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冒険者ギルドとの決着

魂とは記憶。
少しずつ忘れ、やがて死ぬのが老衰死。
記憶は魂。
それは異世界転生の始まり。
あなたが忘れた過去の記憶は、魂となって異世界で生を受ける。
忘れたあなたは、転生者という自覚はないけれど生きている。
なんとなく既視感を覚えたり、それは本能となって残る。
しかし若い頃に事故などで死ねば、全ての記憶を持った魂が転生を自覚する事になる。
だから転生者は、ダンプカーに跳ねられて死んだ若者が多いのだ。
ヨボヨボの爺さんが転生者になった話は聞かない。

戦いの注目は、左之助対黒川へと移っていた。
既にモブキャラ三人衆は倒れた訳で、勝敗は決していると言ってもいい。
雑魚がいくら集まった所で、一緒になって魔法を放つなどしない限り、強者を倒すのは難しいのだ。
或いは特別な魔法だけれど、それは妖凛と冥凛が完全に抑えてくれている。
勝ち目がない事は、黒川なら最初から分かっていただろう。
それでも香の為に戦うというのだろうかねぇ。
とは言え、左之助とのタイマンなら、黒川が勝つ可能性の方が高い。
あくまで魔力勝負、或いは転生者のアドバンテージという意味でね。
でも黒川って、転生者としては弱いし、特にゲームが好きだったという記憶もない。
香を追って転生はしてきたけれど、その思いだけでどれだけ強くなれるだろうか。
まあ物語の定石だと、愛の力ってのは最高レベルで扱われるんだけどさ。
俺を主人公にするような誰かが、そんな真っ当なストーリーを描くとも思えない。
‥‥。
いや、既に使っていたな。
だけれど流石にそう何度も使ったりはしないだろう。
と思いたい。
「俺は香の為に、そう何度も負けられないんだよ!」
「俺には関係ない。ただお前を倒すのみ」
戦いへの意思だけは互角かもな。
愛を掴みたい黒川と、自由を掴みたい左之助。
でもさ、この両者が持つ勝ちへの執着には決定的な違いがあるんだよ。
それは‥‥。
「死ねぇ!」
「絶対に負けない!」
命がけかどうか。
黒川は死んでも生き返るという安心感がある。
一方左之助は死んだら終わりだ。
だから力も入るだろう。
尤も俺を信じてくれているのなら、その差もないんだけれどね。
逆に死への恐怖があるのなら、それが隙となる可能性もある。
結局の所、この二人の戦いはどう決着がつくのか予想は難しいな。
向こうではアーニャンと霧雨が戦っているけれど、そちらも俺は一寸神を使って見守っている。
そしてやはりそちらの戦いも、結果を予想するのは難しい戦いとなっていた。
「そもそも女の子が戦うのはおかしいと思うのよ」
「そう言いながらも、重い攻撃を放ってくるじゃないか」
アーニャンは転生前、生物学的には男だったんだよな。
とはいえやはり身体能力が高ければ、それは戦闘には有利になる訳で。
真っ向からぶつかったら、同じ魔力だと男に分がある。
ただお互いまだまだ力を出し切っておらず、戦いは長くなりそうだ。
そんな訳でやはり今は左之助の戦いが気になる。
「うらぁ!超重力だ!」
「くっ!」
左之助がまともに黒川の魔法に捕まったか。
黒川はなんだかんだ言ってもやはり転生者。
無茶な戦いも通してしまえば道理など引っ込む。
でも戦闘センスは明らかに左之助。
超重力の魔法を瞬時に解除して、紙一重で黒川の攻撃をかわしていた。
剛の黒川と柔の左之助って訳じゃないけれど、左之助は黒川相手に綺麗に戦おうとしているのがマイナスになっている気がする。
力押しの黒川の攻撃に対して、常に受け身ではいずれやられる。
そう思った時、黒川の剣が左之助の肩を|掠《かす》めた。
「くあっ!」
これはヤバいな。
掠めただけとは言え、黒川の攻撃は重い。
「動きが少し落ちてんぞ!」
こりゃ、左之助が負けたか?
