちを探し当てたって所か。
「じゃあこれでいいか?」
俺は移動用ガゼボをその場に出した。
「おお~凄い!こんなのを収納できる魔法とか、アイテムならメチャメチャ高そうだ」
「とにかく話があるのなら座って話しましょう。遠慮なく座ってください」
「じゃあお言葉に甘えて」
想香に促され、周瑜は席へとついた。
後に続いてみんなも座る。
全員が座った所で、狛里が改めて聞いた。
「話って‥‥なに?‥‥」
「ん~‥‥。どう話して良いのか、会えば思いつくかと思っていたんだけど、やっぱり思いつかないなぁ」
なんだよこいつ。
話があるなら普通どう話すかくらいは事前に準備しているもんだろ。
まあ相手に合わせて話すというのも必要ではあるけれど、重要な話なら間違いなくいくつかの準備はしておくものだ。
かといって此処まで話しに来る訳だから、軽い話ではないはず。
よく分からない奴だな。
「萬屋を探しておられたという事は、仕事のお願いでしょうか?ならばまずはそれをストレートに話せばよろしいのでは?」
愛雪の意見、分かりやすくて宜しい。
案外小細工抜きってのが一番伝わったりするものだしな。
「そう言われるならそうするか。今日はお察しの通りお願いに来た。阿弥陀王国が天竺教原理主義を辞めるよう、なんとかするのに力を貸してもらいたい」
分かりやすいな。
みんなコレで大体は察しただろう。
この周瑜はフリーハンド秘密結社の関係者に違いない。
「天竺教原理主義ってなんだお?どうして辞めさせたいんだお?」
ズコッとなー!
これがあのお笑い番組だったら、全員椅子を倒して転がっている所だぞ。
「そうだよね。いきなりそんな事を言われても分からないよね」
いやいや、今正にそれをどうするかで待機中な訳で、大体みんな察しているよ。
まあとは言え、まだ聞かなければならない話もある。
昨日のスフィンクス襲撃に関わっているのかどうかとか、今までどんな活動をしてきたのかとか。
暴力的になんとかしようとしてきたのだったら、俺たちはおそらく協力できない。
尤も協力と言っても何を協力すればいいかも分からないし、正直協力できる事なんて何も無い気がするのだけれどね。
「おそらくみんなもう察していると思うけど、僕はある組織に所属している。その組織ってのが『フリーハンド秘密結社』だ」
そりゃそうだな。
周瑜のお願いがフリーハンドの目的と一致しているからな。
それにしてもバカ正直にそのまま話してくれるものだ。
俺たちがフリーハンドの敵側についている可能性は、十分に想定できるはずなんだけさ。
「そうなんだお?!それは偶然なんだお!オデたちも今、フリーハンド秘密結社について調べていたんだお」
こっちにもバカ正直に話す奴がいたわ。
つかそんな奴らばっかりな気がするんだけど。
「えっ?そうなの?そりゃそうか。阿弥陀の王族は俺たちを潰そうとしているし、そこにこれだけ強力な何でも屋の冒険者が来れば何か依頼していてもおかしくないね」
こいつそんな事も考えず俺たちに会いにきたのか?
迂闊過ぎるだろう。
「だけど萬屋が噂通りだとしたら、阿弥陀王族側の依頼は素直に受け入れてはいない」
ほう。
全く考えなしで迂闊な奴ではなかったようだな。
しかし萬屋はどんな噂になっているのやら。
「策也ちゃん‥‥話がよく‥‥分からない‥‥」
狛里が少し困った様子でコッソリ話しかけてきた。
天冉と陽蝕がいないとなると、話をするのは俺って事になるのか?
