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転生者アーニャン!ダンジョンは攻略されていた?

戦前、中華民国の統治はボロボロで、だからそこ日本は満州国を立ち上げるに至った。
世界が何故国に別れているのか。
国の中に何故県や市があるのか。
それは、誰であってもどんな組織であっても、統治をするのが大変であるという事を表していると言えるだろう。
このウインバリアという世界は、神の統治する世界かもしれない。
しかし決して統治が行き届いているとは言えない。
アーニャンたちのように、好きに生きている人たちもいる訳だからね。
冒険者ギルドが力を持っているとは言え、全ての地を監督管理する事は不可能なのだ。
世界を一つの組織が牛耳る事はできない。
つまりそれは、冒険者ギルドにある情報が、必ずしも正しいとは言えないって事でもある。
冒険者のような事をする人は冒険者だけにあらず。
それに冒険者であっても、ギルドに従属していない者も少なからずいる訳で。

のまどギルドの応接室に左之助が連れてきたのは、金髪ツンデレの女子高生のような美少女だった。
高校の制服のような格好をしているのは、この世界では見かけない。
世界を作ったのが日本人だとしたらなんら不思議ではないけれど、おそらくこの子も転生者なのだと感じた。
「えっと、こいつの名前は『あん‥‥』」
「私は|安楊《アーニャン》よ!呼び捨てにして呼んでね」
今左之助が紹介しようとした訳だけれど、それを遮るようにその見た目ツンデレ女子高生は名乗った。
なんとなくだけれど、『本名で呼ばれたくない』という意思を感じる。
だったら無理に本名を知る必要はないだろう。
つか、かなり甘ったるい喋りをする子だな。
昭和のブリッコって感じだ。
「分かったわぁ~。アーニャンちんねぇ~。私は天冉よぉ~」
「呼び捨てでいいわよ」
「アーニャンちんねぇ~」
「‥‥」
天冉とアーニャンはしばらく見つめ合っていた。
天冉の目は見えないけどさ。
しかしすぐにアーニャンが折れた。
「分かったわ。それでいいよ‥‥」
この子でも天冉には敵わないか。
単純な魔力レベルなら、おそらくこのアーニャンの方が上に感じる。
それでも負けるのは、流石は天冉と言った所か。
「アーニャンちゃんなの‥‥私は狛里なの‥‥」
「えっと‥‥。だから呼び捨てで‥‥。それでいいよ‥‥」
今度は狛里にも負けたか。
狛里はみんなちゃん付けで呼ぶのが基本だからな。
呼び方くらい、どうでも良いと思うんだけどね。
でもキャラを作るには、その辺り重要かな?
「アーニャンタマ、僕は想香なのです!」
「却下ね」
「うっ‥‥」
想香は一撃で屠られましたとさ。
他は当然、みんな『アーニャン』と呼び捨てする事になった。
奇乃子も流石に『ちん』付けはさせてもらえなかったね。
好きに呼びたければ、心身共に強くならんとな。
当然俺は普通に呼び捨てで良いんだけどさ。
そんな感じで自己紹介も終わり、話はいきなり本題へと入っていった。
「町を作っているのよね?私たち一同、総勢百人の元冒険者たちは、それを手伝いたいと思っているの」
「そのような話になるんじゃないかという事は聞いているわよぉ~。それでぇ~、貴方たちにはどのようなメリットがあるのかしらぁ~?」
何か自分たちに利益がないと、普通はそのような事はしないよな。
だけれど、その答えはみんな既に分かっているだろう。
きっと同じ気持ちだから。
「此処に町を作れば、冒険者ギルドに対抗できる。いえ、する事になるわ。私たちは冒険者ギルドを打倒して、この世界を変えたいと思っているの」
「私たちと一緒ならぁ~、それが可能だと思うのかしらぁ~」
「可能だと思う」
この世界を変えるなら、冒険者ギルドだけではない。
きっとこの世界の神を打倒する必要がある。
天冉が俺を見た。
俺は黙って頷いた。
「冒険者ギルドを打倒する事だけなら簡単よぉ~。アーニャンちんでも、あのギルドマスターを倒す事はできるんじゃないかしらぁ?」
「力は五分だけれど、確かに倒せる可能性は高いと思う。でも、冒険者は何千、何万といるのよ。全てを敵に回せば、私たちだけじゃ勝てない」
