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覚醒の連鎖!猫蓮頑張れ!

日本では『傘と自転車は共有するもの』という暗黙の了解がある。
全ての日本人が『盗みはイケナイ事』だと知りながら、傘立てにビニール傘があれば持って行く。
あのお笑い芸人も、サドルが盗まれた事を笑い飛ばしていた。
何なんだろうね、この感覚。
「そんな暗黙の了解があってたまるかー!」
傘だろうと自転車だろうと、他人の物を盗んだら窃盗罪だからね!
絶対に盗まないように!

昨日は天冉の気持ちを考慮して、陽蝕との合流を急いだ俺たちは空を飛んだ。
だけれどこの旅の目的は楽しむ事。
もう飛ぶなんて選択肢はあり得ない。
かと言ってこのヤバい日差しの中を行くのもリスクがある。
全耐性を持っていればおそらく問題はないけれど、紫外線を何処までカットできるのかは試した事もなく。
相手はあの太陽だからな。
俺たちの常識で計れるレベルではない。
「少し日焼けしちゃってるわぁ~」
「私も‥‥少しだけ‥‥焼けてる‥‥」
何故か日焼けは天冉と狛里だけなんだよなぁ。
そんなに目立つほどじゃないけれど、他が全くだから比べれば分かる。
俺と猫蓮は不老不死だから百パーセント日焼けはあり得ない。
想香や尾花は全耐性持ちだからほぼ日焼けしていないのも分からなくはない。
陽蝕はフードを被っている事も多いから、それで守られているのだろう。
でも雪月花の三人はどうして焼けてないなのだろうか。
「三人は全然日焼けしてないんだお?」
「アイたちは日焼けしません。人間の姿をして人間とほぼ変わりませんが、一応はぐれレッサーデーモンですから」
「そうそう。日焼けとか人間は面倒だな」
「でもミィは日焼けするのに少し憧れるであろう。ちょっと格好いいであろう」
「そうなんだお?女性の九割は日焼けしないのを羨ましいと思いそうだお」
なるほどそんな理由でねぇ。
「じゃあ尾花も日焼けしないとか?」
「しないのぉ。前にも言ったと思うが、子を産むまでは人間ではないからの。今は人間に変化しておる状態だな」
「そうだったな」
つまり変化だからいつも同じ姿になるって事か。
まあでも想香が日焼けをしていないんだから、今後はもう誰も日焼けをしないと考えられるよな。
「できれば砂漠だけでも日光を避けたいわねぇ~」
天冉には既に完全耐性があるんだから、もうコレ以上は焼けないはず。
だからと言って大丈夫だと断言できない俺がいる。
日焼けなんて確認した事ないしさ。
だいたいちょっとの日焼けくらい良いじゃないかと思わなくもないけれど、特に今の天冉は乙女だからな。
下手な事は言わない方が身の為だろう。
そんな訳で遺跡を西に向かって歩いていると、遺跡の出口に何か見覚えのあるものが見えてきた。
「これは‥‥」
「傘なんだお!日傘にもなるお!しかも十本だお!」
なんでこんな所に都合よくあるねーん!
見ると他にも、石碑と平たい船のようなものがあった。
一体何が書いてあるんだ?
『傘と自転車は共有します。ご自由にお使いください』
こりゃ、北都尚成の字だな。
しかし自転車ってなんだよ。
確かに日本じゃ傘と自転車は共有するものってのが暗黙の了解だったかもしれないけれど、ちょっと自転車って言うには無理がありすだ。
「この船みたいなものの中に、何か変なものがあるぞ?」
「これはサドルとペダルだお。これを回すとタイヤが回転する仕組みだお」
全部あるんかーい!
「よし!我がやってみる」
「此処に座って、足でこのベダルを回すんだお」
「こうか?」
「できるだけ速く回すんだお」
「うおぉー!」
陽蝕は全力でベダルを漕いだ。
すると平たい船のようなものの下から砂煙が上がる。
どうやらタイヤらしきものが隠れていて、それが回っているようだ。
でもこれ、砂漠じゃ進まないだろ?
しかも掴まる所は有っても操縦するハンドルはない。
ん?船の後ろに何か書いてあるな。
『念力を使って飛ばして使用するのがお勧めです』
「ブッ!」
ネタの為にサドルとペダルとタイヤを付けたというのか?
