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デンジャー裏試験?初めての仕事依頼

この世界で人々が使う能力は、俺たちが使っている念力による能力に近い。
厳密には違うのだろうけれど、大体そんなものだと思ってもらえればいいだろう。
大気に漂うマナを集めて、それを使って何かに干渉し起こす現象、魔法とは違うのだ。
マナは主に、インフラや機械を動かすのに使われている。
多くはエネルギーとしてだけれど、使用法は多岐にわたる。
けれど、どうしてマナを人々の能力に使わないのだろうか。
その謎は、本を読んで理解する事ができた。

日本に来てから、一週間以上が経っていた。
ようやく狛里も、この世界の事をある程度理解できるようになったと言えるだろう。
「困ったらデンジャー証を見せるの‥‥」
「それは最後の手段だからな。まずはこの国のルールはきちんと守れよ」
印籠じゃないんだから。
結局狛里は本をあまり読まないので、俺が一緒に読んでやってなんとか伝える事ができた。
でもそれは無駄ではなかった。
俺も知らない事が結構あった訳で、やはりココは俺が暮らしていた日本ではないのだ。
その中で特に違う所は、やはりマナが存在する事だろう。
エネルギーの多くは、だいたいこれに頼っている。
魔法を使う者を見かけない世界に違和感を持っていたけれど、理由はハッキリとしていた。
そもそも能力的に使えない人が多いのもそうだけれど、使い方によってはインフラに影響するから、マナを勝手な事に利用するのは禁止らしい。
つまり、俺たちが言う所の魔法が禁止されているのだ。
ただし、インフラに影響を及ぼさないようにマナの量を考えて使えるプロのデンジャーや、電気工事のような資格を持った専門家、或いは警察などが使用を許されている。
尤もマナを使った所でそれを見抜ける者も少ないので、レベルの高いデンジャーは、アマチュアでも使っているみたいだけれどね。
何にしても、無闇に使って悪影響を及ぼさない限り、俺たちは使っても良いって事。
大都会で派手に使うのを避ければ、そんなに気にする必要はなさそうだ。
それに俺たちの魔法の場合は、常に取り込んでいる魔力を使う訳で、その時々に大量利用する訳ではない。
少しずつ徴収しているので問題はないだろう。
「だけど暇ねぇ~。お仕事できる日は来るのかしらぁ~」
最初は勉強が必要だからと、お客が来なくてもいいと思っていたけれど、流石に仕事をしないと不安になってくる。
一応店に商品を並べてはいる。
俺が『|闘魂注入《とうこんちゅうにゅう》』というスキルにより作った生きた宝石だ。
物に魂を吹き込んでいた奇乃子の錬金術を、ようやくモノにしたんだよね。
それは決められた事をやるだけの魔石や宝石と違い、意思を持って自分をサポートしてくれるアイテム。
デメリットもあるけれど、使いこなせるようになれば大きな力を発揮してくれるはずだ。
特にこの世界では、人間が魔力を扱う事は少ない。
それを自然とサポートしてくれる訳で、この宝石を使って武器なり杖なりを作れば、この世界の人間でも魔法が使えるようになるだろう。
それを並べて売ってはいるけれど、客が来ない事には良さを説明する事もできないんだよな。
ちなみに道具がマナを使う事は許されている。
というか多くが魔力に依存しているしね。
但し環境に影響が出ない程度であって、それ以上は『石油』だったり『電気』だったりが使われている。
さてホームページも立ち上げて、萬屋を宣伝もしているけれど、そうそうボディーガードが必要な人もいない。
できればあの漫画のように、シティーデンジャーを目指そうと思っていたけれど、警察との繋がりはどうやったら作れるんだろうね。
美人の刑事さんをナンパしに行く必要があるんじゃないか。
いやいや、俺は一体何を考えているんだ。
だいたいこういう事を考えている時こそ、お客がやってくる展開が予想される。
しかし全く来る気配はなかった。
おかしい。
最終手段にはなるけれど、やはりプロのデンジャーって事を公開するべきなんだろうか。
プロのデンジャーであれば、客の方も安心感があるだろう。
それに『萬屋』と入口に書かれているだけじゃ、本当にどんな店かも分からんよね。
そんな事をグダグダ考えていたら、結局この日も客は一人も来なかった。

更に次の日も暇な時間は続く。
勉強も最低限は既に終わっているし、やる事と言えば生きた宝石作りくらいか。
やはりデンジャーである事を公開し、看板にもその辺り表記しておこう。
正直プロである事は隠しておきたいんだけれどね。
俺はそう思って立ち上がった。
しかしあの漫画だと、一応裏試験とかあったよな。
現時点でデンジャーを前面に出すのは、やはり違う気がする。
そもそもプロってのは、それでお金を稼いでいる人だ。
やっぱりプロを名乗るなら、少なくともデンジャーにしかできないような仕事を一つくらいはしてからにしたい。
んー!どうする?