「仮に冒険者ギルドを打倒したとしてぇ~、世界は変わると思うのかしらぁ?」
「どういう事?この世界は冒険者ギルドによってコントロールされているわよ。その力を私たちが手に入れれば、変えられるんじゃないかしら?」
「この世界には、その冒険者ギルドすらコントロールしてる者がいるとしたらぁ~?」
「それは、そんなのがいると理解していいのよね?」
天冉は頷いた。
さて、それでもこのアーニャンは俺たちに味方をして、協力してくれるのだろうか。
「つまりあなたたちの目的は、その世界の支配者を打倒する事なの?」
「さあどうかしらぁ~?」
アーニャンの本気はどれくらいなのか。
それでも協力してくれるのだろうか。
ならばきっと神を倒す為の力になってくれると思う。
「いいわよ。やってやろうじゃないの」
「そう?敵がこの世界の神だとしてもぉ~?」
「神でもなんでもこの世界はおかしいわよ。それにそれはきっと神じゃないわ。魔王と呼ぶにふさわしいのではないかしら?」
魔王か。
確かにそう捉えても良いかもしれない。
闇に堕ちた神だからこそ、討伐されるのだから。
「分かったわぁ~。それじゃぁ~このへんでぇ~、私たち異世界組の目的をちゃんと説明しておくわねぇ~」
「えっ?あなたたち、異世界人だったの?」
「この四人だけねぇ~」
天冉はそう言って、俺たち異世界人を指し示した。
「なるほど。得体が知れない強さを持っている訳ね。ならば私も話しておくわ。実は私も異世界人なのよ。異世界から来たんじゃなく、転生人なんだけどね」
やはりアーニャンは転生者か。
ますます神候補っぽいけれど、何故か女なんだよなぁ。
尤もイスカンデルの猫蓮は、転生者でありながら神にはならなかった。
案外転生者ってのは、神にはならないのかもね。
俺は元々そうなるようにシナリオがあった訳だし。
だからと言ってそうなる保証は何処にも無かった訳だけれど。
「そう」
「異世界人や転生者ってのは意外と多いみたいなのだ」
本当に。
そもそもこの世界は、そのように作られているのだろうし。
「奇乃子も案外そうだったりしてな」
「よく分からないのだ」
「えっ?それってどういう事なんだ?」
奇乃子と土筆の冗談半分と思える会話が、俺には凄く気になった。
奇乃子って何処か普通じゃない所があると思っていたりしたしさ。
「いや、多くの孤児は一応親が分かっていたりするんだけどな。奇乃子は拾われた子で身元が全く分からねぇんだよ。ただそれだけだ」
ただそれだけか。
でも奇乃子もどこか特別に感じるんだよ。
もしかしたら本当に転生者なのかもな。
だからといってやはり女である以上、次期神候補とはならないんだよね。
奇乃子もアーニャンも神は倒せないのだ。
「それじゃぁ~、私たちの目的わぁ~‥‥」
この後、天冉は俺たちがこの世界に来た目的を話していった。
もう話しても良いと判断したのだろう。
つかマジで天冉が完全に仕切っているな。
神は俺なのに。
しかもまだ天冉は、|女手《じょしゅ》にもなってないんだけどな。
「世界はそんな事になっているのね。だとすると、私は女だから魔王は倒せないのよね?」
「そうねぇ~。それに私たち四人も異世界人だから倒せない」
「そうなのだ。じゃあ俺が倒すしかないのだ。俺は男なのだ」
本当に奇乃子が男だったらな。
でも少なくとも今は女だろう。
ちゃんと隠された部分を見て確認した訳じゃないけれど、『男になる魔法』を求めているのだからきっとそうだ。
「私も男の方が良かったのかしら。実は転生する前、体は男だったのよね。でもずっと心は女で、ようやく本当の自分になれた気がしたのだけれど‥‥」
アーニャンは元々生物学的には男だったのか。
でも心は女で、転生してようやく自分らしい性を手に入れた。
「俺はむしろ逆なのだ。前までは男だった気がするのだ。だから男になりたいのだ」
仮に奇乃子も転生者だったとして、強制的に女になってこの世界に来たのかもしれない。
「てぇ事はだ。俺か孔聞、それにあんた。左之助じゃなきゃ魔王は倒せねぇんだな?」
「だとすると、俺が一番可能性があるのか」
「いえ。つまり自分が倒すしかないって事ですね」
こいつら、割とみんな負けず嫌いなのか。
天冉の話を聞いていたら、普通は倒せないと思うだろう。
この世界の神だぞ?
