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第二十一話 後悔と恐怖

俺は姫に、桜井海里の行動、予定を調べて欲しいと頼んだ。
こっちが調べている事がばれないようにと、くれぐれも念をおして。
相手は総理大臣の孫、しかも、調べたらいくつかの会社の取締役を兼任している。
金も権力もおそらくは申し分ない。
そしてレベル3の力。
河崎の、いや、三輪の力でも、相手にならないくらい強大な力。
真っ向勝負では勝てない。
でも、相手は色々な予定のある身、立場のある身だから、どうしてもやらなくてはならない事がある。
しかし、こちらの華ちゃんは、学校を休んでいる以上、ずっと隠れる事も可能。
更には3人いるんだ。
互角以上の勝負ができるはずだ。
電話が鳴った。
 姫「情報だけど、私が調べるまでもないわよ。テレビ見れば。」
俺は、姫の言葉にテレビを付けた。
今度は、桜井邸に、テレビカメラと記者が押し寄せている。
河崎邸も時々中継が入る。
未来日記の桜井海里と、新未来日記の河崎華、いよいよ対決か?みたいなノリだ。
 姫「私ももう外にでれないわよ。」
 宗司「もうすぐ終わるから、それまでは自重してほしい。」
 姫「宗司さんが何してるのか、華が何してるのか知らないけれど、くれぐれも危険な事はしないでね。」
そう言われても、危険は向こうからやってくるんだけどね。
姫は、俺たちが未来日記になんらかの関係がある事に、気が付いているのだろう、漠然とそう思った。
 宗司「ああ。」
俺は危険でもやる覚悟を決めていた。
とにかく、桜井海里は、ずっと自宅にこもっているらしい。
しかし本当にそうだろうか?
華ちゃんだって、実際はココにいるんだ。
一応未来日記を試してみる価値はある。
 宗司「未来ちゃん、自宅に桜井海里がいるらしい。俺とココに遠隔操作できる爆弾があると思って、未来を見て欲しい。俺は桜井海里をやれるか?」
正直、人を殺す算段を未来ちゃんにやらせるのは辛い。
でも、俺よりレベルが高いから、頼るしか無かった。
 未来「ダメだ。絶対に無理そう。」
 宗司「俺の命を考えなくても?」
 未来「えっ?!それはダメだよ。」
 宗司「いや、参考にするだけだから、とりあえず見てみて。」
いや、本当は、俺の命でなんとかなるなら、それでもかまわないと思ってる。
だって、このまま放っておいたら、華ちゃんは絶対殺される。
姫だって、危ないかもしれない。
未来ちゃんだって、いずれそうなるだろう。
 みかん「だ、ダメなのだ・・・」
みかんが小さな声で泣いていた。
 未来「ダメだ。どうしても、見えないよ。」
 宗司「そっか。」
これは、やはり桜井邸にいないのではないだろうか。
夜とかに潜入できれば、爆弾セット出来そうだけど。
爆弾が爆発しない?
いや、爆発するはずだ。
俺が脳内日記で、爆弾が爆発したと創造したら、簡単な手順でそこまでできていた。
あっ!そうか。
俺は再び脳内で日記を創造する。
「桜井邸で、桜井海里がいる事を確認できた。」と。
ダメだ。
全く、話しにならない。
いない者を、いるなんて事は不可能だからか。
もしかしたら、絶対に確認できないように潜んでいるのかもしれないけど、可能性が高いのは、いない。
だったら何処に?
結局この日は、何もする事無く終えた。

次の日のニュース、信じられないくらい静かだ。
桜井邸を映す事も、河崎邸を映す事も無かった。
未来日記に関するニュースはどのチャンネルも放送していない。
どういう事だ?
圧力をかけたのか?
すると未来日記に関するニュースが流れてきた。
たまたま時間があわなかっただけのようだ。
ただ、盛り上がりは無かったが。
 アナ「未来日記ですが、新未来日記を含めて、全て尾北宗司、二十歳が書いた事が判明しました。」
 宗司「えっ!」
な、何故?
 アナ「ブログサイトには、本人自らのコメントが書かれています。」
未来日記は、「皆さん、そろそろ私も疲れました。私の名前は尾北宗司、二十歳です。新未来日記も私が書いたものです。近々、私は死ぬ事になるでしょう。」
俺は、震えていた。
呼吸も、安定しない。
心臓もちゃんと動いているように感じなかった。
 アナ「これを証明する映像があります。」
ネットカフェで、俺が新未来日記に書き込みしている映像だった。
 宗司「あのネットカフェ、桜井の息のかかった場所だったんだ・・・」
やはり、この世の中、金と力が全てなんだ。
俺は、何をしようとしてたんだろう。
俺達の方が有利。
馬鹿な事を。
 宗司「大人しく、最初から何もしなければ良かったんだ。」
 華「駄目だよぉ~。まだ諦めちゃダメだよぉ~」
 未来「は、はい。諦めてはダメです。まだ、ココがばれたわけではありませんよ。」
みんな・・・
そうだな。
ココまでやってしまったんだ。
最後まで戦う。
そう思った時、電話がかかってきた。
携帯のディスプレイを確認すると、姫からだった。
 宗司「もしもし。」
 ?「あー。君が、尾北君かな?未来日記だけど。」
 宗司「えっ?」
姫の携帯から、桜井?
 海里「おたくらのおかげで、俺の計画が少し狂っちゃったよ。責任とってもらうからね。」
 宗司「な、何を?」
ダメだ、俺はチキンだ。
怖くてちゃんと話す事もできない。
 海里「まあ、大した誤差ではないけどね。あやめを殺さなくちゃいけなくなったのと、河崎姫さんを、誘拐しなくちゃいけなくなったくらいだ。」
 宗司「えっ?姫を誘拐?」
 華「えっ!?」
 未来「そ、そんな・・・」
 海里「決着をつけよう。来なければ、河崎姫さんは死んでもらう。ああ、華さんの方も一緒に来るように。」
 宗司「ちょっとまてよ。」
 海里「場所と時間は・・・」
場所を告げた後、電話はすぐに切れていた。
こちらからかけ直しても、もうつながらなかった。
どうして、俺と姫が繋がっている事が、どうして華と繋がっている事がばれたのか。
桜井海里の目的はなんだったのか。
全ては今更だけど、なんとなく魔女ッ子だけで調べさせたのかな?
そして桜井も、俺と同じで、今の世の中が嫌だったのかな?
なんとなくそう思った。
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