そうやって俺が店の中をウロウロとしていると、人が一人階段を上がってくる気配がした。
来た!
とうとう客か?!
俺は店舗の端に置かれたソファーに座り、その者がやってくるのを待った。
アレ?この気配は‥‥。
「こんにちは!」
やってきたのは、二十代に見える眼鏡をかけた男だった。
あの漫画に出てくるWさんに似ている。
そしてこの気配はどう考えてもデンジャー。
総合して考えれば、おそらくはデンジャー協会に所属するプロだろう。
俺は立ち上がり、丁寧に挨拶した。
「いらっしゃいませ」
おそらくそうだと思うけれど、普通に客の可能性もある。
俺は少し緊張感を持って対応した。
「えっと‥‥。下の看板には萬屋と書いてあったんだけど‥‥」
「ええ。うちは何でも屋です」
なんか敬語になってしまうな。
ここは元いた世界とは違うけれど一応日本。
だからどうしても日本人魂が出てきてしまう。
「あらお客様が来たのねぇ~」
「いらっしゃいなの‥‥」
ようやく客が来たと思ったのか、二人も奥の部屋から出てきた。
「どうも。それで萬屋ってのは、色々な仕事を引き受けてくれる、って考えてもいいのかな?」
店の中を見てそう思ったのか、或いはこの世界での萬屋はそういう所なのかは知らないけれど、とにかく眼鏡の男はそんな風に聞いてきた。
「ええそうです。店では宝石も売っていますが、基本的には違法でない限り報酬次第でなんでもやりますね」
ウェブサイトには一応そのような事は書いてあるので、それを見て来たのなら分かっていても不思議ではない。
「そうですか。なら少し話をさせていただきたいのですが、そちらに座らせてもらってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
俺は眼鏡の男をソファーに座らせ、その向かいのソファーに俺たち三人も座った。
一瞬顔を見合わせる。
やはりこの男は只者ではない。
何か仕掛けてきそうな雰囲気だ。
狛里はともかく、天冉は何かを感じているのか、少し緊張感を持って対応しているようだった。
「それでぇ~、萬屋にはどういったご要件で来られたのかしらぁ~?」
「そうですね。一つ質問させていただいてよろしいでしょうか?」
天冉の問に、男は人差し指を立ててそう言った。
俺たちはそれに合わせてすぐさま返事をする。
「見えるよ」
「見えるわよぉ~」
「見えるの‥‥」
何故なら、男は人差し指の先に『これが見えますか?』と魔力で文字を書いていたから。
俺たちの認識だと念力だけどね。
ちなみにある程度能力がないと、普通魔力や念力は見えない。
大きい場合は別だけれど。
「そうですか。これは、テヘペロ会長の言った通りでしたね。いやいやすみません。実は私、デンジャー試験の裏試験官で、『|若林翼《わかばやしつばさ》』と申します。それで今日、貴方がたの力を試しに来た訳ですが‥‥」
まあそんなこったろうと思ったよ。
「それでぇ~、合格って事になるのかしらねぇ~?」
「はい。問題ないでしょう」
みたま、わかり易すぎるぞ。
「最初から私がデンジャー協会の者であると分かってましたか?」
「そんな気はしていたかな」