魔力の強さは、神のテリトリー内だとおそらく俺以上なんだぞ。
まあ後ろ向きになられるよりは良いし、これでこそ神候補と言った所か。
「それじゃぁ~、アーニャンちんと左之助ちんは、とりあえず私たちのギルド、『のまどギルド』に入ってもらうわよぉ~」
「何それ?」
「策也ちん、説明してあげてねぇ~」
「お、おう。冒険者を名乗れないから、『のまど』つまり『自由人』と名乗ろうって話でね。それとコレ、のまどカードを持ってもらう」
俺はそう言って、冒険者カードのようなのまどカードを二人に差し出した。
「えっ?それって冒険者カードじゃ?」
「まあそっくりだけど、冒険者カードの効果全てをコピーする事はできなかった。でも不死以外の効果はほぼコピーできてるから、連絡とかステータス確認なんかの機能は使えるよ」
「凄い‥‥。そんなのが作れるのね。分かったわ。でも全員だと百枚以上必要になるわよ」
「今はないけど、一日あれば作るよ」
「‥‥。流石魔王を倒そうって人たちだけはあるわね。とりあえず私たち二人だけ、最初に貰っておきましょう」
「うむ」
アーニャンも左之助も納得して、のまどカードを自分用に登録した。
冒険者になった時以来だと思うけれど、登録は問題なくできていた。
新規のカードに魔力登録をするだけなんだけどね。
ただ冒険者カードと少し違うのは、のまどギルドに入った瞬間に同じプレイヤーズギルドに入ったような扱いになる事。
つまり名前が確認できるようになる訳で。
なるほど、|安楊《あんやん》って名前が本名なのか。
なんか韓国人と中国人が混じったような名前だな。
もしかしたら転生前は、韓国人と中国人のハーフだったのかもしれない。
しかし何故アーニャン‥‥。
ああアルファベットにするとそうなるか。
『ANYAN』だからね。
「‥‥」
アーニャンは自分の名前がバレた事を悟ったようで、少し何かいいたげだった。
でも天冉の目によってそれは防がれた。
おそらく今後、天冉は『|楊《やん》ちん』、狛里は『楊ちゃん』と呼ぶことになるのだろう。
俺はニックネーム呼びを嫌ってはいないから、アーニャンって呼ぶけどね。
そんな事を考えていると、狛里がボソっと呟いた。
「勇者‥‥」
狛里も俺と同じくのまどカードのコンソール画面を見ていたので、それがアーニャンの事だとすぐに理解した。
俺は改めてコンソール画面を確認しする。
すると確かに、アーニャンの職業欄には『勇者』と書かれていた。
こいつ勇者かよ。
男だったら完全に神候補だったのではないだろうか。
ただ勇者は神を倒す者ではなく、魔王を倒す者である。
だからむしろ違うとも思えた。
何にしても、俺たちは勇者パーティーって事になるのかな。
リーダーはどう見ても天冉なんだけどさ。
それでも俺は、なんとなく自分に正義があるのだと改めて感じていた。

次の日、百人を超える元冒険者がやってきた。
みんなは天冉とアーニャンの指示で、一旦は町の住人となる。
いや、町の住人にかわりはないけれど、まずは町を支える為の仕事をする。
食事処で料理を作る者や、宿屋を管理する者、衣類や装備道具を売る者などだ。
町の形を作り上げれば、後は移民に順次建物や職を譲ってゆく。
元冒険者は、『のまど』としてこの町では自由に過ごし、そして自らを鍛えダンジョン攻略などへと向かう。
冒険者でなければ得られない資材や素材は、どうしても必要だからね。
それらのほとんどは冒険者ギルドに一旦収められるから、冒険者でなくなった俺たちは自ら手に入れてくるしかないのだ。
尤も、俺たちがいれば何も問題はないけれど、このにっこりタウンには次の世界の中心として機能してもらいたいからね。
