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親子一緒に遊ぶのは楽しい!

子供は早い内に産むべきだと思う。
理由は簡単で、子供と遊ぶなら若い内の方が良いからだ。
体が動かなくなってからだと、遊びの幅も減ってくる。
楽しく遊べなくなってくる。
孫も当然早い方がいい。
親の幸せも含め自分が幸せな気持ちになる為に、子供は若い内につくるに限るんだよね。

俺たちは闘技場へと来ていた。
いよいよこれから十五人対十五人のスポーツ対戦が始まる。
相手が提示した競技に対して、こちらは誰でも一回だけ参加できる。
簡単に言うと、相手の得意スポーツに対して、こちらは一番得意な者が参加する形だ。
相手の方が有利な条件だし、徐々にこちらは不利になっていくけれど、俺たちならおそらく大丈夫だろう。
恵美の『落札』は既に盗ませてもらっているし、俺や分身、或いは妖凛・冥凛が負けるなんて事はあり得ないから。
ルールのある競技で相手が勝つ気で挑んでくるなら、少なくとも必ず一回は隙を作れる。
楽勝だな。
そう思っていたけれど‥‥。
「一回でも負けたら終わり?」
「はい」
「先に全競技を教えてもらう事は?」
「できません」
なかなかハードルが高いな。
だけれど、おそらく対戦相手はデンジャーとしてだとそれほど強くはないのだろう。
そして強い奴は後半にやってくる。
だったら最初はなるべく弱い者から出して行くべきか。
「最初の対戦相手は俺だ!競技はボクシング」
おいおいいきなり殴り合いかよ。
狛里がやりたいとか言い出す前に、誰かに出場してもらいたい所だ。
狛里は後にとっておきたいからね。
すると手を上げたのはみたまだった。
「お父さん。私からのお願いなんだけど、最初の対戦七人は、全て分身でやってくれる?」
ビックリするじゃないか。
まさかボクシングがしたいのかと思ってしまった。
しかしどういう事だろう。
最初の七人を分身で?
「その心は?」
「この世界を楽しむ為だよ」
世界を楽しむ為ねぇ。
尤もな意見だな。
俺はまたいつもの悪い癖が出てしまったか。
別に今回全勝する必要はない。
駄目ならまたチャレンジすればいいだけの事。
「分かった。それで行こう」
そんな訳でこちらは俺の分身でボクシング対決に挑んだ。
‥‥。
ボクシングだけじゃなく、七人全員楽勝だった。
俺の分身は、魔力こそ本体の俺ほどじゃないにせよ、能力は同じだからね。
プロでもない雑魚デンジャー相手だと眠っていても勝てる。
それは言い過ぎにしても、語るほどのものは何もなかった。
「さてここからが勝負だろうな」
俺がそう言った時、闘技場へと一人のデカい男が入ってきた。
ちょっと両津さんに似ている。
と言うか、こっちがオリジナルをモデルにしている人だろう。
「簡単に勝ってくれるな。強いよ君たち」
そう言う男からは、かなりの圧力が感じられた。
「このプレッシャーは‥‥シャ‥‥なの‥‥」
「嫌な感じがするわねぇ~。強化人間かしらぁ~」
「つかお前ら、その台詞は‥‥、俺のだぞ!」
まったく、俺の台詞を奪いやがって。
油断も隙もありゃしない。
勘弁してくれよ。
「‥‥。余裕だな」
「あっ‥‥」
怒らせちゃったかな?
「大人がこの程度で怒ってたら駄目だし」
「余裕がないと勝てるものも勝てないわよ」
「コクコク」
「ん‥‥」
「この子たちも‥‥、怖いもの知らずね。僕は真似しないわよ」
ますます大男は怒っているようだった。
こりゃマジで殺しにかかってくるんじゃないだろうか。
確か原作でも、こいつだけは別格だったと思う。
「ふー‥‥。子供ばかりだと思っていたが、力はありそうだな。俺の名前は『ビーム』だ。この砦のマスターをしている。このままだとお前たちはアッサリと勝ってしまうだろう。だから俺自ら参加する事にした」
冷静になったな。
俺たちの力を見抜いて認めた?
