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2022年2月16日【水】14時07分52秒
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2022年1月16日【日】18時18分34秒
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2021年12月27日【月】08時34分33秒
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2020年5月14日【木】16時24分38秒
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2017年2月25日【土】11時13分21秒
【(゚∀゚)】フリー写真館を狛犬画像室にリニューアルしました♪
2013年11月4日【月】19時44分48秒
【(*´∇`*)】川柳と短歌を始めました。
2013年11月4日【月】19時43分21秒
【(*´ω`*)】現在エッセイ&詩以外の更新は休止しています。
2013年1月7日【月】18時48分51秒
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担任田中の陰謀

 萌え萌え委員会は、山田と副委員長を仲間に加え、ますます盛り上がっていた。
「山田なんだな。可愛い子がいっぱいで嬉しいんだな」
 山田はここ数日で、すっかり人が変わったように、立派な|漢《おとこ》になっていた。
 ちなみにここで言う漢というのは、「他人からどう思われようとも、カミングアウトし、自分をさらけ出す変態」って意味だ。
 山田はよだれをたらしながら、リカちゃんをなめるように見ていた。
 リカちゃんの事を、こんなにいやらしい目で見られるとは、ある意味凄いと思うよ。
 人間としては終わっているがな。
 流石にリカちゃんも危険を感じたのか、他の人たちと接する時のように、「お兄ちゃん」とは呼ばず、近寄りもしなかった。
 その後副委員長も自己紹介をしていたが、山田の視線に恐怖するリカちゃんを見ているのが楽しくて、すっかり聞くのを忘れていた。
 萌え萌え委員会の集会も終了し、俺と愛美は帰宅しようと、昇降口に向かう廊下を歩いていた。
 すると偶然を装って、担任の田中が俺たちに話しかけてきた。
「おう、こんなところでどうしたんだ?部活か何かか?」
 まったく何を言っていやがる。
 最後のホームルームが終わってから、ずっと俺たちをつけてきてるじゃないか。
「ええ、まあ似たようなもんです」
 俺が適当にこたえると、田中は少し表情をゆがめた。
「そうか。ところで少し九頭竜に話があるんだが、ちょっと職員室まできてくれないか」
 初めからそのつもりだったのかと、俺は思った。
 だったらどうして、ホームルーム中に言わなかったのだろうか。
 一応、愛美に対しての配慮なのだろうか。
 その配慮の為に、俺たちをずっとつけていたと‥‥
 俺は何かしっくりこないものを感じながらも、他に理由は思いつかなかった。
「は、はい。わ、わかりました」
 愛美はそう言って、先生の申し出に対して、コケそうになりながらも了承していた。
 仕方がない、俺もついていくか。
 先生と生徒が話をするのに、本来は何も心配する必要なんてないのだろうが、以前愛美の家に電話をして、喋るなと言った奴だ。
 また愛美に対して、余計な事を言うのではないだろうかと、俺は不安に思ったから。
「おい、神田は帰っていいぞ?」
 すると先生は、ついて行く俺に対して、すかさず帰るように言ってきた。
 だが当然、そんなものは無視だ。
「いえ、愛美と俺は一心同体少女隊なので、一緒に行きますよ」
 俺は父親に教わった、少し昭和なネタを入れつつ、先生の心を解きほぐそうとした。
 しかし全く通用しなかった。
「だがな、やはり他人には聞かせたくない話もあるだろう」
 先生の言葉に、愛美もすぐに反論する。
「わ、私は、久弥くんだったら、聞かれても大丈夫、です‥‥」
 それでも先生はなかなか折れない。
「先生もな、神田がいたのでは話しにくかったりするんだよ」
 此処まで|頑《かたく》なに拒否されると、俺は余計に不安になってきた。
 これはどうしても、愛美と一緒に行かないと。
 俺は伝家の宝刀を抜く事にした。
「先生、何かやましい事があるんですかぁ?無ければ大丈夫ですよねぇ」
 こう言われると、やましい事が無い人なら、自分の無実を証明する為に、大概の人は折れるはずだ。
