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みんなで第四大陸へ!

『|好事魔多《こうじまおお》し』とは、上手く行っている時ほど落とし穴があるって意味の諺だ。
良い事ほど邪魔が入りやすいって意味でもある。
第三大陸の大混乱は、圧倒的に俺たちに有利な展開だった。
戦争しなくとも民の為に行動するだけで混乱は大きくなり、更に俺たちの立場をいい方向に進めて行く。
何をやっても俺たちは第三大陸統一に向かって前進できていた。
そんな中、俺も皆も油断していたんだ。
敵の本拠地に乗り込む危険に対する警戒を喪失していた。

この日の夜、俺たち将棋駒たちの集まりはお通夜だった。
孔聞は蘇生をされて生きているにも関わらず、お通夜状態とはこれいかに。
「今回はみんなで諦めて、次のクエストで第四大陸に行くのだ!」
「それはできねぇよ。猫なめギルドに協力してもらってんだ。そんな事をしたら次は猫なめギルドの為に俺たちは戦う事になる」
「そうすると普通に考えて、僕たちが第四大陸に行けるのは三ヶ月から半年後なのです」
「それも無理よ。猫なめギルドには上がれていないメンバーが沢山いるもの」
「仕方がないですよ。自分が騙されたのが悪いのです。また次に行ける機会を待ちます」
「猫なめギルドに入れてもらう事はできねぇのか?」
ボス、それはきっと無理だ。
何故俺たちがみんなで欲望ズを抜けたか。
それは孔聞にギルドを抜けられない事情があったからだろう。
「‥‥」
孔聞の無言の返事に、一同再び沈黙した。
全ての冒険者と兵を皆殺しにしてでもクリアを目指すなら、俺たちなら十日もあればクリアできるクエストだ。
でもそれはできない。
これはゲームでもあり現実だから。
誰だよこんな世界を考えたのは。
こういうゲームに俺たちはハマっていたんだよなぁ。
ゲームはゲームだから楽しめるって事を、忘れてはいけないよ。
「孔聞様。私は孔聞様を確実に第四大陸に行かせる為に、このくだらないクエストに参加したの。だから必ず第四大陸に行ってもらうわ」
「それはどういう事でしょうか‥‥」
それは俺も気になるな。
百万診も今回は辞退して、また改めて参加するとかってんじゃないだろうな。
「アレを使うわよ。私の代わりに孔聞様に第四大陸に行ってもらうの」
代わりに?
「もしかして女神さま。アレを使うのですか?それは女神さまに申し訳なさすぎます」
「良いのよ。アイテムは使わないと意味がないもの」
何かのアイテムを使って、百万診の代わりに孔聞を第四大陸に上げる事ができるというのか。
「ちょっとよくわかんねぇな。俺たちにも分かるように説明してくれねぇか?」
「仕方がないわね。一回しか説明しないわよ」
百万診はそう言ってから少し時間をおいて、自分がやろうとしている事を話し始めた。
「私はあるアイテムを持っているのよ。それを使えば『私に何かが起こった時に誰かを身代わりにする事ができる』わけ。もちろん私は第四大陸には行けないけれど、元々私は上がる必要も無いのよね」
そんなアイテムがあるのか。
だったらそれは一つの手だな。
百万診が第四大陸に来られないのは、俺の仕事を考えればマイナスかもしれない。
でも元々現地の神の使いにはあまり期待していないし、問題は無いだろう。
「でもそのアイテムはきっと貴重な物ですよね?前に自分に譲ってくださった時も、とても悩んでおられた」
ほう、前に孔聞はそのアイテムを貰って使った事があるのか。
つまり一度使えば失くなってしまうアイテムって事だよな。
確かに今回も使うのを躊躇するような所がある。
都合の悪い何かがあるのだろう。
「問題無いわ。ちょっと手に入れるのが困難で高価なだけよ。どうせ使わないし、だったら使える時に使った方がいいもの」
