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神の町アゲハ!神は決して言ってない!

宗教は恐ろしいものという認識を持っている。
神の教えだと言えばどんな事でも押し通す事ができてしまうからだ。
そして神の教えである教典に変更は許されない。
状況や立場が変わろうとも、時代が流れようともそのままだ。
不変のものなどこの世にはなく、神だって良いところもあれば悪いところもある。
自分が神になってよーく分かったよ。
日本人は宗教に対して嗜み程度にしか関わらない人が多かった。
もしかしたらそれも日本がいい国だった理由の一つだと思える。
|神道《しんとう》という日本の文化そのもののような宗教は存在していたけれど、今も生き続ける神の子孫『天皇』がいることで宗教の悪いところとは無縁だった。
やっぱ凄いよ神の国日本。
そりゃザビエルも両手を上げて『彼ら日本人は予の魂の歓びなり』とか言っちゃうわ。
ただそんな日本も、今では『日本国憲法教』にやられている人が多いけれどね。
憲法典を絶対視して変更も許さない人たちが一定数いたりする。
今後の日本が心配だね。

この日の昼頃、俺たちはアゲハの町に到着した。
外から見た感じ、おそらく平和な町なのだろう。
防壁が低く門番も少ないからね。
それに東海林王国は評判もいいし、この町だけが駄目なはずもない。
その予想どおり、町に入るとそこは民の笑顔に溢れていた。
「この町は‥‥絶対いい町‥‥美味しい物が‥‥ありそう‥‥」
「それに沢山食べられそうなのです。港町だしお魚さんが食べたいですね」
「マグロが食べたいお!|山葵《わさび》と醤油を用意するお!」
「畏まりました先輩」
いや流石にマイ山葵と醤油はねぇし!
「ほいっ!山葵と醤油だぜ!」
ってあるのかーい!
「どうかされたか策っち?頭がイカレたであろう?」
俺が顔を押さえ体をのけぞらせていると、すかさずツッコミを入れてくれた。
「いや大丈夫だ、美花」
クッソッ!こんなの普通ツッコミ入れたくなるだろ。
日本人でもマイ山葵と醤油を持ち歩いていた奴なんて出会った事がないぞ。
尤も異次元収納に入れておけば日持ちもするし、何でも入れている奴はいるけれどさ。
「あの店なんてどぉかしらぁ~?」
「魚づくしの店か。我も丁度魚が食べたかったんだ。良いと思うぞ」
「じゃあ‥‥あの店で‥‥」
「僕は刺身盛りがいいのです!新鮮な魚は港町でしか食べられないのです!」
確かに刺身は港町でしか食べられないな。
でも想香が言うと、兎束だけにウサギが必死に魚を食っている姿を想像してしまう。
人参の方がお似合いだよな。
そんな事を思いながら、俺はみんなの後を追って店へと入っていった。

食事を終えた俺たちは、満足した気分で町を観光していた。
町はやはり綺麗で、とても穏やかだった。
この町はどこか懐かしい。
そんな風にも感じていた。
そんな気持ちの良い散歩の途中、猫蓮が突然何かを指差して振り返った。
「町を見て回って思ったんだけど、この町にはあのマークが多いお!」
指差す先を見ると、そこには確かにこの町に来てからよく見かけるマークがあった。
別の町でも時々あったように思うけれど、一体なんのマークだろうか。
色々な色が描かれた、生前見た事のあるようなものだった。
「そうだお。多様性を表すマークだお!」
ああ、なるほど通りで見覚えがある訳だ。
多様性を訴える人が虹のような花のようなバッジを付けていた。
『色々な人が共に暮らせる世界を目指す』みたいな感じだったけれど、何を勘違いしたのか共生を強制しようとしていたよなぁ。
多様性なんて本来、色々な人や文化を認め合って、地球上で上手く住み分けをしながら共に生きていこうって話なのにさ。
あのマークの通り、色々な色が存在する世界であって良いんだ。
決して混じり合わせて一色にする事じゃない。
なのに無理やり同じ所に住まわせて、どちらかの文化や価値観を壊し多様性を失わせる方向へと動いていた。
まさかこの世界でもそんなヤバい事を考える人がいるのだろうか。
いやその割にはこの町は平和だ。
むしろ逆‥‥なのか?
