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垢バンニョグタと奇乃子の魔力開放

神には色々な役割がある。
俺のように世界を見守る『世界の神』だったり、みゆきのように世界を創造する『創造の神』だったり。
或いはアマテラスちゃんのように死者などを異世界に案内する『結びの神』だったり、天界に住む神だったり。
天界に住む神は更に詳細に分ける事ができるけれど、今の俺はその辺りよく知らない。
この中で最も上位の存在は天界に住む神。
次は創造の神か結びの神だけれど、結びの神は|新神《しんじん》から天界の神まで誰もがする仕事なので一概には言えない。
想香のような神の使いにも結びの神の要素が含まれているしね。
そして一番の下っ端が俺のような世界の神だ。
世界の神を含めて神は神の使いを持つ事ができ、その世界の『|神役《かみやく》』として眷属のような感じにできる。
或いは仕事の助手とする事ができた。
神の使いは女性が多い事から、『|女手《じょしゅ》』と呼ばれるのが一般的かもしれない。
世界の中で神役をする神の使いは、中つ国に住まう『|中津神《なかつかみ》』と云われる事もある。
神には元々人間だった者が多く、能力に応じて『クラス』が決まっている。
俺は『賢者』だね。
魔法や能力を最も数多く扱えるクラスの一つだけれど、体を使った戦闘にはあまり向かない。
みゆきは『巫女拳聖』で、『格闘司教』などと同列であり特定の武器にこだわらずに戦う聖職者か。
女手の想香は『巫女侍』で、みゆきと違って剣を持って戦うのが特徴。
狛里は『魔神』で、魔力に秀でた神とされる。
正式にはまだ神ではないけれど、既に神を超えた存在になっているのかもしれない。
天冉は『暗黒主教』で、おそらく正式な神になる事はできないけれど、あらゆる方面に優れたクラスだ。
神とは何か?
よく分からないまま神になった俺だけれど、最近少しずつ分かってきたので記しておくよ。

この日は早朝のまだ暗い時間から、ボスと孔聞が模擬戦を始めていた。
どうやら奇乃子によるマーストンファーのパワーアップが終わり、それを試す為らしい。
俺は気になってすぐに外へと出た。
「守りの構えをするだけで発動するのだ!」
「これは早いな。しかし結構魔力が食われる」
ほう、奇乃子にしては珍しく防御系の効果を付与したのか。
ボスがボクシングのファイティングポーズのような体勢をとる。
そのように守りを固めると、バリアが自動で張られた。
しかし魔力効率が悪そうだな。
ボスが結構大変そうだ。
奇乃子のようにイメージだけで魔法を扱う場合、どうしても魔力消費が大きくなる。
元々魔力容量の大きい奇乃子だと問題はないけれど、ボスにとっては結構辛いか。
それでも効果は大きいようだ。
バリアに向かって攻撃した孔聞が、次の瞬間魔力に包まれる。
バリアが柔軟に形を変えて、孔聞の周りを覆ったのだ。
そして棺桶のような姿へと変わり、そのまま倒れる。
このバリアを攻撃した者は、バリアに閉じ込められるようにして棺桶に収められるようだ。
「まるで蜘蛛に囚われたようだ」
更に空からダイヤモンドソードが複数落ちてきて、棺桶を串刺しにしていた。
この辺りは俺が使った魔法を参考にしたか。
おそらくこの部分に関しては、俺が少し手を貸せばもう少し効率の良い効果にできるだろう。
いやしかしマジで凄い。
昨日ギリギリ孔聞に負けていたボスが、今日はアッサリと孔聞を八つ裂きにするんだからな。
って、孔聞間違いなく死んでるだろ?
