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第九話 滅びから始まり

炎のドラゴン軍の砦がココだけになっても、これだけの抵抗が出来る事を考えると、この有人惑星の生産性はかなりあるのだろう。
正直ココが夜露死苦軍の領土になる事に抵抗があったが、まあ約束だから仕方がない。
それに惑星占拠の為には地上戦もあるから、自分でココをとるのは無理だし。
 サイファ「できるだけ宇宙空間で削ろう。俺地上戦苦手だし」
 夜露死苦「そなんだ。じゃあある程度削れないと勝てないかもな」
 サイファ「まあ一応サポートはするけど、それだけだから」
 夜露死苦「それだけで十分やん。なかったらここまでもこれなかったからな」
 サイファ「そういってもらえると手伝ってるかいがあるね」
炎のドラゴン軍、最後の砦への攻撃の前、俺達はリラックスムードで会話しながら、作戦確認をしていた。
連戦の勝利の中、目の前の事以外全てを忘れていた。
その時だった。
画面上部に臨時ニュースが流れた。
「風の魔人軍壊滅」
 サイファ「おお、ジークやりやがったか」
 夜露死苦「あそこ強いもんな。まあ時間の問題だったし。損失を極力減らす為に長期戦してただけだろ?勝つだけならもっと早かっただろうな」
 サイファ「だね」
俺達は、数週間かかるような長期戦なんて、悠長な事は言ってられない。
長期戦と言っても、せいぜい補給能力が尽きるまでの、数時間の長期戦くらいだ。
さて要塞での補給を終わらせると、俺達の行軍が始まった。

敵の最後のマップに入ると、すぐに敵艦隊と遭遇した。
 サイファ「なんだ?読まれてたのか?」
 夜露死苦「いや、艦隊が多いだけだろ」
そういや、ジークが反乱を成功させた時、1000隻もの艦隊と対峙した時と似ていると思った。
まずは正面からの撃ち合い。
お互い削りあいだ。
コレをみて俺は、ジークが長期戦を選んだ意味が分かった。
 達也「まともにやれねぇじゃんこれ」
俺は援護についてきた事を少し後悔した。
でも後悔してばかりもいられない。
俺達はこの状況の中、何とか勝たないといけないのだ。
何故なら、今後ジークがプレイヤの軍へ攻撃をしかけてくるはずだ。
そう、もうプレイヤ同士の戦争は始まっているんだ。
NPC相手にもたもたしていられない。
おそらくグリードとか紫苑も、氷の虎に向かっているじゃないだろうか。
動かない戦況を眺めながら、俺はそんな事を考えていた。
すると、突然敵の艦隊が理解不能な動きをした。
こちらと対峙しながらも、他に対応しようとしている感じ?
もしかしたら・・・
 夜露死苦「俺達だけじゃないみたいだな」
 サイファ「そらそうか」
ここが欲しいのは、俺達だけではない。
更には、炎のドラゴン軍を壊滅させて、一気に戦力を大きくしたい奴もいるのだろう。
残骸集めに来ている奴もいるかな?
この状況じゃそれは無理か。
そんな事を考えていると、状況が徐々に変わりつつある。
隙が見えた。
俺はすかさず命令を出した。
 サイファ「キラ、左から右に突入!」
 LOVEキラ「ok」
 サイファ「今日子さんは左前方押さえて。俺はフォローする」
 今日子「やっと私たちの出番ねw」
 サイファ「正面の敵は俺達でやるから、ヨロシクさんは奥へどうぞ!(笑)」
 夜露死苦「いいのか?じゃあ」
俺達はこの隙を逃さなかった。
右側に逃げてくる何処ぞの軍の旗艦。
それに対応しようと、正面の艦隊が一部右に対応。
その背後を突くべくキラと今日子を突入させて、正面の艦隊をかき回した。
 達也「ちょっと俺がきついけど、この隙を逃したら罰があたるだろ」
正面の艦隊はしばらくして、その全ての機影を消した。
俺はついでに、逃げてきた旗艦を取り囲んだ。
通信を試みる。
相手も応えてきた。
 サイファ「仲間にならね?」
時間も惜しいので、俺は簡潔に伝えた。
 旗艦のプレイヤ「冗談!」
その言葉が返ってきた瞬間、俺は一斉攻撃。
相手は弾幕で守ろうとしたが、あっさりと旗艦を破壊した。
俺は、弾幕にどうしてもできる隙を見つけていた。
コンピュータゲームならではのバグ。
いろんな人の戦闘を記録した動画を見て、研究した結果見つけた。
うまく攻撃していると感心した映像には、全て共通点があった。
前方10.2度からの攻撃と0度からの攻撃。
同時に行われた時に起こるミラクル。
俺はそれに気がつき、誰にも話す事なくこっそり艦隊設定に組み込んでいた。
多用するとばれる可能性もあるので、なるべく使わない。
今日はまあ急いでいたし、テストも兼ねて試した。
 達也「やっぱりいけるな」
俺は、実験台となり破壊された、名も無きプレイヤを放って、再び戦場に赴いた。
夜露死苦軍に合流した辺りには、他の軍もいくつか見られた。
どの軍も瀕死状態で、我々の敵ではないし、攻撃してくる事もなさそうだ。
ココでついでにやっておいてもいいが、時間も物資もおしかったのでやめた。
まあ彼らのおかげで、今我々が楽できるしな。
我々は、絶妙なタイミングで侵攻してきたようだ。
大量の雑魚軍と、炎のドラゴン軍が争い、両者が疲弊しきってるところにたまたま出合わせたのだ。
 LOVEキラ「ひゃっほーい!!」
キラはイキイキと、縦横無尽に敵を破壊しまくっていた。
夜露死苦軍も確実に敵を破壊。
俺や今日子さんなんかは、戦闘よりも惑星への移動を優先させた。
惑星の側までくると、逃げる艦隊が集まってくる。
俺達は、弱った艦隊にとどめをさしていった。
宇宙の敵はあらかた片づいた。
いよいよ惑星に突入して、最後の仕上げだ。
惑星内では、キラよりも今日子さんのが前線に立つことになる。
俺達は艦隊再編を行った。
ちなみに今日子さんは、近距離戦と地上戦に強い。
ジークの元で共に戦っていた時は、人型乗りだった今日子さん。
あの時一度死んで、今ではもう乗っていないが、人型を極めし1人だ。
 サイファ「こっからは今日子さんよろしく。ヨロシクさんいつでもオッケーだよ」
 夜露死苦「さて、いくか」
俺達は有人惑星内へとマップ移動した。
地上戦は障害物が多いから、行軍は慎重だ。
スピード重視の俺の艦隊は、宝の持ち腐れ。
艦隊運営能力はあるから、移動だけなら楽勝だが、敵に接近されると地上戦はきつい。
人型1機でも、艦船が落とされる可能性もある。
人型が隠れてやしないか、慎重に慎重を重ねていた。
しかし、心配する事は無かった。
地上に残っていたのは、敵の本艦隊と逃げ延びたボロボロの艦隊だけだった。
今日子さんは能力を最大限に発揮して、艦船を次々と破壊した。
直ぐに決着はついた。
地上の本拠地を夜露死苦さんが落とした。
画面上に「炎のドラゴン軍壊滅」と表示された。
意外にあっさりと終わった戦いだった。
9時間後、「氷の虎軍壊滅」と表示された。
こうして、長きにわたって勢力を維持してきたNPC3大勢力は、時を同じくして滅びる事となった。
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ドクダミ

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