「そうよぉ~。アレは多様性を大切にする『|八神姫《やかみひめ》』を神と崇める『八神教』のシンボルねぇ~。アゲハの町は神の町とも言われているみたいよぉ~」
神の町か。
正直なところ宗教色の強い町に良い印象は持たないんだけれどな。
「そうだ。少し排他的と言われる所もあるが、あくまで『意見や考えの合わない者は住み分けをしよう』ってだけで、このイスカンデルで皆が仲良くしていこうって教えを説いている」
「だからこの町はなんだか平和なんだな」
「そうですね。よく見れば亜人種がほとんどいません」
「しかし全くいない訳ではないであろう」
なるほどそういう事か。
この町は少し良かった頃の日本に似ているんだ。
単一民族国家で、だからと言ってその文化や価値観に賛同するものは排除しない。
外国人犯罪が増える前の日本。
多様性の意味もこの八神教はしっかりと理解しているようだ。
考えや価値観が違うなら、別に一緒に生きていく必要はない。
お互いを尊重しあって、別々の場所で幸せに暮らせばいいだけ。
転生する前の世界、中国人は『人を騙してもいい。騙される方が悪い』という価値観を持っていた。
しかし日本人は『人を騙したら駄目だ。騙す方が悪い』という考えだった。
どちらが正しいというつもりはないけれど、少なくともそんな人たちが共に暮らす事は難しくトラブルも発生する。
だったら価値観の違いで国を分け、それぞれがそれぞれの国で暮らすのは正しい事だと思うんだよ。
俺は宗教に対してはあまり良い印象を持っていないけれど、こうして良い宗教も存在する‥‥か。
だから宗教を信じる人もいる訳だ。
「気になるなら教会にも行ってみるぅ~?」
「僕は気になりませんが、皆さんがどうしてもと言うのなら行くのもやぶさかではありません」
想香は見に行きたいようだな。
「私も見てみたいぞ。人化したとはいえ元フェンリルじゃ。人と魔物ができるだけ争わずにすむ世界も、住み分けができればある程度共生も可能ではないか」
尾花の言う通り、人間は熊などの猛獣と住み分けをする事で上手く共存している。
或いはその他あらゆる生物と住み分けて共に生きてきたのだ。
「じゃあ‥‥行ってみる‥‥」
「オデも賛成なんだお!」
「では僕に続くのです!教会はきっとあそこなのです!」
想香が指差した先には、確かに教会っぽい建物があった。
あそこで間違いないだろう。
町の中で一番目立つよう建てられているのだから、この町ではかなり支持された宗教のようだな。
想香に乗せられて、皆早足に教会へと向かった。

俺たちはすぐに教会前へと到着した。
そこは広場になっていて、そこで神事のような何かが行われているようだった。
「すみません。アレは何をやっているのでしょうか?」
想香は迷いなく見物人の一人に声をかけていた。
「ああ。これから八神姫様のお告げがあるんだとよ。この町の貴族のボンボンの結婚相手が決まるらしいぜ」
「神様のお告げで結婚相手を決めるのですか?」
「そうみたいだな。そんな話は聞いた事がないけど、神官様が言うのだから間違いないだろ」
マジかよ。
そんなんで結婚相手を決めるとか、大昔ならあった話なのかもしれないけれど‥‥。
それを信じて幸せになれるならいいけれど、決める側の神や神職の者としては辛い所だろうな。
神である俺がそう思うのだから間違いない。
「でました!貴族のボンボン様のお相手は‥‥!こちらの方です!」
神官は十人ほど並んでいた女性の一人を指差した。
決まったのか?
いやしかし、その指を指された女性はこの世の終わりとでも言いたげな悲壮な顔をしていた。
そして選ばれなかった女性たちは、やはり皆ホッとした表情だった。
相当嫌われているだろこのボンボンは。
間違いなく裕福な生活ができるにも関わらず、それが罰のように感じる訳だからね。
でも神のお告げなら仕方がない。
そんな諦めムードが何人からか感じられた。
そんな中で、結果に不満があるのだろうか。
コッソリと陰から、この神事という茶番を一際大きな恨めしオーラを発しながら見ている一人の女性の姿があった。
そしてその女性、なんだろうか俺にとって特別な人物に感じられた。
俺はコッソリと皆から離れて、その女性に話しかけてみた。
「どうかしたのか?」
突然話しかけられて驚いたのだろう。
女性は変な声を上げた。
「ひょえ!」
見た目とのギャップに少し笑えた。
「ははは。なんだよその声。つかどうかしたのか?あの茶番、じゃなかった。神事を恨めしそうに見ていたが?」
俺が改めて声を掛けると、その女性はマジマジと俺を物色するように見てきた。
「な、なんだ?」
「ふーん。アナタがねぇ~」
なんだなんだ?