「とにかく俺が話してみるよ」
「うん‥‥頼んだ‥‥」
「話は大体分かったよ。それで聞きたい事がいくつかある」
「なんだい?」
「昨日のスフィンクス襲撃事件も含め、阿弥陀領内ではテロ事件が多発していると聞いている。それにフリーハンドが関わっているんじゃないという話も聞くけれど、それは本当なのか?」
俺がそう聞くと、周瑜は少し鼻で笑った。
「テロを僕たちの仕業にしようとしているのは知ってたけど、昨日のスフィンクスも僕たちの仕業にしようとしていたなんて。僕たちも凄い組織になったものだ。光栄だね」
「つまり違うと理解していいんだな?」
「当然だよ」
嘘は言っていないし、まあ思った通り当然の結論だ。
「しかしフリーハンドは国家の方針を変えようとしているんだよな?それはある意味反逆行為とも捉えられかねないし、対立しているとも言えるだろう。現に王国側は周瑜たちを敵視している。それをわざわざやる意味はなんだ?」
「反逆行為ねぇ。なるほどそんな風に感じられるのか。僕たちは対立している訳じゃない。別にどんな方法でも、本当に国を良くする為に考え抜いてくれているなら従うよ。だけど阿弥陀王はそうじゃなく、脳死状態でただ天竺教に従っているだけなんだ。個人の思想や考えはまるでない。でも僕たちには思想も考えも少なからずある。思想や考えが無い者とある者との間に対立なんて生まれる訳がないよね。つまり対立なんてあり得ないし、ただ国と民を守りたいだけなんだよ」
どっかで聞いた事がある理屈だな。
こいつが石原莞爾を知っている訳がないし、もしかして周瑜は天才肌なのか?
とは言え王族側は、敵対されていると考えているんだよね。
「天竺教はなかなか良い教えだよな」
「それはもちろん同意するよ。でも全ての状況でそれが正しいとは限らない。現に昨日、ジュズの町は崩壊してしまった」
宗教ってのは道徳や倫理を養うのには良いかもしれない。
でも国家運営にそのまま使うのは無理があるんだよ。
「どうして阿弥陀の王族は天竺教原理主義になってしまったんだろうな」
「諸葛亮王家にそそのかされているんだと思うよ。あいつら阿弥陀王国を自由にする為に、半世紀ほど前に天竺教を持ち込んできたんだ」
なるほど。
宗教による侵略、或いは植民地化のような感じか。
ポリコレのような綺麗事を押し付ける行為にも似ている。
そうして日本のようなお人好し国家を作り上げ、ATMとして利用するようなそんな話。
天竺教はまさにうってつけの宗教って訳か。
何も考えなくていい楽さに囚われたら、そこから抜け出すのは大変だぞ。
「それでどう解決するつもりなんだ?変えるのは難しいだろ」
「そうなんだよなぁ。阿弥陀の王族も馬鹿だけど被害者と言えば被害者な訳だし。できれば説得したいんだよね。今は間違いを犯した直後で、可能性はあると思うんだ。だけどうちの組織は目の敵にされているし、会って話をする事もできない。それに昨日のはフリーハンドがやった事になってるんでしょ?ん~‥‥。だったらそれを利用するのも手かもしれないね」
それを利用するか。
阿弥陀王国の対応に変化を加えたいなら、そういう手も使えなくはない。
この周瑜とやらはやはり天才肌だな。
名前的には諸葛亮家を超える事はデキなさそうだけれど、実際の諸葛亮はこいつかもしれない。
しかし良いのか?
目的の為とはいえ今後苦しい道が待っているかもしれないぞ。
「じゃあ犯行声明を書くか?」
「もちろん協力してくれるのなら僕はやるよ」
「ならばまずは、萬屋のマネージャーである天冉に話をする必要がある」
「萬屋が噂通りなら、きっとやる事になるよ」
正にその通りだな。
俺たち新巻鮭の者たちにとっては、他国がまともになって力を付けるのは問題があるかもしれない。
だけれど天竺教のこの国なら大丈夫だろう。
「所で一つ聞きたいんだけれど、フリーハンドってのは周瑜が作った秘密結社なのか?」
「僕が?まあ創設メンバーの一人ではあるけど、作る事になったのは北都尚成の影響かな?」
「えっ?」
いきなりこんな所で北都尚成が出てくるのか?