「本当なんですか?」
「ええ。だから孔聞様は私の代わりに第四大陸に行ってください」
高価なアイテムねぇ。
少し嘘っぽいけれど、嘘ではなさそうだ。
何かを隠してはいるけれど、まあ本人が良いと言うのなら反対する理由もないな。
「分かりました、女神さま。いつか必ず前回の分も含めてお礼はします」
「気にしないで。そうそう、身代わりは一人じゃなくてもいいのよ。ついでに猫なめギルドのメンバーも、第四大陸に送ってあげようかしら」
「そんな事もできるのだ?だったら他の冒険者もみんな送ってしまうのだ!そしたら百万診ちんも次に上がるのが楽になるのだ!」
ほう。
奇乃子にしてはいいアイデアじゃないか。
「そうね。ではそうしましょう。もう勝てない人たちに言えば、協力してくれるかもしれないわね」
まさにその通りだ。
百万診には悪いけれど、これはもう俺たちのクエスト達成は時間の問題だな。
それに百万診なら、今回駄目でも次は一人できっと上がって来られる。
俺を手伝ってくれるその気があるのならね。
孔聞が殺られた時はどうなる事かと思ったけれど、結果的には悪くない方向で収まりそうだ。
俺は一安心するのだった。

みんなと別れた後、一寸神の俺は百万診に尋ねた。
「なあ。アレで良かったのか?アイテムは貴重な物なんだろ?」
「問題ないわよ。なんだったらもう一つあるし、それも使ってスッキリしたい所だわ」
「えっ?そうなの?」
実をいうと俺は、そのアイテムをもう一つ持っていないか尋ねようとしていた。
もしも譲ってもらえれば、『天冉をこのウインバリアに連れて来る事ができるかもしれない』と考えたからだ。
俺が闇の家からウインバリアに戻って来る身代わりに天冉を指定する。
そしたら天冉がウインバリアに来られるはずなのだ。
俺はその後改めて戻ってくればいい。
「策也様はそのアイテムを有効に使う構想でもお持ちなのかしら?」
「まあな。前に話したかもしれないけれど、この世界に来たいって奴がいてさ。天冉って言うんだけど。そいつをこの世界に連れて来るのに使おうかと思ってな」
「なるほどねぇ。策也様は賢者でしたわよね?このアイテムを使うのにはちょっと向かない職業なのよね」
「使えないのか?」
「使えない訳じゃないけれど、確率が落ちるのよ。聖職者、それも|司祭《プリースト》以上でないと百パーセントの確率で成功しないのよ」
「賢者だったら?」
「精々二十パーセントかしら?」
これは困った。
貴重なアイテムだろうし、期待値的には後四個は集める必要がある。
「そのアイテム見せてもらえないか?俺なら複製ができるかもしれない」
大抵のアイテムは複製可能だし、俺なら魔法として取り込む事もできるかもしれない。
「無理よ。これはこの世界で私にしか作れないものなの」
「だったら作ってもらう事は?」
「‥‥直ぐには無理ね。なんとか一つで成功してもらわないと。そう言えば想香様の職業はなんなの?」
「想香は巫女侍だけど?」
「ならば想香様に使ってもらえばいいわ。巫女は司祭と同格の聖職者なのよ」
「おお!想香で大丈夫なら行けるぞ!」
「それは良かったわ。ならばその天冉様と、少し話がしたいわねぇ」
天冉と話か。
テレパシー通信で間に俺が入ればできないくはないけれど‥‥。
「手紙で良いわよ。私が手紙を書くから、その返事を貰って来てくださる?念の為に言っておくけど、絶対に手紙の内容は見ないでね」
「分かっているよ。女同士の話に男は入れないさ」
それにそんな事をしたら、天冉に殺されちゃうよ。
目でね。
「あら女性の方なのね」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「忘れたわよ。では今から手紙を書くからお願いできるかしら?」
