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第九話 転機そして決意

ホテルの一室、俺達はソファー、魔女ッ子達は中心のテーブルに座っていた。
 宗司「すももは、ご主人様が見つかって、良くないって言ったけど、その辺教えてくれないか?」
まずはそれが聞きたかった。
 すもも「まあ、全部話したるわ。未来とかゆうその子、私のご主人様になるんは、もう避けられそうにないしな。」
すももは偉そうに、テーブルの上に座った。
 すもも「実はな、私は既にご主人様がおってん。で、殺されたんや。」
実に恐ろしい事を、すももは平気な顔で口にした。
 華「えっ・・・」
 未来「う、う・・・」
 宗司「殺された?何それ?」
昨今、殺人なんて毎日どこかで起きている。
でも、身の回りに起こった事なんてないから、少しドキドキしてきた。
 すもも「私はもうかなり前からこの星にきとってな、レベル3まであがっとってん。」
 宗司「そうそう、そのレベル3ってのはなんだ?」
さっきも気になった事だ。
 すもも「エナジー集めるのは聞いとるな?」
 宗司「ああ。」
 すもも「それを集めていくと、うちらのレベルが上がっていくねん。まあこの星で言うと、魔法使いレベルって事やな。」
なるほど。
そう考えると、エナジー集めてレベルが上がると、難しい事も簡単にできたり、悪意の望みも叶いやすくなる?
 みかん「そのとうりなのさ。」
 すもも「まあそれで、私はレベル3まであがってんけど、ご主人様が殺された。」
どこまでレベルが上がるのかしらないけど、ご主人様が殺されたら、また新しいご主人様が必要なんじゃないだろうか?
 すもも「レベルは3までしかあがらんし、私にはもう必要無かった。」
なるほど、だからいらないって事か。
 みかん「でも、ずっとご主人様がいないと、レベルが下がるのだ。」
 宗司「じゃあ、やっぱり必要じゃないか。」
 すもも「まあな。でも、みんなが早くレベル3になってくれれば、この星での役目は終わる。」
役目?
 みかん「私達は何人いるかわからないけど、みんながレベル3になった時点で、みんなとお別れする事になるのさ。」
ほう。
それになんの意味があるのかは知らないけれど、魔女ッ子学校の課外授業みたいなもんかな。
 みかん「そんなもんだと思ってくれればいいのさ。」
 すもも「で、まあ、ご主人様のいる魔女ッ子と、その主人同士が干渉できないようになってるのは、知っとるな?」
 宗司「ああ、会う事も見る事もできないんだろ?」
これはみかんから聞いている。
 すもも「じゃあ、なんでそうなってるかわかるか?」
 宗司「そら、みんな集まって悪い事する可能性があるからだろ?一人ではできなくても、人が集まれば可能な事は多い。」
人間は、人が集まると悪い事を平気でするようになる。
イジメだって、一人だとしないけど、人数が集まるとするし、信号無視だって、みんなで渡れば怖くない。
 すもも「まあ、それもあるな。でも大事なんはそっちちゃう。」
 宗司「他にも理由があると?」
 すもも「こんな力使える奴が他におるって、怖くないか?そっちの華が日記に、宗司が死ぬって書かないともかぎらんぞ!」
 華「そ、そんな事しないよぉ~!」
 宗司「確かに、華ちゃんは絶対にそんな事はしない。でも、全く知らない奴がノートを持ってたら、怖い。」
確かにすももの言うとおりだ。
 宗司「でも、悪意のあるものは、簡単には達成できない未来日記になるはずだから、不可能なんじゃない?」
人をノートで殺すなんて、明らかに悪意がある。
デスノートのように、世の為人の為で使ったとしても、人殺しは誰もが認める罪になるのだ。
 華「レベルかなぁ~?」
 すもも「そう。レベルが上がると、悪意からの事でも、達成可能になるんや。」
そうか。
それですももは、レベル3まで上がって、それくらいの事が可能になった。
 宗司「もしかして、殺されたって・・・魔女ッ子を持つ者に?」
 すもも「おそらくな。会う事もでけへんかったから、そうやとは言われへんけど、証拠に近いもんはある。」
すももがご主人様をほしがらなかった理由。
またご主人様になった人が殺される可能性があるって事か。
 未来「じゃ、じゃあ、私、私が、殺される・・・」
未来ちゃんが、脅えていた。
 華「私も・・・」
華ちゃんも・・・
俺は、とんでもない事をしたんじゃないだろうか?
魔女ッ子と仲良くできたら楽しいとか、ノートが面白いとか、そんな軽い気持ちで、魔女ッ子と引き合わせた。
でもそれは、結果的に命の危険を呼ぶ事になった。
 みかん「それ違うのさ。たとえばノートに、魔女ッ子が見える人を殺す日記を書かれたら、契約してなくても殺されるのさ。」
たしかにそうだけど、そこまでする必要もないだろう。
やっぱり、会わない方が殺されない可能性が圧倒的に高い。
 すもも「そやな。それに、私のご主人様を殺した奴、きっと、もっとでかいこと考えとるで?きっと世界を牛耳るつもりやろな。」
・・・
世界を?
そんな奴に?
どんな奴なのか知らないけど、私利私欲の為に人を平気で殺す奴だ。
今の世の中が腐っているとは言っても、こんな奴に世界を動かされるよりはマシだろう。
本当にそうか?
任せてみたら、今のこのダメな、生きていて楽しくない世の中が変わるかもしれない。
でも、俺は今、生きていたいと思っている。
このみかんのおかげで。
俺はみかんを見た。
 みかん「やるしかないのだ。腐ってるなら、宗司が変えればいいのさ。」
俺が変える?
イジメの無い世界に。
一部の人間が富を貪るシステムを壊す為に。
戦争の、殺しあいの無い世界を作る為に。
できるか?
できないだろう。
でも、少なくとも、今を壊されるのはいやだ。
 宗司「俺達は3人いる。協力すれば、なんとかなると思う。死にたく無ければ、毎日ノートの最後に、俺達3人が生きて終わる事を書いて実行すれば良いんだ。」
もしかしたら、それはかなり難しい日記になるかもしれない。
でも3人のうち一人でも実行できれば、いけるんだ。
一人よりも圧倒的に可能性はある。
 華「私はやるよぉ~。宗司さんに助けてもらった命だしぃ~。」
 ゆず「うん。絶対その悪い人をなんとかする。」
 未来「わ、私、も、頑張る。」
 みかん「当然なのさ。やるのさ。」
 宗司「ああ、世界の平和の為なんて、大それた事は言えないけど、少なくとも今を守る為に。」
そしてこれは、きっとそいつを殺すって事につながるんだろうな。
それ以外の解決方法が、俺には見つけられなかった。
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