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2013年11月4日【月】19時44分48秒
【(*´∇`*)】川柳と短歌を始めました。
2013年11月4日【月】19時43分21秒
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プロローグ

夢は、諦めず努力し続ければかなうもの。
そんな事を言う人がいる。
夢は、夢であるから夢なのだ。
そんな事を言う人もいる。
ぶっちゃけ言ってしまえば、どちらが正しくて、どちらが間違っているとは言えない。
どちらも正しければ、どちらも間違っているのだから。
でも、俺に言わせれば、後記の方が正しいと思っている。
いや、正確に言えば、前記が当てはまるのは、極少数であるから。
そして、身の丈に合った夢は、夢ではないと思うから。
みんなは子供の頃、どんな夢を持っていただろうか?
プロ野球選手になりたい。
俺がガキの頃は、支持率の高かった夢だ。
で、プロ野球選手になれた人が、どれほどいるだろう。
途中で諦めたからなれなかったと言うかもしれないが、仮に諦めずに頑張って、プロなったとしても、プロ野球選手の数はある程度決められているのだから、プロ野球選手になる夢を叶えられる人は、結局変わらない。
夢を叶えるという事は、結局競争って事になる。
歯医者になりたい。
みんながなっても、それで生活できるようになる人は、限られる。
患者数が増えるわけでもないのだから。
でも、みんな一度は歯医者さんになって、夢を叶えているではないのか?
そう、夢を叶えると言う事は、やりたい事で、生活できるだけのお金を稼ぐという事なのだ。
小説家になりたい。
だったら、ブログにアップしていればいい。
漫画家?
書けばいいのだ。
ほら、夢はかなうじゃないか。
俳優になりたい?
ギャラ無し、むしろ金払うなら、いくらでもやらしてやるよ。
でも、そうじゃないんだ。
お金が稼げて、生活できなければ、それは夢がかなった事にはならないのだ。
子供だったあの頃の俺が、そんな事を知る術は無かった。
ツラがちょっとばかり良かった俺は、調子にのっていた。
イケメン、美形、二枚目、色々言われていた。
俳優になったら?
なれるなれる。
みんなのそんな言葉で、俺の夢はいつのまにか俳優になる事だった。
高校の頃、学校に通いながら、俳優養成所に通った。
プロダクション直結の養成所で、入った頃はかなりちやほやされた。
すぐにエキストラの仕事なんかやるようになった。
演技力なんて、全くない。
ただツラが良いだけで、仕事が来た。
テレビでのちょい役。
今有名な俳優と、同じところでやっていた。
とにかく楽しかった。
それで、少ないながらもお金が貰えた。
プロだ。
俺もプロになったと実感したんだ。
でも、良かったのはそこまでだったのかもしれない。
ココは、いやこの世界だけではない。
社会は全て競争社会なんだ。
プロデューサに、「次はレギュラーで。」なんて言われて喜んでいた。
でも、恥ずかしい演技はできないから、俺は必至に色々な事にチャレンジした。
ダンスや音楽のレッスン。
お金はかかったが、自分の力を上げる為の先行投資だ。
舞台俳優。
演技にも色々ある事を知ったし、発声も変わった。
俺は、自分の実力が上がっている事を感じていた。
しかし、プロデューサのあの言葉以降、そんな話は全く来なくなっていた。
あのドラマのレギュラーの話は、別の奴に話がいっていた。
演技力でも、ルックスでも、人気でも、負けてはいない。
でも、プロダクションの力で負けていたんだ。
それだけじゃない。
俺自身の営業力でも、負けていた。
まあ、負けたというよりは、俺は全く営業などやっていない。
力をつける事、演技力向上が、俺の使命だと信じているから。
結果的にこれが間違いだったと、今になって思うのだけど、この世の中、実力がある程度有れば、後は営業力の力だった。
生活は、最低レベルの生活だった。
それでも、俳優として活動していたから、俺は頑張った。
辛いバイトも、我慢して続けた。
舞台も続けた。
チケットも、友達に売りさばいた。
まだ、この頃は良かった。