「分かった」
こうして俺は百万診の手紙を天冉に届ける事になった。

「という訳で、これが百万診から預かった手紙だ。天冉、読んで返事をもらえるか?」
『という訳で』で全てが通じるとか凄いな天冉。
などとは思わないようにね。
つかこのネタ使うの何度目だろうか。
「拝見させてもらうわねぇ~」
天冉は手紙を開いて読み始めた。
しかしこの世界、というか異世界の多くは日本語で助かるよ。
というか俺が行く異世界はそういう世界なのだろうな。
俺は日本語が好きだし、それ以外覚える気がまるでないし。
尤も賢者だから、あらゆる言語が喋れてしまうんだけれどね。
五分ほど天冉は手紙を繰り返し読んでいただろうか。
突然手紙を閉じて、それは小さなポーチにしまった。
「返事を書くわねぇ~。紙と筆はあるかしらぁ~」
「紙と魔法のペンならあるけどな」
俺はそういってアイテムボックスから紙とペンを出して天冉に渡した。
すると天冉はその場で返事を書き始める。
おいおい、俺の見ている前で書くのかよ。
俺は見ないようにそっぽを向く。
しかし天冉は気にせず返事を書き続けていた。
「見てもいいわよぉ。大した事は書かないからぁ~」
「そ、そうなのか?」
俺はなんとなく気になって天冉の書く手紙を見た。
そこには『ありがとう。こちらとしてはむしろありがたいわ。全て了解よ。楽しみにしているわ』と書かれているだけだった。
当然なんの事かは分からない。
でも天冉にとってはいい話だったようだな。
そして百万診にとっても悪い話ではなさそうに感じた。
天冉からの手紙はアイテムボックスにしまって、百万診の所にいる一寸神の俺がそれを取り出した。
「返事がきたぞ」
百万診に手紙を渡すと、直ぐに手紙を開いて読み始めた。
中身を知っているので、直ぐに読み終わる事は分かっていた。
しかし少しの間、百万診は手紙を見つめ続けていた。
「どうした?いい返事だったか?」
「ええ。天冉様がこちらに来られたら仲良くできそうだわ」
それはどうだろうか。
少し似た所もあるし、逆に俺としてはちょっと怖いかもしれない。
「そうそう、言ってなかったけれど、アイテムを使うのは無事に第四大陸に行けてからにしてね」
そういって百万診は一つのペンダントを俺に差し出してきた。
目玉のような小さな宝石が付いた、変わった形のものだった。
「そうなのか?まあそれは構わないけれど」
仲良くできそうだと言っておきながら、天冉とは会いたくないのだろうか?
個人的には、仲良くできないかもしれないとは思ったけれど、もしかしたら何かを感じたのかもしれない。
なんにしても第四大陸に上がってから使えと言うのなら、まあそうするけどさ。
「使い方は、術者が‥‥」
その後使い方の説明を百万診から長々と説明された。
割と面倒な準備が必要だった。
術者が装着しているペンダントに、身代わりとなる者が魔力を込める必要があった。
そしてこのアイテムは、どんな身代わりも可能にする。
つまり術者に命を預けるのにも等しい。
百万診の気が変わって、火山の火口に飛び込まれでもしたら、皆は揃って火口に飛び込む事になるのだ。
猫なめギルドの面々にとっては『百万診を信じる』という事も、第四大陸に行くのには必要という事になる。
もちろん他のギルドで第四大陸に連れて行ってもらいたいって人もね。
尤も百万診の事は皆知っているし、ある程度信じている様子だった。
なんせ第三大陸に上がってきた時に、出会って説明を受けた者ばかりだからさ。

そんな訳でそれからしばらくは、第四大陸に向かう為の準備に時間を費やした。
狛里は相変わらず、逃げる領主を捕まえるのに飛び回っていたけれどね。