やはりかなり強敵かもしれない。
それでも、おそらくだけれど人間レベルだとは思う。
アメリカやロシアの大統領と手合わせしたけれど、おそらくはあのレベル。
「つまり、次はあんたと対戦なんだな。それで競技は何にするんだ?」
なんとなく想像はできている。
この辺りの原作は少しだけ印象に残っているからね。
「競技は、残りメンバー全員でのドッジボール対決だ」
やっぱり。
てか、残りメンバー全員でね。
なるほど、みたまはこうなると分かっていたのか。
だから分身ではなく、俺たちでドッジボールをした方が楽しいと。
「ドッジボールのルールが分からないわぁ~。説明してくれるかしら~」
そういえばそんな競技、ファンタジー世界にはあり得ない。
ここまで色々なスポーツを分身がこなして来たけれど、狛里や天冉には分からなかった可能性もあるのね。
だからボクシングの所で狛里は何も言わなかったのか。
「ドッジボールを知らないのか。では説明させてもらう」
そう言ってからビームはルールの説明をしてくれた。
基本的には通常ドッジボールのルールがベースだけれど、顔面でも当たったらアウトだし、ボールを蹴ったり弾いたりも有りって所が少し違う。
ボールを受け止めた所でリセットだけれど、飛んできたボールを蹴ったり弾いたりした場合、地面に落ちた直前に当たっていた内野選手がアウトとなる。
例を挙げると、例えば俺が投げたボールをビームが手で弾き返したとして、それに誰も当たらず落ちた場合ビームはアウト。
誰かが当たってボールが落ちれば、その誰かがアウトとなる。
これはあくまで内野選手だけの場合で、外野選手が蹴ったり弾いたりした場合は含まれない。
まあ蹴ったり弾いたりするなら、一度受け止めてからなら投げるのと同じとされるので、そうするのがいいだろう。
飛んできたものを蹴り返したりする場合は、それで相手を完全に仕留められるタイミングでやるか、外野がノーバウンドで受け止めてくれないとアウトだ。
とにかくボールに当たらなければ良いし、当たるなら受け止めるというドッジボールの基本を守っておけば問題はない。
「とにかくボールは落とさなければいいの‥‥」
「私は触らない事にするわぁ~」
普通のドッジボールならともかく、それすらも知らなかった二人には少しややこしいルールだったかな。
いや、おそらく簡単に勝ててしまうから遠慮してくれたんだよね?
そう思う事にしよう。
そんな訳で、まずは狛里が外野で、他七人が内野でスタートする事にした。
敵はまずビームが外野だ。
様子見って感じだろうかねぇ。
それにしてもドッジボールか。
少しワクワクしている。
小学生の頃は、インフルエンザの予防接種をしたその日でさえやっていた遊び。
それくらい好きだった。
それに、運動してはいけないと言われた日にドッジボールをするのが格好いいとも思っていたんだよな。
子供って変に格好つけたがるよね?
俺だけ?
「では始めるぞ。最初のボールはそちらからだ」
あらあら、余裕ですか。
だったらこっちもそれに答えて‥‥。
俺は恵美にボールを渡した。
「よし恵美、まずは軽く一人アウトにしてやれ」
「分かったし!」
恵美はボールを受け取ると、何もしないで普通にボールを投げる。
ごく普通の一般人が投げるものと変わらない。
当然相手も余裕で受けようとするだろう。
でも‥‥。
「ドッジボール勝負だし!」
恵美は『落札』を発動した。
するとボールは受けようとしていた敵選手に当たり、そのまま地面へと落ちた。
「何があったのかしら?」
アーニャンが疑問を口にした。
そう言えば彼女は知らなかったね。
「恵美の能力だ。相手はそれに気がつけなければ、このまま勝利しちゃうかもな」
「そうなんだ。でも流石にこの人は簡単にはいかないと思うわよ」
ビームか。
「何をしたか知らないが、俺はそう簡単にはいかんぞ」
何をしたか分かっていないなら、もう一回くらいは通用するかな。
内野に入ってきたビームがボールを持った。
さて今度は攻守入れ替えでどうなるのやら。
「今度はこっちの番だ!」
ビームは勢いを付け、思いっきりボールを投げるモーションに入った。
狙うは恵美。
しかしボールが離れる寸前に動きは止まり、ボールは落ちてコロコロとこちらへ転がってきた。
みたまはすぐにそれを拾い上げビームへと投げつける。
ボールはビームに命中し、敵陣真ん中辺りに舞い上がった。
「トスだ!」
ビームは即座に、そこにいた味方選手へ指示をだした。
打ってくる気か。
しかしリスクが高いぞ。
こちらが投げたボールにビームが当たり、そしてトスをする。
トスは受け止めた事にはならないから、これをアタックしてこちらの誰にも当たらなけれれば、二人はアウトになる。
とは言えビームの当たったボールをキャッチする事も、能力の回避方法が分からなければできない。
それはドッジボールだから。
恵美はドッジボール勝負を宣言し、その行動を制限している。
だからトスさせて競技をバレーボールに変えてきたんだろうけれど。
もちろんルールが変わった訳ではない。
ビームたちが意識を変えただけ。
それでも恵美の能力は破られる。
ビームは渾身のアタックを放ってきた。
ボールはみたまへと向かった。
恵美の能力である事はもう見抜かれているか。
でも避ければ‥‥、ボールが速すぎて無理?!