まあ俺ならやりかねない。
しかしなんか恥ずかしいぞ。
ハッキリとは言えないけれど、俺って四十代まで子供だったんだな。
今が大人だともハッキリとは言えないけれど。
「猫蓮!どうやらこれは念力で浮かべて使うみたいだぞ?」
「そうなんだお?」
「そう後ろに書いてある」
「分かったお。だったらオデが浮かべてみるお」
「頼む」
自分でやるのは面倒だからな。
それに猫蓮にはできるだけ魔法や能力を使わせて強くなってもらうのだ。
「割と軽いお!」
「そうなのか?中はなんとなく座れるようになっているし、とりあえずみんな、乗ってみようぜ!」
「分かりました!僕が先頭に乗ります!」
「私も‥‥前に‥‥乗る‥‥」
「天冉、手を貸すぞ!」
「ありがとう陽蝕くん」
「尾花も雪月花もみんな乗れ!」
「大丈夫なのかえ?」
「先輩の事は信じています」
「そうそう。猫蓮なら大丈夫だぜ」
「ミィは軽いであろう」
そんな訳で全員が船、じゃなくて自転車に乗り込んだ。
「結構重くなったお。それでどうしたらいいんだお?」
「このまま行きましょう~」
「うん‥‥砂の上‥‥歩くの大変‥‥」
「砂に足を取られて百キロはキツイのです。砂漠はどうせ何もありません。これで行くのに賛成です!」
「天冉、傘もあるから使っておくのがいいだろう」
「ありがとう陽蝕くん」
まさかコレに乗って行くとは思っていなかったんだけれど、そういう流れになってしまったようだ。
「マジかお?かなり大変なんだお」
「猫蓮。我はこれを回せば大丈夫か?」
「不要だお。むしろ揺れるから操作が大変なんだお」
「ならば見ている。残念ながら、我が授かったのは|念動力《テレキネシス》なんだ。|念力《サイコキネシス》は使えない」
念動力ではどうやら人は瞬間移動させられないか。
それに確か念動力には成約があって、無条件で効果を発揮できるのは自分の物か誰の物でもない物と決められている。
猫蓮に頑張ってもらうしかない!
『策也タマも念力が使えるのです』
『でも完全に自分が助ける選択肢は頭に無いのね』
ああ無いとも!
何度も言うようだけれど、面倒だからな!

さて始まった自転車の旅。
一人必死に魔法をコントロールしている猫蓮を尻目に、みんなのんびりとした砂漠の旅を楽しんだ。
しかし十分もすると、最初は珍しい乗り物にテンションを上げていた連中も徐々に飽きてくる。
黙って座ってはいられなくなってきた。
「なんだか無性に魔力コントロールの練習がしたくなったのです。天冉さん、見ていてください」
「いいわよぉ~」
「では我は素振りでもするか」
「私は‥‥パンチの‥‥練習‥‥」
「私はフェンリルの姿になって日光浴でもするかの」
おいみんな。
あまり動くと猫蓮がコントロールしにくくなるだろ!
それに尾花よ。
体重が格段に重くなっているよな?
ほら、猫蓮が半泣きじゃないか。
「先輩!頑張ってください。アイたちは応援しています」
「そうだぜ。マイたちがついてるんだぜ」
「ミィたちは三人で応援するであろう」
「あ、ありがとうなんだお。でも、できればあまり動かな‥‥いで‥‥ほしいお」
雪月花たち、飛び跳ねて応援はどうかと思うぞ。
でも応援って力になるからなぁ。
きっとプラマイゼロで大丈夫か。
そんなこんなで更に十分が過ぎた。
猫蓮頑張ってるな。
嫌がらせのようにみんなが好き勝手していても、猫蓮は念力で自転車を操作し続けている。
あの時は一時間牛糞をばら撒いてへばっていたけれど、今日の二十分はあの時以上に辛いはずだ。
成長してもいるだろうけれど、今日は気合というか意思も感じる。
陽蝕の爆発的な成長が、猫蓮に良い影響を与えたか。
猫蓮も覚醒しつつあるのかもしれない。
こうなってくると又分からなくなるな。
この世界の神になるのは一体誰なのか。
これで案外神猿とかだったら大爆笑なんだけど。
何にしても、おそらく仲間の力は必要になってくる。
普通にやれば神を一人で倒す事なんてできない。
何故なら、神のテリトリーがあるからだ。
俺は色々な人たちから力を貰い、合体して神を倒した。
だけどテリトリーの外なら、きっともっと簡単に倒せていただろう。
俺チートだし。
俺が適当に定めるレベルとクラスは、一応神の世界でもだいたいそのまま通じる事を知った。