「何かあると思ったくらいかしらぁ~」
天冉の場合は、みまたが教えなかったんだろうな。
それで逆に緊張感を生んだって所か。
「特に何も思わなかったの‥‥」
狛里はこの程度じゃ、一般人と変わりなしって所なのかもしれない。
「そうですか。では、来たばかりですが私は|御暇《おいとま》いたします。おそらくもうすぐ別の方が来られると思いますし」
そう言って若林は立ち上がった。
「他にも誰か来るんですか?」
「デンジャー協会には大小様々な依頼が来るんですよ。貴方がたは萬屋をやっておられるようですし、これから結構仕事の依頼が回っていく事になると思います。プロのデンジャーに恥じないよう頑張ってください。尤も、私が心配する必要はなさそうですが」
若林はそう言って背を向け、振り返りもせず去っていった。
あの人はこれから、ゴルゴの所に行くのだろうな。
なんとなくそう思った。

若林が去ってから一時間後、彼が言った通りお客が二人やってきた。
貫禄のある体の大きな警察と、ちょっと偉そうなおっさんだ。
おそらくこの人たちは、俺たちがプロのデンジャーであると分かっているだろう。
若林が来客を知っていた事もあるし、デンジャー協会の紹介以外でここに来る人なんて多分いない。
とは言え万一もあるし、自分からデンジャーを名乗る必要もないよね。
なんとなくだけど、デンジャーである事はなるべく隠しておきたい。
やっぱり肩書ってさ、ある程度納得の行く実績を残してからじゃないと、自らは言いたくないというか。
これからデンジャー協会の紹介で仕事が回ってくるのだとしたら、看板にプロのデンジャーだと書かなくて良かったと思った。
「こんにちは」
「ここかな?新人デンジャーの店ってのは?」
「はい。うちですが‥‥」
新人デンジャーと言われちゃうのか。
確かにその通りだけれど、それだとナメられたりしそうで嫌だな。
別に俺だけならいいけれど、そんな態度で接してこられたら、天冉が爆発しかねない。
マジで。
でもそれはそれで、この世界で天冉がどういう対応をするのか興味はある。
「頼みたい仕事があってきた。見ての通り私は警察だ。名前は|両津《りょうつ》と言う」
両津かよ。
体格的には亀有にいる人と似ているかもしれないけれど、目の前にいる男は身長が二メートル近くありそうだ。
持っている雰囲気もまるで違う。
どちらかというとあの野球漫画の主人公キャッチャーのようだ。
「私は銀座商店会会長の佐藤だ」
こっちは完全にモブキャラだな。
名前は忘れてもいいだろう。
「どうも。俺はこの店の従業員此花です。天冉!お客様だ!」
別に誰が対応するとも決まっていなかったけれど、ここは天冉に任せてみよう。
「あらぁ~、いらっしゃいませぇ~。お話でしたらそちらのソファーに座ってくださいなぁ~」
天冉はそう言って奥の部屋から出てきた。
いや、呼ばれて出てきましたって感じだけれど、ずっと様子を窺っていたよね。
この人たちは別に警戒に値する人たちじゃない。
なのに出て来なかったのは、おそらく天冉も相手にしたくないと考えていたのだろうか。
天冉と共に狛里もでてきた。
狛里は普通に眠そうだな。
寝てたか?