そう思った時には、妖凛が分裂して復活させる為に魔法を発動していた。
持ってて良かった、一家に一台妖凛ってね。
それにしても妖凛にはよく助けてもらっているよなぁ。
何かに集中すると、ついつい全思考を使って考えてしまう。
そこに邪魔が入らないようにしてくれたり、その間俺の体を守ってくれたり。
イスカンデルでは元の世界に戻されそうになった時に助けてくれた。
妖凛がいなかったら、あの世界での仕事は成し得なかっただろう。
アルカディアで神になれたのだって、妖凛がいなかったらどうなっていた事か。
「妖凛ありがとう。いつもお前には助けられてばかりだわ」
俺がお礼を言うと、妖凛は少し顔を赤らめて『コクコク』と頷いた。
しかしすぐにその後、『プルプル』と首を横に振った。
「どうかしたのか?」
俺がそう声を掛けると、孔聞の蘇生が終わった妖凛は直ぐに俺の体に戻ってきた。
何かあったのだろうか。
そんな風に思っていると、妖凛が珍しく意思を伝えてきた。
何々?わたしはそんなお礼を云われるような事はしていない?
いやメッチャしてるし。
更に妖凛メッセージは続く。
実は全て、|俺《たま》の体を乗っ取る為にやってきた事だ?
どういう事だろうか。
わたしは食うも食われるも一緒になる合体も、全て自分が主導権を握る為にやろうとしてきた事?
でも邪神は邪な心が無いと本当の力は発揮できない。
俺にはそれが全くなかった。
少なくとも妖凛に対して、ほぼほぼ疑う事すらありはしなかった。
心の中も見る事ができたのに、それも一切行わなかった。
だから結果このような形になってしまっただけ。
感謝されるような事は何もしていなかった‥‥。
なるほどねぇ。
妖凛は一応邪神としての本能も持っていて、それは消えた訳では無かったんだな。
そしてそれは俺の制限を超えて、或いは隙をついて機能していた。
そう考えると俺はずっと無防備だったかもしれない。
でも妖凛の心に、俺は曇りを一切感じなかった。
たとえ邪神であっても、この子が良い子なのは間違いないのだ。
『力が発揮できなくて困るなら、俺は邪な事を考えた方がいいか?』
『プルプル!今のままで‥‥いいよ‥‥』
うわっ!妖凛が喋った!
と言ってもテレパシー通信だけどさ。
俺はさ、別に妖凛だったら体を乗っ取られても良かった気がするんだよ。
今の立場が入れ替わるだけで、きっと俺は何も困らなかっただろうし。
でも神になる事はできなかったか。
まあ妖凛は邪神であっても邪心はないんだよ。
だからこそ俺は妖凛に対して邪心を抱かなかっただけだ。
『ありがとう妖凛、話してくれて。でも邪神の本能があっても妖凛が良い子なのは間違いない。これからも好きに俺の能力は使っていいからな』
妖凛マジ可愛いなぁ。
もしも俺がいつか死にたくなった時は、体を妖凛にプレゼントするのも良いかもしれない。
俺はなんとなくそんな事を思った。
しかしそうなると、魔砂やオリハルコンに俺の意思が半分込められていても、邪神の本能は抑えきれていないのかもしれないって事か。
それでも此処まで俺を裏切った奴らはいない。
ニョグタのように俺を取り込めるヤツもいないし、|制限《ストッパー》は掛けてあるからね。
まあ何かあったらその時だ。
今更アルカディアにいる仲間を疑う必要はないと、俺は忘れる事にした。
さて気がついたら模擬戦は終了し、奇乃子は再び鍛冶場へと向かっていた。
やる気がある時は止める必要もないだろう。
きっと今奇乃子には、何かが降りてきているのだ。
しばらくは魔道具作りに集中させてやるのが良いかもしれない。
叩き起こされたであろうボスと孔聞は、部屋へ戻って再び寝るようだった。

朝になると、俺たちはいきなりの襲撃に起こされる事になった。
やってきたのは複数の人間か。
俺と姦し娘たちは直ぐに家の外に出た。
するといかにも『刺客です』と言わんばかりの男たちが、法螺貝のような何かを吹いていた。
たちまち辺りにボスモンスターが現れる。
なんじゃこりゃ?
法螺貝を吹く行為って、本来『魔を祓う』って意味があったような。
逆に魔物がやってくるってどういう事よ?
ホラを吹くって言ったら嘘って意味もあるから、逆に魔を引き寄せてしまったとか?