俺はこんな女は知らないけれど、もしかしてこいつは俺を知っている?
いや、俺もこの女性には何か感じる所がある。
そうだ!木花咲耶姫とか、岩永姫とか、或いは稲羽兎白のような、他の神に使えていた神の使いのような雰囲気を感じるんだ。
つまりそれって‥‥。
「この世界の神の使いか?」
「ピンポーン!当ったり~!そんな貴方はこの世界の神を討伐する為によこされた別の神かしら?」
確かその世界の神に使える神の使いは、その神の討伐が決まった時点で討伐する側の神に協力、或いは敵対しない事が義務付けられる。
だから岩永姫は別の世界からやってきた神である南たちに協力してたんだよな。
或いは他の木花咲耶姫や稲羽兎白は神候補である俺に味方していた。
「俺の名前は此花策也。別の世界から来た神で間違いないよ」
「そう。私は『八神姫』。神の使いで神もやっているわ」
「そうか。それはよろしく。って、ええっ?神様もやってるの?」
「別にその世界で宗教の神をやるなんて珍しい事じゃないでしょ?それに神の使いも神と変わらないわよ。神に使えている神みたいなものよね」
ああ、八神教の神って事か。
世界の神がその世界を管理する管理者だとしたら、神の使いはその手足となって働く労働者って感じだ。
神の役をする事もあるし、ならば同じ神に変わりはない。
それにそもそもその世界の神は女性ではないのだ。
「それでどうかしたのか?さっき恨めしそうに神事を見ていたけれど?」
「そうなのよ!全く酷い話よね!私あんなお告げした覚えないのに、勝手にあんな事しているのよ!」
「おっ、おう。そうなのか」
つまりアレは嘘のお告げって訳か。
どうしてそんな事を‥‥って、あの貴族のボンボンのニヤけた顔を見れば分かるな。
あの女性と結婚する為に神官にこの神事をさせたのだろう。
「どうしてあんなの信じるのかしら?神のお告げって言っても、こんな適当な神様なのよ?普通の人と変わらないのよ?そんな安易に信じられちゃ困るわ!」
神様の言葉とは思えないけれど、確かにその通りなんだよな。
神様だって間違いはあるし、ただ盲目的に俺の言う事を信じられるのも怖い。
特に一神教は神の言葉を有難がって信じ抜く。
本当に恐ろしいよ。
「ねぇあなた神様でしょ?なんとかしてくれないかしら?」
「いやお前、いくら神でもどうしろって言うんだ?」
「適当に幻影を見せて『今のは嘘じゃ~』とかやってくれない?」
「そんなんで上手く行くわけないだろ?」
いや、案外上手くいくかもしれないけれど、幻影の魔法とか持ってないし。
でもなんとかしてやらないと、あの女性がちょっと可哀想だよなぁ。
「あ‥‥策也ちゃん‥‥見つけた‥‥」
「急にいなくなるからどう‥‥したのか‥‥と‥‥」
気づけば後ろにみんながやってきていた。
つかなんで想香まで狛里のような喋り方をしているんだ?
「策也さん、そちらは仲間の方々かしら?」
いきなり喋り方がおしとやかになったな。
一応神だし体裁は繕わないと駄目って事か?
「ああ。みんな俺の仲間だ。それでこっちが八神教の神である八神姫‥‥の巫女だ。名前は|八神姫巫子《やかみひめみこ》だったかな?何かに困っているようだったので声をかけたんだ」
危ねぇ。
流石に神だって暴露しちゃマズイよな。
しかし咄嗟に言った名前にしては割とマシだよな?
「はい。八神姫巫子と申します。八神姫の声を聞く事ができます。よろしくお願いしますね」
あっ、ちょっと怒ってる?
