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第三十四話 最強大日本帝国の復活

俺達がカナダに勝利した後、中立化していた新第1有人要塞『シリウス』はアメリカが手に入れていた。
その二日後、露仏連合軍がドイツを打ち破り、ドイツ領だった2つの有人要塞は、どちらもロシアが手に入れていた。
どちらか一方は得られると考えていたフランスは、その結果に不満を持っていたようだが、ここでロシアを敵に回す事はできなかったようだ。
露仏同盟を維持する為、その結果を仕方なく受け入れた。
その間も尚我々日本はアメリカやオーストラリア、イギリスといった国々から攻撃を受けていたが、カナダを打ち破った事で少し余裕もでてきていた。
戦力的には圧倒的に負けているのだが、どうやら質が高いらしい。
序盤から韓国と戦いまくり、中国とやり合い、現在は3国から攻められている中で、他国の数倍士官がいた。
プレイヤー数ではインドやアメリカに負けるものの、正直戦力としてはアメリカにも負けているとは感じなかった。
ただ、もうすぐロシアやフランスも日本に攻めてくる可能性がある。
日本としては何かしらの対応に迫られていた。
そんな訳で俺達は、更に強くなるために、一旦本拠地へと戻っていた。
部隊の再編を考えていたからだ。
先日のサイファ師団の戦い方は衝撃だった。
艦船でもかなり戦える事を知った。
今までレーザー砲くらいは使っていたが、そもそも武器はそれしか積んでいない。
とにかく移動速度、その上で耐久力と積載量を考えた艦船ばかりだった。
でも艦船で戦える艦長がいるとしたしたら、それは大きな戦力になる。
下手に量産機を大量に積むよりも絶対に強い。
そもそも我が旅団にはプレイヤーが少ない。
人型の数があっても意味がないのだ。

カッチ「でだ。今日はその辺り色々意見を聞いて、部隊を再編したいと思う」
月読命「俺もとうとう少尉になったぜ!ずっと戦力外で寂しかったよーうるうる」
天照皇大神「もう少尉なんて流石久弥くん、かっこいい~」
リナ「そうだねぇ~あんな戦いを見た後だし、艦船での戦いも考えちゃうよねぇ~」

今日は陽菜以外、皆自宅でゲームをしている。
先日の戦いでやり切った感が半端なくて、もうすぐ夏休みも終わる事だし、早めに自宅プレイに慣れておこうという話になった。
それに会話に参加できない月読命など仲間たちが寂しいだろうしね。

カッチ「艦船で戦えそうな艦長はいるかな?沖田艦長はなんとなくやれそうな気がするけどw」
沖田艦長「問題ない。やってみせよう」
月読命「流石沖田艦長!よっ!中将!!」

そうなんだ。
沖田艦長はいつの間にか昇級して俺と同じ中将になっていた。
ある程度自由に戦ってもらった方が良いだろう。

カッチ「じゃあ沖田艦長はヤマトGで戦えるように色々試してみてくれ。ちなみに人型積載量や資源予算は考えなくていい。あのしゃこたんにも負けない艦船を頼む」
沖田艦長「うむ。了解した」
カッチ「そんなわけで、主力メンバーは皆、アマテラスの高天原に乗る事にする。高天原は最優先は移動速度で、後は装甲を徹底的に上げる」
天照皇大神「ほへぇ~人型の積載量は?」
カッチ「10機で良いか。主力士官10人だし丁度だ。俺達は2人乗りだから、後1つのスペースには大国主を乗せていく」
天照皇大神「あいあいさー!」
カッチ「次にクシナダヒメだが‥‥戦える?」
クシナダヒメ「やった事がないのでわかりませんー!(汗)」
月読命「クシちゃんなら大丈夫。戦場に放り込めば無意識に周りの敵を倒してる事あったし!前作の話だけどw」
カッチ「マジかwそれって機関砲系統の攻撃かな」
クシナダヒメ「多分そうです‥‥」
カッチ「だったらクシナダヒメはその方向で改良頼む!スピードは今より落とさない方向で。人型積載量は10機でも構わないから」
クシナダヒメ「了解です~」
カッチ「このみと町田中尉はどうだ?」
このみ「私は遠くからビーム砲で援護したいであります!」
町田中尉「チュー!」
カッチ「なるほどなるほど。このみは離れた位置からビーム砲で攻撃できるようにしてくれ。それなら今のスピードを維持しつつ50機くらいは搭載できるな」
このみ「了解であります!」
カッチ「町田中尉は‥‥レーザー砲を2基とか積んでみる?」
町田中尉「チュー!w」
カッチ「どうやらお気に召したようだな。(ほっ)俺達はプレイヤーの少ない少数精鋭の旅団だ。金も資源も余りまくりだし、徹底的にパワーアップするぞ!」
月読命「ひゃっほーい!」