そして一週間以上が経過してから、ようやく次の段階に進める日がやってきた。
多くの国が滅び、侵略され、国として残ったのは俺たち等々力と海老嶋だけになったのである。
つまりこれで俺たちは、海老嶋へと侵攻を開始できる訳だ。
当然だけれど逆も然りだね。
でも海老嶋は直ぐに等々力へ攻めてくる様子はなかった。
それどころか、滅んで中立地となった場所への侵攻を益々活発にしていたのである。
「不可侵条約じゃ、『我々だけ残り二国となるまで』って期限で同意していたよな?」
「その通りなのだ。どうして攻め込んでこないのだ?」
「おそらくこちら側から攻め込んでくるかどうか、様子を見ているのだと思います」
「中立地が残っている場合なんて、そもそも想定していなかったのでしょうね」
「つまり今の海老嶋の様子だと、まだ条約は生きていると思っているのでしょう」
雄猫の言う通りだろうな。
孔聞の言うような様子見時期はもう終わっている。
攻め込んで来ないと見て、中立地を先により多く取ってしまおうと考えているんだ。
でも馬鹿だよな。
大荒れの町や村を手に入れた所で、対処は大変だし金も掛かるぞ。
リーマンショックじゃないけれど、危険な債権を無理に買い集めているような感じだ。
それら全てを回収できれば儲かるけれど、むしろ集めて自滅に向かっているようにすら見える。
大東亜戦争が始まった時、日本が太平洋の島々を次々と落としていったのにも似ている。
そのクソ戦略のせいで日本軍は分散する事になった。
アメリカは全戦力をもって、ゆっくりとその島々を一つずつ取り返して行けば良かった。
仮に海老嶋が中立地の占拠に成功したとしても、その直後の戦いなら圧倒的に俺たちが有利。
海老嶋は復興が終わった数年後に戦うつもりなのかねぇ。
「だったらこっちもさっさと中立地を攻略していかねぇか?俺たちは早く決着をつけてぇんだ」
猫なめのギルマスの立場ならそういう考えにもなるか。
でも‥‥。
「放っておこう。今海老嶋は自滅に向かっているよ。お金も無いのに大勢の借金を肩代わりしようとしているんだ」
集まると目論んでいた領主のお金も、狛里がことごとく回収しているからね。
「でも長引くのはゴメンだぜ?」
「大丈夫だ。そう時間はかからないよ。そうだな。ならば等々力に救ってもらいたいと願う町や村だけは受け入れていこう。スムーズに話し合いで解決できる所だけは先に領地にしておく。これがおそらく一番早い」
攻め込まれて主権を侵害されたと感じてしまったら、再び民が立ち上がって離れる可能性がある。
でも話し合いで納得しているのなら、戦争が終わるくらいまでは何も起こらないだろう。
「そんなヌルい事をどれくらい続けりゃいいだ?」
「そうだな。おそらく二週間は超えないと思う。一週間くらいを予想している」
あくまでゲームならそれくらいの流れだって話だけれど、リアルではそうならない可能性もあるんだよな。
「じゃあ二週間だ。あんたの言う通り二週間は待つ。でもそれ以上に長引くようなら、猫なめメンバーは好きに動かせてもらうぜ?」
まあ勝手に動かれても、もう等々力が先に崩れる事はないと思う。
でも逆に長引く可能性はありそうだ。
自業自得になるだけだし好きにさせるか。
「分かった。二週間以上かかるようなら後は任せる」
勝手に動く分には狛里も納得するしかないだろうしね。
そんな訳で俺たちは、当面話し合いで等々力の統治下に入りたい町と村だけを領地とする事に決めた。

五日が過ぎた。
俺の予想はだいたい当てっていて、既に海老嶋はボロボロになっていた。
むやみに領地を増やした事で食料も財源も確保できず、元々の領民への負担を増やさざるを得なくなった。
当然それを不満に思う民が溢れ、海老嶋の領地一帯で一斉に暴動が起こった。
