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やってきた災厄!巻き戻らない時

自分が正しいと思っている事を誰かに直接否定されれば、たとえそれが正論でも受け入れ難いものだ。
かといって遠回しに伝えようとした所で、やはり直接話せば嫌味に捉えられる。
特に馬鹿の説得は難しい。
そもそも賢い奴なら自ら間違いに気がついているから、間違いを押し通している奴はみんな馬鹿な訳だけれどさ。
或いはそれで上手く行っていれば馬鹿とは言えないけれど、それはそれで信じる条件を得てしまうので他人に耳を貸さない。
ならばどうすれば理解して納得してもらえるのだろうか?
日本に住んでいる頃なら、SNSなどでインフルエンサーの意見が読まれるように誘導してみたり。
或いはこちらから直接アプローチはせず、目を通しそうな|スレ《スレッド》に|レス《レスポンス》を撒いておく。
そんな事ができない世界では、結局失敗してもらうしかないのだろう。
でもその失敗が、取り返しのつかないものだったら。
或いは失敗しても認められず、引き返せない所まで来ていたら。
この世には絶対に正しい事も絶対に間違った事もあり得ない。
そんな中で、何処まで正しいと思う道に相手を引きずり込んで良いのやら。
答えは神にも分からない。

何処からともなく得られた知識が、いずれその人の思想・思考・価値観を構築していく。
でも時にそれは、たった一つの何かから生まれる事もある。
そのたった一つのインパクトの強い何かから逃れる事は、人間にはできないのかもしれないな。

赤く染まる空を行く俺たちは、直ぐにジュズの町の上空までやってきた。
町はスフィンクスに襲われたのだろう。
いくつもの火が目に入り、数え切れない煙が立ち上っていた。
ようく見るとスフィンクスはあちこちに確認でき、それぞれが人間を食らっていた。
「酷い‥‥退治する‥‥」
「僕も流石にあれは許せないのです」
「全くだお。でも今のオデには太刀打ちできそうにない相手なんだお」
確かに猫蓮には荷が重い相手だな。
でも雪月花がいればなんとかなるんじゃないだろうか。
一体くらいならね。
「旦那様。どうやら我らに気がついたようじゃぞ。撤退行動に入っておるのもいる」
また逃げる気か。
あの時逃さなければ‥‥。
いや、この数だとどっちにしても又やってきたはずだ。
おそらくあのスフィンクスは、俺たちが旅の冒険者であると理解しているのだろう。
ずっとこの町にはいないと分かっているんだ。
俺なら一匹残らず始末する事も可能だけれど、そんな派手な事をすればおそらくこの世界の神にバレてしまう。
現状それは避けなければならない。
それに全部倒した所で、これで全てとは限らない。
砂漠の中を全て探して駆除するのも現実的に難しいだろう。
とりあえず狛里と想香は大丈夫だ。
猫蓮たちがスフィンクス一体を相手にできるように、雑魚を片付けつつ別のスフィンクスを攻撃できれば良しという事で。
既に戦闘を開始している皆を追って、俺も地上へと降りた。
地上は上空で見る以上に悲惨な状態だった。
とても素晴らしいと思えた町の様子は見る影もない。
道には食べこぼしたスイカのように、人間の死体が転がっていた。
『アレは明王とかいう隊長さんなのです』
『スフィンクスに殺されたみたいなのね』
まさが明王が殺られるとはな。
あいつ一人でこの数は流石に無理だったか。
クッソ!昨日俺は何もデキなかったのだろうか。
説得する事はできたんじゃないだろうか。
駄目だ!