みたまはしっかりとボールを受け止めていた。
やられた。
「受け止めちゃった。この場合のルールはどうなるの?」
「ボールが地面に落ちない限り、誰もアウトにはならないよ」
「えー!」
わざとキャッチさせにきたか。
ん?そうでもないか。
「俺のアタックを簡単に受け止めるか‥‥。子供だと思っていたが、見た目では判断できないようだな」
そりゃ中身はおばさんの域だからね。
一瞬みたまが睨んでいるような気がした。
ガクガクブルブル。
まあおばさんでなくても神の子として生まれた体だし、実際神になるんだからこの程度余裕なのよ。
「全員、プランZだ。本気で行くぞ」
ビームはそう仲間に指示をだした。
いよいよ本気か。
どうやら恵美の落札も対処されてしまったようだし、ここからが勝負かもしれない。
「それじゃ行くよ!」
みたまは小学生の頃みたいにボールを投げた。
でも当然それは小学生が投げられるような甘いものではない。
プロ野球選手のピッチャーが投げるような、正に剛球だった。
敵選手の腰辺りに当たって、ボールはその場に落ちた。
「これで八対六ね!」
「二ポイントだし」
子供たちは楽しそうだな。
そんな歳でもないんだけれど。
「いくら雑魚がやられたとしても、俺はそう簡単にはいかないからな」
ビームは少しイライラしたような雰囲気だ。
かなり自分に自信を持っていたのだろうな。
なのに思うようにゲームは進まない。
さて、もっとイライラさせてやるか。
「俺のジャンピングサーブを受け止められるかな?」
ビームはそう言って、バレーボールのジャンピングサーブを打つような感じでボールを上に上げた。
そして自らもジャンプする。
打ち出されてくるボールは、かなりの威力になると想像できた。
しかしボールは飛んでは来なかった。
「ん‥‥」
ん?冥凛?
どうやら冥凛が、ビームがボールを打つ直前に、|念力《サイコキネシス》を使ってボールを手前に動かし空振りさせたようだった。
可哀想に。
俺が『イライラさせてやるか』なんて考えたせいで、冥凛がそれを実行してしまった。
そして落ちたボールに対して、今度は妖凛が蹴りを入れる。
「シュート!」
おっ!妖凛が喋った。
蹴り出されたボールは、敵選手の一人に命中して吹き飛ばし、相手陣内に落ちた。
「これで八対五だし!」
「楽勝ねー!」
「コクコク」
「ん‥‥」
子供たちはやっぱり楽しそうだ。
生き生きとしている。
父さん、とっても嬉しいよ。
「こいつら‥‥。俺を本気にさせてくれるな‥‥」
ビーム、ちょっと怖いよ。
こめかみに血管が浮き出まくりで明らかに怒っていた。
つかさっき本気で行くって言ってたよね。
落ちているボールをビームは拾い上げ、それを仲間の一人に渡した。
「ボールをこういう風に持っていろ」
「ああ、分かった」
これは、原作で主人公たちがやったのに似ているな。
そこではパンチだったような気がするけれど、ビームは足を振っていた。
蹴り出すつもりか。
「策也ちゃーん、暇なのー‥‥」
狛里が楽しそうな内野を見てとても寂しそうにしていた。
んー‥‥、そろそろ代わってやるか。
そんな時丁度ビームの蹴り出したボールが飛んできた。
狙いは恵美か。
恵美の落札はまだ機能しているから、受け止める事はできると思う。
だけれどこの威力のボールを食らうと死ぬかもしれない。
俺は恵美の前に出てボールを片手で止める。
そして静かにその場に落とした。
「あー、当たっちまったー{棒}」
ちょっとわざとらしかったか。
でも恵美に当てる訳にもいかないし、狛里とも代わってやりたい。
これが一番いいだろう。
「貴様ら‥‥、舐めてるのか?‥‥」
ビームはもう鬼の形相だった。
力の差はあるし、舐めていると言えばそうだろう。
だけれどそれに対して怒れるビームは、やはり強いな。
そして怖いよ。
俺は外野に移動し、代わりに狛里が内野に入った。
「七対五になったし」
「何してるのよ父さん」
「すまんすまん。手が滑ったんだよ」
みんなには嘘だとバレているだろうけれど、ビームを怒らせたくはないからね。
チラッ!