でも、毎回毎回友達にチケットを送っていたら、最初は来てくれた友達も来なくなり、気がついたら連絡もとれなくなっていった。
相手の立場に立って考えれば簡単だったのだけど、そりゃ毎回毎回買わされる身になれば、それはいやだろう。
それに、連絡するのはその時だけなのだ。
ちっとも友人らしいつきあいなんてしてない。
金も時間も無いから、遊びになんていけるわけもない。
チケットを買う、買ってもらうだけの関係。
それは友人ではない。
結局、俳優の仕事関係以外の友達は、二人だけしか残らなかった。
そして、そのうちの一人が、俺の妻となった。
今振り返ると、俺の友達は、残ったこの一人だけだったのかもしれない。
後は全て、仕事関係の友人。
皆、金によって繋がれたつき合い。
俺はぞっとした。
皆、友達だと言いながら、利害関係が無くなれば、つき合いなんてなくなるんだ。
三十歳から四十歳を越えてる、男性社会人の方々、考えてみて欲しい。
仕事関係以外の友達で、今も年数回以上遊んだりする友人が、どれくらいいるか。
そんなに多くは無いはずだ。
かつて友達だと思っていた数多くの友達は、そのほとんどがその場限りだったのだ。
友と呼べる人は一人、そして妻。
俺はこれだけの中で、俳優という夢を追い続けた。
これで生活できるようになるために、自分自身の向上に努めた。
年300万円の所得。
これが2年続いたら、子供を作ろう。
そんな約束を妻としていた。
しかし、この約束が果たされる事は無かった。
300万円なんて、サラリーマンをやっていれば、簡単に手に入る額だ。
でも、俺は生まれてから今まで、それを達成する事はかなわなかった。
今でも、演技力やルックスで、テレビに出ている有名人に負けているなんて思っていない。
ただ、俺を認めてくれる人がいなかった。
ただ、俺が俺自身を売り込めなかった。
そして結局、妻と共にかなえようと頑張った夢を見る事なく、妻は亡くなった。
友達だと思っていた奴に、舞台チケットを買うかわりに、入ってくれと言われ、入った生命保険。
無い金から無理矢理かけていた保険だったが、妻の死で、俺に少しばかりの金が入った。
俺は五十歳を越えたところで、俳優を辞めた。
ずっと続けていた、コンビニのバイトも辞めた。
年金なんて払っていない。
このお金がなくなれば、俺はもう一文無しで職無しだ。
まあ、それでもいい。
俺は努力しても報われない世の中に疲れたんだ。
この金が無くなるまで、世界でも旅するかな。
そしてきっと、この地球上のどこかで、俺は死ぬんだ。
もし、俳優なんかやらなければ、俺はどんな人生を送っていたんだろう。
もし、身の丈に合った何かを見つける事ができていれば。
もし、俺の力を認めてくれる、力のある監督と出会っていれば。
もし、俺に、少しでも営業力が有れば。
もし、結婚したところで、普通にどこかに就職していれば。
もし、夢が簡単にかなえられる力が、俺にあれば。
もし、若かった頃に戻れたなら・・・
しかし、「もし」はあくまで「もし」なんだ。
今の俺に与えてもらえるものは何もない。
1年程、世界を旅して、今までの辛かった人生を取り返すつもりで遊んだ後、俺は南極へと来ていた。
特に理由はない。
いや、理由は有るが、大した理由ではない。
死ぬには良いところだと言う事と、温暖化により永久凍土がどれだけ溶けているのか見たかっただけ。
ある国の南極ツアーに参加し、折を見て俺はツアー団体から抜け出す。
この場所は、10年前はまだ、氷の中にあったらしい。
しかし、見渡す限り、氷を探す方が難しいただの岩場。
一つ岩を動かしてみた。
虫がいた。
こんな所に、こんな虫がいるのか。
見た目普通のゴキブリのようだ。
でも俺には、こんな所で生きている一匹の虫が、とても儚く、でもたくましく、愛すべき存在に見えた。
手を差し出すとゴキブリ、いや、ハッキリとこの名前を言うのもアレなのでGとしておこう。
Gは、俺の掌へと昇ってきた。
俺は優しくGを包む。
この寒さから、守るように。
こんな寒い所にGなんておかしい。
そう思う中、俺の意識はなくなっていった。
【Ξ┃】 【┃┃】 【┃>】
ドクダミ

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