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2013年11月4日【月】19時43分21秒
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麻雀

俺は、とある場所で、沢山の強面な方々に、囲まれていた。
ええ、暴力団の方々です。
何故俺はこんな所にいるのだろうと思わなくはないけれど、仕事を受けたから仕方がない。
仕事内容は、日本の為と言えば、日本の為になるもので、楽しそうと言えば楽しそうで、とにかく受けてしまった。
まあ、暴力団ってのは、一般人から見れば煙たい存在ではあるけれど、無ければ無いで不都合がある。
それが証拠に、政府は「悪だ!」と言いながら、暴力団を本気で排除しているようには見えない。
著名人も多く利用しているし、海外マフィアが自由にのさばらないように、抑止力もある。
だから、暴力団ってのは、実はかなり重要なものであるわけだ。
そんなわけで、俺は、麻雀の代打ちの仕事を了承した。
面子は俺と、電話をくれた吉沢さん、後二人は今回の敵となる、どこぞの国のマフィアのお二人。
それにしても、何故こんな仕事を俺に依頼してきたのかは謎である。
俺の仕事は、吉沢さんをトップにして、マフィアの方々にチームで勝つ事。
何故か丁寧な呼び名になってしまうのは、ほらまあ、怖いから。
俺は小さなGを、それぞれの面子の牌が見える位置に配置する。
神経をシンクロさせれば、俺には他の人の牌が見放題。
普通にイカサマ無しだったら、それなりにやれる自信はあるけど、相手方は何かしらしてくるだろう。
東の一局目で、対面が親。
上家と対面に、マフィアの方々、下家に吉沢さんだ。
良い配置だ。
最初の配牌。
皆のを見ても、どうやら全自動卓に細工はしていないようだ。
これならなんとかやれそうだ。
マフィアな方々は、明らかに通しをしている。
対面の人は、手配全くそろえずに、上家を勝たせるように打っている。
俺は一応そろえているが、吉沢さんが欲しそうな牌があったら捨てるつもりだ。
しかし、マフィアな方が先に、聴配だ。
「リーチだ。」
一、四、七の、萬待ちか。
さてどうするか。
こちらは通しはしていないから、当たり配を教える事はできない。
吉沢さんは、ピンズに寄せてるから、萬をツモってくるときついな。
このゲームで辛いのは、俺がトップをとるのはタブー。
あくまでも吉沢さんをトップにしなければならない。
上家の役は、メンタンピンのザンクか。
一萬なら2千だけど、一発ならザンク。
裏が怖いな。
とりあえず、一巡は自力で回避してくれ。
俺は素直にいらない配を捨てる。
すると吉沢さんは、一萬をツモってきたようだ。
ダメだ。
それを捨てては。
簡単に捨てた。
「ロン!」
吉沢さんは、ぬるすぎる。
勝ちにこだわってくれるだろうから、その点は問題ないけど、麻雀は振り込まない事が、勝利への絶対条件。
裏ドラは乗らなかったようで、とりあえずザンクですんだ。
東2局目。
配牌は悪くない。
とりあえず、なんでも良いから勝つ。
最後に吉沢さんが勝っていればいいのだから。
よし、今度はかなり良い感じだ。
6順目、聴配。
さて、何処が出やすいか。
吉沢さんにも必要で、尚かつマフィアな方々が捨てそうなのは・・・
「リーチ!」
俺の役は七対子で、西をきってリーチだ。
他の捨て牌は、二萬、五ピン、八萬、七ピン、一ピン。
で、待ちは四ピンだ。
チートイツの可能性も十分な捨て配だけど、チャンタやホンイツも捨てがたいだろう。
更に、吉沢さん以外はピンズにぬるく、四ピンを引いてくれば使い道無しだ。
吉沢さんのツモは、六ピンで間すっぽりはまった。
なにげに今回は、吉沢さんも調子がいいな。
イーシャンテン。
マフィアな人Bのツモ、四ピンだ。
正直上家の人からとりたいけど、出すならもちろん頂くよ。
現物の二萬を切ってきた。
堅いなおい。
というか、これが普通か。
マフィアな人は、西をツモ切り。
俺のツモ、六ピンツモ切り。
吉沢さんは、一ピンツモで聴配。
 吉沢「リーチ!」
リーチしてきたか・・・
待ちは、二萬と五萬だ。
今回は俺達有利。
対面のマフィアな人が、四ピンを切ってきた。
この人なら二萬をツモれば切りそうだけど、上家は無理だろうし、此処は上がるべきだな。
「ロン!リーチ、チートイ、ドラドラで満貫だ。」
よし。
これでトップに躍り出た。
後はこれを吉沢さんに・・・
「ああ?ラッキーやなぁ。俺も良かったんや。わかってるやろな?」
「は、はい・・・」
くそっ!
味方脅してどうするんだよ。
俺の親は、皆遅くノーテンで流局。
あっさりと流された。
で、吉沢さんの一回目の親。
此処でなんとかトップにたってもらいたい。
俺も吉沢さんも、なかなか良い配牌だ。
吉沢さんは高めを狙っている。
俺は吉沢さんにあわせる。
今回は勝つつもりはない。
吉沢さんの当たりになりそうな牌のキープと、同じ牌の維持。
完全な染め手だ。
おそらくマフィアな二人もわかっているだろう。
吉沢さんが高めを狙った為、上家の先にマフィアな人に聴牌が入る。
「リーチ!」
待ちは五、八ピン。
一応俺は八ピンを1枚持ってる。
やばい時は差し込む。
五ピンをツモってきた。
この状態なら、吉沢さんも面前ではいかないだろう。
俺は吉沢さんの欲しいであろう牌を捨てる。
「チー!」
よし、これで一巡目は抜けれた。
更に吉沢さんがイーシャンテン。
次でなかせて、聴牌だ。
再び俺の順番。
「チー!」
これで聴牌だ。
しかし、出ないな。
俺も吉沢さんのあがり牌を持っていない。
俺のツモ、違う。
俺はツモ切りした。
吉沢さんのツモ・・・
やばい、それは上家の当たりだ。
吉沢さんはそのまま切った。
「ロン!メンタンピンドラドラ。」
痛い。
うまくいかないものだ。
東場が終わった。