神が討伐され、新しい秩序が生まれたとしても、今の基盤をそのまま継承したのでは変化に時間を要する。
次の神様に楽をしてもらう為に、この町に俺たちがいなくなってもしっかりと機能するようにしておきたかった。
「そんな訳で全員にカードは配れたよな?」
「どんな訳か分からないけどぉ~、全員漏れなく配ったわよぉ~」
「そうか」
ん~、一人気になる気配を感じたんだけれど、のまど民リストを見る限り変わった者は無しか。
まあ悪い気配ではなかったし、気にしなくてもいいだろう。
「それでこれからどうしようかしらぁ~?町は楊ちんたちに任せられるようにしたわよぉ~。私たちも第五大陸の探索に加わった方がいいかしらねぇ~」
「そうだなぁ」
第五大陸の情報は、アーニャンたちから聞けるだけは聞いてある。
話によると、おそらくだけれどこの第五大陸の各マップには、必ず一つはダンジョンがあるらしい。
そのほとんどは発見され開拓も進んでいるのだけれど、一部のマップでは見つかっていない所もあるとか。
開拓も、最後まで終えていないものがいくつかあるらしい。
とりあえず現在、土筆や孔聞には開拓済みの場所を調査してもらっているけれど、未開拓のダンジョンを攻略をするなら、やはり俺たちも一緒の方がいいだろうな。
いくら一寸神が付いているとはいえ、魔力レベルでは既にアドバンテージは失ってきている。
俺の一寸神の魔力レベルは、左之助と同程度、アーニャンよりも低くなっているのだ。
色々な能力やスキルがあるからまだまだ負ける事はないと思うけれど、純粋な魔力勝負が起こり得ないとも限らない。
開拓されていない場所へ行かせるのは、一寸神がついていても危険はあった。
「とりあえず明日から、俺と異世界姦し娘たちは探索に同行するか。町は奇乃子と撫子がいればなんとかなるだろう。アーニャンと左之助もいるしな」
アーニャンや左之助に関しては、まだどんな人物なのか、信用に足る者なのか分かってはいない。
だけど悪い感じはしないから問題無いはずだ。
仲間の百人の中には、多少悪意を持っている者もいないではないけれどね。
ただ十分に対処できるレベルだと判断していた。
そんな訳で次の日から、まずは未開拓ダンジョンの制覇から始める事となった。

この日ダンジョン攻略に出かけるのは、俺と異世界姦し娘たち。
そして土筆と孔聞、それにアーニャンが付いてくる事になった。
「町の事は左之助に任せておけば大丈夫よ」
いきなり役割を放棄して自由行動かよ。
のまど民としては正しい気もするけれど、こんな子を仲間にして大丈夫だろうか。
とは言えよく考えると、狛里も天冉も言う事を素直に聞く奴じゃなかったな。
それに仲間ではあっても、上下関係が存在するわけじゃない。
のまど民は皆平等だから好きにすればいいだろう。
このにっこりタウンは俺のテリトリーでもあるし、仮に冒険者が何かをしようとやってきてもなんとかなるはずだ。
俺は自分を納得させ、一応一寸神は残してダンジョン攻略へと向かうのだった。
「とりあえず一番近い未攻略のダンジョンはここよ」
アーニャンがいるお陰で、迷う事なく目的のダンジョンには到着した。
第五大陸を知る人物が一人いるのはまあアリだな。
それにこのダンジョン、場所を教えられていても、きっとすぐには見つけられなかっただろう。
なんというか、森の中にただの小さな洞穴があるだけだった。
「此処がダンジョンの入口なのぉ~?」
「そうよ」
「完全にただの洞穴じゃねぇか」
「中はとても深いわよ」
「人が誰もいませんね?つまり人気がないダンジョンという事でしょうか?」