だからそのレベルとクラスで説明すると、レベル三百が常人とそうでない人の神クラスを分ける境目となる。
そしてレベル四百以上が神の領域として神になる為の最低限の条件だ。
四百以上になれば、魔力で負けていても勝てる可能性があるかららしい。
つまり神を倒して神になった者は、みんなレベル四百以上の神の領域にある。
しかし元々神として存在する世界の神は、レベル三百五十以上の大神クラスである事が多い。
そんなに強くは無いわけだ。
それでもテリトリー内に入るとレベル五百を越えてくる。
俺の魔力の最高到達点はそれを超えたからこそ勝てた訳だけれど、仲間の助けや合体が有ってこそ。
今は五百を超える事はできない。
さて現状仲間たちの魔力だけれど、この世界だと俺は正確な数字を把握できてはいない。
全く魔力を抑えられない狛里は一番分かりやすいけれど、それでも三百を超えているというくらいにしか把握できない。
ちなみに姫巫子も、神の使いだから三百以上はあると思われる。
次に大きい魔力を持っているのが、北都尚成に変化した乱角か。
俺の憶測も含めて、この世界からいなくなった時の北都尚成がレベル二百九十五と考えられる。
だからそれよりも低いのは間違いないけれど、割と近い数字ではあるかな。
次に魔力が大きいのは、バーサク状態の荒魂天冉だ。
二百七十以上のレベルだろう。
仲間ではないけれど、次は東海林久美か。
レベル二百五十以上の大魔王クラスで、アスモデウスや千年竜よりも強い魔力を感じた。
強くなった陽蝕はこの次か。
おそらくレベル二百以上の魔王クラスまで魔力を大きくしてきている。
元々出会った時はマスタークラスだったので、レベルは倍近くにまでなった。
尾花も差はないけれど、まだ魔王クラスには届いていないといった所か。
残りはみんなマスタークラスの域で、レベル百から百五十の間。
その中で一番大きい魔力を持っているのは想香だけれど、この辺りの差は俺から見れば無きに等しいな。
尤も想香の武器は魔力ではなく、アホみたいに鍛え上げられた兎束流剣術なので、魔力だけで強さを判断して戦いを挑んだらみんな負けると思うよ。
そうそう、ちなみに天冉の兄である神猿は、レベル百五十を超えるドラゴンクラスだ。
次に会う時にどれくらい強くなっているのか楽しみにしている。
「頑張れ頑張れ猫蓮!」
「死ぬ気で頑張れ!」
「猫っち、流石であろう」
雪月花たちの声に、俺は意識を現実に戻された。
考え事をしている時は、知らずに妖凛モードに入るようになっている。
妖凛モードとは、妖凛に体を任せてその他の思考全てで考え事に集中した状態だ。
妖凛と一心同体となれたのは本当に便利だよ。
流石に元邪神だけあって、元人間の俺よりも頭が良いしね。
それにしても猫蓮、思った以上に頑張っているな。
気がつけば更に十分が経過していた。
心|做《な》しか猫蓮の魔力が増えている気がする。
表情も最初より余裕が見られる。
この雪月花の三人が、猫蓮を支え始めているのか。
今はもう猫蓮のオーラに当てられる事もかなり減った。
俺が妖凛や少女隊の力を取り込めるように、猫蓮も雪月花を取り込める日は近いかもしれない。
まあ、この世界の理や摂理はまだまだよく分かってはいないけれどね。
それにしても、少女隊まで船、じゃなくて自転車の甲板に出てきて暴れまわっているんだが。
猫蓮を鍛える為に協力してくれているようにも感じるけれど‥‥。
ただの嫌がらせだよな。
それでも俺は少女隊を止める事もしないで、ただ心の中で猫蓮を応援するのだった。

結局二時間くらい猫蓮は自転車を走らせた。
時速三十キロくらいで動いているから、もう残りは半分を切っているな。
このまま行けばあと四・五十分で砂漠から出られるだろう。
砂漠の遺跡が通常の最短ルートよりも少し北にずれているから、そろそろ南に進路をずらした方が良いかもしれない。
通常ルートから外れると、情報に無い何かがあるかもしれないしね。
なんて考えていたら、前方に人工物か遺跡か、或いは少しの緑も見えてきた。
「あれはなんでしょうか!?なんとなくですが人が住んでいそうな気配を感じます!」
「うん‥‥木もあるし‥‥きっと‥‥アレは家‥‥」
間違いない。
砂漠のオアシスといった感じの場所だ。
しかし何か普通じゃない。
あれは、ワームの群れに襲われているのか?