こんな感じで、しばらくは平和な日を満喫するのだった。
平和と言っても、アルテミス要塞と第4エリアは尚攻められてはいるんだけどね。

それから数日が経った日の早朝、状況を確認したら、我が日本軍ビューティフルベル師団と紫陽花師団が、新第五有人要塞『カペラ』へと攻め入っていた。
相手はオーストラリアである。
どうやらそこに敵元帥がいるようで、ロシアやフランスとの同盟がキレる前にオーストラリアを叩きに行ったようだ。
この遠征作戦は、なんとなく分かっていた。
サイファにカナダとの対戦を持ちかけた時、何やら誰かと約束をしていたようだった。
サイファが誰かと約束となれば、紫陽花師団の紫苑だろう。
おそらくこの2師団でやる予定だったのではないだろうか。
でも俺がサイファを誘ったから、紫苑はビューティフルベル師団に話を持っていったと思われる。
まああくまで俺の推測だけどね。
でもこの人たちが何もせずにいるわけがないと思う。
なんせ前作の勝者たちなのだから。
しかしタイミング的にはギリギリではないだろうか。
今日夜にもロシアやフランスとの同盟は切れる。
現在アルタイル要塞とベテルギウス要塞の守りは薄い。
アメリカはアルテミス要塞から手を放すつもりはないだろうし、イギリスもインドと激しい戦いを繰り広げているわけで、今以上の戦力をこちらには向けてこないだろう。
となると空いた隙を狙うとしたら、それはロシアだ。
何としても今日夕方までに勝利して帰ってこなければならない。
それができると思ったから出撃しているのだろうが、さてどうなる事やら。
今の俺達は既に艦船の改造に取り掛かっており、出撃は不可能な状況だ。
無理すればできなくもないけれど、リスクも高すぎるので出るつもりはない。
気にしても仕方がないので、俺達は俺達のやるべき事に集中した。

その日の夕方、状況は悪い方向へと進んでいた。
未だにオーストラリアは落とせず、同盟がまだ切れていないにも関わらず、ロシアだけでなくフランスもがこちらに侵攻してきていた。
その数は半端なく、ほぼ全軍に近い。
ベテルギウス要塞領域ではロシアが、アンタレス要塞領域ではフランスが、それぞれ同盟が切れるのを待っていた。
そしてオーストラリアとの決着がつく前に同盟が切れた。
その後オーストラリアに勝利はしたものの、二つの有人要塞を奪われる結果となった。
中立要塞となったポルックス要塞は、当然ではあるけれどアメリカがすぐに攻略していた。

さてしかし、要塞を奪われてしまった訳だが、風向きは割と良い方向に向いてきていた。
いよいよロシアが参戦してきたとあって、アメリカとイギリス、共に警戒し始めたのだ。
今は味方かもしれないが、相手はあのおそロシアだ。
味方であっても隙を見せられるものではない。
キッチリと強敵ドイツを打ち破っても来ており、その戦力は侮れない。
次第に日本やインドへの攻勢も弱まってきていた。

現在地球はモンゴルが握っている。
おそらくどの勢力が攻めてもいずれ落とせるだろう相手ではあるが、時間がかかり過ぎるので誰も手を出していない状況だ。
月はアメリカ、アルテミス要塞は日本が所持している。
いずれも今の状況下で攻め落とせる国は無いだろう。
第1エリアは全ての有人要塞をアメリカが握っている。
第1『アケルナル』、第1メガ『カプリコーン』、第3『ポルックス』、第5『デネブ』、新1『シリウス』、新2『カノープス』、新3『アークトゥルス』、新4『ベガ』全てだ。
唯一穴があるとしたら、第4エリアに吸収されたビスケス要塞を日本が持っている事だろう。
アメリカの当面の敵を上げるなら日本である事は間違いなさそうだ。
第2エリアは未だインドが勢力を維持しているが、日本やイギリス所持の有人要塞もあり、デブリ帯を抜けた先にアメリカのカプリコーン要塞がある事から、インドの敵はまずはイギリス、そしてアメリカと言った所だろう。
第3エリアはロシアがほぼ手中に収めているが、プロキオン要塞だけはフランスが持っている。
いずれフランスとの戦いが始まるとは思うが、今はまだその気配はない。
第4エリアは一応日本が2つのメガ要塞を所持してはいるが、デブリ帯の外にはイギリスが、内にもフランスとロシアが有人要塞を持っており、日本はかなり厳しい状況だ。
第5エリアはイギリスが完全に支配しており、揺るがぬ地盤を持っていると言える。
第6エリアもイギリスが強いが、狭い宙域なのであまり戦略的な意味のない所だろう。
我らカッチ旅団の本拠地は此処にあるわけで、逆にそれが助かっているとも言える。

