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サヨナラ欲望ズ!

第三大陸へとやってきた。
そこは薄暗い教会の中だった。
そして目の前には、案内係と思われるエメラルド色の髪をした、女神のような女性聖職者が立っていた。
「あ‥‥この人は神の使いなの‥‥」
「分かります。僕と同じ空気を感じるのです」
二人の言う通り、確かに目の前の女性は神の使いで間違いなかった。
なんとなく分かるようになっているんだよね。
異世界で新たな神の誕生を成し遂げるには、その世界の神の使いとの協力も必要になる場合があるからさ。
だからこんな形で神の使いを見つけられたのは、ラッキーだったと言えるだろう。
尤も向こうからしたら、俺たちを待っていたのかもしれないけれどね。
「あら異世界の神様。ようやく此処まで来られたのね。もっと早くに来るものだと思っていましたわ。もしかして弱いのかしら?」
いきなり弱い神様扱いされるとは‥‥、ちょっと悲しいぞ。
「あー‥‥。弱いって事もないと思うけれど、別に急いで来た訳じゃないからな」
「ふーん‥‥。それで、どうやら使いの方お二人と、合計三人のようですわね。まだ神候補は見つけられていないのかしら?」
なんだかこの子、トゲのある言い方をするな。
「いや一応見つけてはいる。でも先にこの第三大陸に渡っているんだ」
「その方は一人で渡って来られたの?」
「いや二人だ。男女のペアだな」
「あー‥‥。昨日の‥‥。ではこの大陸でのクエストは、五人でやろうと思っているのね?」
質問が多い子だな。
「一応今の所はな。でも何をするのか分かってないから、これから合流して決めるつもりだ」
「何をするかも知らないで第三大陸へ?」
「冒険者ギルドでは教えてくれなかったぞ?」
「町の人達に聞いたりは?」
「あー‥‥」
なるほど、その辺りも町の人なら教えてくれる世界なのか。
すっかり見落としていたな。
「分かったわ。それじゃ私も参加してあげましょう。それでもあと一人必要になるわね‥‥」
「やっぱり七人必要なのか?」
「別に?でも六人で参加とかしたら目立つじゃない?それで勝ったりしたらこの世界の神に貴方の事がバレるかもよ?」
常にこの子のいう事は尤もだ。
俺は情報収集を怠ってこの第三大陸に来てしまい、今はこの子に頼るしかない。
「おっしゃる通りです。それで結局、この第三大陸では何をする事になるんだ?」
「王族の国盗りゲームに参加するのよ。将棋の駒、飛車から歩兵まで七つの役割があって、クリアしてきたダンジョンによってそれが決まるの。昨日の二人は将棋の駒で言えば金将と銀将だったわね。つまり戦争指揮官と第一部隊の隊長をする事になるわ」
「そんな事になるのか。合ってないポジションだと結構きつそうだよな」
「それも含めて第二大陸では情報収集できるようになっていたはずなのよねぇ‥‥」
「申し訳ない!」
俺は猛烈に心の中で反省した。
そして一応声にも出ていた。
「良いわよ。それであなた達は誰がなんの駒なの?」
「えっと‥‥この狛里が角行だな」
「じゃあ貴方は王の側近で軍師直属の部下って事になるわね。王の護衛や諜報活動なんかもする事になるわ」
「こっちの想香が飛車」
「‥‥どうして神様じゃないの?まあそちらの方のほうが軍師に向いているのかもしれないけれど」
つまり想香が軍師か。
ちょっと待て!
想香の指示で俺たち戦争をするのか?