やはり愛の力は強い。
あの歌手も歌っていたではないか。
最後に勝つのは愛だと。
しかし残念だな。
アーニャンが転生者だとしたら、神になる男に関係している可能性がある。
ならば左之助が、神になる未来もあるのではないかとこっそり期待していた。
でも同じレベルの黒川に負けるようじゃ、きっと神にはなれない。
むしろ黒川の方が可能性があるんじゃないだろうか。
左之助は更に傷を負わされ、どう見ても負け確だった。
とりあえず助けてやるか。
そう思った時、深雪が黒川を後ろから斬りつけていた。
「ぐあっ!一対一の戦いに‥‥、卑怯だぞ‥‥」
「別にそう決まっていた訳じゃないよね?」
「ん?‥‥そう言われてみれば‥‥。ガクッ‥‥」
黒川は致命傷を負わされ、その場に倒れた。
倒したのは深雪か。
特に『加勢するな』とは言っていなかったけれど、残念な結果だ。
これで左之助が神になる可能性は限りなくゼロになった。
まああくまで俺の勘だけれどね。
とにかくこれで、後はギルドのトップ霧雨とアーニャンの戦いだけか。
霧雨を倒してしまえば‥‥。
どうなるんだ?
今回はギルドがルールを破った俺たちに制裁しようとした。
というか死刑だけれど。
しかしそれを返り討ちにしたとして、実は何も変わらない?
もう狙われなくなるって事もないだろうし、今度は方法を変えてくるだけではないだろうか。
倒して霧雨をコントロール下に置き、ギルドを乗っ取りでもしない限り意味はない。
アーニャンはどうするつもりなのだろうかね。
そういうのは勝ってから考えればいいか。
それにしてもやはりアーニャンは転生者だ。
魔法の呪文というか名前が、パクリ過ぎて放送できない。
ドラゴンなんちゃらとか、ファイナルなんちゃらに出てくる魔法名そのままなんだけどw
此処までは魔法を使わなかったので気がつかなかったけれど、完全にオタクだよな。
猫蓮とはまた違った感じだけどさ。
しかも戦っていると言葉遣いがヤバくなってくる。
「くぉらぁ!いてまうぞ!」
「既にそのつもりに見えるが?」
元男だからな。
女性に性転換したタレントでも、時々男のような言葉遣いになるよね。
なんだかんだ、その時やっぱり男なんだなって思うよ。
男として生まれてきた以上、やはり男の要素ってのは少なからずあるんだよなぁ。
ただ見た目が女の子になってしまえば、身体能力は落ちる訳で。
魔力が高くなればその差は失くなってゆくけれど、同じ魔力量なら身体能力の差で勝敗が別れる事もあり得る。
体が小さい方が魔力コントロールはしやすいけれど、男女の差くらいでは差が出ない。
俺の見た所、ほとんど魔力は互角。
若干アーニャンが勝っているようにも感じるけれど、それは身体能力で埋められる程度。
しかし転生者なら、ゲーム世界で勝つ方法なんて知ってるよな?
「愛の力?」
おいアーニャン。
俺の心を勝手に読むんじゃない。
「JKキーック!」
「おい!はしたないぞ!」
「JKパーンチ!」
「うげっ!」
パンチラに目を奪われるとは、霧雨も最低だな。
違う!
そうじゃないだろ。
異世界人の利点は、豊富な知識と想像力じゃないのか?
魔法は想像からの創造なのだから、何かしら必殺技を考えられるはずだ。
「私はただの女子高生だよ?」
だから心を勝手に読むんじゃありません。
「そして女子高生の得意技は、おっさんを魅了することなのよね。おっさん助けてー!」
「まったく、仕方ねぇなぁ~‥‥。ハッ!俺は今何を?」
「ありゃりゃ。やっぱり完璧には無理かぁ。私の得意技は『他力本願』なんだよ。全ての人を救う為なら、阿弥陀様が味方してくれるんだけど、まだまだ思いが足りないかなぁ」
危ない危ない。
つか俺はやはりおっさんなのね。
中身は爺さんの域だけどさ。
見た目は十八歳なのに。
しかも女性っぽい見た目なのに。
能力は正しく働く訳だ。
「こらっ!お前たち、やめろ!」
敵の一部おっさん共が霧雨に攻撃をしていた。
おっさんは辛いよ。
女子高生を守る為なら、相手がたとえ味方でも戦わねばならない時がある。
そして両者のバランスが崩れたら、アーニャンの勝ちだ。
「卒業!」
アーニャンはそう言って、霧雨の心臓を抜き取っていた。
第二ボタンの代わりに心臓をいただくのか?