「みんな!‥‥魔物に‥‥襲われてる!‥‥」
「助けに行きましょう!猫蓮さん、スピードを上げてください!」
助けに行くのは良いけれど、流石に猫蓮にその注文は酷だろう。
でも猫蓮は想香の注文に素直に従った。
「ま、任せておくお!オデ、頑張るお!ぬおぉぉー!」
「マジかよ」
猫蓮の成長が急激に早くなっている。
これは陽蝕の成長に当てられたな。
雪月花を守らなければならない責任感が猫蓮にきっかけを与え、そして友達でありライバルでもある陽蝕に先を越された危機意識が成長を加速させる。
聞こえるぞ、覚醒への遥かな|轟《とどろき》が!
猫蓮の魔力が跳ね上がった。
それに合わせて自転車の速度が倍以上に上がった。
凄いぜ猫蓮。
やっぱりお前が神候補かもしれない。
「遅い‥‥これじゃ‥‥間に合わない‥‥」
「そうですね。飛んで行くのです!」
「我もいくぞ!せっかく飛行魔法も覚えたからな」
お前ら‥‥。
確かにこのスピードよりは飛ぶ方が圧倒的に速いけどさ、もう少し猫蓮の気持ちも考えてやれよ。
といっても、猫蓮は集中していて他は目に入っていないようだった。
大丈夫そうだし、俺も行くか。
「尾花はここに残っておいてくれ。俺は様子を見てくる」
「了解した」
俺も直ぐにみんなの後を追った。

さて状況は‥‥。
ワームと戦っているのは、黒人?
このオアシスの村は、黒人の村か。
しかも濃い色をした者たちばかりが集まっている?
もしかしてこの世界でもやはり黒人は差別の対象となっているのだろうか。
振り返って思い出してみると、町ではあまり黒人を見なかった。
おそらく全体の一パーセントくらいだろう。
それに此処までに見てきた黒人は皆、小麦色の肌の黒人ばかりだった。
ちょっと嫌な予感がするな。
以前から話している通り、差別というのは『恐怖』というものが大きな原因の一つとなっている。
黒人は他の人種よりも身体能力が優れており、ヒョロ日本人だった俺は正直怖いと感じていた。
その肌の黒色も、恐怖を感じさせる色彩効果を持っている。
闇の色だからね。
そして実際に自分自身が力を持って分かった事だけれど、力があれば力で自分の正義を押し通そうと考えてしまうものだ。
日本で暮らしている頃、俺は暴力を振るったり喧嘩をした事がなかった。
しかし転生して力を得てからは、度々暴力で問題を解決してきている。
もちろん理性で止める場合も多いけれど、怒りを理性では抑えられない事もあり、やはり力のある者が暴力に訴える可能性は力の無い者よりも多くなるのだ。
ただし暴力を単純には否定できない。
それは人間としての本能の部分でもある訳だし、見方によっては当然とも言える。
そうすると弱い人間はどうするのか。
これもまた人間としての本能で、集団となって対抗しようとする。
頭を使って対応すれば、それが差別となる訳だ。
だから暴力を完全には否定できないのと同じように、差別もまた完全には否定できない事になる。
どちらが先でどちらが後なんて事で優劣も付けられない。
何故なら、産まれた時から違いを持って産まれてきてしまっているのだから。
つまり暴力も差別もあって然るべきであり、問題は程度という事になる。
こんな所に追いやられて暮らしているのだとしたら、少しやり過ぎな気もするけれど果たしてどうなのだろうかね。
俺がそんな事を考えている間に、沢山いたワームはドンドン片付けられてゆく。
流石は黒人、戦闘力が高い。
そこに狛里と想香、それに陽蝕が加われば、結果は分かりきっていた。
ワームの群れは全て倒れていた。
程なくして、ようやく猫蓮のコントロールする自転車が村に到着した。
俺たちは皆そこに集まり、村の方を窺う。
村人たちがドンドン集まってきて、俺たちの方へと歩いてきた。
さて、どういう反応になるのかねぇ。
「旅の冒険者の方々ですか?先ほどはありがとうございました。ワームの討伐に手こずっておりましたので助かりました」
「ありがとう!いやぁ~お強い冒険者たちだ」