それからしばらくして、夏休みが明けた頃、再びロシアから同盟の要請がきていた。

美菜斗「ここは同盟を結ぶべきでしょうね。ロシアも日本と同盟を結ぶメリットがあります」
サイファ「場を落ち着かせ、その間にフランス辺りを落として勢力を拡大したいのだろうな」
紫陽花「日本としてもこの機にフランスを叩けたらいいわね」
ジーク「デメリットがあるとしたらまた裏切られる事だけだが、それを想定していたら問題はなさそうだな。」

話はどうやら同盟を結ぶ方向でまとまりそうな感じだった。
しかし皆、気持ちとしては嫌なんだろうとは思う。
なんせ一度同盟を破棄してきた相手だからな。
そんな事を思いながらボーっと軍の将官チャットを見ていたら、突然師団チャットが割り込んできた。

月読命「今どんな話をしているのだ?」
カッチ「あ、なんかまたロシアと同盟を結ぶって話になりそうだな」
月読命「なにぃ!?それはいかん!ちょっと俺に話をさせろ!」
カッチ「いやそうは言ってもさ」
月読命「いいから何とかしてくれー!」
カッチ「はいはい」

ジーク「では、ロシアと同盟を結ぶ方向で良いな?」
カッチ「ちょっと待って!うちの元大将が話をしたいって言ってるんだけど?(苦笑)」
ジーク「月読命だったか。元大将だから特別に将官チャットに登録しておいてやる」

ジークがそういうと直ぐに、月読命が軍の将官チャットへと登録された。

月読命「おお!俺様復活!」
ジーク「何か言いたい事があるのか?」
月読命「あるもあるよ大ありだ!なんかロシアと再び同盟を結ぶんだって?」
ジーク「特に反対する者もいないし、問題はないだろう。」
月読命「問題ありありだっちゅーねん!こんな所で同盟なんかしたら舐められるだけだぞ!だいたいなんで日本が此処までこれだけ狙われたか考えてもみろ。みんなと同盟とか甘えた事言っているからだぞ!」
美菜斗「いやしかし、こういうゲームでは常識でしょ」
月読命「のんのん!それは日本国内だったらそうかもしれない。でも相手は甘くない海外だ!強い者には敬意をはらうが、弱い者は容赦なく切ってくるのが世界だよ」
カッチ「確かに日本の常識は世界の非常識なんて言われるもんな。だいたい俺達強いのに、此処まで弱気になる意味もないとは思っていた」
月読命「そうそう。昔の大日本帝国は強かった。それは気持ちで負けていなかったからだ。今は世界第3位の経済大国なのに世界中の顔色をうかがうような弱い日本になっている!それでいいのか!?」
ジーク「話がズレてきてはいるが、確かにな。俺達は強い。ほぼ4対2で戦ってきても負けなかった。中国にも勝った。鉄壁のアルテミス要塞まで持っているのに、尚石橋を叩こうとするのは、弱気と取られて然るべきだろう。」
紫苑「ロシアにバカにされているんだよ!(^0^)此処で同盟するような日本なら、タイミングを見計らって再び同盟を破棄し、きっとこちらに攻めてきただろう」

なんだかよく分からない雰囲気になってしまったが、どうやら月読命の言葉が日本軍の意識を大きく変えたようだ。
あまりに受け身すぎたよなここまで。
このゲームは日本製だし、日本には一日の長がある。
更に此処まで一番戦闘を経験し、士官は最も多い。
もしも温い事を言わずに強気にやっていたら、きっと今よりも良い状況だっただろう。
自衛隊の時代は終わった。
これからは大日本帝国の復活だ。
この後すぐに、ロシアへは断りの通知を送った。
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