おっとくだらない事を考えていないで、とにかく対処だ。
俺はモンスターを軽く斬り刻んでいった。
姦し娘たちも、各々モンスターを殴り飛ばしてゆく。
俺たちにこの程度では通用しない。
しかしなんだろうか。
何か嫌な予感がする。
邪悪な気を感じるというか、俺は何処かでコレを知っているはずだと思えた。
姦し娘たちが暴れる先に、姿こそ少し違うけれど俺はそいつに見覚えがあった。
「みんな待て!一旦下がれ!」
俺は大声で三人を止めた。
すると三人は素直に従って俺の方へと戻ってきた。
「どうかしたの?‥‥」
「僕たちの相手になるようなヤツなんていないのです」
「そうねぇ~。魔力なら私たちの方が上よねぇ~」
確かにその通りかもしれない。
でも早朝に妖凛と話したからだろうか。
或いは今も妖凛が警笛を鳴らしているからだろうか。
とにかくボスモンスターたちの中に潜む、一体のモンスターに俺は超絶警戒していた。
「ニョグタがいる。邪神ニョグタだ。そして何かヤバさを感じる」
世界が違っても、同一とされるモンスターは存在する。
しかし違う所もあったりするから同じには扱えない。
イスカンデルで出会ったフェンリルの尾花だって、アルカディアのとは少し違っていた。
色々なアニメでゴブリンの描かれ方が違うように、当然邪神ニョグタも違うのだ。
「どうヤバいのかしらぁ~?」
「そうだな。邪神の邪の部分が、俺の知っているニョグタと違い過ぎる。おそらくあいつに食われたら、蘇生は無理だろう」
自分で言っていて怖いな。
死が目の前に来ると途端に意識せざるを得ない。
この世界のニョグタは、おそらくそういう役割を持ったモンスターだ。
町の住人がモンスターを消したのが『垢バン』ではないかと思っていたけれど、本当の垢バン執行人はこのニョグタに違いない。
住人が使ったものは『ゲーム調整』って所かな。
「だったらぶっ飛ばすの‥‥」
「駄目だ。あいつに触れるとこの世界じゃ食われる可能性がある」
そうなのだ。
この世界の摂理はこの世界の神が決めている。
それは異世界の神であっても、この世界にいる限りは変わらない。
「だったらどうするのです?」
「物理戦闘じゃ危険が大きい。俺が魔法で倒すよ」
「魔法なら私も使えるの‥‥」
ロイガーツアールか。
「そうだな。じゃあ狛里、かるーくロイガーツアールだ!」
「分かったの‥‥ロイガーツアール!」
狛里の放った魔法は、他のボスモンスターも巻き込んで切り裂いて行く。
本来物理攻撃最強の魔法ではあるけれど、レッドブルーライトニングの効果や全属性付与もあるので、おそらく効くはずだ。
次の瞬間、ニョグタは木っ端微塵に散っていた。
「倒したのです!」
「でもまだ何かを感じるわねぇ~」
天冉の言う通りだ。
ニョグタは生きている。
やはり物理攻撃が軸のロイガーツアールじゃ通用しないか。
見る間に散ったアメーバ状の体が集まり再生していった。
確かニョグタは闇に住むものだから、影にも入って来られる可能性が高い。
バグ世界も深遠の闇の先だからこちらも同じか。
みんなの家を退避させるのは無理そうだな。
「想香!みんなの家が襲われたら持たないかもしれない。みんなを連れて離れた所に避難させてくれ!」
「オッケーボス!」
俺は一寸神も召喚して、想香を手伝わせた。
これで一応はなんとかなるメンバーで対処できるか。
狛里も天冉も普通にやって大丈夫だとは思うけれど、狛里の魔力押しが通用しない可能性はゼロではないんだよね。
「みんなはとにかくロングレンジから牽制だけしておいてくれ。何より自分の命を一番大切にしてな」
「策也ちゃん、なんとかできるの?‥‥」
「方法は色々と考えているけど、アルカディアの魔法が此処でどう作用して通用するのかは分からない。順番に試していくさ」
おそらくこのニョグタを召喚したのは、ゲームマスター的なヤツだろう。
そしてニョグタは垢バンの為のモンスター。
普通なら絶対に勝てる相手ではない。
でも俺たちは異世界人なんだよね。
必ず倒す方法はあるはずだ。
こうしている間にも、ニョグタはこちらに向かってアメーバ状の液体で攻撃してくる。
距離を取っていたら当たる事はないだろうけれど、当たったら対処できるかは分からない。
俺たちから見てさほど強い魔力を持っていないのは救いだな。
そんな事を思っていると、狛里の蹴り飛ばしたボスモンスターの一体が、ニョグタへと飛んでいった。
ニョグタはそれを全身で受け止め、包みこんで食べ始めた。
食べてパワーアップしようってのか?