宗教原理主義に染まった者は、そう簡単には変えられない。
ましてこれまでそれでやってこられたのだ。
教えもとても理想的で優しさに満ち溢れている。
だけど悪意はこの世界に存在していて、こうして何時襲って来るとも限らない。
結果的に俺の方が正しかったけれど、それはあくまで結果論であって。
考えを押し付ける行為は正しいとは言えない。
それに仮に考えを改めさせる事ができたとしても、この結果は変わらなかったのではないだろうか。
俺は必死に自分を正当化しようとしていた。
俺もまだまだ心が弱いよ。
何を思ってももう時間は巻き戻らないんだ。
反省は後でするとして、今は前を見るしかない。
見ると猫蓮たちはよく戦っていた。
愛雪は相変わらずスフィンクスの全攻撃に対応している。
状態異常攻撃は全耐性で多少抑えられてはいるけれど、敵の方が圧倒的に魔力が大きく防ぎきれてはいない。
しかしどうやらサファイアバンテージの効果で、自動高速回復が行われているようだ。
舞月はエメラルドバンテージによって更に高速に動けるようになっている。
今回も妖糸線を絡めて動きを封じる作戦か。
安定した戦い方だ。
美花はルビーバンテージにより攻撃力が大幅にアップしている。
更に|陽炎《かげろう》の効果によって敵攻撃の命中率が落ちているようだ。
ただそれでも美花の攻撃では致命傷には届かないか。
いや今回のスフィンクスは地属性で、美花にとっては相性がいい。
これは猫蓮に花を持たせようとしているな。
「これでとどめだお!|爆炎地獄《ヨメへのアイ》なんだお!」
大きな爆発音と共に、スフィンクスの肉片が飛散した。
いやちょっとやり過ぎだろ。
みんな血まみれじゃないか。
まあでも無事勝てたし良しとしよう。
「尾花、様子はどうだ?」
「逃げたのは二体。狛里と想香はそれぞれ三体ずつ倒したようじゃな」
「そうか‥‥」
もう辺りに大きな魔力は感じない。
後は雑魚を狩るのと、生きた人たちを回復させて終わりだな。
『少女隊、後は任せたぞ!』
『宝物を探しに行くのです!』
『雑魚を相手に無双するのね!』
『火事場泥棒はするんじゃないぞー!つか生きてる人を助けるのが先だぞ』
『分かっているのね』
『任せてほしいのです!』
本当に任せて大丈夫‥‥だよな?
狛里と想香が猫蓮の所へと集まってきた。
みんなこの惨状に言葉が出なかった。
それでも直ぐに想香や猫蓮、それに舞月も生きている人を探して散ってゆく。
「狛里!愛雪!美花!お前たちは此処に怪我人を集めてくれ。俺と尾花で回復するからさ」
「分かった‥‥直ぐに‥‥連れて来る‥‥」
「畏まりました」
「ミィに任せるであろう」
おそらくもう治療が必要な者はほとんど残ってないだろうけれどね。
少女隊はなんだかんだ有能だからさ。
結局各自連れてきたのは、軽傷者一名ずつだった。
『それでどうだ?町の様子は?』
俺は少女隊にテレパシー通信で聞いてみた。
『町の人は天竺教の『|教閣《ごうかく》』という建物内に避難していたのです』
『教会と仏閣が合わさったような建物なのね。他は城も含めてほぼ壊滅なのね』
「旦那様。おそらくあちらの建物じゃろ。あそこから沢山の人の気配を感じるぞ」
なるほどあの建物だけは結界で守られていたのか。
アレが町全体にあれば‥‥。
いや、それならそれでスフィンクスの力なら破壊できていたかもしれない。
考えるのはよそう。
「そうみたいだな。じゃあみんなとりあえず行ってみよう」
俺たちは教閣と呼ばれる建物へと向かった。
建物の前まで来ると、少女隊と騎士たちが待っていた。
騎士たちは少女隊に助けられたようで、快く中へと案内してくれた。
中に入ると、町の人がすし詰め状態でいた。
おそらく町の半分くらいの人が集まっているのではないだろうか。
この惨状でこれだけ助かったのは、明王たち騎士隊がよっぽど頑張ったに違いない。
とは言え不幸中の幸いと言える部分もあったように思う。
こんな事になってしまったのは因果応報を完全に信じ切っていたからだけれど、それがおそらく秩序ある避難に繋がったはずだから。
日本人なら分かるよね。
「おお!貴方たちは萬屋ですね!」
「うん‥‥もうスフィンクスは‥‥倒した‥‥安心していい‥‥」
「助かったのか?!ありがとうございます!」
町の人たちは喜んで礼を言ってくれる。
でも外に出た時、喜びは絶望に変わるのだろうな。
少し申し訳ない気持ちになった。
「萬屋の方々。私はジュズの冒険者ギルドマスター吉田です。早々のクエスト実行に感謝します」
「大丈夫だお。オデたちは何でも屋なんだお」
「そうです。それにうちの店長は困っている人を助けるのが趣味ですから問題ありません」
「本当ですか!そう言っていただけると助かります」
いや今回は寝覚めが悪いからな。
今後はちゃんと自分たちで守れるようにしろよ。
「趣味じゃ‥‥なく‥‥使命‥‥」
へぇ~、使命だったんだ。
つかあんまり調子の良い事言っていると、また面倒事を依頼されかねないぞ。
俺はなんとなくそんな予感がしていた。
とりあえずスフィンクスも魔物もいなくなったという事で、住民は順次教閣から出ていった。
此処を出て何処で何をするつもりなのだろうか。
そう考えてしまうくらい町は破壊されて酷い惨状だ。
教閣を出たギルマス吉田も、流石にショックを隠せないと言った感じだった。
「これは‥‥。明王家もこれでは流石に生き残ってはいまい」
「お前らの助けた中に偉そうな人はいたか?」
「いなかったのね」
「みんな騎士か一般庶民だと思うのです」
つまりこの町の領主や指導的立場の者は皆亡くなったか。
あの騎士隊長がおそらくこの町で一番強かった。
その親族もそこそこ戦えたのだろう。
みんな戦って死んだって所か。
あれ?だとしたらどうしてギルマスは‥‥弱い?