恐ろしい技だな。
あのハンターの子供が活躍する漫画で、主人公の友達が使うアレのようだ。
死んでも生き返る世界とは言え、ハートである心臓を抜き取ると何か後遺症のようなものが残る予感もするぞ。
俺はなんとなくそんな事を思った。
とにかく、これで俺たちの勝ちは決まった。
敵のモブキャラたちは霧雨がやられたのを察し、徐々に戦闘をやめてゆく。
力の差も理解しているようで、全面的に降伏してきた。
「俺たちじゃあんたたちには勝てんわ」
「負けを認めるよ」
「だけどこの世界で、あんたたちが心安らかに生きられる事はないぞ」
まあここで勝っても、冒険者ギルドはまた別の手で命を狙ってくるだろう。
こいつらの言う通りだ。
「何言ってるの?冒険者ギルドのトップは私になるのよ?」
アーニャンは何を言ってるんだ?
勝ったからと言ってそんな訳ないだろ?
「その通りだ。アーニャン様が冒険者ギルドのトップになる。現在トップの俺が言うのだから間違いはない。アーニャン様。ギルドマスターの地位、お譲りいたします」
‥‥。
何がどうなっている?
先ほど心臓を抜かれて死んだはずの霧雨が生きている?
俺は神眼で解析した。
なんだと!?
霧雨がアーニャンのコントロール下に置かれている?
心臓、即ちハートを奪う技なのか。
実際に心臓を抜き取る必要があるけれど、条件を満たせば相手は自分の思うがまま。
眷属にする技だな。
おそらく条件の一つに、女が男にしか使えないってのがありそうだ。
殺さないのなら、これ、神にも通用するんじゃないか?
無理か。
おそらく魔力で上回るとか、当然その辺りも条件になり得る。
あくまで同程度の相手までか。
それでも今回、霧雨をコントロール下に置けたのは大勝利だ。
冒険者ギルドさえ抑えてしまえば、俺たちが冒険者に戻って襲われる事もなくなる。
「これで私がギルドマスターなのね。それじゃ、冒険者資格を失ったみんなを、冒険者に戻す事も可能よね?」
「それは無理です。変更不可能な冒険者ギルドのルールに抵触します。アーニャン様もマスターにはなれますが、不死である冒険者に戻る事はできません」
みんなが不死に戻る事は不可能か。
それでも、襲われなくなるだけで動きやすくはなる。
どうせこの先、神との戦いともなれば、不死もどこまで保証されるか分からない。
それに俺たちが必ず蘇生する訳だから、そこは重要ではないんだよね。
そもそもみんな、不老不死になるのを断っている訳だし。
「そういう事みたい。みんなを冒険者には戻せないわ」
「正直冒険者に戻りたいとも思わないのだ」
「そうだな。でもこれで、俺たちが襲われる事はなくなるんだろ?」
「それはね。でも私だけが冒険者側に戻っても、色々不便そう‥‥」
動かせるコマが欲しいってね。
アーニャンは女だし、神との戦いに向けて強くなってもらう優先度は低い。
ならばこれからは、世界の正常化に向けてできるかぎり頑張ってもらおう。
「俺はアーニャンについていく。どうやら俺の力じゃ足りないみたいだからな。だけどアーニャンを補佐する事くらいはできるはずだ」
左之助‥‥。
今の魔力で黒川に負けてるようじゃ、神にはなり得ないと思う。