 俺はニヤニヤとした顔を作って、田中を見つめた。
 すると田中は、明らかに動揺していた。
 なんだ?何かやましい事が、本当にあるのだろうか。
 まさかこいつ、愛美に気があるんじゃないだろうな。
 愛美と二人きりになる為に、職権乱用しようとしているのか。
 そもそも萌えキャラは、より大人に受け入れられる傾向があるからな。
 俺が不審の目で見ていると、田中はようやく居住まいを正し、平静を装ってこたえた。
「バカを言うな。仕方ないな、ついてきていいぞ」
 結果としては、俺の狙い通りだったわけだが、俺は此処までのこいつの行動に、一本の揺るぎない意志を確信した。
 愛美への執着。
 登校初日から、愛美の属性を理解し、喋らないよう勧めてきた。
 廊下から教室内を見ていたり、今日ストーキングしてきたり。
 そして今、話があるからと言って、俺を遠ざけようとする。
 俺は先生が生徒と恋愛する事に対しては、別に否定はしない。
 だが、やり方がいただけない。
 そしてなにより、愛美は俺の彼女だ。
 この田中が、犯罪に走らないとは言い切れない。
 俺は気をつけなければならないと思った。
 職員室には、年輩の先生が一人いるだけだった。
 結構微妙な状況だ。
 田中がホームルームで愛美を呼び出さなかったのは、時間を調整する為か。
 人のいない時間に呼び出す為の。
 俺の不信感はますます高まった。
「じゃあ、まあ座ってくれ」
 俺と愛美は、勧められた椅子に座り、田中と向かい合った。
 不信感をもって田中の顔を見ると、交番前の掲示板に張られているような、指名手配されている犯罪者にも見える。
 当然罪状は婦女暴行。
 ああ、こういう奴がいるから、先生が尊敬の対象にならない時代になったのだろうな。
 くそっ!何だか手足が震えてきやがったぜ。
 俺はドキドキしながら、先生の言葉を待った。
「なあ九頭竜、俺は入学式の日、電話でお前の母親と話をした。で、ドジを治す為の方法として、喋らない事を提案した。以前それでドジがある程度治った生徒がいたからな。だけどどうやら、九頭竜はそれを実践していないようだ。どうしてなんだ?」
 俺はすぐにでも反論してやりたかったが、とりあえず少し待ってみた。
 しかし愛美が、それにこたえる様子は無かった。
 ただモジモジと、俺にラブラブ光線を放っていた。
 仕方あるまい、俺が話してやろう。
「先生、代わりに俺が言います。確かに愛美は、喋っているとドジが増えます。しかし、だからと言って、喋るなと言われても、それは素直に受け入れられないでしょう。女子高校生ってのは、喋ってなんぼの人種なんですから」
 俺がそう言うと、田中の顔は、無罪が確定した犯罪者が見せるような表情に変わった。
「ふっ、でもな、人に迷惑をかけるわけだから、できる限り改善に向けて努力しないといけないのではないか?」
 田中の言葉に俺は再び反論する。
「それは分かっています。だから今、クラスのみんなに迷惑に思われないように、別の方法で愛美は頑張っています」
 俺がそう言うと田中は、メスのカマキリに食われている、オスのような顔をした。
「なるほど。それはドジを治すって事ではないようだね。ならば結局、将来九頭竜は苦労するのではないか?」
 田中はしつこかった。
 俺はだんだん面倒になってきていたが、愛美の為に尚も反論した。
「それは大丈夫です。愛美は史上最強の萌えキャラになる予定です。さすれば、全ての人からチヤホヤされて、どれだけドジでも、幸せな人生を送れる事でしょう」
 田中もそろそろ面倒になってきたのか、犬のウンコを踏んでしまったから、砂地で必死に付いたウンコを取ろうとしたのに、どうしても溝に入ったのが取れなくて、途方に暮れたような表情をした。
「ならば俺も、しばらくは何も言うまい。ただ、やはりみんなが迷惑に思っているなら、俺は先生としてこの状況を改善せねばならない。もうすぐ中間試験の一週間前に入る。その時に学級会を開いて、クラスのみんなに、迷惑に思うかどうか尋ねようと思う。そこで迷惑に思う人が誰もいなければ、俺はもう何も言わない。しかし迷惑に思う人が何人かいたら、その時は俺の言う事を考えてみてはくれないか」
 俺はそう言われ、結局受け入れる事しかできなかった。
 保護者から苦情が来たらどうにもならないとか、先生の立場を考えると、まあ当然の結果か。
 ただ、俺が約束しただけで、愛美は何も言っていないんだけどね。
 とにかくその日までに、俺たちは成果を出せるように、頑張らなければならなくなった。
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