「血塗られた剣!」
俺はアルカディアの神にとどめを刺した魔法でニョグタを攻撃した。
この魔法により具現化された剣は、魂ごと斬って捨てる。
でも思った通り、全く効果は無かった。
やはりか。
この魔法の効果は、ヤマトタケルの剣の効果を付与したものだけれど、アレはアルカディアでしか通用しない。
アズライールで魂を分離しタナトスで魂を成仏させる方法もあるけれど、おそらくこれも駄目だろう。
俺は一応試してみたけれど、やはり魔法は通用しなかった。
しかし一応魂を魂とは認識しているんだな。
おそらくだけれど、世界が変われば魂の扱いも変わる。
でも同じ扱いをする所もある。
例えば蘇生だな。
魂があれば蘇生できるのはアルカディアと一緒なんだ。
逆に輪廻転生させたり、破壊したり、転移させたりは俺にはできない。
そしてこのニョグタはチートなんだ。
ゲームで言えば無敵モード発動中。
あれ?でもこいつ、仮に俺たちを食って垢バンできたとして、その後はどうなるんだ?
メチャメチャ強くなって誰も対処が不可能にならないか?
きっとそうならない方法もあるんだよな。
なるほどそれが民によるゲーム調整か。
まだ使った事はないけれど、一寸神で試してみよう。
俺がそう考えた時、妖凛がそれを止めようと心を引っ張るのが分かった。
『どうした妖凛?何かマズイのか?何々、それをしたら多分倒せるけれど、できれば殺さないであげてほしい?』
そっか。
このニョグタは俺たちを襲うヤバい敵ではある。
でも妖凛にとっては初めて出会う仲間でもあるんだ。
そもそもニョグタはモンスターの中でもユニーク種に属する邪神。
一つの世界に一体しか存在しない。
妖凛に同種の友達を作ってやりたいよな。
どうしたらいい?
何か方法はないのか?
『ん?何々?魂だけの状態にしてくれたらなんとかなるかもしれない?』
ふむ。
妖凛がそういうのだからきっとそうなのだろう。
少しだけ早朝に妖凛と話した事を思い出した。
今更疑うなんてありえないよな。
もう妖凛は俺なんだし。
『分かった!じゃあ行くぞ妖凛!』
『コクコク』
つかどの魔法が良いかな。
俺は今まで見てきた魔法のほぼ全てを習得している訳だけれど、あまりに多く使えてしまうから逆に困るんだよ。
魔法記憶には記憶が残っているけれど、俺自身は忘れている魔法もあるし。
検索検索っと‥‥。
肉体は消滅させた方が、少なくとも復活は遅くなるよな。
アルカディアじゃ体が完全消滅したら不死とはいかなかった。
でもこの世界じゃ復活するんだろうなぁ。
魂だけの時間をなるべく多くするには、『|最強神天照降臨《かわいいはせいぎ》』なんだけれど、『神の領域』はこの世界で作れるだろうか。
ちなみに此処でいう『神の領域』ってのは、『魔素の無いエリアを作る結界』って意味ね。
他にも『神の領域』と言えば、世界の神が強くなるエリアである『神のテリトリー』って意味があったり、魔力レベル四百以上の事を言ったりするから文脈から判断してねw
「神の領域!」
俺が魔法を発動すると、結界は上手くニョグタを覆った。
できるみたいだな。
ならば魔力が圧倒的に上な俺の魔法は通用する。
「最強神天照降臨!」
さてこの魔法は通用するか。
魔法が発動されると辺りが光りに包まれ、巨大なニョグタよりも大きな天照の上半身が現れた。
天照はニョグタを手に包み込み力を加えて行く。
そして次の瞬間、完全に掌を合わせていた。
その瞬間ニョグタのアメーバ状の体は消滅し、天照の姿も消えた。
この世界、魔法の演出に凝ってやがる。
流石はゲームモデルだな。
などと思っている間に妖凛の左腕が俺の左肩から生えて、アイテムボックスから魂ボールを取り出してそれを投げた。
なるほど魂ボールか。
通用しそうに無いと思って考えから除外していたけれど、これは魂を輪廻転生や抹殺・転移させるものではない。
とりあえず蘇生復活しないように一時的に閉じ込め、捕らえておくだけのものだ。
異次元収納にも入る事から、魂ボール内では『仮死状態』となっていると考えられる。
果たして通用するのか。
いや、妖凛が行けると思ったのなら、まず通用すると考えて良いだろう。
ニョグタの魂は予想通り、魂ボールの中に捕らえる事ができた。
『仲間ゲットだぜ!』
うわっ!妖凛が喋った!