「今は英雄と言われている彼に、八歳くらいの頃に一度会った事があるんだ。その時に彼もこの国の未来を憂いていてね。いずれこのやり方は破綻するから、その時修正するための準備はしておいた方がいいよって言われたよ」
「その時、他にどんな話をしたか聞いてもいいか?」
「ふふーん。そう言えば萬屋は北都尚成の情報を集めているって聞いているね。それは仕事の報酬の一部って事でどうだろう?」
全く‥‥、まあ大した話はなさそうだけれど、一応乗っておいてやるか。
「分かった。交渉は天冉としてもらう。そこでその話を伝えてくれればいい」
「あっ‥‥天冉さんねぇ~‥‥。いや、だったら此処で話すよ。その方が良さそうだ」
天冉の情報もありそうだな。
彼女もなんだかんだ有名人の域に入ってきているのかもしれない。
「話は‥‥終わり?‥‥」
「そうだな。仕事はやる事になりそうだけれど、今回は主に天冉と陽蝕の仕事になりそうだ。だから後は天冉たちに任せよう」
「じゃあ僕が天冉さんを連れてきましょうか?」
「そうだな。頼む」
「承ったのです!」
想香は一つ敬礼してから空へと上がっていった。
「じゃあ天冉が来るまでの間、北都尚成について聞かせてもらっていいか」
「了解了解!」
そんな訳で天冉が来るまでの三十分ほどの間、少しだけ北都尚成について話を聞く事ができた。
北都尚成はどうやら、今日この日が来る事を予見していたらしい。
やがて来る阿弥陀王国の危機に、話せる人たちと必ず出会えると言っていたとか。
先程の言い回しも北都尚成が似たような事を言っていて、ただそれを真似したようだった。
俺が北都尚成なら、石原莞爾の真似とか何処かでやってみたくなるよな。
やはりやっちまっていたか。
でも少し無理があった気もするぞ。
周瑜がしてくれた話には面白いものあったけれど、俺の記憶が蘇るような事はなかった。
間もなく天冉が来ると、直ぐに仕事の話へと移った。
そしてそれは思った通り実行される事となる。

俺たちは動き出した。
まず最初にやるのは、でっち上げられた陰謀論を現実にすること。
周瑜は犯行声明を書いて、スフィンクスを使って町を攻撃したでっち上げを真実に変えて行く。
当然でっち上げた側はでっち上げだと分かっていても、犯行声明を今更否定なんてできない。
そして犯行メッセージが無かった時は対応もおざなりで済ませられたけれど、犯行メッセージどころか犯行声明が出された今、しっかりとした対応が求められるようになった。
『我々はフリーハンド秘密結社。先日のスフィンクスによるジュズの町への攻撃は御気に召していただけただろうか。今後も更に大きな規模で攻撃させていただく事になる。最早話し合う余地もないだろう。我々は冗談のような大きな力を手に入れてしまったようだからな』
こんな少し冗談を思わせる犯行声明が、町のあちこちにばら撒かれた。
天冉は再び、センコウの町のギルマス吉田との話し合いに呼ばれた。
何故か俺もついていかされる事になった。
他には陽蝕と尾花も一緒にね。
「お願いします。早急にフリーハンド秘密結社をなんとかして頂きたい」
「流石に早急には無理よねぇ~。昨日も言ったけどぉ~、何処にいるかも誰がメンバーなのかも分からないのにぃ~、どうすればいいのかしらぁ~?」
「それを見つけてなんとかしてもらいたいのです」
「相手はスフィンクスを使役できるほどの人たちでしょ~?力も巨大だしおそらく砂漠にアジトを持っているんじゃないかしらぁ~?どう考えても私たちだけじゃ無理よねぇ~」
「天冉。そういえば阿弥陀王国は諸葛亮王国の庇護下にあると聞いた事があるぞ?毎年大金を払って守ってもらっているとか。ならばそちらに助けてもらえばいいんじゃないか?」
