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第五大陸へ

自分を狂ったように愛してくれる人がいる事は幸せなのだろうか。
いないよりもマシかもしれないけれど、死ぬ前の世界では『ストーカー』と言われ敬遠されていた。
それは一つの犯罪にもなり得る。
ただその愛が、相手の幸せを願う本物だったら。
きっとストーキング行為はせず、遠くからその人の幸せを祈るのだろう。
愛する者は、相手に受け入れられていないのに関わろうとした所で間違いを犯しているのだ。
そしてその時点で負けているに違いない。

雑魚は所詮は雑魚だった。
あっという間に黒川の仲間たちは死亡したので、仕方がないからこちらで蘇生してやる。
「まだやるのなら相手するわよぉ~」
「いや、俺たちはあんたらに勝てない‥‥」
雑魚たちは大人しく負けを認めていた。
「力の差がそこまであるのか?しかし元々俺一人でも勝つつもりだったから問題はない!」
かなりの強がりだな。
でもそう言えるだけの強さは持っているか。
流石は転生者。
特別な力がある可能性を考慮して、一応あらゆる対応ができるようには注意しておく。
しかしよっぽどじゃないと手は貸さない。
此処からは、四人でなんとかしてもらうのだ。
まずは奇乃子と土筆が最前線か。
そして孔聞は離れた所で連続五十歩百歩真拳の準備。
更に離れた所で、撫子は俺と狛里から魔力を吸い取る。
「全員で向かって来た方がいいんじゃないのか?」
「勝つには準備ってのがあるんだよ!」
その時間を稼ぐのに、土筆のバリアソードはギリギリ機能している。
転生者で強くても、守りに徹している土筆に対しては攻めあぐねているようだ。
そして奇乃子。
「調教してやる!調教してやる!」
調教の効果はほんの一瞬だけれど、動きが制限されれば黒川も動きづらそうだ。
「くそっ!この俺の動きをコントロールできるとは、侮っていた」
この効果が一瞬でも効く訳だから、黒川とのレベル差はそれほど大きくはなさそうだな。
とは言え魔力では黒川の方が倍近くあるように見える。
油断したら一瞬でやられるぞ。
そう思った一瞬、黒川が奇乃子に詰めた。
これはヤバいな。
だけど‥‥。
奇乃子は一瞬にして黒川の攻撃をかわす。
避けたと言うよりは、剣に対して反発した感じだ。
これは奇乃子が戦いの前に準備してた装備の強化によるもの。
強い魔力に対して磁石が反発するように勝手に離れる。
魔力のこもった剣が近づいてくれば、それに反発して勝手に体が遠ざけられるのだ。
「おっと危ないのだ!というか思った通りには避けられないのだ!」
但し避ける事はできても、その方向やその後の体制をコントロールするのは難しい。
敵が魔力の威力を落とすと攻撃が当たる可能性も出てくる。
その辺り気が付かれると、魔力を減らした攻撃を連打してくる可能性もあるから、バレない内になんとかしないとな。
そう簡単に分かるとも思えないけれどね。
とにかく奇乃子は、この効果を実戦の中で使いこなせるようにならなければならない。
十分に訓練する時間はなかったから。
とは言え既に致命傷になり得る攻撃をかわしているのだから、それだけも十分と言えば十分なんだけど。
「ちょこまかと鬱陶しい!時間を稼いで後ろの二人の大技を狙っているのか?だとしたら無駄だぞ?」
「無駄かどうかはやってみないと分かりません。つまりやってみるのです」
孔聞が一瞬の内に黒川との距離を詰めた。
そして拳による攻撃を放つ。
黒川はそれを紙一重の所でかわした。
しかし孔聞は続けざまに攻撃をする。
その一発が黒川をかすめた。
「くっ!なかなか速いな」
黒川はそう言って一旦距離をとった。
「おっと安心するのははえぇよ!」
そこに土筆が畳み掛ける。
それは簡単にかわされていた。
「なかなかやりますねぇ」
「俺の攻撃はあたんねぇか」
「大丈夫なのだ。防戦一方ではなくなったのだ」
「そうですね。そしてわたくしの準備もそろそろ良さそうに思えます」
既に撫子は相手なりに魔力を高められていた。
しかし思った以上に魔力が高められなかったな。
理由はおそらく、黒川が貧乏だからか。
|絶対共産主義《まっかなおんなのこ》の能力は、既に解析済みだ。
その効果は、相手なりに強くなるのだけれど、対人戦の場合は『相手が金持ちかどうか』が重要な要素の一つになってくる。
金持ちから金を奪う能力と言っても過言ではない。
撫子が金持ちの男を求めるのは、夫婦喧嘩で優位に立つ為ではないかとも思えてしまうよ。
知らんけどね。
兎にも角にも撫子も参戦した。
奇乃子が作った新しい武器、俺命名の『悪ガキナックル』を使って一気に黒川との距離を詰める。
対象の魔力に吸い寄せられる効果が発動されるので、距離を詰めたり赤華の威力を高めるのに使えた。
「こいつも動きが速い!しかも読めねぇ!」
そりゃ人の力で動いているのではないからね。
奇乃子もそうだけれど、力の働きが見えないからな。
でも魔力の動きをしっかりと見ていれば、そのうちバレる。
今のうちに一気に決めたいものだな。
「四対一なら行けるのだ!完全に俺たちが押してるのだ」
黒川は転生者であり、この中じゃ明らかに頭一つ分強い。
でもそれほど大きな差ではなかった。
既にこの四人は、人間の域を超えているのだから。
「駄目だ!何故だ?何故俺が勝てない!こんな事では|香《かおり》を守る事ができないじゃないか!」
香だと?
