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第三大陸へ!

何を言ったかではなく、何を言わなかったかが重要だ。
人は言うだけならいとも容易い。
嘘でもなんでも調子の良い事はいくらでも言える。
でもこれだけは言えない。
この事実だけは墓まで持っていこう。
そんな言えない事も人にはあるのだ。
そしてそこには大切な何かが隠されている。
奇乃子とボスは、ドロップアイテムについて何も話せない。
ギルド職員も教えてはくれない。
そこにはきっと大切な何かがある。
第三大陸に行くだけではなく、別の何か大切な事が‥‥。

俺たちは順調に岩石ダンジョンを進んでいった。
灼熱ダンジョンよりも楽に進めるのは、奇乃子のファイヤーエンブレムが無双しているからか。
このダンジョンに出現するのは地属性のモンスターがほとんどだ。
ならば相性の良い火属性魔法をほぼ無制限に撃ちまくれる奇乃子は強かった。
魔力容量に関して奇乃子はバケモノレベルだからな。
狛里や想香よりも少し劣るけれど、この二人と比べられるだけでも凄いと言える。
もちろん俺よりも大きい訳で。
無双状態でなんだかんだとダンジョンを進み、今回は二日目にして最下層へと到達していた。
「このダンジョンも地下五十階か。ではボス部屋に行くぞ」
「今回はなんとなく楽勝できそうな気がするのだ!」
「おそらく地属性のボスだからな。此処も奇乃子のファイヤーエンブレムでトドメを刺してくれ」
扉を開けて部屋に入ると、予想通りアースドラゴンが部屋の奥に鎮座していた。
フレイムドラゴンよりもやはり強そうだな。
魔力が大きい。
そして今日は前回と違って本気でかかってくるだろう。
フレイムドラゴンより相性が良くても、そう簡単に攻略はできないはずだ。
思った通り、相性の良い奇乃子の魔法も全て弾き飛ばされる。
「テーザー銃も効かないのだ!」
そして火属性魔法には弱くとも、雷系の魔法に対しては耐性を持っているんだよな。
つまりテーザー銃の電撃麻痺の攻撃はほぼ通用しない。
雑魚には相性が良かったけれど、このレベルになってくると逆に厳しくなるようだ。
流石に四属性最強と云われる地属性だけはある。
もしも奇乃子が今のレベルで魔法使いであれば、攻撃魔法にバフがかかってダメージも通りそうなんだけどな。
この辺りが専門職との差か。
ただし奇乃子はやはり並みではなかった。
圧倒的魔力量を活かし持久戦を仕掛ける。
「徹底的に攻撃し続けてやるのだ!ファイヤーエンブレム!」
いくら弾き飛ばせると言っても、そこには普通よりも多くのリソースを奪われる訳で。
対応行動、魔力、それぞれがいっぱいいっぱいの中で、更にボスから攻撃を受ければ、ドラゴンの疲労は目に見えて早かった。
ボスによるマーストンファーの攻撃で、ドラゴンが時々動きを止める場面が見られるようになってきた。
一瞬だけれど麻痺が効き始めたか。
そうなると後は早い。
動きが止まった一瞬にファイヤーエンブレムがドラゴンを襲う。
防御が間に合わず大ダメージがドラゴンに入った。
「チャンスだ奇乃子!」
「分かっているのだ!」
奇乃子は最大限魔力を高める。
ボスもドラゴンを抑える為に、マーストンファーの連打で麻痺を持続させた。
「行くのだ!これでおさらばなのだ!ファイヤーエンブレム!」
奇乃子の放った炎の鷹は、矢のようにドラゴンを貫いて燃え上がった。
「一度も死なずに勝ったか‥‥」
強くなったよ。
これで二人ともレベルは百八十に近い‥‥。
そう思った時、ドロップアイテムを自動回収した奇乃子とボスが、一瞬にして姿を消した。
「二人ともいなくなったの‥‥」
「もしかして第三大陸に行ったのでしょうか?」
「多分な」
まさかこんなにすぐに飛んで行くとは想定していなかった。
もう少し聞いておきたい事もあったんだけれどな。
でも仕方がない。
今ある情報からどうするべきか推測しよう。
まずダンジョンは全部で七つある。
仮に難易度の易しいものから難しいものへと、一番から七番と数字を付けて考えよう。
今回奇乃子とボスがクリアしたのは、四番と五番だ。
まず四番をクリアしてからギルド職員に話を聞き、次に五番攻略を選んだ。
この時俺は七番の栄光ダンジョンの攻略を勧めたけれど、二人はそれを断って五番にした。
そしてダンジョンのクリアと同時に姿を消した事から、パーティーの数だけダンジョンをクリアすれば第三大陸に行けるのは間違いないだろう。
では何故二人は四番をクリアした後に、七番ではなく五番を選んだのかという事を考える必要がある。
或いは仮にクリアしたダンジョンによって何かがあるとしたら、同じ四番を選ばなかった所から、仲間は別の数字を選んだほうがいい可能性はないだろうか。
更に連番が良いという事も考えなければならない。
ラスボスにトドメを刺したのも、四番ではボス、五番では奇乃子だった事も留意しておく必要があるだろう。
ボスは明らかに奇乃子に最後を任せようとしていた。
ダンジョン選びには、もう一つ考える要素がある。
ドロップアイテムだ。
四番五番共にドロップアイテムは『反物』と『ドラゴンシズク』だった。