というか嬉しそうだな。
『良かったな』
『コクコク』
とは言え、この世界でこの魂をゴーレム蘇生しようとしたら、その前に普通に復活するような気がする。
仮にできたとしても、連れては帰れないよな。
『この世界だと蘇生は無理だよな?何々?アルカディアに帰ってから蘇生すれば良い?』
そっか。
そう言えば此処で蘇生しても連れては帰れない。
或いは闇の家で蘇生しておけばどうなるのか試してみたい気もするけれど、とりあえず今は保留かな。
帰る時は忘れずにアイテムボックスから出して持って帰らないとね。
それとも確実に持って帰るのを忘れない為に、闇の家なり闇の魔法実験場なりで保管しておいた方が良いかもしれない。
この世界だと魂ですら、繰り返しの中に組み込まれているみたいだし。
バグ世界の人が消えた訳だし、この世界にあれば又魂ですら消えて失くなりそうだ。
別世界である俺の闇世界に閉じ込めておくのがいいだろう。
そんな訳で直ぐに俺は、魂ボールを闇の魔法実験場への穴に落としておいた。

その後、それ以外のモンスターは難なく全て片付けた。
しかし捕らえたかった刺客らしき者たちは、捕まえる事ができなかった。
法螺貝を吹くだけ吹いて、とっとと退散したみたいだな。
でもこれでおそらく断言できるだろう。
此処にいる者の中に異世界の神がいると、この世界の神にバレている。
だから俺たちはこの世界の神に本気で狙われた。
あんなニョグタを使うなんて、普通の冒険者相手なら考えられないからな。
少なくとも中津神が手を貸していると考えていたか。
敵になり得る者は排除しておこうって訳だ。
此処からはもうあまり力を隠す必要がないかもな。
それでもまだそうではない可能性もあるので、俺は今しばらく様子を見る事にした。
結局朝に騒ぎがあった事で、今日の活動は昼からとなっていた。
「俺のテーザー銃にも新しい効果を付与したのだ!」
奇乃子はそう言ってテーザー銃を振って見せた。
さて今度はどんな効果を付与したのだろうか。
奇乃子はかなり自身満々の様子。
これは気になるな。
「それ、見せてもらえるのか?」
「ん~‥‥あまりの必殺技なので、そう簡単には使えないのだ」
必殺技か。
しかもそう簡単には使えないって、一体どんな効果なのか益々気になる。
「じゃあそのテーザー銃、鑑定させてもらってもいいか?その効果がちゃんと発動されるかどうか、確認する事も必要だろ?」
「策也はそんな事もできるのだ?ならば頼むのだ!」
奇乃子はそう言って俺にテーザー銃を差し出した。
一体どんな効果が付与されているのか。
俺は鑑定眼と神眼を使って調べてみた。
電撃麻痺と『調教してやる!』の効果、それとは別にかなり複雑な術式が組み込まれている。
正直ここまで複雑なのは見た事がないくらいだ。
でも似たようなのは何処かで見たな。
あっ‥‥、これは『ゲーム調整』の術式と似ているんだ。
合わせて考えると、奇乃子のは自分が死なない代わりに何かそれに匹敵するものが使われている。
マックス魔力?