その名前を聞いて思い出した。
香とは、俺たちの同僚だった『|冴羽香《さえばかおり》』の事だ。
この黒川がストーキングしていると言われていた、割と可愛い子だった。
でもある時、父親を亡くして塞ぎ込んでいた時期があったんだよな。
そんな時、弱ってゆく彼女を放っておけなくて、ゲームウインバリアに誘って一緒にやっていた事があった。
もしかして香もこの世界に転生してきているのか?
でも守るってどういう事だろうか。
マジで気になるな。
俺は黒川に嫌われていたみたいだし、聞くに聞けないよ。
もしかして第五大陸を守っているのは、転生した香だったりして。
まさかね。
とにかく今は四人の戦いを見守ろう。
倒したらそれとなく聞けばいいし。
そんな訳で俺たちは、リラックスムードで戦いを観戦していた。
「狛里さん!それはズルなのです!」
「|情《なさけ》は無用なの‥‥」
「いい加減六は出してほしいわよねぇ~」
お前らは七並べしとるんかーい!
リラックスしすぎだよ。
「くそっ!俺も舐められたものだな。仕方ない。認めよう!お前たちが束になれば俺よりも強い!しかし勝負はそれだけでは決まらないんだよ。此処は俺のフィールドなんだ!」
まあそうだよな。
場所は向こうが決めたのだから、何かしら細工がしてあっても不思議ではない。
なるほど、だから妖凛は俺から離れて行ったのか。
丁度良いタイミングで妖凛は戻ってきた。
「何々?爆破魔法が仕掛けられていたから、全部こちらのコントロール下に置いてきた?流石は妖凛。やっぱ可愛いは正義だよな」
(テレテレ)
妖凛は頬を赤らめ嬉しそうにしながら、俺の体と一緒になった。
爆破くらいで俺たちがどうこうなるとは思わないけれど、大きな爆発だと町に被害も出るだろう。
妖凛は町の人たちを救ったのだ。
「町の者たちには申し訳ないが、お前たちと共に死んでもらう!食らえ!フィールド爆破魔法『香への愛!』」
こりゃまた恥ずかしい魔法名だな。
この爆発ほどの気持ちがあると表現したかったのだろうか。
だとすると、それで死ねるなら本望だろう。
本来は自分だけを守る結界によって、黒川だけは爆破から逃れられるはずだった。
しかし爆破はその結界の内側で起こった。
「なんだと?!」
自爆で死ぬとか、最も格好悪い死に方かもしれない。
「御霊の平安をお祈りします」
俺はそう言いながら手を合わせた。
「死んでないわ!」
「あれ?爆破が弱かった?妖凛どうした?何々、全部で十六個あった爆破魔法を今一つだけ爆発させただけ?」
なるほどそれで死に至るほどではなかったと。
「妖凛の優しさに感謝しろよ!」
「くっ‥‥。何を訳の分からない事を‥‥」
黒川はボロボロの体で、立っているのもやっとといった感じだった。
そりゃ狭い結界内だと、爆破の威力も上がるだろう。
たとえそれが想定よりも遥かに小さな爆発でもね。
「よく分からないけど今がチャンスなのだ!調教してやるのだ!」
「あがっ!体が‥‥」
弱っている者にはよく効くようだな。
「五十歩百歩真拳!」
「カースエンブレム!」
「‥‥」
いよいよ黒川も虫の息だ。
もう言葉を発する事も無理な状態だった。
「わたくしが美味しい所をいただいてよろしいのでしょうか?よろしいようですね。では‥‥。赤華!」
最後は撫子に殴られて、黒川の呪われた体が真っ赤に輝いた。
炎に包まれ、そしてまもなく灰となり消えていった。
「魂は確保確保っと‥‥。では蘇生しますね?」
想香がそう言っていきなり蘇生魔法をかけた。
どうやら教会に飛ばなかったみたいだな。
負けを認められなかったのだろうか。
すぐに放心状態でへたり込む黒川がそこに現れた。
「はい。貴方の負けよぉ~。約束通り先に進ませてもらうわねぇ~」
「まさか‥‥。此処までしても勝てなかったのか‥‥」
「おめぇは強ええよ。だけど一人じゃな‥‥。同情はするぜ」
一人だから勝てなかったというよりは、ここまで強くなる奴らがいるとは想像していなかっただろうな。