「ある意味そうね。かなり攻略が難しくて、誰も近寄らないダンジョンよ。でもあなたたちなら行けるわよね?」
簡単に言ってくれるな。
普通はこんなダンジョン、多少強くても攻略は難しいぞ。
穴の大きさがほとんど体の大きさと同じくらいなんだから。
少し体が大きければ、かがんで進む事になるだろう。
となると、魔物との戦闘で剣を振るったり避けたりは当然できない。
敵の攻撃は全て小さな盾や魔法で止めなければならず、攻略難易度はそういう理由でかなり高そうだった。
まさかこんなダンジョンがあるとはね。
だけど俺、これよりも小さなダンジョンを攻略した事があるんだよな。
「策也ちん」
「そうだな。一寸神の力を使うか」
一寸神は、分身の能力と小さくする能力を合わせたものだ。
つまり人を小さくする能力を持っている訳で。
「これくらいの大きさにしてほしいの‥‥」
狛里はそう言って、自分の膝下くらいの所に手のひらを持っていった。
それくらいの大きさになれば、武器を使って戦う事も可能だろう。
おっと、『武器や防具も小さくなるのかよ?!』なんてツッコミは無しだぞ。
ちゃんと装備も全て同じように小さくなるから安心してくれ。
原理なんて分からないけどね。
織田血統の能力だからさ。
いい加減なんだよ。
そんな訳で俺は、皆の体を小さくした。
これでこの洞穴程度の洞窟も、立派なダンジョンに早変わり。
ただしそれは良い事ばかりではない。
戦いやすくはなるけれど、体が小さいってのはその分不利な所もある。
尤も俺たちのレベルだと、魔力が繊細に扱えるようになるので、デメリットなんてほぼないのだけれどね。
ただ『ウサチャン』程度の小さなモンスターですら、かなり体の大きなモンスターになってしまうってだけの話。
そりゃドラゴンとか出てくれば途方もなく巨大にはなるけれど、こんな洞穴にそんなに大きな魔物がいる訳もなく。
そんな訳で、多くが攻略できなかった洞窟ダンジョンも、俺たちの手にかかれば楽勝だった。
「本当に出鱈目な能力ね。だけどコレくらいでは私は驚かないよ」
まあそうだろうな。
転生モノのラノベが流行りまくっている日本からの転生者だろうから。
ラノベでなくても小さくなるような話ってのは沢山ある訳で。
「それにアーニャンだったら、元のサイズでもこのダンジョンくらいなら攻略できるんじゃないのか?」
「そうね。出鱈目なのは私もだったわ」
勇者だからな。
戦闘に必要な全ての能力が習得可能な|職業《ジョブ》。
そして戦う事に特化している補正。
まったく頼もしいよ。
アーニャンが実際に戦っている姿を見て、勇者というだけの戦いは見られた。
パワー押しの狛里と違う強さ。
剣技スキルの想香とも違うし、狂った魔力の天冉とも当然違う。
無駄の無い戦いのプロと言った感じだった。
ちなみに天冉は、この程度のダンジョンでは一霊四魂は使わないよ。
普段は『言い寄る男を袖で払うような戦い方』で、ちょっと優雅な雰囲気もあるかな。
このダンジョンはそもそも狭くて戦いづらく、攻略しづらいだけのダンジョンで、出てくるモンスターは俺たちから見れば大した事はなかった。
俺の妖糸もまだまだ通るしね。
妖糸で瞬殺できるレベルは、第五大陸の冒険者レベルならなんとかなるだろう。
「そろそろ未開拓のエリアに入るわよ」
「なるほどねぇ~。雰囲気が変わったわぁ~」
「そろそろ強いのが出てくるの‥‥」
「みんな此処でやられて逃げ帰るって訳だな」
「自分も元のサイズなら戦えないと判断するでしょう。つまりダンジョン攻略は此処までです」
身動きがままならない洞穴で、流石にこいつとは戦えないな。
現れたのは、人よりも少し小さめの小鬼だった。
今の俺たちの倍くらいのサイズ。