「それは無理です。他国からの侵略に対しては守ってもらう約束ですが、テロ組織相手では動いてくれません」
「こんな時に助けてくれないなんてぇ~酷い国ねぇ~。ならば自分たちでなんとかするしかないわよねぇ~」
自国を自分たちの力で守ろうとしなかった国の末路はこんなもんだな。
いざって時は誰も助けてはくれない。
阿弥陀王国を他国に奪われないようにする事は、諸葛亮王国にとって国益となる。
でも潰れてしまうのなら、それはそれで許容の範囲内という事だろう。
「阿弥陀王国としては何をすれば良いのでしょうか?」
「相手が何処にいるかも分からないなら、やってきた時に対処できるようにすればいい。それがこの国のやり方だろ?実際に事が起こり、原因もハッキリとした。他にも対処の方法はいくつかあるんじゃないのか?」
陽蝕の言う通り、スフィンクスの襲撃だけなら、罪に対して罰を与えるで済むかもしれない。
しかし次の犯行を予告されている今、必ず対応せざるを得ないのだ。
「具体的には何をすれば‥‥?」
「策也ちん、説明してあげてぇ~」
俺かよ。
まあその方が早いか。
「最も当たり前な方法は、町をちゃんと守れる体制にする事だな。防壁を高くし結界で守る。脅威が目の前にあってコレをしない理由はないだろ?」
スフィンクスが町を襲ったのは最悪の不幸だった。
でもそれを利用して阿弥陀王国をまともな国にする。
「確かにその通りです。ですが‥‥。防壁を作ったり結界で守ったりはまだお金で解決できるかも知れませんが、それだけでは守れないですよね。それに騎士団を育てるのも含めて時間がかかります」
さて、此処からは上手く言いくるめられるかどうか。
「この国には人的資源が豊富だ。それは容易い事ではないか?」
「そんなに強い者や能力者がこの国にいるとは思えませんが?」
「いるじゃないか。スフィンクスを何体も使役できるような人たちが」
「えっ?それってフリーハンドの事ですよね‥‥」
アメリカは、優秀なハッカーを雇ってハッカーに対抗させている。
強大な敵は味方にすれば最高の守り神になるのだ。
問題は、裏切らないだけの希望を叶えられるかどうか。
その点今回は、既に叶っているのも同じ。
「フリーハンドのそもそもの要望は、宗教原理主義を辞めてまともに未来を見据えて考える政治をする事だろ?町の守りをしっかりとするなら、半分要望が通ったようなものだ。今は敵かもしれないけれど、味方にする事も可能だろう」
「えっと‥‥確かにその通りですが、話し合う余地もないと‥‥」
「話し合いなんて不要だ。町の守りをしっかりとやろうとするなら、フリーハンドも町を攻撃してきたりはしない。別に町を壊す事が目的じゃないからな」
「その通りですが‥‥」
「これから町の防衛力を高め、今後どのような事態にも対処できるよう向かえば、自ずと守る為に必要な人材も集まってくる。スフィンクスが群れになって攻めてくる事もないだろう」
スフィンクスが攻めてくる可能性はまだあるんだよな。
話が上手く行けば、そこはなんとかしないと駄目だろうなぁ。
「その為のお手伝いならぁ~、萬屋も協力できるわよぉ~?そうよねぇ~策也ちん?」
「おっ、おう。それならそんなに時間もかからないだろうし、萬屋として仕事を検討しても良いんじゃないか?」
防壁、結界、そしてスフィンクスの処理。
まあジュズの町だけなら、そんなにかからないか。
「分かりました。では依頼主にそのように話をしてみます」
「そうそう一つ言っておくけれど、その方向で進んだ時、集まってくる人を詮索したりしたら駄目だからな。フリーハンドはおそらく解散されるだろうし、そんな組織の事は忘れた方がいい」
「そのように伝えておきます」
これで全てが受け入れられば、ジュズの町が襲われた事が無駄にならずに済むな。
