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2020年5月14日【木】16時24分38秒
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2017年2月25日【土】11時13分21秒
【(゚∀゚)】フリー写真館を狛犬画像室にリニューアルしました♪
2013年11月4日【月】19時44分48秒
【(*´∇`*)】川柳と短歌を始めました。
2013年11月4日【月】19時43分21秒
【(*´ω`*)】現在エッセイ&詩以外の更新は休止しています。
2013年1月7日【月】18時48分51秒
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恐怖のリカちゃん

 二号さんは、早速真嶋先輩に、「私、あなたの事なんて、なんとも思ってないんだからね」なんて言ってしまったらしい。
 これで確実に、血みどろの戦いが繰り広げられる事になるだろう。
 天然ボケのストーカー、冷子が勝つのか、それとも、全てを否定する天邪鬼、二号さんが勝つのか、はたまたどちらでもない結果になるのか、俺はどうでも良かった。
 とりあえず、とにかく晴れて二号さんは、萌え萌え委員会のレギュラーメンバーに格上げとなった。
 で、ようやく名前を教えてもらったんだけれど‥‥
「私は、メガネ萌えの、真嶋ヒカルよ。皆さん、よろしくね」
「えっ?ま、真嶋?」
 どういう事だ?
 苗字が一緒だけれど、偶々だよね?
「ヒカル姉さん、素敵な女性になりましたね」
 ってやっぱり、姉弟なのかよ。
 しかも真嶋先輩、メガネの奥で輝く目は、正に恋する乙女の目じゃねぇか。
 くっそ、誰か説明してくれぇ!
 俺が頭を抱えて、心の中で叫んでいると、愛美が話しかけてきた。
「久弥くん、良かったね。真嶋先輩、ヒカル先輩と、仲直りできたみたいで」
 って、お前、知ってたのかよ!
「えっと、二人は姉弟って事で良いんだよね?」
「あっれぇ~久弥くん知らなかったの?どう見てもそっくりだよぉ」
 いや、全然似てないし。
 もしもそっくりだって言うのなら、真嶋先輩が可愛いって事になるじゃないか。
 それだけは絶対に認められない。
 ああ~神よ、俺は何を信じて生きていけばいいのですか。
 まあそんな事を思った俺だったが、そもそもどうでもいいと思っていた事だし、俺はあっさりと気持ちを切り替えた。
「で、今日はヒカル先輩の事以外に、何か重要な問題があると聞いたのだが?」
 俺はそう言いながら辺りを見回すと、何故か皆、深刻な顔をしていた。
 いったいどうしたというのだろうか。
 つか、そういえば、リカちゃん先輩の姿が見当たらない。
 いくら小さいとは言え、俺の視界に入らないくらい小さいわけではなかったはずだ。
「今日は、リカちゃんいないね?何処かで迷子になってるのかな?それともお菓子につられて、誘拐でもされちゃったか?」
 俺は、沈む場の雰囲気にいたたまれず、軽く冗談を言ってみた。
 すると真嶋先輩が、今にも狂乱しそうな表情で、ボソッとつぶやいた。
「その程度の事なら、別にどうという事はなかったんだ‥‥」
 おいおい、誘拐されているかもって言ったのに、それがその程度?
 リカちゃんに、何かとんでもない事が起こったのか?
 俺は心配になった。
「リカちゃん、そんな事になってるんですか!なんとかしないとヤバイじゃないですか!」
 俺は熱くなっていた。
 あの可愛いリカちゃんが、誘拐よりも酷い状況だと聞かされたのだから当然だ。
「おい冷子、お前は知っているのか!?」
 俺は、深刻な顔をしている人の中で、一番聞きやすそうな冷子に詰め寄った。
 すると冷子は、俺から視線をそらし、少し怒っているようだった。
「ふんっ」
 ああ、ヒカル先輩の事ね。
 でも姉弟だったんだからいいじゃないか。
「冷子、よく考えるんだ。真嶋先輩と可愛いチワワが仲良くしていて、お前はチワワにやきもちをやくのか?奴らはどれだけ頑張っても、結ばれる事はない。安心しろ」
 俺がそう言うと、冷子の表情は一気に晴れわたった。
 だがそれを悟られないように、必死に隠そうとしていた。
「そんな事は分かっているわ。ただ、鼻腔内に刺さった鼻毛を、どうやって抜いたらいいか考えていただけよ」
「そ、そうか。それはさぞ辛いだろうな」
「そ、そうよ。決して鼻毛を切る時に、一緒に鼻腔内を切っちゃって、痛いわけじゃないんだからね」
 ほう、努力の成果か、だいぶツンデレ風味も板に付いてきたな。
 でも俺は、ツンデレよりも、天然ボケの方が好きだけどね。
「で、リカちゃんはどうしたんだ?」
 俺は改めて、冷子に疑問をぶつけた。
 すると冷子は俯き、言葉を絞りだすように、一言つぶやいた。
「死んだわ‥‥」
「えっ‥‥」
 俺はショックだった。
 いや、ショックなんてものではなかった。
 あんなに可愛くて、あんなに子供で、バカだけどあんなに萌える人、おそらく全世界探しても、きっと他には存在しないだろう。
 ある意味天然記念物よりも貴重な先輩だった。
 俺は少し涙が出てきた。
 くそっ、俺は、結局リカちゃんに、何かしてあげる事ができたのだろうか。
 こんな事なら、もっともっと、頭をなでてあげるんだった。
 高い高いもしてあげれば良かった。
「そうだな。ある意味死んだと言っていいだろう」
「えっ?」
 俺は真嶋先輩の言葉に振り返った。
 今の言い方だと、本当に死んだわけではないって事か?