ますます怒ってるし。
まあでも後はみんなに任せるしいいか。
一応妖凛と冥凛には、恵美を守るように伝えておいて。
ボールを拾ったのはアーニャンだった。
「僕だけ活躍しないのは駄目だよね。こんな感じで良いかしら!っと!」
アーニャンはそう言って、思いっきりボールを投げた。
それは一瞬の内に敵三人にハネて当たり、最終的にボールは俺の手元へと飛んできた。
俺はそれを軽く避けた。
受け取ると又敵がアウトにならないだろうからね。
「な、何だと?!」
「これで七対二だし!」
「もう楽勝ね!というか楊ちん凄いよ」
みたまも楊ちん呼ばわりですか。
天冉の中にずっといたから、それも仕方ないね。
アーニャン本人は少し嫌そうだけれど、すぐに諦めたようだった。
さて次は狛里に遊ばせてやるか。
俺は素早く狛里にパスした。
傍から見れば殺す勢いのボールだけれど、これくらい投げないとビームに取られるかもしれないし、狛里にならこれで普通だよね。
狛里は片手であっさりとそれを受け止めた。
「ボールを手に入れたの‥‥」
「狛里!一人軽く当てていいぞー!」
とは言ったものの、まだ不安ではあるな。
最悪殺しちゃったら、生き返らせないとなぁ。
「分かったの‥‥。手加減は任せてなの‥‥」
狛里はそう言って、マウンド上のピッチャーのように大きく振りかぶった。
あれ?ヤバくね?
ビームも気付いたのか、エンドラインギリギリまで下がって構えた。
もう一人の敵選手はビームの様子を見て少し戸惑っている。
そいつめがけて狛里の投げたボールはレーザービームのように放たれた。
次の瞬間にはボールは命中し、吹っ飛ばされた選手とボールが、俺のいる外野まで転がってきた。
「死んでね?」
「大丈夫‥‥なはずなの‥‥。ちゃんと手加減したの‥‥」
うん、手加減はしていたと思う。
本気だったら彼はきっと跡形もなく消えてるだろうからさ。
見ると彼の手が少し動いた。
「生きてるな。救護班!治癒の神風だ!」
ほうほう。
ゲーム運営側なら、それくらい使いたい放題だよね。
かろうじて生きていてくれて助かったよ。
今にも死にそうだけれど。
兎にも角にも狛里が人殺しせずに済みました。
良かったね。
「ほら‥‥大丈夫だったの‥‥」
狛里はあからさまにホッとしているようだった。
これがビーム相手だったらここまで酷い結果にはなっていなかっただろうし、十分調整が効いていたと思うよ。
これより弱ければ、ビームに取られる可能性もあったはずだから。
さてこれで‥‥。
「あと一人だし!」
「七対一ね」
「もうこのままゲームは終わりそうねぇ~」
みんなの言う通り、残すはビームだけだから、もう勝ちはそこまで来ている。
最後は誰に決めて貰おうかなぁ。
「勝った気でいるようだな。しかし分かっているのか?このゲームの勝利条件。一人でも負けていたらそちらの負けだぞ?」
「あらぁ~?このドッジボールは団体競技で、勝てば全員勝ちじゃなかったのかしらぁ~?」
「そんな風に言った覚えはない。今外野の彼に『内野でプレイできる権利』が無いまま終われば、そちらの負けになる」
あらあら、この期に及んでルールを変えてきたか?