ギルマス吉田からは全く魔力的強さを感じなかった。
俺はコッソリと狛里に聞いてみた。
「おい狛里。この世界では弱くてもギルマスになれるのか?」
俺の知る異世界のギルマスは、大抵強いのが当たり前だ。
今更だけれど気になった。
「ギルマスは‥‥ギルドを‥‥仕切る人‥‥強くなくても‥‥なれる‥‥」
ガーン!そうだったのか‥‥。
俺がショックを受けていると、話を聞いていた愛雪が珍しく話しかけてきた。
猫蓮に遠慮しているのか、あまり俺には積極的に話しかけて来ることはないんだよね。
「策也氏は知らないのですか?ギルマスは大抵吉田家がやることになっています」
「えっ?吉田ってモブキャラだからじゃないの?」
「なんでぇ?モブキャラって?」
「モブキャラというのは、何処にでもいるただの人的な意味だお。特に重要じゃない人の事だお」
「だとするとギルドマスターはモブキャラでは無いであろう」
その通りだな。
モブキャラな訳がないじゃないか。
「でもどうして吉田家が多いんだ?」
「冒険者ギルドを運営するには、必ず二つの能力を持った者が必要なんです。一つは戦闘力ですね。ある程度強い者がいないと冒険者を相手に仕事はできません」
それはよく知っている所だ。
だから俺はギルマスは強い者と思い込んでいた。
「それでもう一つが連絡だな。吉田家は何処にいてもテレパシーで話ができるんだとよ。マイたちも今では猫蓮の眷属だから、仲間内では話ができるようになった。だからこの能力の重要性は理解できたよ」
吉田にそんな能力があったのか。
何故か知らない間に情報が伝わっている訳だ。
俺たちが移動するよりも早いから、前々から気になってはいたんだけどさ。
「それで皆さん。今センコウの町の天冉さんとも話をしているのですが、おそらく今回のスフィンクス襲撃には、フリーハンド秘密結社が関わっていると思われるのです。この町にこんな災厄があるはずがありませんから」
いやいやいや、何を言っているんだこの吉田。
可能性がゼロでは無いにしても、流石にそれは陰謀論過ぎるだろ。
尾花も『スフィンクスは賢いからこの程度の動きは十分にあり得る』と言っている。
確かに九体ものスフィンクスが襲ってくるなんて稀ではあるけれど、人間がこれだけの事をできるとも思えない。
端から否定するのもアレだし、一応聞いてみるか。
『尾花。スフィンクスが人間にテイムされていた可能性はあると思うか?』
『あり得んな。あのスフィンクスたちは自らの意思で動いておった。それに私よりも上位の存在をテイムするなど、並の能力者じゃ無理じゃ』
だーよーねー!
それに今回‥‥。
「フリーハンドの仕業だと思われるって事は、今回はまだ犯行メッセージは見つかってないって事だよな?」
「えっ?あっ‥‥確かに現状見つかってはいません。ですが‥‥」
「おいお前ら。何かメッセージらしき物はあったか?」
「無かったのです。見つかったのはお金と宝石なのです」
「魔物の素材とか隅々まで探したのね。アリンコ一匹見逃さないのね」
こいつら少女隊が何かを集める為に本気になれば、ガラクタまで含めて何でもチェックしているはずだ。
現に金や宝石は見つけて拾ってきている。
「お金と宝石は町の人の物だから返そうな」
「しまったのです!」
「言っちゃ駄目なのね」
ネコババする気満々だったのかよ。
それは良いとして、今回に限って犯行メッセージを残していないってのもおかしな話だ。
むしろ今までの中で一番メッセージを残すべき犯行だろう。
組織の力を示して言う事を聞かせる為に、犯行メッセージを残すのだからさ。
今回が一番大きなインパクを残せたんじゃないか。
本当にフリーハンドの仕業だったらの話だけどな。
この期に及んでまだ天竺教原理主義を貫こうとするのか。
それともただおめでたく信じているだけなのか。
両方いるよなぁ。
これは国家の事だから、阿弥陀王家の意思なんだろう。
冒険者ギルドはそれを信じただ従っているだけか。
「メッセージはありませんが、可能性は極めて高いと見ています。センコウの町のギルドもそう判断しているようです。ですからお力をお貸しいただきたいのです」
「交渉は‥‥センコウの町にいる‥‥天冉ちゃんと‥‥やって‥‥。天冉ちゃんが‥‥やると決めたら‥‥やる‥‥」
「そうですか。ならば協力していただけると考えて良さそうですね。話はいい方向で進んでいるようですから」