この洞窟だと、人間相手なら戦いやすそうだ。
それに魔力がかなり高い。
「これは小鬼タンね。この子には多くの冒険者が教会送りにされているわ」
「アーニャン。そんなにつええのか?」
「即死の魔法を使ってくるのよ。それに身体能力も高い」
そんな話をしている間にも、小鬼タンと呼ばれるモンスターは魔法を放とうとしていた。
「防御魔法なのです」
想香がすぐに反応して、絶対魔法防御を展開する。
すると魔法を途中でやめて襲いかかってきた。
なるほど、魔法で牽制して物理戦闘を仕掛けてくるのか。
体が小さいと物理戦闘では不利って相場が決まっている。
でも俺たちくらい魔力が大きいと、そんなハンデは無きに等しいんだよね。
それくらい分かっていそうだし、つまりこいつの本分は肉弾戦か。
前に出ていた孔聞が、小鬼タンの鉄拳をガードする。
しかし体もろとも大きく吹っ飛ばされた。
当然俺たち仲間は、それを華麗にかわした。
「誰も助けようとしないのね」
「あれくらいは大丈夫なの‥‥」
「大丈夫にちげぇねぇけど、魔力レベル差はねぇからな。かなり効いたんじゃねぇか?」
土筆が心配していると、孔聞はゆっくりと立ち上がった。
「かなりききましたが問題はないです。つまり自分は怒りました!」
孔聞はそう言いながら、一気に小鬼タンとの距離を詰めた。
五十歩百歩真拳だ。
今度は孔聞のパンチが小鬼タンの体を捉えた。
吹き飛ばすのはウエイト差があるので無理だったけれど、かなりパンチは効いていた。
「カースエンブレム!」
そこに生まれた隙を突いて、土筆が呪の魔法で攻撃する。
想香はタイミングよく絶対魔法防御を解いていた。
魔力レベルは小鬼タンよりも土筆の方が上だし、魔法で戦えば既に勝敗は決していた。
後はアーニャンが一瞬の内に敵を斬って捨てたか。
小鬼タンの魔力レベルは高いけれど、一体じゃ楽勝みたいだな。
じゃあ十体を超えればどうだろうか?
先に少し広くなる場所が見えた。
そしてそこには、十体を超える小鬼タンが待ち構えていた。
「おいおい。この数はきついんじゃねぇか?」
「自分たちだけでは倒しきれないでしょう。いえ、むしろ勝機はありません」
この二人は自分たちの力を正確に把握しているな。
だけど‥‥。
「私もいるのよね」
「そうなのです。死んだら蘇生は得意ですから、安心してください」
死ぬ事前提かよ。
一緒に戦ってやれよ。
なんてな。
せっかくレベル上げのチャンスなのに、それを逃す手はない。
完全に奇乃子に置いていかれ、撫子の能力に負けているんだから、この辺りで逆転してもらいたい所だ。
神を倒せるのは男だけなんだからな。
女でもダメージは通るだろうし、奇乃子たちも十分戦力ではあるんだけれどね。
でもそれはイスカンデルだけの可能性も無きにしもあらずだし、ハッキリしているのはこの世界の男でないと神は倒せないって事。
ならば土筆と孔聞に頑張ってもらわねば。
左之助でも良いんだけどさ、残念ながら町の方を任されているからさ。
そんな訳で俺と想香は、土筆と孔聞に祝福の魔法をかけた。
パワーアップさせてやるから、それでなんとか倒してみろ。
「バリアソード!」
土筆のバリアソードも、かなり強力になってきたな。
複数の強力な敵が相手でも、守り重視で行けば割と耐えられる。
そして‥‥。
「光の聖剣です!」
孔聞の発動した魔法は、複数の光の聖剣が空から降ってきて敵を撃つか。
バリアソードの弱くなっている反撃部分を上手くカバーしている。
ずっと一緒に戦っているのだから、連携も上手くなって当然。
しかし二人で簡単に倒せるほど小鬼タンはヌルくない。