放っておいたらこれから先、もっと多くの人が死ぬ事になっただろう。
それを防げた訳だからね。
人の命は数字ではないけどさ。

そしてその日の夜、概ねこちらの要望通りにやる事が決定した。
いくつかの注文を付けられたのは、王の面子の問題か。
依頼主はどう考えても阿弥陀王か、或いは王族の中にいる権力者だもんな。
言われたままにするのも嫌なのだろう。
だったら諸葛亮王国の言いなりになってるんじゃないって思うけれど、本気で騙されていたと考えればただの馬鹿か。
しかしプライドが高くても、強いものには極端なくらいに媚びる奴もいる訳で。
日本の政治家にもいたよな。
中国相手だと格好悪いくらいに下手に出る政治家とか。
尤も今回は、単純に騙されていたと考えられるけれどね。
何故なら、この対応は諸葛亮王国にとっては都合の悪い方向だから。
阿弥陀王国が自立すれば、もう|集《たか》ることもできなくなるだろうし。
その時両国の関係がどうなるかは分からないけれど、そこから先はこの国の人々次第。
周瑜もいるし、天竺教を信仰してきた国民なら、おそらくは大丈夫だな。

次の日、仕事を受けた俺は、想香と尾花、それに周瑜を連れて砂漠へと向かった。
スフィンクスを見つけてなんとかする為だ。
狛里を連れて来なかったのは、最悪の場合を考えてだな。
尾花の話によれば、スフィンクスは賢いので人間の言葉を喋ることができるとの事。
だからまずは話し合いで俺は解決しようと考えた。
その後駄目なら全員殺さなければならない訳だけれど、狛里にはおそらくやらせられないだろう。
「それで周瑜。空からでもスフィンクスは見つけられそうか?」
周瑜は見た事のあるものを探す為の探索魔法が使えた。
この世界には状況を理解する為の探索魔法は無いけれど、尾花の探知能力のような魔力を感じ取るものや、周瑜のような特定のものを探す魔法は存在した。
「大丈夫だよ。反応はあるしね。こっちに向かってくれ!」
「了解した」
探索魔法か。
解析させてもらったよ。
これで見た事のあるものを探す事はできそうだな。
しかしこれでどうやって俺たちを見つけられたのだろう。
昨日会った時は、俺たちの事を初めて見たような感じだったんだが。
「周瑜?お前の探索魔法は見たものを追えるんだよな?なのにどうして俺たちを見つけられたんだ?会った事は無かっただろ?」
「そう言えば僕も不思議に思っていたんだよ。北都尚成が魔法に引っかかったから、追ってみたら萬屋ぼったくりにたどり着いてね」
「それは不思議な事もあるもんだな」
なるほどね。
そう言えば北都尚成には会った事があるんだよな。
そしてそれは俺で間違いがないだろう。
つまり見た目も名前も違うけれど、この世界に俺は北都尚成として認識されているという事か。
「おっ!あそこだ!あそこにスフィンクスはいる!」
周瑜の指差す先には、蟻地獄のような凹みが確認できた。
そこがスフィンクスの巣穴の入口って事になるのかな。
「尾花、中からスフィンクスを感じるか?」
「魔力は感じるが、私の探索範囲内には入っておらん。おそらく地中深くにまで中は続いておるのじゃろ」
だったら飛び込んでも大丈夫だな。
「じゃああの蟻地獄に飛び込むぞ!」
「了解です!まずは僕が飛び込みましょう!」
「本当に大丈夫なの?どう見ても君たちじゃスフィンクスに勝てそうに感じないんだけど?」
「僕に任せてください。先日はスフィンクスを三体倒しました」
「私は見ているだけじゃぞ」
「心配するな。俺は敗走させたら世界一だ」
一度この台詞言ってみたかったんだよね。
「まっ、駄目なら僕は置いて逃げるよ」
「問題ない!」
俺たちは周瑜の示した蟻地獄へと飛び込んでいった。
砂の中をいくらか落ちてゆくと、直ぐに洞窟内へと出た。
「想香、ライトだ!」