「そう‥‥じゃあ‥‥決まるまでは‥‥好きにさせて‥‥もらう‥‥」
「はい。では決まり次第‥‥」
「いい‥‥天冉ちゃんから‥‥連絡もらうから‥‥」
「はい」
狛里はあまり乗り気じゃないみたいだな。
あまりの他力本願に辟易しているのかもしれない。
ちなみに天冉は狛里に対して、一方通行だけれどテレパシーでメッセージを伝える事ができる。
これは新巻鮭の能力のようだ。
「じゃあみんな‥‥町の人たちを‥‥手伝おう‥‥」
そういう事か。
今目の前で苦しんでいる人がいるのに、ギルマス吉田は復興よりもよく分からない秘密結社の事ばかりだもんな。
尤も事実であれば吉田の対応も役割を全うしているだけで否定はできない。
ただ感情を優先する狛里なら不機嫌にもなる。
そんな狛里に天冉がついている所をみると、いいコンビなんだよなぁ。
俺はそんな事を思いながら町の人たちを助けに行くのだった。
既に太陽は沈んでいた。

結局多くの住民は、寝床を確保する事もままならなかった。
なので貴重品を持って教閣に戻るしかなかった。
この世界の避難所は少ない。
丈夫な防壁があれば、中を避難所にできたかもしれない。
或いは城の守りがしっかりしていれば、開放する手もあっただろうか。
しかし城は完全に崩れ去っていた。
俺が神じゃなくて、本気で助けられる立場なら、きっとなんとかできたんだろう。
そう考えるとこの仕事、割と辛いかもしれない。
力があるのに使えない罪悪感を覚える。
ある程度やりたいようにできていたアルカディアが恋しいよ。
「今日は‥‥とりあえず‥‥此処までに‥‥する‥‥」
「分かりました。ではどうしますか?センコウの町に戻ると、僕はちょっと不安です」
「うん‥‥また‥‥スフィンクスが‥‥やってくるかも‥‥しれない‥‥」
「だったら町の外で移動用の家を使うお」
それがいいだろうな。
天冉と陽蝕ならまあ‥‥よろしくやっているだろうし。
でもここまで狛里は天冉からの連絡について何も話していない。
交渉が難航しているのか。
或いは引き伸ばしたり断る方向で動いている可能性もある。
天冉もこの話、おかしいと感じているだろうからなぁ。
とりあえず今日の所は猫蓮の意見を採用して、町の外に移動用の家を出して一夜を明かした。

そして次の日の早朝。
結局ここまで天冉からの連絡は一回だったそうだ。
内容は簡単に言うと『待て』って事らしい。
冒険者ギルドから要望が出ており、内容は『フリーハンド秘密結社の壊滅とメンバーの拘束』で、おそらく阿弥陀王家からの依頼ではないかという話。
しかし情報が全くないので、天冉は結論を引き伸ばしている状況とか。
まあ王家からの依頼だから無下には断れないけれど、流石に今の状況では了解できないとの判断だった。
そんな訳で俺たちは、今日も町の復興を手伝う事にした。
俺ももう少し力を使うか。
戦士の村でやったくらいの事までなら、おそらく大丈夫だろう。
そんな事を思いながら町へ向かっていると、一人の男が目の前に現れた。
動きが軽やかで魔力もそこそこ高く、割と能力が高そうな人に見える。
しかし殺気や敵意は全くなく、どうやら俺たちを襲いに来た訳ではなさそうだ。
尤も萬屋狛里に、なんの準備もなく一人で挑もうなんて奴はまずいないだろうけれどね。
「誰?‥‥」
「初めまして。自分は|周瑜《しゅうゆ》って言いますです。えっと‥‥萬屋ぼったくりの方々で間違い無いっですか?」
周瑜とか、やけに渋い名前だな。
モブキャラにはあり得ない名字だ。
重要キャラに違いない。
「そうです!僕たちが萬屋ぼったくりなのです!ちなみに僕は想香と言います」
「おおっ!やっと会えた。ずっと萬屋さんを探してたんでっすよ」
なんだか微妙におかしい喋りをする奴だな。
つか想香の自己紹介は流されているぞ。
想香は少し寂しそうだった。
さてこの周瑜という男、年齢的には十代に見えるんだけれど雰囲気は二十代に思える。
三国志の周瑜には似ても似つかない印象だけれど、茶髪で割と可愛い系の顔をしたイケメンだ。
果たして一体何者なのか。
やっと会えたって事は、俺たちを探していたって事な訳で。
こういうのってきっと何かがあるんだよな。
ゲームで言えばイベントだ。
俺は今、何かが一つ動きそうな予感がしていた。
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