まあでも俺たちが本気で戦えば問題はないか。
「それで俺が歩兵だ‥‥」
「‥‥どうして歩兵なんて選んだのかしら?」
「それは僕が可愛いモンスターと戯れたかったからなのです!」
想香はドヤ顔で答えていた。
「そう、大変よ。ドロップアイテムに竹槍が落ちたわよね?」
「そういえばドロップアイテムはそうだったな。他は反物だったのに」
「戦闘時に使える武器はその竹槍だけになるわ。そして攻撃魔法は一切使用禁止よ」
「えっ?」
それはどういう事だろうか。
「歩兵はただの一兵卒。竹槍一つで戦わなければならない役よ。ちなみに竹槍が壊れたらゲームオーバーだから、その時点で死亡判定となり、第四大陸行きは次回の参加まで不可能になるの」
なんだか分からないけれど、一番ハードモードで俺はやることになったようだ。
「まあでも魔力があるし、攻撃魔法以外はいくらでも使える訳で‥‥」
「あまり目立たない方が良いわよね?それに魔法コントロールが凄く困難になるの」
「‥‥」
要するに、今回のこのミッションではできるだけ大人しくしておけって事か。
まあなんとかなるだろう。
俺が戦えなくても‥‥。
「ところで軍師って何をするのでしょうか?僕は戦争の作戦なんて知りませんよ?」
「私もやる事が分からないの‥‥」
想香も狛里もこういうのは得意じゃないよな。
つかそれどころか全く無理というか。
「お困りのようね?飛車か角行、どちらか空いていたなら私がやっても良かったのだけれど‥‥。桂馬は回復やサポート役、香車はマジックミサイル・エネルギーブラスト・ファイヤーボールで攻撃する役。私は桂馬しか無理よ?‥‥」
なかなか難しい事になってきたな。
想香にはテレバシー通信を使って教えるしかないか。
一応分身を想香の影に潜ませておけば大丈夫だろう。
「それで香車役だけれど、まずは一旦そのお仲間の二人と合流してから決めましょ。多分まだこの町にいるわ」
「そうなのか」
俺は探索魔法を発動した。
すると直ぐに反応があった。
「とりあえず居場所は分かった。直ぐに合流しよう。でもその前に‥‥。俺は此花策也だ。よろしく」
「自己紹介がまだだったわね。私は『|咲々百万診《さくさくめがみ》』よ。女神って呼んでくださればいいわ。此花様」
女神かよ。
最初見た時にそう感じたけれどさ。
「策也でいいよ。ずっとそう呼ばれなれているから」
「分かったわ策也様」
様はいらないんだけどなぁ。
まあいいか。
「私は萬屋狛里なの‥‥。狛里ちゃんって呼んでほしいの‥‥」
「分かったわ狛里様」
「‥‥」
「僕は兎束想香なのです。想香ちゃんと呼んでもいいのですよ?」
「想香様ね」
「‥‥」
お前たち無駄だ。
この子は自分を曲げない子に違いない。
期待はするな。
「ところでその世界の神の使いが、討伐側の神のパーティーに入っても大丈夫なのか?俺が神だってすぐにバレるんじゃね?」
「大丈夫よ。私はこの世界の神とは会った事がないの。だからお互い何も知らない。神との縁が切れた瞬間に直ぐ逃げたし、問題ないわ」
「そうなんだ。でも仮にそうだとして、第二大陸でダンジョンなんてクリアしていないだろ?それでクエストに参加できるのか?」
「全て決まれば第二大陸に行ってクリアしてくるわよ」
なるほどね。
一応ちゃんと考えてはくれているんだ。
「じゃあ早速合流だ」
こうして俺たちは直ぐに奇乃子たちと合流する事になった。

夜には合流して俺たちは宿屋の一室で話をしていた。
「それで香車だが、咲々さんに心当たりがあるんだよな?」
「女神よ。名字で呼ばれるのは嫌いなの」
「お、おう。じゃあ百万診。香車に心当たりがあるんだよな?」
「‥‥ええ。少し響きが違うようだけれど、まあ良いわ。かなり前に第三大陸に来た人がいるの。その人を誘ってみるのはどうかしら?」
「その人は香車に向いているのでしょうか?」
「そうね‥‥私と同じくらい向いていないわね。でもソロの香車なんて普通は見つからないわよ」
大丈夫なのか、それで。
でも確かにソロで香車をやっている人がそうそう見つかるとも思えない。
ソロ攻略なら当然歩兵が一番多いだろう。
それ以上はどれも難しい。
そして当然複数パーティーのはずだ。
「仕方ねぇな。別にそいつが殺られても勝つ事はできるんだろ?」
「もちろんよ。でも私が決して殺させはしないけれどね」
なんだか百万診はよく分からない。
桂馬としての職務を真っ当するって話なんだろうれど、何か別の思いも感じる。
この子の事はまだよく分からないから、今はあまり考えないでおこう。
「それでそいつの名前はなんてぇんだ?」
「|堀田孔聞《ほったこうぶん》様です。独特のオーラをお持ちの素敵な男性ですよ」
あれ?今初めて百万診の思いが表情に出た気がする。
もしかしると‥‥。
「百万診。そいつはイケメンなのか?」
「もちろんですよ。私はイケメン以外を紹介するつもりはありませんから」
‥‥。
もしかしたら神候補以外は眼中に無いって事かもしれない。
でも普通の人なら感じただろう。
百万診が持つ、その孔聞とやらに向けられる好意のようなものを。
まあいいか。
百万診の力は今後必要になるかもしれない。
その百万診が気持ちよく協力してくれる環境を作るのも、ある意味上司となった俺の責務だろうから。
そんな訳で俺たちは、孔聞という男を仲間にすると決定してこの日を終えた。
もう夜も遅くなっていたからね。

そして次の日、百万診の案内で直ぐにその堀田孔聞とやらは見つかった。
冒険者ギルド併設の食事処。
その男は一人で食事をしていた。
百万診は迷う事なく、そいつと同じテーブルの向かいに座った。
「こんにちは孔聞様」
「え?ああ女神さま。今日もお元気そうですね‥‥」
嫌がっている。
明らかに嫌がっている。
皆、今あった二人のやり取りで、概ね関係を理解した気がした。
百万診はストーカーかよ!