いや違う。
これはおそらく持っている全ての魔力を放出させるんだ。
奇乃子のレベルでそんな事ができてしまうのか。
俺が初めて使ったのは、空中都市バルスから海に向けて魔法を放ったあの時。
ほとんど神クラスだったと言うのに。
それに普通の者が使えば気絶してもおかしくない必殺技。
だから奇乃子のには、どうやらストッパーもかかっている。
対象の魔力レベルを抑える代わりに、使用魔力を魔力容量の半分にしているのか。
まさか魔力開放とはな。
奇乃子の魔力容量だと、例え半分でも魔力レベルが百二十七上昇するのと同じくらいのインパクトがある。
今の奇乃子の魔力レベルが二百四だから、三百三十一レベル相等の魔法使いとして一発だけ魔法が放てると言うわけだ。
このゲーム調整の魔法を自ら作ったのにも驚いたけれど、使えるのはやはり魔力開放だろう。
まさに魔力容量が大きい奇乃子にピッタリの魔法じゃないか。
本来魔力開放は、魔力をためる時間が必要なのだ。
それが魔法に組み込まれているものもあるけれど、効果によってそれが必要だから強制的に取られるものがほとんどだ。
例えばアルカディアでの瞬間移動魔法。
距離や人数によって、強制的に魔力レベル以上の魔力が消費される。
タイムストップなんかも時間によって強制消費させられる。
だけど普通の攻撃魔法なんかは、その威力は基本的には魔力レベルに依存するのだ。
威力を上げたければ、少しずつ魔力をためる、即ち魔力を開放していく事になる。
それを一つの術式で完結させられるとは。
アイテム依存とは言え、俺と同程度の魔法センスがあると言えるだろう。
「奇乃子は天才か?この魔法が命中させられたら、今まで出てきたモンスター全てを倒す事ができるぞ」
「本当なのだ?ちゃんと発動するのだ?」
「もちろんだ。そしてこの魔力開放の効果だけを上手く調整できれば、ファイヤーエンブレムも今以上の威力で攻撃が可能だ」
「魔力開放?なんの事なのだ?」
「えっ?」
もしかして分からずにやっているのか。
いやでも使用魔力を魔力容量の半分にしている訳だから、教えればきっと調整機能を加えられるはずだ。
「魔力ってのは、一度に使える限界が決まっている。それを表すのが魔力レベルだな。奇乃子は全力ファイヤーエンブレムで千回以上魔法が使えるだろ?」
「使えるのだ」
「それは一度に使える魔力の千倍の魔力容量を持っているって事だ」
「そうなのだ」
「ファイヤーエンブレムは中クラスの攻撃魔法で、そもそも奇乃子なら使用できる魔力の半分以下で発動が可能。それをタメによって使用できる魔力全てを使って発動もしてきた訳だ」
「お金を集めた時なのだ」
「でも魔力開放ができれば、タメが必要失くなるし、使用魔力の制限を超えて発動が可能になる。魔力レベル以上の魔法が使える訳だ。今回のパワーアップでは、使用魔力を持っている魔力の半分にする事ができるようになっているんだ」
「そうなのだ。魔力の半分を使うようにしたのだ」
「それを十パーセントとか二十パーセントとか調整できるようにする能力が魔力開放だ」
「おお!つまり俺は五十パーセントの魔力開放を使えるようになっているのだ」
「その通り!だからその魔力開放だけを扱える術式を鞭に付与できたら‥‥」
「俺は自在に凄い魔法が使えるようになるのだ!」
奇乃子はやはり錬金術師として素質が高い。
この説明でちゃんと理解しているんだからな。
「今日も奇乃子は武器強化をするか?」
「当然なのだ」
「分かったわぁ~。じゃあ今日わぁ、策也ちんと奇乃子ちんはお留守番ねぇ~」
「おう!」
こうして奇乃子のアイテム強化は、今日も続けられる事になった。
しかし本当に惜しいな。
奇乃子が男なら良かったのに。
一発だけなら既に魔力レベル三百五十くらいの攻撃が可能なんだよね。
既にロイガーツアールクラスの魔法も覚えれば使えるだろうし、無防備な神なら倒せるレベルだ。
神のテリトリーから出て無防備な神なんて然う然ういないと思うけれど、可能性が全くない訳じゃない。
ゼロから壱になっているこの差は大きいよ。
本気で男になる方法を調べた方がいいかもな。
俺はそんな事を思った。
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