天冉と狛里は二人の客らしき人たちが座ってから、正面のソファーに座った。
俺もその横へと座る。
「私は店長の新巻鮭天冉よぉ~。今日はどういったご要件かしらぁ~?」
流石天冉。
特に決めていなかったけれど、やはりこういうポジションが適切だよな。
「デンジャー協会に仕事を依頼したらこちらを紹介されたんだが‥‥。店を間違えたかな?子供に用はないんだが‥‥」
まあこういう反応は普通だよね。
俺が転生した頃に比べればマシだとは思うけれど、狛里の見た目はせいぜい中学生だし、天冉だってJKレベルだ。
俺はもう少し上に見えるだろうけれど、見た目女みたいな感じで貫禄も何もない。
新人デンジャーってのもあるだろうし、思った通りナメられているか。
いや、ナメられているってよりは、相手にしてみれば不安なのかもな。
「見た目で判断しないほうがいいの‥‥。天冉ちゃんを怒らせたら、この部屋が血の海になっちゃうの‥‥」
「なんだ?プロのデンジャーが一般人を脅すのか?」
お前らが馬鹿にするような事を先に言ってきたんだろ。
弱者が強者をバカにするのは良いけれど、強者の返しは認めないのってアルアルだよね。
それが何故かまかり通るから、弱者ビジネスってのが成り立つんだよなぁ。
「私たちはまだ実績も何もないですからねぇ~。不安なら他をあたってくださいなぁ~」
「別に不安だとは言っておらん。デンジャー協会は信用しておる」
憎まれ口の一つでも言わないと、自分の存在価値を見つけられない人なんだろうな。
この人は立場ほどの何もないと自覚しているんだ。
だから自分より他人を下に見る事で精神を維持している。
バカほどマウントを取りたがる傾向にあるのはその為。
ムカつくと言うよりは哀れに思えてくるよ。
「それでは仕事の話をしましょうかぁ~?」
「では私から話そう」
こっちの両津警官は割とまともに話ができそうだ。
「はい~」
「こちらの佐藤さんが会長をしておられる銀座商店街なんだが、アーケード商店街で平日もかなり人通りが多いんだ。それで数年前から自転車に乗っての通行が条例で禁止された。しかし一向に自転車にぶつかる事故が減らなくてね。大した事故にはなっていないんだが、私たちとしては大きな事故が起こる前になんとかしたいと思っているんだよ」
どっかの天神橋筋商店街みたいだな。
「それを私たちになんとかしてほしいとぉ~?」
「でもそれ、警察が取り締まれば解決するんじゃないんですか?」
警察が見張っていれば、普通みんな自転車を降りるよね。
「我々も見回って注意はしているんだが、あくまで条例で罰則規定はないんだ。だからその場では降りても、少し離れたらまた乗って行ってしまう」
罰則の無い法律や条例なんてのは結構ある。
ただこういうのは民度が高い所でしかなかなか通用しない。
転生前の日本なら割と通用していたんだけれど、外国人が多く入ってきて崩れつつもあったんだよな。
でもそれって、みたまが死んだ後の話なんだけどさ。
もしもこの辺りまでみたまが干渉して創られた世界だとしたら、かなり先見の明があったと言えるね。
或いは俺がこの世界に来た事で、そういう風に変化していっているのかもしれない。
俺から見た世界は、俺を中心に創られているから。
「デンジャーは多少手荒な事をしても許されるだろ?だからお前たちに依頼しにきたんだ」
やっぱりこの佐藤はムカつくな。
とは言えプロのデンジャーにそれなりの特権のようなモノがあるのも事実。
デンジャー協会ができた過程は本で知ったんだけれど、どうやら世界平和を実現する為に作られたらしい。
核戦争が起こりそうな状況で、世界のデンジャーが協力しそれを止めた。
兵器を能力により凍結したり、ミサイルシステムをハッキングしてコントロール権限を奪ったとか。
武力を失った各国は、デンジャー協会の元平和条約を結び、大きな戦争はそれ以来起こっていない。
地域紛争程度はまだまだあるみたいだけれどね。
デンジャー協会の目標としては、全てが話し合いで解決できるようにする事とか。
でもこの先、デンジャー協会が腐った時にはどうするんだろうね。
今はまだ、世界が本気でデンジャー協会に立ち向かえば勝てると言われている。
国に味方するアマチュアのデンジャーも大勢いるから。
