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押勝恵美の能力

『唾を付ける』という言葉がある。
これは、欲しい物を確保しておいたり、自分の物にする為に手を打っておくという意味だ。
唾には昔から魂が宿ると言われており、自分の唾が付いているものは自分の物になるとされている。
例えば箸や歯ブラシ、コップなど唾の付く物は、大体自分専用の物を用意するのが普通である。
それだけ唾は特別なのだ。
キスは唾を交換し、お互いがお互いの物になるという意味になる。
だから日本では、接吻はそう簡単にして良いものではなかった。
大勢の人とキスをするというのは、大勢の人と体を共有するという事。
キス文化はもしかすると共産主義の始まりか?
なんて事を考えると、やはりキスというのは大切にしなければならないものなのかもしれないね。

香港に来てから四日目。
商品の仕入れは概ね終わり、俺は本体でお嬢様の護衛をしていた。
と言ってもホテル一体の施設内に付き添うだけで、概ね危険はない。
主たる目的は、お嬢様が勝手に外に出ないように見張る事だな。
「ねぇ、策也がいるんだし、外に出てもいい?」
初めて話した時も違和感があったけれど、この子変な喋り方するよな。
間違いなく萌えキャラ系か。
「駄目ですよ。お嬢様を絶対に施設の外に出さないように言われているんですから」
「またお嬢様だし?私の名前は|恵美《えみ》・|押勝《おしかつ》だし。恵美で良いし」
「分かりました恵美さん」
「恵美で良いって言ってるし。それに敬語もいらないし」
「分かったよ恵美‥‥」
なんかよくあるベタなやり取りだけれど、俺はこういう対等でありたいお嬢様は嫌いじゃない。
それに仕事とはいえ、敬語って面倒だからね。
嫁隊はそもそも敬語を使う気は全くなさそうだけれどさ。
俺はやっぱりこういう近代世界では、ついつい使っちゃうんだよ。
所でその嫁隊なんだけれど、今日中に全てのアイテムを売ろうとマジで働いている。
インテリジェンスジュエルの二個目も売る気満々だ。
値段は五十億円。
前回売れたインテリジェンスジュエルよりも大きく、効果も高いルビーだけれど、流石にそれはボリ過ぎだろう。
だいたい前回もそうだけれど、フリーマーケットで売る値段じゃないよな。
だからやたらと人も集まってくるし、おそらく盗もうと狙っているヤツもいる。
何も起こらなければ良いけれどね。
尤も、嫁隊が盗まれるような事は万に一つもないだろうけれど。
盗もうとした奴が可哀想な事になるだけだ。
帝国雑技団の連中も、本番前に騒ぎは起こさないだろうし、まあ大丈夫だろう。
おっとそんな事を考えている間に、恵美が外に出ようと走り出していた。
「駄目だって!」
「鬼ごっこだし!捕まえられるもんなら捕まえてー!」
全く子供かよ。
いや、見た目は完全に子供なんだけれどな。
実年齢は十六歳らしいけれど、ぶっちゃけ狛里よりも下に見える。
つまり小学生ね。
仕方ないから捕まえるか。
そう思って追いかけようとしたけれど、俺の体は動かなかった。
なんだこれは?