南入。
「ロン!」
マフィアな人はナキタンのみで上がってきた。
勝負を早く終わらせるつもりだ。
上家のマフィアな人の親だから、此処なら少しは粘るか?
「ロン!」
対面のマフィアな人も上がってきた。
そしてまたナキタンかよ。
完全に逃げ切りを狙ってやがる。
俺の親。
此処で少しは吉沢さんを押し上げないと、かなりきつい。
吉沢さん、ないてくれ!
「チー!」
よし、聴牌までは引っ張りますよ。
マフィアな人達の手が早そうだから、今回はそれを阻止するのが優先だ。
これもないてくれ。
「ポン!」
これで先に聴牌だ。
上がり牌がバレバレだけど、二人の手を少しは遅らせる事ができる。
その間に、俺か吉沢さんがつもれば。
ちっ!トイ面が引いてきたか。
捨てるわけないな。
予想どおり押さえる。
二枚ないてるから、やはり警戒されて当然。
上家、聴牌が入った。
どうする?
逃げてくれ!
「リーチ!」
上家のマフィアな人がリーチしてきた。
おいおい、確かに此の手だったら来るだろうけど、上がられたら終わりだ。
頼む、四、七萬来い!
よし、七萬来た!
俺はツモ切りした。
「ロン!中ホンイツ、ザンクじゃ。」
俺は3900点、吉沢さんに渡した。
いよいよ、オーラスだ。
俺が勝っても、チームでは勝てるが、吉沢さんを勝たさねばならない。
差込なら、ハネマンプラスリー棒か。
配牌はまずまず。
吉沢さんがハネマン作るのは、チンイツとドラが良さそう。
よし、作戦は決まった。
俺は序盤から、なかせる。
六巡目、聴牌。
よし。
つもれば逆転。
差込だと、僅かに足りない。
しかし、なかなかあがれない。
そして十順目、マフィアな人に、聴牌が入った。
リーチはしない。
リーチしてくれれば、俺が差し込むのに。
どうする?
差し込んで、次の局に勝負するか?
そうだ!
俺は上家の捨て牌に対して、コールした。
「ポン!あ、いえ、間違えました。誤ポンです。」
俺はそう言って、千点棒を場に出した。
誤った発声は、上がり以外の場合は、場に千点って事になっていたから。
「おとなしくでけへんのかい!」
なんで怒られるんだ?
あんたの勝ちを確実にしてやったのに。
「ちっ!」
俺のツモ牌は、トイ面の上がり牌だ。
もちろんこれは捨てない。
捨てるのは、吉沢さんの上がり牌である、一萬!
「ロンじゃ!!ハネマンじゃあ!!ははは!!ようわかっとるやんけ!」
吉沢さんは俺の背中を叩いた。
100点差で、トップをまくった。

「お前なかなかやるやんけ。」
「いえ、一応麻雀は得意なので。」
今日の対局で、マフィアとの縄張りに関する話し合いは、上手くいったようだ。
これでとりあえず、危ない物を一般人が、ガンガン手に入れてしまう事は防げたらしい。
「うちの組に入れや。ずっと麻雀打たしたるぞ!」
「いえ、約束どおり、今回限りで。」
俺は、今回の仕事を受けるにあたって、今回限りと約束していた。
「そうか。じゃあまあ、しゃあないな。ほれ、約束の報酬や。」
俺は出された封筒を受け取る。
分厚い。
「えっと、10万円の約束だったんだけど・・・」
「ええ、ええ!!その百倍はこっちは儲かったからな。」
封筒には、100万円。
えっと・・・1億の金が、あの一局で動いていたのか?
少し怖くなって震えた。
「あ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて頂きます。」
「いやぁ、わしが麻雀で勝ったんは初めてやからな。これくらいはええんじゃ。」
おいおい、どおりで弱いと思ったよ。
「まあなんかあったらゆってこいや。お前やったら手ぇかしたるから。」
「はい。では何かあれば。」
こうして俺は、怖い場所から逃げるように帰った。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
ドクダミ

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