解析はできなかったし、五番ではチラッとしか見えなくて断言はできないけれど、同じようなものだったと言って間違いはないだろう。
さてこれらの事から、次に俺たち三人がどのダンジョンをクリアすれば良いのか。
或いはこのまま三人パーティーで良いのかも考えなければならない。
ただ言えるのは、同じダンジョンはクリアしない方がいいだろうって事。
例えば同じダンジョンをクリアしたとなると、実力が同じくらいだと見られる訳だ。
そうするとその相手と対戦して次に進むような展開が待っているかもしれない。
そもそも奇乃子たちは同じダンジョンを選ばなかった。
やれやれ、考えるのが面倒になってきたよ。
もっとこのゲームを続けておけば良かったかもなぁ。
「それで策也ちゃんどうするの?‥‥」
「そうだな。正直分からないけれど、俺たち三人のパーティーでとりあえず『暗黒ダンジョン』をクリアするか」
「どうしてそこなのです?私は可愛いモンスターがいるという噂の『清水ダンジョン』をクリアしたいのです」
「そこは暗黒ダンジョンをクリアしてからだな。奇乃子とボスは次の難易度へ進んだだろ?それに意味があるとしたら次は暗黒ダンジョンをクリアする必要がある。仮にそれに意味が無くても、難易度の高いダンジョンを攻略した方が良い場合が多い」
根拠は何も無いしただの憶測で考えるしかないんだけれど、順番に進んだのにはきっと何か意味が有るはずだ。
少なくとも栄光ダンジョンを拒否したのだからね。
普通強いアイテムなんかは難易度の高いダンジョン攻略で得られる。
それを選ばなかったのには大きな意味が有るはずだ。
だから選ばなかったってのも考えられなくはないか。
俺たちに譲ろうとした?
まさかね。
でも上には残り二つのダンジョンを残している。
俺達なら次にどのダンジョンを選んだとしても、その後ギルドで情報を得たら上二つは確実に確保できる訳だしな。
そんな訳でとりあえず俺たちは岩石ダンジョンよりも難易度の高い『暗黒ダンジョン』を攻略する事にした。

はい、暗黒ダンジョンはアッサリとクリアできました。
ラスボスも当然狛里が一撃で屠りました。
やっぱり俺たちが本気になったら、ゲームを無敵モードでやるようなものだ。
敵となり得るのはただこの世界の神のみだよね。
「ドロップアイテムは反物とシズクなの‥‥奇乃子ちゃんたちと一緒なの‥‥」
「そうだな。おそらくこのシズクは第三大陸に行く為に必要なものだろう。この反物は‥‥第三大陸で使うものだろうか」
「とりあえず綺麗な反物ですね。単なるアイテムならこれで何かを作るのです」
まあ特に必要なものも無いわけだし、アイテムボックスでしばらく持っていればいいだけだ。
「とにかくギルドに行って話を聞く事にしよう」
そう思って俺がダンジョンを出る為に来た道を戻ろうとした時、想香のコンソール画面が開いた。
「ちょっと待ってください。ボスからのメッセージのようです」
想香はそう言ってから、ボスのメッセージを読み始めた。
俺もコンソール画面を開くと、同じようにメッセージが届いていたのでそれを開いた。
「俺は無事第三大陸にやってきたようだ。それでお前らがダンジョン攻略に動く前に、その情報に関して伝えておこうと思う」
「もう既にダンジョンを一つクリアしてしまっているんだけれど‥‥」
「メッセージが遅いの‥‥」
いや俺たちの攻略が早すぎたんだろうけどさ。
まさか秒でダンジョンクリアできるとは思ってもいないだろうし。
ちなみに秒っていうのは単なる表現だからね。
実際にはボスが第三大陸に行ってから数十分は要しているから。
『ダンジョンクリアに関しての情報なんだが、今なら大丈夫そうなので一つ伝えておく。攻略前にギルド砦の俺の部屋に行ってくれ。そこに手紙が置いてある』
手紙を後日見る分には大丈夫って訳か。
何にしてももっと早くに‥‥。
『それで俺は欲望ズのギルドマスターを辞める。後はギョルキューに引き継ぐ。理由は第三大陸に来れば分かるだろう』
メッセージはそこまでだった。
ハッキリとしないメッセージだな。
ギルドメッセージにも検閲とかあるんだろうかねぇ。
「とりあえず一旦砦に戻るぞ」
「そうするの‥‥」
「オッケーボス!」
そんな訳で俺たちは、欲望ズのギルド砦へと戻るのだった。

砦にはギョルキューが戻ってきていた。
「あ、なんかギルマスになるみたいだな」
「まあね。それで君たちはどうすんの?」
「おそらく俺たちも数日中には第三大陸に渡るし、多分同じになるんじゃないかな」
「ふーん。精々頑張ってね」
まだまだ休み期間はあるけれど、ギョルキューからは第三大陸を目指す意思はまるで感じなかった。
でもそれも人生の楽しみ方ではある。
冒険者は常に次を目指し続けなければならない訳でもない。
この中に神になる者はいなかったという事だろう。
俺たちは会話もそこそこにボスの部屋へと向かった。
ドアの鍵は開いていた。
尤もわざわざ閉めている人なんて女性でも少ないけれどね。
部屋はすっかり整理され、備え付けのもの以外には何もなかった。
いや、テーブルの上には一通の手紙だけが残されていた。
俺はそれを手に取り広げてテーブルに置いた。
『第三大陸に行く方法を町や村で尋ねよ』
たったそれだけかーい!