「思ったよりも早かったな」
「あんたの言った通りになったな。もう何もしなくても俺たちの勝ちか」
「おそらくこんな結末は、第三大陸のこのクエストが始まって以来じゃないかな」
猫なめギルドの面々は、何度もこのクエストに挑戦してきた。
そんな人たちがこんな事は初めてだと言うのだからそうなのだろう。
ちょっと狛里が王様を粛清しただけなんだけどな。
つか粛清ってのは普通逆の意味で使うんだけど。
結局この日の夜、海老嶋王国も滅亡し、後は中立地を全て領地にするだけとなった。
そんな訳で次の日から、俺たちは積極的に中立地を訪れていった。
国家が存在しない今、どこも兵なんてものはいない。
治安維持警備兵くらいはいるけれど、俺たちは全て話し合いで占拠していった。
復興支援を援助し、税も当面は無税を約束する。
別に今後俺たちが統治する訳もなく、統一後は王様次第だ。
猫なめのギルメン以外にも大勢が協力してくれ、そこから僅か三日で俺たちの全国制覇は叶った。
「後はここだけだけだぜ。ここに兵を立たせたら、等々力の全国制覇が決まる」
「普通よりも少し早いくらいだったね。等々力から見れば二ヶ月半で全国制覇か。凄い凄い」
「それで僕たちも第四大陸に行けるんですよね?」
「行けるわよ。準備はもうできているわ」
「だったらそろそろ行くのだ!俺は早く行きたいのだ!」
奇乃子に急かされ、最後の兵がチェックポイントへと歩いて行く。
皆はそれをただ見ていた。
そして今、兵はチェックポイントに立った。
徐々に、そして一気に景色が白へと変わってゆく。
百万診がアイテムの魔法を発動しているのが見えた。
想香ももうすぐ同じアイテムを使うからか、それを見てやり方を確認していた。
次の瞬間、俺たちは何処かの青空神殿のような所に立っていた。
「第四大陸に来たのか?」
「本当にこれたんだ!」
「いやマジで助かったよ」
「あんなクエスト、もう何十回もやらされて困ってたんだ」
「おっ!クリア報酬の金も入っているぞ?」
「この方法だと貰えないかと思っていたけれど、ラッキーだったな」
「女神様!ありがとう!」
連れてきた色々なギルドのメンバーたちは、口々にここにはいない百万診へ感謝の意を表していた。
そして此処にも一人、思いっきり感謝してる奴がいたな。
「女神さま‥‥。ありがとうございます。ようやく第四大陸に来る事ができました」
孔聞にとって、ここに来る事はとても重要だったのだろうな。
理由は知らないけれど、これで百万診も満足だろう。
まあでもあいつの事だから、孔聞が此処にいる以上、次のクエストをクリアして追いかけてきそうだけれどね。
「助かりました。猫なめギルドを代表してお礼を言います」
「ん?そういやギルマスや雄猫は既に第四大陸の住人だったな」
「はい。おそらくは何処かの町に転移しているものと思われます」
「ちゃんと会えるのだ?」
「そのうち此処に迎えに来てくれると思いますよ」
「そうなのだ?だったら俺たちは一足先に第四大陸を探検しにいくのだ!よろしく言っておいてほしいのだ!」
「分かりました。本当にありがとうございました」
その御礼は、今も第三大陸にいる百万診が、ギルマスや雄猫から受け取っている事だろうね。
「じゃあそろそろ俺たちは行くぞ。天冉も呼んでやらんといけないからな」
「天冉ちゃんがこの世界に来れるの‥‥。とっても楽しみなの‥‥」
「頑張るのです。僕が魔法をミスらないように祈ってほしいのです」
想香はちょっと緊張している様子だった。
別に失敗した所で、また次の機会になんとかすりゃいいだけなんだけどね。
アイテムは百万診が作れるみたいだからさ。
尤も、本当に作れるのかは疑問もあるんだけれど。