結構危うい世界なのかもな。
尤も俺の仕事は別にある訳で、この世界の事はこの世界の人に任せるよ。
「警察も多少は手荒な事をしてもいいのよねぇ~?」
「権限はある。だけどそれをするとマスコミや世間が騒ぎ立てるんだよ」
権力が批判されるのは健全ではあるけれど、騒ぎが行き過ぎるのはどこの世界も同じという事か。
天冉が俺を見てきた。
俺の意見が聞きたい時は、こうしてアイコンタクトを送って来る。
目は見えないけれどね。
さてどうしたものか。
自転車の取り締まりは難しいんだよな。
転生前の世界でも、自転車って曖昧な所があって面倒くさかった。
そもそも自転車は、『歩道を走ってはいけない』という交通ルールがあるけれど、ほぼ守っている人なんていない。
法的には、自転車で通っても良いと標識の出ている所か、或いは歩道の幅が三メートル以上ある事が自転車で走っても良い条件だ。
更に徐行しなければならないとされている。
なのに守っていない人がほとんどなんだよね。
正直面倒ではあるけれど、今回の依頼なら‥‥。
「方法はこちらに任せるって事でいいんですよね?」
「そうだ。だけど暴力はいかんぞ。お前たちデンジャーは、直ぐに暴力で訴えようとするからな」
そりゃまあ武力を持っている者は、そこに優位性を感じる訳だしそうなるか。
狛里だってもしも普通の女の子レベルの強さだったら、決してなんでも殴って解決しようとはしない。
そもそもできないからね。
女性よりも男性の方が暴力的になるのはその為だし、だからこそ『男性は女性を守るもの』だっていう教育が必要になってくる。
らしさ教育ってのは、歴史の中でよく考えられたものなんだよなぁ。
「分かりました。それでは後は料金次第という事で」
俺は天冉にバトンを返した。
「結局金か」
「労働に対価を支払うのは当然じゃないかしらぁ~?私たちは貴方がたの奴隷じゃないのよぉ~」
本当ならこんな奴からの仕事は断りたい所だよ。
だけれど今回は断れない。
一つはデンジャー協会経由の仕事だから。
そしてもう一つ、俺たちはまだ何も仕事をしていない。
天冉もその辺り察しているのか、怒りをこらえて最後まで対応してくれていた。
一応初仕事はやる事になった。

まとめておくと、銀座商店街は数年前から条例で『自転車に乗って通行するのを禁止』されている。
それは商店街内の放送や垂れ幕でハッキリと告知はされているけれど、初めての者は気づかない事も多い。
だから常連の者も『知らなかった』『忘れていた』と言って何度もルール違反を繰り返す。
つまり俺たちがやるべき事は、銀座商店街に来る人達に周知させる事と、言い訳する確信犯が二度とやらないように対処する事。
ただし暴力はご法度。
多少手荒な事は、プロのデンジャーなので許されるみたいだけれどね。
「それでどうするのかしらぁ~?」
「周知させるのは簡単だよ。この世界にはテレビがあるからね」
イスカンデルでは、民に情報を伝えるのに苦労したよな。
天冉の能力があったから上手くいったけどさ。
この世界にはテレビもあればネットもある。
テレビで大々的に放送されれば、それは直ぐにネットにも広がるだろう。
周知させれば、後は確信犯をなんとかするだけ。
「お金が必要にならないかしらぁ~?経費はそんなに貰えないわよぉ~」
「マックスで十万円程度だったか。それは全部貰う事にしよう。おそらくそれ以上になる物を俺は提供する予定だから。ただ宣伝には一円も掛けるつもりはない。俺たちには魔法があるんだから」
この世界の能力者、或いは魔法使いと呼ばれる者をデンジャーとしている。
しかしその能力は、俺たちの知る魔法使いとは違うのだ。
もちろん似たような事ができる人はいるだろうけれど、それぞれが特別で少ない。
あまり目立ちたくはないけれど、エンターテイメント系の能力なら、公開しても警戒される事はないだろう。
強すぎる力は敵を作るからな。
侮られるのも問題だから、今回の仕事はなんとしてもやり遂げないとね。
そんな訳でエルドラールに来てからの、初めての仕事が始まるのだった。
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