「全く面倒ですね!」
最初は喜んで使っていたじゃないか。
『必要な時は言ってくれればいつでも照らすのです』
とか言っていたのになぁ。
人間こうも変わってしまうのか。
「旦那様。スフィンクスの魔力反応じゃ。合計四つだな」
「オッケー!このまま向かうぞ!」
「本気かい?本当にどうなっても知らないよ」
「僕が全部倒してあげるのです!」
俺たちは迷う事なく、洞窟の中を進んでいった。
直ぐにスフィンクスは確認できた。
俺たちはその百メートルほど手前に降り立った。
割と殺気が伝わってくる。
さて話はできるだろうか。
尾花が一声吠えた。
「この群れのボスと話がしたい!応じてはもらえぬか?!」
するとスフィンクスからの殺気が一瞬にして消えた。
どうやら言葉が通じるというのは本当か。
「話はできそうだな。みんなは此処で待っていてくれ」
「了解です!」
「了解した」
「うん。分かったよ」
俺はゆっくりと歩いて近づいていった。
そして十メートルほどの距離まで近づいてから話をした。
「話に応じてくれてありがとう。いくつか聞きたい事があるんだけれど、質問させてもらってもいいか?」
「構わない‥‥」
「先日ジュズの町を襲ったのは、お前とお前だな?」
四体のスフィンクスの内、二体の魔力には覚えがあった。
あの時町から逃げたスフィンクスに間違いないだろう。
「そうだ‥‥」
「だからなんだと言うんだ?‥‥」
こいつらは俺を警戒していないな。
ただ想香はあの時三体のスフィンクスを倒している。
魔力が小さくても、想香に対しては警戒しているのが分かった。
「そうだな。人間としてはあれだけの事をされたんだから、落とし前はつけてもらわないといけないと考えている」
「お前など、我らの敵ではないぞ?‥‥」
「そうだ。人間なぞ我らに何かを求められる立場ではない‥‥」
「俺を人質にでもすれば逃げられるとでも思っているのか?お前たちなど瞬殺する事も可能なんだよ。せっかく話し合いで命が助かるかもしれないのに、無駄にはするな」
スフィンクスたちから少し殺気が感じられた。
しかし直ぐに抑えられた。
「それで話し合いとはなんだ?‥‥」
「人間をあれだけ食ったんだ。その理由をまずは聞きたい」
尾花のように仕方のない理由なら、まだ話ができる可能性はある。
しかしただ食欲を満たす為だけだったとしたら、この二体には罪を償ってもらおう。
「ただ食料が必要だった。それだけだ‥‥」
「スフィンクスは何でも食べられるんだよな?」
「魔物でもいいが、食べ飽きたのでな‥‥」
「つまり人間を襲う必要は無かったのに襲った訳だ」
「そうなるな‥‥」
情状酌量の余地は無しか。
この二体は人間を食らった以上、ただ生かしてはおけない。
「後ろの二体は人間を食った事は?」
「ない‥‥」
「ないよ‥‥」
どうやらまだ若い個体のようだな。
だから町の襲撃には参加していなかったって所か。
「この辺り、他にスフィンクスはいるのか?」
「いない‥‥」
「みんなお前たちに殺されたんだ‥‥」
また少し殺気を感じた。
今度はそれが抑えられる事はなかった。
「まずはお前たち二体だけれど、人間を襲った以上本来なら死んでもらう所だ。だけれどそれ以外の選択肢も用意してやる。俺の後ろにいる男に使役されろ。ならば命は助けてやる」
「冗談だろ?‥‥」
「弱い奴に使役されるなんて死んでもあり得ない‥‥」
残念だな。
俺は妖糸を使って一瞬にして二体を斬り刻んだ。
もう少し話ができただろうか。
死んでもあり得ないって言ってるし、しゃーなしだよな。
だとすると、こいつらも多分駄目そうか。
「次はお前たちだ。お前たちは‥‥」
「かっけぇー‥‥」
「今何をしたの~?‥‥」
「えっ?」
なんか思っていた反応と全然違うんだけど?