最初からそうだったにしても、そこはちゃんと説明しておけよ。
とは言え、最後に俺が決めれば勝ちな訳で、何も問題がないと言えばそうなんだけどさ。
「お父さんが決めれば勝てるなら、大丈夫よね?」
「問題ないの‥‥」
「結局僕たちの勝利は変わらないわ」
「コクコク」
「ん‥‥」
待てよ。
普通に投げたら俺たちが負ける可能性は十分にある。
例えば俺が投げビームに当たったとしよう。
そのボールが俺たちの陣地に行き誰かに当たって落ちた場合、その誰かがやられた事になる。
外野から敵を狙うのにはリスクもあるのだ。
この場面でそんな事になったらそこで試合終了、俺たちの負け。
となると、ビームに当てたらすぐにボールが落ちる角度で投げたいよな。
思いっきり上にジャンプして投げた場合、距離が伸びる分避けられる可能性は高まるし、それはしない方がいい。
子供の頃やっていたドッジボールなら、投げた後相手陣地に入るのはセーフだったけれど、このゲームでは敵陣に足が付いた時点でアウトになる。
外野がそれをやったらゲーム除外になるかもしれない。
でも空中にいる間はセーフだし、決めてしまえばその後に相手陣地に入った所で問題はないだろう。
よし!
「それじゃ行くぞ!交わせるものなら交わしてみな!」
俺は勢いを付けてビームに向かって跳んだ。
「これで倒せなければ俺の負け。倒せば俺の勝ちだ!」
俺はビームと一メートルの距離の所で、彼の腕を目掛けてボールを投げた。
ボールは軽くビームの腕に触れ、そして地面を叩く。
余裕だったな。
俺は勝ちを確信した。
「ふっ‥‥」
しかしビームは笑っていた。
なんだ?もう俺たちの勝ちだろ?
「何やってんの父さん!反則したらそのプレイ自体が無効になるのよ!」
「えっ?そうだっけ?」
みたまは俺が投げて敵陣を叩いたボールを、自陣内で思い切り蹴った。
俺目掛けて‥‥。
ボールは俺に当たり、ボールと共に俺は外野まで飛ばされそこでコートを転がった。
「みたまちん、お見事ぉ~」
「痛そうだし」
「策也ちゃん‥‥楽しそうなの‥‥」
狛里、どうしたらこれが楽しそうに見えるんだ?
なんか久しぶりに無様にぶっ飛ばされた気がするよ。
でも、みたまが楽しそうだからいいか。
外野から見えたみたまの笑顔に、これはこれで良い勝利の決め方だったと思えた。

「君たちは強かったよ。もしかしてみんなプロのデンジャーなのか?」
「いや、全員じゃない。一部だけかな」
と言っても、正式ゲームプレイヤー五人の内四人はプロなんだけどさ。
「そうか。まだまだ世界には強い奴もいるんだな。本当に俺はまだまだだったよ」
ビームはそう言って、少し悔しそうに一筋涙を流していた。
いやいや、おそらくあんたは十分に強いよ。
俺たちが異常なだけで。
「僕たちの事は気にしない方が良いわよ」
「そうそう~。私たちは特別なのよねぇ~」
「この人たちと比べたら駄目だし」
「そう‥‥。私は宇宙一だから‥‥」
いつもの冗談を言うように、狛里は本当の事を言っていた。
冗談になってないんだよね。
「それじゃ、これが約束の通行許可証だ。十五枚ある」
俺たちはそれぞれそれ受け取った。
このカードは、本当にこの砦を通るだけの通行証のようだ。
上限枚数も決められていない。
発行はここだけだろうからね。
現存枚数が十五枚なのは、俺たちが初めて手に入れた事を表していた。
カードナンバーは五番。
あともう少しだな。
まだのカードは、残りの町を巡れば概ね揃うだろう。
でもそれよりも、俺はみたまが楽しそうにしているのを見て、それが何よりも嬉しく感じていた。
娘と一緒に遊ぶの楽しい。
【<┃】 【┃┃】 【┃>】
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