まあどこまで書いてオッケーなのかってのもあったのかもしれない。
これくらいならセーフだというギリギリだったのかな。
それにしても‥‥。
ゲームなら当然やる事だよなぁ。
それをやらずに攻略しようとしたのだから、そりゃ上手く行かなくて当然か。
俺はその手紙を元のように折りたたんでテーブルに置いた。
いずれギルドメンバーがこの手紙を見つけるだろう。
その時第三大陸を目指す意思があるのなら、もしかしたら役立つかもな。
おそらくその頃には、誰かしら情報を得ているとは思うけれどね。
ある意味一ヶ月間第二大陸を見て回るのは正解だったのかもしれない。
「俺たちはギルドに聞きに行くぞー!」
「うん‥‥」
「オッケーボス!」
ボスのメッセージは結局役に立たず、俺たちは当初の予定通り、話を聞く為に冒険者ギルドへと向かうのだった。
その時、ギルド砦にいたメンバーには軽く挨拶をしておいた。
『俺たちは多分もう此処には戻ってこない。縁があれば第三大陸以降で会おう』と伝えて‥‥。

それで直ぐに冒険者ギルドで話を聞いた訳だけれど、少なくとも闇のダンジョンの攻略は間違いでは無かった。
ただしできればその前に情報を得ておきたかった。
基本的には七人パーティーで七つのダンジョンを攻略し、七人が一度ずつダンジョンボスを倒すのが良かったと言えるだろう。
尤も一度ダンジョンボスを倒した者が別のダンジョンでボスを倒してもドロップアイテムは無いから、みんなが一度ずつボスを倒さないと駄目なんだけれどね。
そして第三大陸に行ったら、七人の仲間でいる方が有利なようだ。
それが何かはハッキリとは分からないけれど、つまり今回できれば五人パーティーで動いた方が良かったと言える。
それぞれが将棋の駒のように役割が与えられるとかなんとか。
このまま行くと俺たちは、第三大陸で『|桂馬《けいま》』と『|香車《きょうしゃ》』落ちで将棋をするような感じになるのかねぇ。
先に知っていたら、欲望ズから二人だけでも誘う事はできたんだけどな。
でも既に三人パーティーでダンジョン攻略を始めてしまった以上、このまま三人で第三大陸に向かうしかなかった。
そして向こうでボスと奇乃子に合流し、五人で何かをする事になるのだろう。
それでダンジョンの難易度に関してだけれど、難易度の高いダンジョンでボスを倒した者ほど重要な役割が与えられるという事だった。
おそらく栄光ダンジョンでボスにとどめを刺せば『|飛車《ひしゃ》』、暗黒ダンジョンなら『|角行《かくぎょう》』だね。
そうなると奇乃子は『|金将《きんしょう》』でボスは『|銀将《ぎんしょう》』という事になる。
だったら残りの攻略は栄光ダンジョンと‥‥。
想香は一番難易度の低い清水ダンジョンを攻略したいと言っていたな。
まあそれくらいは大丈夫か。
上四つは抑えられている訳だし。
どれだって成れば金になるんだしね。
「じゃあ次は栄光ダンジョンを攻略するか!」
俺はそう言って冒険者ギルドを出た。
しかし辺りはもう真っ暗になっていた。
「お腹も空いたし明日にするの‥‥」
「そうです。策也タマはブラック上司ですか?!腹が減っては戦もできないのです」
正にその通りではあるけれど、俺たちは食わずとも生きていける不老不死なんですが?