「あなたたち、加勢しないとあの二人死ぬわよ?」
「大丈夫なの‥‥」
「そうです。さっきも言いましたが、僕は蘇生が得意なのです」
「そういう問題じゃ‥‥。私が助けに行くわよ」
アーニャンが加勢したんじゃ、楽勝になってしまうじゃん。
「こなくていいですよ!つまり加勢は不要です」
「死んだら蘇生してくれよ」
「ちょっと、あなたたち‥‥」
アーニャンは加勢せず引き返してきた。
「強くなるには絶好の場面よねぇ~。私たちが倒してもメリットはない相手だけれどぉ~、あの二人にとっては願ってもない相手なのよぉ~」
天冉がそんな事を言ってる間にも、孔聞が小鬼タンの攻撃を受け瀕死状態になっていた。
「超絶ヒール!なのです!」
すかさず想香が魔法で治療する。
すると一瞬にして孔聞は元の状態へと戻っていた。
「早い。何その回復魔法の威力は?」
「蘇生魔法だけじゃなく、回復系の魔法全般は得意なのです」
想香は俺とほぼ同等の魔法が使える。
だけれど、全ての魔法において全く同じではない。
みゆきから生まれた神々と、そして本人の記憶と体を持つ想香は、やはりみゆきに似ている訳で。
攻撃系の魔法よりも、回復系の魔法を得意としていた。
それに巫女だしね。
尤も、俺の方が魔力が上だし、俺も同じ程度には回復系魔法は使えるよ。
念の為。
「うおー!怒りました!連続五十歩百歩真拳!」
無茶な戦い方をする。
でも俺たちがいれば、こういう無茶な戦いもできてしまうんだよな。
「ナイスだ孔聞!カースエンブレム!」
孔聞が怯ませた小鬼タンに対して、次々と魔法をぶち込んでいく土筆。
劣勢だと思われた状況は、小鬼タンが少しずつ弱っていく中、ゆっくりと逆転していった。
「この数相手でもやれるのか」
「想香ちゃんが少し助けたの‥‥」
狛里の言う通りだけれど、逆に言えばそれだけだ。
俺たちを信頼して死の恐怖は皆無だから、これだけの戦いができるのだろう。
でも、痛みなんかはあるはずなんだけどな。
俺なら此処までできないかもしれない。
ちなみに俺は、痛みを痛みとして認識できるようになっているけれど、かなり抑えられているからね。
その辺りを辛く思う事なんてもうない。
結局そこから五分という短い時間で、土筆と孔聞は全ての小鬼タンを倒していた。
「倒しちゃった‥‥」
「案外なんとかなるものなの‥‥」
「僕が回復しますから大丈夫でしょう」
少し広くなった場所に、今になって響く声が聞こえてきた。
奥を見ると、その先には何もなさそうだった。
ただ、宝箱のような物が置いてあるだけだった。
小鬼タンが集めた物が入っているのだろうか。
それともダンジョンクリア報酬なのか。
俺は宝箱に近づくと、罠などが無い事を確認してそれを開けた。
すると中には、一通の手紙が入っていた。
天冉がそれを取り出し、開けて中に書かれている文章を読んだ。
「残念でしたぁ~。このダンジョンは既に攻略済みだよぉ~ん。だってさぁ~」
なんだそれ。
俺みたいな事をする奴もいるんだなぁ。
「冒険者ギルドの情報では、このダンジョンは未攻略のハズなのよ?」
「ギルド情報が全て正しいとは限らないって事かしらぁ~?」
「俺たちみてぇな奴が、他にもいるのかもしれねぇな」
確かに。
冒険者ギルドに所属していたら、ダンジョン攻略は普通報告するだろう。
だけれど、そうとも限らない者もいないとは言えない。
「もしかしたら、冒険者ギルドを良く思っていない者は、他にも大勢いるのかもな」
俺はなんとなく、更なる|神候補《どうし》の存在を期待せずにはいられなかった。
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