そこまで酷い関係ではなさそうだけれどね。
「孔聞様も相変わらず冴えない顔ね。でも今日はいい話を持ってきたわよ」
「いい話?もしかして以前から話しておられた神が降臨したのですか?」
おい百万診、お前は神の事を話しているのか?
「そんな所よ。今日は孔聞様。貴方を私のパーティーに招待しにきたの」
いやお前のパーティーじゃねぇよ。
一応リーダーはボスだよな。
ボスはギルド欲望ズのマスターだったけれど、どういう訳か今では既に奇乃子共々ギルドを抜けていた。
そして奇乃子のパーティーに入り、リーダーを譲られる形になっているらしい。
ずっとボスって呼んでいるから、リーダー以外だとややこしいからな。
「もしかして、国盗りクエストに参加できるんですか?」
国盗りクエストって。
そう言えば百万診も国盗りゲームと言っていた。
まさかそのままなのか。
「そうよ。しかもクリアが確実なメンバーなの。孔聞様の事は私が確実に守って上げるから、もう第四大陸に行けるのは間違いないわね」
そこまで言っていいのか?
俺たちまだ何も分かってないし、軍師が想香だぞ?
三国志のゲームで呂布を軍師にするようなものだ。
むしろ絶対にできないゲームシステムを無視した人事。
圧倒的強さを誇っていた大日本帝国海軍を負けさせた山本五十六よりもヤバいぞ?
「それは圧倒的に自分に相応しいパーティーですね。分かりました。皆さん自分について来てください」
えっ?
急にマウントを取り始めたけれど大丈夫か?
調子に乗せるとマズイタイプかもしれない。
「期待しているわ孔聞様」
そして何故かうっとりとした表情で孔聞を見つめる百万診。
この二人に関わったのはマズかったかもしれない。
俺たちがしっかりとしないと。
「では私、早速第二大陸に戻って桂馬の称号を手に入れてくるわね。数時間ほど中央公園で待っていてね」
「えっ?数時間ですか?流石は女神さま、言う事が大きいです」
百万診は頬を赤らめサムズアップすると、瞬間移動魔法で何処かへと飛んでいった。
なんか勝手に話が進んでいったな。
別にいいけどさ。
仲間のメンバーを全く視界に入れないで此処までやられると、逆にもうどうでも良くなるって感じだし。
「では我がパーティーの面々たち、中央公園に向かいますよ」
「いやちょっと待て。数時間待つならまずは此処で飯でも食わせてくれ」
「仕方がないですね。分かりました。自分が許可します」
マウントを取りたがる、リーダー気取り野郎じゃないか。
みんな表情がゲッソリとしていた。
『こんな奴を仲間にして大丈夫なの?』
そう言っているようだった。
でもまあそこそこ戦えそうな雰囲気は持っている。
それにこういう変わった奴が、案外新たな神になったりするかもしれない。
ほら十二話ギリギリで仲間になる訳だし、この世界の神の使いである百万診の紹介だからな。
可能性は十分にある。
我慢するしかないな。
俺は皆にアイコンタクトで我慢するように伝えた。
皆さらにゲッソリとした表情に変わっていた。

俺たちが食事をする間、孔聞は先に中央公園へと向かった。
何でも『女神さまは自分よりも立場が上の|主教《ビショップ》だから言われた通りに従う』だそうな。
孔聞はどうやら『|司祭《プリースト》』みたいだね。
どちらも僧侶、或いは聖職者の上位職だけれど、主教は中でも最上位職となっている。
孔聞はマウントを取りたがる者のようだけれど、一応立場はわきまえる所があるようだった。
俺たちはのんびりと朝食をとり、二時間後に中央公園へと向かった。
公園に到着すると、孔聞が一人ベンチに座っていた。
その姿は捨てられたメタモンのように寂しそうだった。
「まだ来ていないようですね?寂しがらず元気をだしてください」
あまりに寂しそうに見えたので、想香は励ますような言葉をかけた。
すると孔聞は一気に元気を取り戻したようだった。
「別に自分は元気ですよ。ようやくみんな来ましたか。では女性はベンチに座って待っていてください。自分たち男は立って待っています」
そう言って孔聞はベンチを立った。
おい、そんな事言うなよ。
間違ってはいないけれど、となりのベンチに座っている人たちが気まずくなっているじゃないか。
そして間もなくベンチを立ってそそくさと何処かへ去っていった。
「ベンチが空いたようです。皆さんどうぞ座ってください」
こいつわざとか。
性格はかなりひん曲がっていそうだな。
正直今の所、孔聞を好きになれる要素はまるでない。
だからこれから一緒にやっていくのは気が重いと感じる。
だけれどなんだろうか。
やはり少し淋しげな所があって、皆もハッキリと否定できない所があるようだった。
あの狛里ですらハッキリ言わないもんな。
どことなく困っている様子が孔聞から感じられるからか。
助けたいと思っているのかもしれない。
そしてもしかしたら百万診も同じ気持ちなのかもな。
そんな風に百万診の事を考えていたら、本人が向こうからやってきた。
どうやらダンジョンを攻略して、無事に桂馬の称号を得てきたようだね。
「これでみんなが揃った訳だな」
「いよいよ第三大陸の攻略が始まるのだ!」
「それでここからどうすればいいの?‥‥」
「まずはこの七人でパーティー登録をしましょう」
百万診の言葉に、皆はコンソール画面を開いた。
「既に俺たちはパーティーを組んでいるのだ!」
「自分たちはそこに入るという訳ですね?」
「ん?でもこのクエストパーティーは、プレイヤーズギルドに入っていると駄目だと先日言っていたよな?百万診?」
ボスがそう言うので見てみると、孔聞は別のプレイヤーズギルドに所属していた。
つまり全員ギルドを抜けないとパーティーが組めない?