「へぇ~。巫女さんがいらっしゃったのねぇ~」
「初めて‥‥見た‥‥」
「神の声が聞けるとか凄いお!でもオデは転生前の世界で神の子孫は見た事があるんだお。特に驚かないお」
凄いとか言ってたじゃないか。
でもまあそういう事なんだよな。
地球にも管理する神がいたとするなら、天皇陛下は神の使いだったのかもしれない。
「おっとそうだ。菜乃、妃子、出てこい!」
俺は影に声をかけた。
すると少女隊の二人が影からでてきた。
「呼んだのです?」
「出てきてやったのね」
こいつらも紹介しておかないとな。
もしかしたらこの先姫巫子にも協力してもらう事があるかもしれない。
「この二人が‥‥、俺の‥‥」
みんながいる前でどう言ったら良いんだ?
「菜乃なのです」
「妃子なのね」
「はい。よろしくお願いしますね」
どうやら雰囲気で神の使いも分かるようだな。
良かった良かった。
その後、仲間みんなも自己紹介をしていった。
ただその時、少し想香の様子がおかしかったのが気になった。
「どうした想香?」
「いえ、何でもないですよ。ちょっと何かを思い出しそうになって、また消えていっただけです」
「そうか。何か辛い時は相談に乗るから言えよ。助けるからさ」
「分かりました。その時はまっさきに策也さんに言う事にします」
「おっ、おう!」
満面の笑みを浮かべてそう素直に返されると照れるじゃないか。
そもそもみゆきに似ている訳だし。
クッソ!今日は負けた事にしておいてやるよ。
俺はなんとなく想香の頭をポンポンとした。
少女隊が恨めしそうな目で見ていたのは気づかないフリをした。
さて、では観光の続きを‥‥。
なんて思った時、姫巫子が顔を近づけてきた。
「えっ?」
おい待て!何をする気だ!?
「策也さんの使いは三人いるのかしら?」
なんだ内緒の話か。
キスでもされるのかと勘違いしてしまったよ。
ああだから生前は勘違い男と言われていたんだよね‥‥。
つか使いが三人?
菜乃と、妃子と、尾花?
それとも俺の中にいる妖凛にも気がついたのか。
「まあな。色々事情があって三人連れてくる事ができた」
「そんな事もできるのねぇ」
神は使いを何人持っていても問題はない。
だけど異世界に仕事に行く時は、連れていける数が制限されている。
前にも言った通り二人までだ。
でも俺は少女隊を妃乃にして一人として連れてきていた。
「じゃあ姫巫子、今日の所はこれで失礼するよ」
「ちょっと待ちなさいよね。あのお告げをなんとかしてよ」
「しかし、どうしろって言うんだ?」
俺たちがコソコソ話していると、みんながそこに割り込んできた。
「何話しているのかしらぁ~?」
「策也ちゃん‥‥浮気は‥‥駄目‥‥」
狛里、人聞きの悪い事は言わないでくれ。
「そうです。僕というものがありながら他の女に色目ですか?!」
つか想香まで。
「旦那様。モテモテだな」
「いや尾花よ。みんな俺をからかっているだけだから」
「羨ましいお。オデもみんなにチヤホヤされたいお」
「猫蓮!マジになるなマジに!」
「冗談はおいといてぇ~‥‥。お告げをなんとかって聞こえたんだけどぉ~?」
天冉、そこまで聞こえていたのかよ。
一霊四魂に地獄耳モードもあるのかもしれん。
気をつけねば。
「はいそうなのです。今行われている神事でのお告げ。アレは私の、八神姫の言葉ではありません。だからどうにか撤回させたいのです」
「巫女さんならぁ~、そうハッキリ言えばいいんじゃないのぉ~?」
「それが、私の事は秘密なんです。それに本来は年に一度、正月にしかお告げはできないのです」
神も色々と大変だなぁ。
あ、俺も神だった。
「でもアレが‥‥嘘だって言うなら‥‥なんとか‥‥してあげたい‥‥」
「そうねぇ~。狛里ちんもお困りちんよねぇ~」
一体どうすればいいのやら。
あれ?少女隊の姿が見えないんだが?