それでも現状アーニャンに一番近い味方。
それが良いか。
やはり土筆か孔聞が最右翼。
或いは奇乃子が男になる事があるのか。
とにかく冒険者ギルドとの戦いは終わった。
これからはアーニャンと左之助を中心に、この世界の冒険者ギルド改革が始まる。
別行動になりそうだな。
俺たちは傷ついた者たちを助けた後、ホームであるにっこりタウンへと戻った。

戻ったんだけれど‥‥。
「あれ?どうしてアーニャンも付いてきてるんだ?霧雨や黒川まで?」
「私、冒険者ギルドのマスターになったんだけど、町には入れないみたいなの。だから冒険者ギルドの本部はここに置く事にするわ」
「‥‥」
「町の名前も『にっこりタウン』改め、『冒険者ギルドタウン』にするわね」
「‥‥」
俺たちが作った町が、冒険者ギルドに乗っ取られました。
でもその方が、この町で暮らす人たちにとってはいいか。
元冒険者たちはこの町でしか暮らせないけれど、冒険者ギルド本部があれば世界の首都と言ってもいい。
一生東京で幸せに暮らす人もいるのだから、この町にさえ入る事ができれば十分やっていける。
というか俺たちは、本当に冒険者ギルドに勝ったのだろうか。
世界の理を覆す事はできてないんだよな。
冒険者ギルドが冒険者に町を襲わせる事は失くなるだろうけれど、冒険者だけが永遠の命を持ち、おそらく繰り返すだけの世界に変わりはない。
根本解決には至らないし、俺たちの目的はまだこれからだ。
だけど第一歩。
「だったらとりあえず、冒険者ギルドの本部らしい建物にするか」
「よろしくね」
よくよく考えると、俺はここに町をつくる必要があったのだろうか。
このまま最強のダンジョンへ向かって天界へと行き、香を探して神を倒すなりすれば終わりな訳だ。
結果的に見れば、アーニャンたちに利用され、欲しいものをプレゼントしたようなもの。
でも俺たちが神を倒した後の世界を考えれば、しばらくこの町が必要とされるのだろう。
これで良かったんだよね?
それに、香が見つかれば俺の任務も終わりに近いのだろうけれど、そうではない可能性だってある。
北都尚成が俺たちを誘い天界へ向かわせるのは何故だろうか。
神の存在とは関係がないかもしれないし、黒川の言う『香を守る』って事もよくわかっていない。
単に香と尚成が平和に暮らすだけなら、世界が変わったって問題はないはずなんだよな。
「黒川、話を聞かせてはもらえないか?」
俺は一緒に来ていた黒川に話しかけた。
しかし黒川は話そうとはしなかった。
「俺は何も言わん。この世界は香の為に存在しているとか、住人もそうだとか、そんな事は天界に行ってから自分で確認すればいいだろ」
「そうか。ありがとう」
話そうとはしなかったけれど、キッチリ話してくれました。
やっぱり香を見つければ、すぐに神に繋がる可能性がありそうね。
今日の冒険者との戦いは、もしかしたら前哨戦だったのかもしれない。
そしていよいよ神に近づく。
ちょっと待て。
今の土筆や孔聞に神が倒せるのだろうか。
奇乃子も男にはなれていない。
展開が早すぎやしないか?
だいたい神の仕事は百年の猶予があるんだぞ?