「そんな事言ったかしら?でも違うギルドのメンバーは一緒にパーティーが組めないのよ。神さ‥‥策也様たちはギルドを抜けてくれる?」
百万診は最初から、奇乃子やボスと孔聞を組ませる事を考えていたのかな。
それでボスにギルマスを辞めさせ、奇乃子も今では欲望ズを抜けていた。
孔聞が少し申し訳なさそうな顔をしていた。
何か事情がありそうだな。
まあ欲望ズはもしかしたらこのまま上に上がってこないかもしれないし、別に俺たちに思い入れはない。
何も言わずに付き合ってやるか。
「狛里、想香。欲望ズを抜けるぞ」
「分かったの‥‥」
「元々ゲスト参加なのです。それに戻りたくなったら直ぐに戻れますよね」
俺たちは欲望ズを抜ける操作を行った。
ギルドを辞めるのに許可はいらない。
操作一つで抜けられる。
俺は一応簡単なメッセージをギョルキューに送った。
サヨナラ欲望ズ。
縁があったらまた会おう。
そんな事を思いながら、俺はギルドを抜ける操作を完了した。
パーティーを結成した俺たちは、早速別の町にある冒険者ギルドで参加の登録をする事にした。
しかしその前に、どの陣営に参加するかを決める必要がある。
そしてそれはとても重要な選択だ。
例えば三国志のゲーム。
或いは戦国時代のゲーム。
色々な君主や大名がいる中で、どの陣営に入るのかは毎度悩む所だろう。
三国志のゲームで序盤の劉備陣営なんて超ハードモードだし、今回はなるべく有利に戦える所がいい。
でも既にこのクエストは始まっていて、冒険者プレイヤーがいる陣営が大きく勢力を伸ばしている状況だった。
「七人まとめて受け入れられる陣営は一つしかないわね」
おい!
それなら桂馬と香車が既にいる陣営を選んだ方が良かったんじゃないのか?
調べてみたけれど、そういう陣営はなかった。
なるほど。
桂馬とか香車は割と人数が少ないのか。
せめて隊長クラスじゃないと、いい形で参戦できないもんな。
「それでその一つってぇのは、上手くやれそうなのか?」
「勢力は一番小さいように見えるのだ」
「大丈夫よね?このメンバーなら」
「自分がいるから問題ないでしょう。既に勝算はあります。何故なら自分は勝つ為に参加するのですから」
どんな勝算だよ。
魔力を見る限り、この中じゃ一番弱そうなんだけどな。
「素敵よ、孔聞様」
なんでそうなるの?
やっぱり百万診もヤバいな。
陽蝕と同類って気がするぞ。
陽蝕ってのはイスカンデルに仕事で行った時に出会った、ゲテモノ好きの‥‥まあ友人ではある奴だ。
そして孔聞には猫蓮と同じ気配を感じてしまう。
でも得てしてこういう奴が凄かったりするんだよ。
やはり新たな神はこいつな気もするな。
でもだいたいこれで絞られただろう。
新たな神候補は、ボス、奇乃子、孔聞、この三人の中の誰かだと思う。
素質で言えば奇乃子だろうけれど、男になるという高いハードルがある。
ボスは可能性が最も高そうだけれど、素質という面では一番劣るか。
孔聞は素質だけならそこそこありそうだけれど、現在は圧倒的に出遅れている。
誰になるかは分からないけれど、とにかく全員強くなってもらうだけだ。
俺たちは百万診の瞬間移動魔法で、南西の町、等々力王が統治する等々力の王都へと飛ぶ。
そして冒険者ギルドで、国盗りクエストへの参加を申請するのだった。
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