何処行ったあいつら。
「その神官の言っている事は嘘なのです!」
「八神姫がそんな事言った覚えはねぇ!って言っているのね」
「ぶっ!」
何やってんだよあいつら。
「君たちはなんだ?!いきなり出てきてお告げにケチを付ける気か?」
「ケチを付ける気じゃなくてケチを付けているのです!」
「そもそもお告げは正月にしかないはずなのね!」
「いや今回は領主の希望という事で、特別にお告げを‥‥」
「あの八神姫がそんなに優しい訳がないのです!」
「そうなのね。お告げが面倒だから年に一回にいしてるのに、わざわざサービスなんてしないのね!」
おい少女隊!
もうそれ以上言うな!
本物の八神姫がプルプル震えだしているぞ。
「会った事があるような物言いだな?」
「八神姫とはマブダチなのです!」
「さっきも会ったのね。貴族のボンボンを見て『お告げに頼らないと結婚もできないような奴は貴族失格だよ』とか言っていたのね」
言ってないから。
流石に神様はそんな事言えないから。
「なんだと!?ぼ、ぼ、ぼくはお告げだっていうから従おうとしたまでだ!そこまで言うならちゃんとぼく自身の力で相手を見つけて見せるぞ!」
「やれるもんならやってみるのです!」
「せいぜい恥をかかないように頑張るのね!」
「そういう訳だ、君。せっかくぼくと結婚できると喜んだかも知れないけど、結婚の話は無しだ」
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
あれれ?なんか上手くいった?
つか結婚の話を無しにされて『ありがとうございます』って返しはヤバいだろ?
ほらちょっと貴族のボンボンの顔が引き攣ってるぞ。
「それではコレにて去らせてもらうのです」
「その言葉、くれぐれも忘れちゃ駄目なのね!」
少女隊はそう言って、ゆっくりと空へと上っていった。
「おおっ!八神姫のマブダチ少女たち‥‥」
「ありがたやありがたや‥‥」
「また来てください!」
マジかよ‥‥。
住民が少女隊を拝み始めたぞ。
良いのかコレで?
この世界で少女隊が神になってしまいそうな勢いじゃないか。
何にしてもこの一件は何事もなくとりあえず収まったのだった。

「そんな訳でぇ~、お告げを撤回させられたわよねぇ~?」
「そうですね。ありがとうございました」
「もちろん仕事をさせておいて無報酬って事はないわよねぇ~?」
えっ?天冉‥‥。
まさかコレでも金を取ろうというのか?
「も、もちろんです。それでいくらくらいお支払いしたら‥‥」
「そうねぇ~コレくらいかしらぁ~」
「ゲッ‥‥。あ、いえ、その額でお支払いさせていただきます」
天冉、またぼったくったみたいだな。
決して敵にはしたくない姫さんだよ。
『なんなのよこの人ー!』
うおっ!なんだなんだ?
突然テレパシー通信で姫巫子の声が頭の中にこだました。
もしかして話せる?
『えっと、どうなっている?』
『テレパシーで話せるのね。おそらく仮契約だけど策也さんの使いになったようだわ』
へぇ~そんな風になるんだ。
『そっか。だったら姫巫子はこれからどうするんだ?』
『私はこの町を離れられないわ。今の神にそう決められているもの』
なるほど、この町で神をするのが姫巫子の役割という訳か。
そしてもしもそれを怠ったら、この世界の神に何か感づかれる恐れがある。
時がくるまでは今まで通りやってもらうしかない。
『分かった。なら何かあればお互い連絡をしよう』
『そうね』
『ところで、この世界の神ってどんな奴なんだ?』
大事な事を聞くのを忘れていたな。
『男よ!』
そんな事は分かってるちゅーねん!
『この世界ができて以来会ってないから、今はどうなっているのか、何処にいるのかも分からないわねぇ。でも最初は小さな子どもだったわよ』
子供の神様だったのか。
でもこれを聞いて安心した。
姫巫子は今の神とほぼ接点がない。
つまり思い入れは無いと見て良さそうだ。
俺と少女隊のような関係だったら、流石に今までの神を裏切るような事はできないだろう。
或いは逆に神のルールを破るかもしれないと考えていた。
話した限りその様子はなかった。
『それじゃ、今までの神を倒す手伝いをするのも嫌だろうけれど、無理しない範囲で手伝ってくれると助かる』
『今更ね。私は全く問題ないわよ』
確かに今更だ。
そんな感じで俺は、新たな神の使いを仲間にする事ができた。
そして少ないけれど情報も得る事ができたのだった。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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