イベントボスモンスターを少人数で狩れるなんて普通はあり得ない。
だから本当は、法螺貝野郎たちに目をつけられた時点で、その者たちはみんな第五大陸行きを諦めるはずなんだ。
それにそもそも、神もいれば転生人転移人盛りだくさんだからな。
悪いな黒川。
「さっき‥‥香を守るって言ってたの‥‥。良ければ事情を話してほしいの‥‥。私たちが先に進むと、どうして守れないのか知りたいの‥‥」
おっ、ナイスだ狛里。
おそらく香はあの香だ。
転生してきているのか、それとも別の何かか分からないけれど、おそらくは冴羽香本人だと俺は感じている。
黒川が此処まで大切に想っているからな。
「お前たちがって訳じゃ‥‥ない‥‥。ただ‥‥。香のいる世界は平和なんだ‥‥。誰も入って来なければ‥‥、ずっと平和なんだ。それを百年守れば‥‥。香は俺と一緒になってもいいって言ってくれた‥‥」
なんだそれ?
簡単に言うと、移民を全く受け入れなければ、平和な所は平和であり続けるから誰も入れないって事か。
そして百年そうできれば、香は黒川と結婚すると約束したと。
確かに平和かもしれないけれど、ちょっと極端だな。
別に平和を乱さない人は入れてもいいんじゃないのか?
でも、本当にその人がそうなのか、調べる術がない?
あれ?黒川は百年って言ったよな。
もしかして香がこの世界の神?
俺が神を倒す為のタイムリミットは百年‥‥。
いや、そんな事はあり得ない。
世界の神は男性と決まっている。
それでも転生者である黒川が、此処までして第五大陸へ行くのを止めていたんだ。
もしかしたら何か関係があるのかもしれない。
或いはこの世界と‥‥。
この世界はそもそもコントロールされた世界だ。
コントロールはこの世界の創造者である神が決めたのだろう。
転生者がそれに従っただけとすれば、それはそれであり得る。
そしてそんな世界を好ましく思う者だっていて当然だ。
最初から第五大陸に暮らしていたら、それはそれで平和で素晴らしい世界なのかもしれない。
それを多くの住民が求める事だって考えられる。
その中に香がいて、異世界から転生してきた黒川がそれに尽力することは、別に不思議でもなんでもない話ではないか。
日本という国は、元々平和で豊かな国だ。
そんな国が鎖国をするのは、ある意味当然の事だったのかもしれない。
ただ日本の場合は、別に外国に対して酷い事をしていた訳じゃない。
だからそれはそれで良かった。
でもこの世界の場合、第五大陸に住む者以外は‥‥。
香がもしもその平和な第五大陸で幸せに暮らしているのなら、それはそれで俺としては喜ばしい事だ。
だけど多くの犠牲を強いる幸せの世界は、やっぱり認められないんだよ。
「私たちは悪い事しないの‥‥。悪い奴をぶっ飛ばすの‥‥」
「そうなのです。安心してください。僕たちは平和主義です!」
それは果たして平和主義なのだろうか。
でも武力が無いと、悪い奴の武力に対抗できないから平和は得られない。
ただ悪い奴をぶっ飛ばせば、それで平和が崩れる事もある。
例えば独裁国家は、民に自由を与えない。
でもその中でそれなりの幸せは得られていたりするのだ。
独裁国家が崩壊すれば、今度は混沌とした国になるのが常。
地球では、多くの独裁者が打倒されては国が荒れていた。
独裁者でも、統治する者がいないよりはマシ。
難しい所だよね。
それでもこの世界は、神を倒して変えなければならないだろう。
独裁国家が崩壊するのとは違う。
新たな神が、きっと良い世界にしてくれるはずだ。
此処にいるメンバーにその資質があるのかどうかは疑問もあるけれど、きっと今よりは普通で自由な世界になるだろう。
今よりもマシになるならそれでいいよね。
「果たしてどうかな‥‥。多くの民がそれで満足しても‥‥香が幸せになれるとは限らない‥‥。いや‥‥俺と一緒にならない時点で‥‥もう不幸の始まりなのかな‥‥ふっ‥‥」
キモい。
こいつキモいわ。
