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第六話 サイファ軍始動

俺は、軍を立ち上げる決意をしていた。
このところ、リアル友達の「正春」のキャラ「LOVEキラ」も復活して頑張っているし、もうひとりのリアル友達「真」のキャラ「真でれら」も見かけた。
俺は2人に招集をかけた。
とりあえず、拠点の無い義勇軍を立ち上げ、どこかを取りに行くのが良いだろう。
軍が統一を果たした時の報酬の割り振りは、俺が40%、正春と真が30%に設定。
俺が多いのは、俺が大将だからではない。
今後仲間を増やすのに10%を使うため。
ドンドン設定してゆく。
そして全ての設定を完了した。
俺にとっては半年ぶりの軍。
ソロでやる時と違って、別艦隊への命令形コマンドの設定が必要だが、それはおいおいやるとしよう。
とりあえずは、早急に本拠地がほしい。
俺は地上戦は苦手なので、有人惑星はまず除外。
移動要塞は魅力的だが、この戦力ではまず勝てないだろう。
コロニーか、要塞か。
守りは要塞のが良いが、コロニーの生産性は魅力だ。
 サイファ「コロニーか要塞、どっちがいい?」
俺は友達の意見を聞いた。
 真でれら「コロニーで守りやすそうな所が有ればそこがいいな。」
 LOVEキラ「守りやすそうな所を盗るのは大変そうだけどな。」
 サイファ「じゃあそこそこ盗りやすいコロニーあたりか。」
 真でれら「まあ、妥当だね。」
 LOVEキラ「自作要塞って手もあるけどね。」
そう。
要塞に限り、拠点の無いマップに要塞を作る事が可能だ。
メリットは、簡単に拠点を手に入れられる。
しかし、莫大な金がかかるし、拠点レベルも最低からのスタート。
手に入れられるなら、奪った方が良いだろう。
 サイファ「やっぱとりあえずはコロニーだな。」
 真でれら「で、何処が良い?」
 サイファ「ソロ軍の拠点で、守りやすそうな所、どっかあるかな?」
 LOVEキラ「ん~何カ所か有るな。」
 サイファ「マップ右側であるか?」
 真でれら「なんで右側?敵は左のが多いでしょ?」
 サイファ「だからだよ。しばらくは国力増強したいし。大きなところから攻められるのは避けたいからな。」
 真でれら「なら、右端の第13コロニーは?あそこは回廊になってて鉄壁でしょ?」
 LOVEキラ「鉄壁過ぎて勝てないって。」
第13コロニー。
そこはとったもん勝ち的なくらい、守りやすいマップになっている。
もちろん、ちゃんと準備していればだが、本拠地にしている「薔薇の貴公子さん」は、きっとしっかり守っているはずだ。
それなりに名前が有名なプレイヤだから。
ソロでずっと守り抜いてるんだから、いわずもがなだが。
 サイファ「ん~でもあそこは本拠地にはいいなぁ。ちょっとマップデータ拾ってくる。」
俺はそう言うと、ネットでデータを探した。
馬鹿だとは思うが、多くの人が功績をひけらかしたいのか、こういった重要な物がネットに出回っている。
対戦の映像なんかも有り、俺はそれで対戦を研究していた。
 サイファ「拾ってきた。」
俺は友にそういうと、しばらくマップを見つめた。
回廊を迂回する事は、不可能そうだ。
先日ジークに負けた所も似たようなマップだが、迂回できるし、回廊の幅も安定しているから、攻略難易度は全く違う。
 サイファ「問題は、この細くなっていきなり広くなってるところだな。」
 真でれら「ああ。そこの出口で集中砲火されたら、抜けられる艦船は皆無じゃね?」
 LOVEキラ「それにマップの端だから、長期戦もきつそうだな。」
 サイファ「いや、それはほら。俺がいるから大丈夫でしょ。」
 真でれら「長期戦でいいなら、俺がココで削ってやんよ。」
 LOVEキラ「正面さえ削れたら、俺が突破できるな。」
 サイファ「うし。じゃあ作戦を決めよう。」
こうして俺達は、少しばかり作戦を考えて、サイファ軍最初の戦闘へと向かった。