あの時少し何かを隠していると感じていたから。
なんにしても‥‥。
「別に失敗したって何度でもやり直せるさ。百回失敗しても一回成功したらいい。それくらいの気持ちでいてくれ」
「分かったのです!オッケーボス!」
「じゃあ行こうか?」
俺がそうみんなに声を掛けて歩きだすと、みんなもゆっくりと歩き出した。
しかし一人だけ、その場から動かない者がいた。
「孔聞どうした?」
「いえ。自分は此処から皆さんとは別行動になります。自分は此処でやらなければならない事がありますから。つまり一緒に行動できません」
そうなんだとは思っていたよ。
「そうなのだ?手伝う事はあるのだ?」
「大丈夫です。これは自分の‥‥。ギルドの問題ですから」
ギルドの問題か。
抜けられないギルドに何かがあるのは分かっていた。
だからこれも予想通りだ。
でも孔聞の様子から、これから楽しい事が待っているようには見えなかった。
そして今奇乃子の申し出は断れた訳で、俺たちが関わる事でもないのだろう。
だったら何も言わない方がいいか。
「じゃあな孔聞。もしも助けが必要なら俺たちを探してくれ。二ヶ月半とはいえ一緒にやってきた仲だしな」
「ええ。ありがとうございます。それでは皆さん。さようなら」
「達者でな!」
「バイバイなの‥‥」
「です!」
「また何処かで会えたらいいのだ!バイバイなのだ!」
こうして俺たちは、国盗りクエストで共に戦った孔聞と別れた。
となると孔聞は神候補ではなかったのだろうか。
人の縁なんて何処でどうなるかなんて分からないし、決めつけるのは尚早だな。
とにかく今は天冉だ。
あいつを呼べれば俺は楽ができるだろうし、狛里も喜ぶ。
ただちょっと怖いけどね。
そんな訳で俺たちは青空神殿から離れ、人目の無い岩山付近へと移動した。
この辺りでいいかな。
「じゃあ前にも話したけれど、異世界の友達を呼ぼうと思う」
「信じられないのだ。異世界から人が呼べるのだ?」
「いや、もうこいつらのやる事には驚かねぇよ」
俺たちのやる事には驚かないか。
でもこれは百万診のアイテムのおかげなんだよね。
既にみんなで第四大陸に来られている訳だし、それが異世界になっただけなんだけどさ。
「じゃあ僕が迎えに行ってくるのです。応援をお願いするのです!」
「頑張れ頑張れ想香ちゃん、なの‥‥」
「ファイトファイトファイトー!」
あ、これは学生時代の部活の掛け声だった。
そう言えば部活の合宿で、友達が寝ぼけて夜中に起き出し叫んだ時には笑ったよ。
自分の声で目を覚ましているし。
「なんだか知らねぇけど、頑張れ」
「想香ちんならきっと大丈夫なのだ!安心するのだ!」
俺たちの応援を受けて、想香は一人闇の家へと続く闇の入口へと飛び込んでいった。
さて、天冉は果たしてウインバリアにやってこられるのか?!
ちなみにウインバリアに来た後、俺たちと一緒に『アルカディアに行けないんじゃね?』と思っている人がいるかもしれないので説明しておくと‥‥。
想香は木花咲耶姫を吸収して既に俺の半身となっているし、妖精を取り込むように想香を取り込む事も可能なのよね。
つまり帰りは想香を取り込み、天冉と狛里を連れて帰ればいい。
天冉が神の使いになる必要もあるけれど、その辺りは当たり前に受け入れていたみたいで問題はなさそうだった。
そして想香が闇の家に潜って五分が経過した頃、目の前に姿を現したのは天冉だった。
「あら皆様でお出迎えかしらぁ~?」
「天冉ちゃん!」
狛里が天冉に飛びついていた。
おいおい、狛里のタックルは並みじゃないんだから気をつけろよ。
何にしても天冉は無事、ウインバリアにやってきたのだった。
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