おそらくこの若い個体は、殺した二体の子供だったりするよな?
だったら普通いきなり襲いかかってきたり、恐怖に震えたりするはず。
「何いまの~?‥‥」
「ほとんど見えなかったぞ‥‥」
「えっと、これは妖糸という妖精の糸を操って相手を斬る技なんだが?」
「うわぁーいいなぁー‥‥」
「私もそれやってみたい~‥‥」
こいつらはもしかしたら使えるかもしれない。
「今のやってみたいなら教えてやってもいいぞ。その代わり後ろにいる男に使役されてもらう事に‥‥」
「やるー!」
「いいよ~!」
こんなアッサリ了解するんかーい!
俺は後ろを振り返り尾花を見た。
尾花は|片掌《かたてのひら》を上に向けて、『知らんぞ?』といった感じだった。
おそらくこの二体のスフィンクスは子供だからだ。
そう思い込む事にする。
その割に魔力も強いんだけどさ。
「さっきの技は人間にならないとできないから、今後人間として生きてもらう事にもなるが‥‥」
「人間最高~!」
「それでいいから早くしてよねぇ」
こいつら‥‥ぶっ殺してやろうか。
まあでもせっかく使役できる訳だし、なんとなく特別感のある二人だ。
気が変わらない間にさっさと済ませてしまおう。

「と言うわけだ。お前たちは使役を望んでいればいい。そして周瑜は二人に名前を付けてやってくれ」
「本当に僕にできるのか分からないけど、とにかくやってみるよ」
「早く早くー!」
「楽しみ~」
これでいいんだよな尾花?
尾花はいつも通りのとぼけた表情で何を考えているのか分からなかった。
「じゃあいくよ。君の名前は孫権!そして君は大喬!だ」
一体はオス、もう一体はメスのようなので、男と女の名前を授けた。
つか周瑜の眷属に孫権と大喬って、逆になってしまったな。
テイムは直ぐに完了した。
「よろしくね。孫権、大喬」
「うんよろしくー」
「それよりも早く早く~」
こいつら人間にしたらマジで子供なんじゃないか?
でも最低でも十五歳以上にしないと、俺の計画通りにはならない。
ギルドから出されたいくつかの注文に、人材集めってのがあるんだよね。
そこで俺はスフィンクスを使役して使えないかと考えた訳で。
尤も人間にする事はあまり考えてはいなかった。
周瑜がテイマーとして強ければいいかなって所だったんだけれどね。
「それじゃあ人間の姿にするぞ!人間に変化する時の感覚をしっかり覚えろよ」
他人を変化させる時には同意が必要だけれど、既にこいつらはそれを望んでいる。
後は変化を自ら覚えてもらいたい。
俺がこの世界から去った後、どうなるか分からないからな。
それにずっと変化させておくのもきっと俺の負担になるだろうし。
俺は変化の魔法をかけた。
どうやら喋りとは違って、人間としては既に成人のようだった。
まあ子供だったら最低でも見た目年齢十五歳以上にするつもりだったけれどね。
現れた二人は、周瑜と同じくらいに見えた。
これでなんとか注文にも答えられるだろう。
俺はホッと胸を撫で下ろすのだった。
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