まあでも残りは明日でいいな。
そんなに慌てる必要もない。
奇乃子たちもまさかその日の内に追いかけて来るとは思っていないだろう。
偶には二人にしてやるのも悪くはないはずだ。
どういう関係かは知らんけど。
そんな訳で俺たちは、とりあえず飯を食ってから今日の日を終えるのだった。

この日は、おそらく第二大陸最後の日となるだろう。
俺たちは欲望ズメンバーにサヨナラを言った手前砦に戻る事ができず、昨晩は宿屋で過ごした。
宿屋の朝は早く、まだ眠い中追い出された。
と言っても俺たちには、睡眠なんて必要ないんだけどな。
「まだ眠いの‥‥」
「そうです。どうして僕たちが冒険者と同じように朝から仕事に出かけると思っているのでしょうか?」
「そりゃ、俺たちが冒険者だからじゃないか?」
そんないつものやり取りをする訳だけれど、俺に言わせれば『なんでお前らは眠いんだ?』と聞きたいものだ。
こいつらの魔力回復速度は別に遅くはない。
むしろ早い方だ。
しかも起きてる内から既に回復している訳で、寝る必要すら感じられない。
腹を空かせるのもそうだけれど、どうして眠くなるのかねぇ。
おそらくこいつらがそれを望んでいるからなんだろうけれどさ。
人間の三大欲求は、生きる上でもしかしたら絶対に必要な要素なのかもしれないな。
だったら性欲もあるのだろうか。
おっと変な事は考えないようにしよう。
俺には何もしてやれないのだから。
そんな訳で無理やり追い出された俺たちは、早速栄光ダンジョンの攻略へと向かった。
攻略と言ってもただ全力でダンジョンを進み、最下層のボスを倒すだけなんだけれどね。
「このシャインドラゴンは俺が倒すから手を出すなよ」
こいつを倒した者が第三大陸で飛車となる。
別に想香が倒しても問題はなさそうだけれど、一応俺が倒しておいた方がいいだろう。
なんて考えていたら、想香が一瞬にしてドラゴンを倒していた。
「‥‥」
「えっ?今何か言ったのです?楽勝でしたよ!」
あどけない喜びの笑顔がなんかムカつくな。
みゆきとの夫婦生活が壊れていったのは、もしかしたらこういう所だったのかもしれない。
でも全く悪気はないから許してしまうよな。
「策也ちゃんが駄目って言っていたの‥‥」
「大丈夫なのです。これくらいで策也タマは怒ったりしませんよ。それに飛車の役はきっと僕の方が合っているのです」
悪気がありまくりじゃないか。
いや怒る必要はない。
まだ答えは分かっていないのだから。
もしかしたら『|歩兵《ふひょう》』の方が楽かもしれないしさ。
嫌な予感しかしないけれど‥‥。
そんな訳で俺たちは直ぐに栄光ダンジョンを出て、清水ダンジョンへと入っていった。
想香は可愛いモンスターに大喜びで、なかなか先に進めなかった。
可愛いモンスターたちを文字通り可愛がっているからさ。
モンスターは攻撃してきているんだけれど『くすぐったいのです!止めるのです!』とか言って喜んでいたし。
それでも無慈悲に俺はモンスターを倒して行き、なんとか最下層までたどり着いた。
既に食事時を跨ぐ攻略となっている。
「美味しいものが食べたいの‥‥」
「そうです!朝からずっと何も食べていません!ブラック上司反対なのです!」
「お前がモンスターと遊んでいるから遅くなったんだろ!」
「私は遊んでないの‥‥完全な被害者なの‥‥」
狛里はそうとも言えるけれど‥‥。
「でも狛里だってモンスターを一匹も倒してなかったよな?」
「可愛いモンスターは殺せないの‥‥」
「同罪だよ。後少しだ。第三大陸に渡ったらちゃんと飯にしてやるから」
「分かったの‥‥」
「約束ですよ!沢山食べたいのです!」
「お前が言うなー!」
ふぅ~‥‥。
だんだん少女隊に似すぎて来てないか。
プロレスをしたらまんま少女隊になりそうだ。
こいつら、もしかしたらプロレスがしたいのだろうか。
今度こういう事があったら、一度話を振ってみるのも良いかもしれない。
じゃれ合いたい年頃かもしれないからな。
そんな事を思いながら、俺にとっては弱すぎるアクアドラゴンを瞬殺した。
さてこれで第三大陸に行くのだろうか。
アイテムがドロップした。
ドラゴンシズクと、もう一つは‥‥。
「反物じゃない?」
そう思った瞬間自動アイテム回収機能が働いて、俺たちは一瞬にして第三大陸へと運ばれるのだった。
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