「是非お礼がしたい。村に寄っていってくれ!」
「此処は温泉も湧くのですよ。ゆっくりしていってください」
あら?思った反応と違った。
こんな砂漠の辺境で他の人種と交わらずに暮らしているのだから、てっきり排外主義的な感じか、人間不審な感じだと思っていたんだけどな。
「天冉。ここまで歓迎されたら寄っていくしかあるまい」
「陽蝕くんがそう言うならそうしましょう~」
「美味しい‥‥食べ物はある?‥‥」
「お礼は沢山のごはんでお願いするのです。でもその前に温泉が良いですね!」
「オデは疲れたお‥‥。とにかく休めるのは嬉しいお‥‥」
「もちろん、美味しい食べ物もありますよ。温泉は何時でも入れるようにしています。先に入られるのならお背中お流ししますね」
マジかよ。
なんだか観光地にきたような気分になるおもてなし対応だな。
まさかこんな所にこんなにもフレンドリーで素晴らしい人達がいるとは。
しかしどうしてこんな人が寄り付かない場所で暮らしているのだろう。
その辺り少し引っかかるな。
それに何と言うか、何処か嘘っぽくも感じる。
そしてもう一つ、気になる事があった。
どういう訳か、狛里の肌の色が少し焼けているように見えるのだ。
うむ、けしからんな。
小麦色の肌をした若い女の子って可愛いよね?
つか全耐性が機能していないのか?
もしそうなら後で直してやらないとな。
つか狛里のが機能していなければ、雪月花のも同じはずだ。
全部チェックが必要か。
そんな事を思っていた。

村に案内され、俺たちはいくつかに別れる事となった。
天冉と陽蝕は村の長に挨拶に、狛里と雪月花は食事に、想香と尾花は温泉に、そして俺は力を使い果たしグッタリしている猫蓮と一緒に木陰で休んでいた。
流石に猫蓮は疲れたみたいで、今は意識もなさそうだ。
でもこいつ、魔力が増えたよな。
今まであまり増えなかったのに、ここに来て何かが変わっている気がする。
ぶっちゃけ想香よりも魔力で上回ったんじゃないか?
想香も出会った頃よりは多少魔力が大きくなっている気はするんだけれど、基本的には成長が止まっているように感じる。
ん?想香と出会った頃?
なんだろう。
前にも想香に出会っていた感じがするな。
そうそう、ずっと見た目に意識が行きがちだったけれど、同じような魔力を何処かで感じた事があるというか‥‥。
あれ?兎白に似ている。
でも少し別の人な感じもするな
岩永姫にも似ているか‥‥!!
おっとどうやらまた、俺は考え事をする為に妖凛モードに切り替わっていたみたいだな。
気がつくと俺たちは黒人戦士に取り囲まれている。
なかなか強い奴らが集まっているな。
ドラゴンクラスがこれだけ揃うのを見るのは初めてかもしれない。
「悪いがあんたたち、死んでもらうぞ」
「そっちのは魔力を使い果たして動けないようだな」
「そしてお前は俺たちと同レベルくらいか」
「つまりこれだけ人数の差がある今、お前は此処で死ぬ事になる」
良さそうな人たちだと思っていたけれど、油断させる為の罠だったか。
力のある者がこれだけ集まってこんな所に住んでいるんだ。
何かあるとは思っていたけれどさ。
という事は、それぞれ同じように襲われている可能性があるか。
天冉の所は大丈夫だろう。
この村に天冉の荒魂を凌げる者はいない。
当然狛里に勝てる奴もいないだろう。
あれ?でもおそらく全員殺せると思ったから動き出したんじゃね?
毒殺か?!
でも全耐性を‥‥。
ちゃんと機能していない可能性があったじゃないか!
それに温泉に行った想香と尾花は無防備。
ヤバい!
そう思った時、尾花からテレパシー通信が入った。
『旦那様、想香が背中から心臓を一突きで殺られたのじゃ。私も‥‥』
俺は一瞬目の前が真っ暗になった気がした。
兎白‥‥。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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