「まったくリカちゃん先輩は、何を考えてるんだ」
 美剣先輩は、何故だか怒っていた。
 全然話が見えないんですが、説明してください。
「えっと‥‥」
 俺が戸惑っていると、ヒカル先輩が俺の前に歩いてきて、そして少しほほ笑んだ。
「久弥さん、あなたにはまだ早いと思うのだけれど、リカちゃんは、大人の世界に行っちゃったのよ」
 ええー!それって、アレっすか。
 アレっすよね?
 おいおい、子供がそんな事していいのかよ。
 つか相手は誰だ?
 メチャメチャ犯罪じゃねぇか。
「ふふっ‥‥神田‥‥エッチな事考えてる‥‥ふふ」
 いやまあ確かにそうだけれど、最近話して無かったのに、いきなり話しかけられると怖いよ、副委員長。
「つか、何があったんですか!教えてくれぇ!」
 俺はあふれ出る妄想と好奇心、そして少しの心配から、声を大にして叫んでいた。
 すると、教室のドアが明け放たれた。
 俺の叫び声と同時に、どうやら誰かが来たようだ。
 見るとそこに立っていたのは‥‥
「子供のお化け?」
 俺はうっかり言ってしまった。
「神田くんひど~い。お姉ちゃんに、そんな事言っちゃ、ダ・メ・ヨ!」
 ‥‥怖い‥‥怖すぎる‥‥
 教室に入ってきたのは、リカちゃんだった。
 だけどその姿は、今までの、兵器と呼ばれた可愛いものではなかった。
 髪をチャバネゴキブリのような色に染め、スカートは全く似合わない超ミニ、極め付けは、誰だか分からなくなるくらいに、顔に塗りたくられた厚化粧。
 確かにこれは、みんなが言う通り、誘拐や死よりもヤバイ出来事だ。
 どうしてこうなった‥‥
「も、申し訳ありません、リカさん」
 俺は何故か敬語になっていた。
 いやまあ、どう見ても子供が無茶してるって感じなのだが、なんとも言えないプレッシャーが俺を襲っていた。
 今まで全ての人に、マスコットのように可愛がられていたリカちゃんは、今では誰からも話しかけてもらう事ができず、目をあわす事すら|憚《はばか》られているようだった。
 あの、リカちゃんを大好きだと言った愛美ですら、恐怖に震えていた。
 ダメだ、こんな事があってはいけない。
 どういった理由でこうなったのかは分からないが、俺がなんとかしなければ。
「リカさん、えっと、す、少し大人っぽくなりましたね」
 俺がそう言うと、リカちゃんは不気味な顔をパッと輝かせ、少しだけ子供だった頃の素顔をのぞかせた。
 どうやらまだ完全に、汚物の世界には浸っていないようだ。
「ま、まあね。リカももう大人だからね。当たり前な事言わないでよ」
 モジモジするリカちゃんは、それはそれは不気味だった。
 きっと今夜、俺はうなされる事間違いないだろう。
 だけど、リカちゃんの為に、全ての人の為に、俺は前に進まなければならない。
「大人ですか。確かに妖麗でフェロモン出まくりですが、何かあったんですか?」
「そんなの決まってるじゃない。女が美しくなるのは、恋してる時なのよ。キャー!」
 リカちゃんはそう言って、手で顔を覆って、恥ずかしそうにしていた。
 まるで整形した不細工が、お世辞を言われ真に受けて、恥ずかしがっているようだった。
 その行為を見る事は、俺にとってかなりデットゾーンギリギリで、危うく意識が飛びそうだったが、俺は混乱しながらも、なんとか重要な言葉を聞きとどめた。
「えっ?恋っすか?リカさん、どなたか好きな人でもおられるんですか?」
 俺は心の中で祈った。
 相手は小学生以下でありますように。
 しかし俺の期待は、最悪な方向に裏切られた。
「現国の、|佐藤一《さとうはじめ》先生に、恋しちゃったw」
 リカちゃんの顔は、見る影も無い不気味なものだったが、そう言って見せる表情は、一人の可愛らしい女性だった。
 俺はいったいどうしたらいいのだろうか。
 悔しくて、やるせなくて、どうリアクションをとればいいのか分からず、俺はただ肩を落として俯いていた。
 すると、真嶋先輩が怪しく俺にウインクしてきた。
 俯いているのに、何故それに気が付いたか、俺自身謎だったが、きっと無意識に、真嶋先輩に助けを求めて、目で訴えようとしていたのかもしれない。
 とにかく、ウインクする真嶋先輩の顔は、悲観に浸っている顔では無かった。
 いや、真嶋先輩だけではない。
 他のみんなも、なんだか肩の荷がおりたような、安心した顔をしていた。
 どういう事だ?俺には理解できなかった。
 だからとりあえず、この場はこれ以上話をするのをやめる事にした。
「そうですか。頑張ってください」
 俺がそう言うと、リカちゃんは満面の笑みを浮かべた。
 俺はリカちゃんの頭をなでようとする欲望を抑えて、精一杯の笑顔を返した。
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