イスカンデルに引き続き、ここも早くに終わるのだろうか。
なんとなくそんな予感はしている。
ちょっと普通の仕事とは違うというか、俺と関係がある世界に来ている訳だしね。
俺だったら簡単にミッションコンプリートができる世界に行かされているのかもしれない。
とはいえ流石にやっぱ神を倒せる気はしない。
アーニャンや左之助はもちろん、霧雨や黒川の協力も必要なんじゃないだろうか。
まあまだどうなるか分からないし、考えるだけ無駄かな。
とにかく早い内に天界に行って香に会おう。
俺はそう思うのだった。

なのに一週間は、冒険者ギルドタウンでアーニャンたちに振り回されていた。
ここが落ち着かないと、みんなの協力は得られない。
冒険者ギルド本部の移動は、人だけでは済まされないのだ。
あらゆる資料やアイテムも、こちらに移して整理する必要がある。
アイテムボックスもあるし、整理には|念力《サイコキネシス》を使えば楽ではあるけれど、如何せん数が多すぎた。
そんな訳で、俺の力を持ってしてもかなり大変だった。
「これで俺たちの担当箇所は終わりか。いやぁ~、マジで大変だったわ」
「移動だけなら一瞬だったの‥‥。整理が面倒なの‥‥」
「元の場所のまま移動できれば良かったんだけどな。引っ越しの為に梱包したものを町の外に出されてしまっては、やはり整理が必要だからさ」
いっそ建物ごと移動とかもできたんだろうけれど、俺の町は全部新品で揃えたいんだよね。
もうなんかアーニャンの町みたいになってるけどさ。
「それにしても凄い資料の量ですね。いらない物も多そうなのです」
「だな」
資料の中身までは確認できていないけれど、これらが全て保存に値するとは思えない。
タイトルや番号順に棚に並べてはいったけど、中には気になるものもあったんだよな。
奇乃子たちが担当している所はまだ終わっていないだろうし、そちらを手伝って終わらせてから少し読ませてもらうかね。
「それじゃぁ~、奇乃子ちんたちの方を手伝いにいくわよぉ~」
「了解」
「オッケーボス!」
天冉に促され、俺たちは奇乃子たちが担当している図書整理を手伝いに向かった。
図書の方は、俺たちが整理した資料よりも圧倒的に少ない。
俺たちと同じだけの整理をさせたら、数ヶ月経っても終わらない可能性があるからね。
とはいえ図書だけでも、おそらく一週間では終わらないだろう。
冒険者ギルド図書館は、この世界のあらゆる本が集められているからな。
そんな事を考えながら俺が新設した図書館に入ると、図書整理は思った以上に進んでいなかった。
「全然できてないわねぇ~」
「おっ?手伝いに来てくれたのか?」
「助かります。自分たちだけだと終わりそうにありませんから」
見るとそこには、土筆と孔聞の姿しかなかった。
「奇乃子と撫子はどうしたんだ?」
「撫子は、のまどギルドの事でアーニャンの所に行っています」
それはそうか。
のまどギルドは冒険者ギルドに吸収され、冒険者ギルドで全て扱う事になったんだよな。
真の冒険者には戻れないけれど、できる限り同じ扱いをするようにしたんだ。
「それで奇乃子は?」
「奇乃子は何かの本を見た途端、いきなりその本を持って出ていったよ。しばらく部屋にも戻ってないし、ここ三日くらいは見てねぇな」
おいおいサボリかよ。
面白い本でも見つけて読みふけっているのだろうか。
いや、奇乃子の場合は、新しい魔法やアイテム作りの本でも見つけた可能性があるな。
もしかして、男になる魔法でも見つけたりしたのかね。
俺は少し期待しながら、奇乃子の魔力を追う事にした。

奇乃子がいたのは工房だった。
何か新しいアイテムでも作っているのだろうか。
そんな予感がした。
思った通り、奇乃子はテーザー銃の改良を行っているようだった。
つまり何か新しい魔法を付与しているものと思われる。
そしてそれはおそらく‥‥。
「奇乃子!もしかして男になる魔法を見つけたのか?」
俺は奇乃子が集中を解いているタイミングで声をかけた。
「んー‥‥。本にあったのは女になる魔法だったのだ。でもきっと、男になる魔法にできると思っていたのだ」
思っていた、か‥‥。
それはできなかった事を意味する。
「諦めたりはしないんだろ?」
「当然なのだ。ただこの方法だと女にする事しかできないのだ。あるものを減らす事はできても、無いものを増やすのは難しいのだ」
当然だな。
無から何かを生みだすのは、神にだって難しいのだ。
それを壱人間が行えるとは思えない。
見た目を変えるだけなら、俺にもできたりするんだけれどね。
魂にある何かまでは変える方法を知らない。
「整理の方は俺たちでやっておくから、奇乃子は旅に出るまで研究を続けておいてくれ」
「分かったのだ」
そんな訳で更に三日、奇乃子は男になる魔法を生み出すべく頑張っていたけれど、結局それはできなかった。
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