マップに到着すると、真でれら部隊を先頭にLOVEキラ、そして俺と行軍する。
問題の回廊に入る。
まだ敵影は無い。
でも、必ず出口に敵がいる事を確信していた。
 真でれら「いたいたー」
その言葉を受けて、情報がこちらにも届く。
やはり予想したとおりの配置だ。
作戦どおり、回廊の中から真でれら艦隊が、正面の敵を攻撃する。
向こうも反撃してくる。
LOVEキラはタイミングを逃さぬよう待機。
俺は補給と守りで支援した。
 真でれら「やたら堅いんですけどぉ~」
確かに、やたらと守りが堅い。
真でれらは守り特化の育てかたをしているから、鉄壁に守りながら少しずつ削る予定だったのだが、その守りは互角にみえた。
 LOVEキラ「CPUじゃね?」
 サイファ「そっか!」
CPU。
それは、プレイヤがネットに接続していない時、代わりに守りをしてくれる人工知能。
あらかじめ行動を登録しておけば、そのとおりに対応してくれる。
プレイヤがやるより、対応が単調になり弱くなってしまう傾向が多いシステムだが、それをカバーするシステムも取り入れられている。
まずは防御力が通常の1.3倍になる。
これはかなりのもので、その為今こちらは苦戦しているのだ。
他にも、こちらの行動に対しての反応が、ノータイムで行われる。
たとえば、敵が陣形をI字陣形に変更してきたら、こちらはU字陣形に変更する命令があったとしよう。
われわれプレイヤは、相手の陣形の変化を見て、予想して、対応を考えて、行動する。
しかしCPUは、その命令がでた瞬間対応するので反応が馬鹿早いのだ。
これは、スピードが大きなメリットになるこのゲームでは、大きなアドバンテージ。
更にCPUのメリットは、旗艦が破壊されてもレベルが半分になる事は無い。
まあ、気がついたら死んでて、更にレベル半分ってのはあまりにもひどいからね。
でも、破壊されたものは破壊されるし、失ったものは失われるけど。
でだ。
初心者から中級者くらいまでは、自ら戦闘するよりも、うまい設定さえすればCPUのが強いのだ。
 真でれら「しんどいな。」
このままでは、いずれ補給物資が尽きて、撤退せざるを得ない。
 サイファ「出た所、上下はどうなってるかな?」
 真でれら「出たら上下使えるな。」
 サイファ「じゃあ俺もフォローするから、正面でて10秒絶えてくれん?」
 真でれら「10秒ならいけるかな。」
 サイファ「で、その隙にLOVEキラが回廊を出て上でも下でも、一気に突破。」
 LOVEキラ「俺やばくね?」
 サイファ「それも俺がフォローする。」
 LOVEキラ「ふむ。」
 サイファ「その時、敵がどっちを攻撃するかわからんけど、どっちにしてもどちらかに攻撃するはずだ。」
 真でれら「まあそうだろうな。」
 サイファ「攻撃がLOVEキラに行ったら、俺と真でれらで総攻撃。LOVEキラはとにかく全速前進で。」
 真でれら「逆なら?」
 サイファ「しばらく絶える。それが10秒。LOVEキラはその間にUターン。旋回はそれに反応して攻撃する場合があるから無しね。」
 LOVEキラ「だろうな。」
 サイファ「で、背後を突けば、CPUだしもう対応できんでしょ。できればLOVEキラに攻撃が行けば良いけど。(笑)」
俺達の作戦は決まった。
少し被害がでるが、勝てるならこれくらいなんとも無い。
作戦は早急に決行された。
まずは弾幕を3方向カバーした。
真でれら艦隊が前進する。
3方向からの攻撃が襲う。
それらは弾幕に当たり爆発する。
 真でれら「きつ」
LOVEキラが即行で回廊からでると、やや上に直進、正面の敵回避。
敵の攻撃はそのまま真でれらへ向けられていた。
 サイファ「少し我慢」
俺はタイミングをはかりつつ弾幕を張った。
作戦はうまく進んでいた。
しかし。
 LOVEキラ「正面に敵!」
予想していなかった。
こうやって無理に突破した敵を、回廊内で確実にしとめる。
今思えば当たり前の陣形。
なめていた。
俺は自身の艦隊も前進させた。
 サイファ「キラはそのまま正面の敵突破!」
 サイファ「真はキラの後ろにつけ!」
返事は無かったが、それぞれが命令どおりに動く。
俺は3方からの攻撃に絶える。
 サイファ「真は奥の敵と対峙」
 サイファ「キラは後ろを」
さて・・・
俺は第二戦艦を左に向けていた。
一撃必殺!
俺はチャーリーに一斉攻撃を指示した。
一気に左側の艦隊が弱まる。
しかしすぐにこちらの攻撃も弱まる。
 達也「あくまで一撃必殺。」
それでも左からの攻撃が弱まり、弾幕を正面と右に集中させられるのは助かる。
 達也「きつい戦いだなぁ」
LOVEキラが後方の敵を一掃したようだ。
そのまま正面の背後を突く。
真でれらは右回りでUターン。
そろそろ限界。
俺は艦隊をそのまま下げた。
正面の敵艦隊は、LOVEキラに背後をつかれボロボロ、右側の敵艦隊は、俺という攻撃対象が消えた事で、旋回してLOVEキラを攻撃し始めた。
しかし戻ってきた真に側背をつかれて、一気に戦力を減らした。
勝ったな。
俺は隊を立て直して、残党狩りに出た。
敵旗艦はコロニー近くにいたが、あっさりと破壊した。
なんとか手に入れた、初めての拠点だったが、勝利というにはあまりにも被害が大きかった。
突破につき合った補給艦もボロボロだもんな。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
ドクダミ

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