自分と一緒になれないから不幸とか。
百年の無理難題を出されている時点で気がつけよ。
有り体に断られているだろ。
なんか思い出したぞ。
こいつやっぱストーカーだったわ。
まさか異世界にまで追いかけてきたのかよ。
香も可哀想に。
でも百年か。
普通の人間なら死ぬ年齢だ。
でもこの世界は死ねない世界。
繰り返す世界。
百年今の生活ができれば、もう黒川とでも結婚して良いという見方もできる。
或いは死ぬ覚悟か。
なんだか重いな。
そう考えると、やっぱり香とこの世界は無関係とは思えなくなってきた。
これは会ってみる必要があるな。
そんな風に何故か確信できた。
俺は『|灰闇《かいあん》』の一寸神を召喚した。
闇の属性に優れた、灰色の髪をした俺の小さな分身だ。
黒川がこの後、どういった行動をするのか見ておく必要があるだろう。
もしかしたら香の所へ行く事も考えられる。
聞いてもどうせ香の居場所は教えてくれないだろうし、ならば一応黒川はマークだ。
万に一、いや億に一の可能性で『神候補』であるかもしれないしな。
「それでぇ~、ダンジョンの先に進めるのよねぇ~。あそこで良いのかしらぁ~?」
天冉が指差す方向。
そこには洞窟と思われる入口がぽっかりと口を開けていた。
「ああ?好きにしてくれ‥‥。お前たちを俺が止める事はできない‥‥」
黒川の言い方からは、そこが第五大陸に向かうダンジョンとは感じられなかった。
好きに探して行けという所かな。
まあ好きにやるさ。
「何処に入口があるんだ?」
「ん?」
あれ?もしかして、土筆たちにはアレが見えないのか。
「変な幻術がかけられているの‥‥」
狛里はそう言って、辺りの魔力を薙ぎ払った。
すると戦闘空間はダンジョンの景色へと戻り、洞窟の入口がハッキリと現れた。
これも黒川の魔法だとすると、実はもう少し強かったのかもな。
俺たちは無言でその洞窟の入口へと向かった。

さて洞窟に入ると、そこは再び魔物があふれるダンジョンだった。
ただ今までと違うのは、他にも冒険者がいた事だ。
「見ない顔がいるな」
「もしかして黒川が負けたのか?」
「もしそうなら、久しぶりの移民だな」
俺たちを見て、冒険者たちは口々にそのような事を話していた。
「モンスターを倒すと法螺貝がドロップされるのだ!」
「おっ!マジだな。でも法螺貝野郎が吹いていたのよりも小さくて普通だな」
見ると確かにドロップされる法螺貝は、俺たちが知るものとは違っていた。
法螺貝野郎が吹いていたのは、もっと大きくて表面には赤い模様があった。
血塗られた法螺貝といった感じだったと思う。
「孔聞くん、試しに吹いてみるのはいかがでしょうか?」
「自分が吹くのですか?別に構いませんが、何か有れば対処はよろしくお願いしますね」
どうやら孔聞が吹いてみるようだ。
なんとなくだけど、結果が分かる気がした。
似たようなアイテムはゲームの頃にもあったしね。
孔聞が法螺貝を吹くと、そこにアイアンゴーレムが現れた。
やはりな。
この法螺貝は血塗られた法螺貝と違って、弱いモンスターを召喚する為のものなんだ。
こんな物を集めても、正直なんの役にもたたない。
でも、この辺りでたびたび他の冒険者を見かける辺り、こんなアイテムでも需要はあるのかもしれない。
ならば一応集めておくか。
そんな訳で俺たちは、法螺貝も集めながらダンジョンを進んでいった。
しばらくすると、気がつけば先に太陽の光が射していた。
「とうとう到着したみてぇだな。第五大陸」
「ようやくなのだ。俺はやったのだ」
「一体どのような所なのでしょうね」
「おそらく何も変わらないと思います。きっと人々が普通に生活していますよ」
孔聞の言う通り、普通に平和な世界がそこにはあるのだろう。
でもきっと何かが違うはずだ。
俺たちは洞窟から出て、第五大陸へ一歩を踏み出した。
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