全く動かない訳ではないけれど動かない。
俺は直ぐに神眼で確認してみた。
これは‥‥、|逆手《さかて》に似ている。
|後方手《しりえで》とセットで使えば、確実に逃げる事に使えるあの魔法だ。
しかし少しだけ違う事がある。
おそらくこの能力は勝負に勝つようにする為のもの。
つまり『鬼ごっこ』と言った訳で、それ以外には効果が及ばないはずだ。
俺はホテル施設の入口まで移動し、そこで手を広げて立ちふさがった。
「逃さないよ」
「アレ?どうして?私の力が通じないし!」
やはり恵美の能力か。
「そんな事はなかったよ。ただ恵美の能力には対抗手段があるってだけだ」
尤も俺なら、ドラゴンカウンターもあるし無効化もできた。
でもそれをすると俺の力が知られてしまうからね。
「えー?どういう事だし?」
「恵美の能力は、おそらく競争や勝負に勝てる能力だよね」
恵美の能力は、指定した勝負に必ず勝てるよう相手の動きを制限するものなんだ。
ならば俺は、鬼ごっこをしなければいい。
ただ建物の入口を目指して移動し、そこで手を広げ立ちふさがるだけ。
決して捕まえる訳じゃない。
でもそうされたら、恵美は力が通じなかったと諦めるって寸法だ。
もちろん今のままだと、俺は恵美を捕まえる事はできない。
建物から出さないようにはできるけれどね。
「だから俺は鬼ごっこをせず、恵美をただ建物から出さないようにしただけなんだよ」
「私の能力を知ってたし。父上が教えた?」
「会長は話してないよ。流石に能力の事は話さないでしょ。ただ俺にはそういうのを見抜く能力があるだけさ」
「策也は並のデンジャーじゃないし。私も自分の能力の欠点は理解していたし‥‥」
分かっているのか。
この子、見た目に似合わずかなり賢い気がする。
それに出口に向かって走り出したのを見ても、間違いなくデンジャーだ。
デンジャー試験でのゴルゴよりも圧倒的に強いだろうな。
今なら分からないけれど。
「だけど勝負は終わってないし。策也は私を捕まえられないし!」
まだ諦めてないか。
ならば‥‥。
俺は逆手を発動した。
これはやろうとしている事ができなくなる呪いの魔法。
「アレ?体が動かなくなっちゃったし!」
「俺も恵美と同じような能力が使えるんだ。恵美はこの施設から出て俺から逃げようとしている。だから逃げられない」
「だったら更に別の目的に変更するだけだし‥‥」
「はいアウト!」
俺は恵美のゴスロリ衣装の首根っこを掴み捕まえた。
目的を終わらせれば、恵美の能力も停止する。
恵美は『施設から出て逃げる』という目的を持って鬼ごっこを始めた。
それを俺が逆手で制限する事で、恵美は別の目的に変えないと動けない状態になってしまった訳だ。
その時点で俺との鬼ごっこは終了だね。
施設から出る為に、目的を『外に出られる別の何か』に変えたのだろう。
「んー!悔しいしー!」
「悪いけど会長の許可が無い限りは大人しくしていてね」
「だったら父上にもう一度頼んでみるし‥‥」
「そう‥‥」
恵美は携帯を取り出して、会長に電話を掛け始めた。
俺は黙ってその場で待つ。
するとその時、施設内で前に何処かで見たシーンが目の前に展開されようとしていた。
通路の奥に入って行こうとする女性の向こうから、いかにも団長と思われる人物がこちらに歩いてくる。
団長というのは帝国雑技団の団長ね。
見た事はなかったけれど、割と雰囲気が漫画と似ているので間違いはないだろう。
コレは見逃せないシーンだ。
団長は女性とすれ違いざまに、手刀を女性の首に入れる。
『俺じゃなきゃ見逃しちゃうね』
などと俺は心の中で呟いた。
しかし手刀は大したスピードも威力も無く、女性は平気な顔をしていた。
「何か?」
「いや、首筋に蚊がとまっていてね。それを払わせてもらっただけだよ」
そんな展開になるんかーい!
ピエロもそうだったけれど、実は帝国雑技団は弱いのかもしれない。
確か通称は『ゲジ』だったし、弱そうなんだもん。
「ははは。ウケるー!そうだわ。あなた今暇?私退屈しているの。ちょっとお茶しない?」
そしてまさかの女性側からの誘いー!
「いいよ。俺も今誘おうと思った所だったんだ」
「そうなの?なら行こ!」
女性はそう言って団長に腕を絡め、仲良さそうにカフェへと向かっていった。
まさかの展開だったけれど、これじゃ助ける事もできないか。
「大丈夫だし父上!策也は私の能力を看破して見せたし!」
こっちは会長と電話だったな。
さて許可は下りるのだろうか。
「そう。そうだし。絶対大丈夫だし。私が認めた人が駄目だった事なんて無いし。セバスクンだってそうだし。うん‥‥。大丈夫だし。駄目なら能力を使って逃げるし。ありがとうだし。じゃあねだし!」
‥‥。
恵美は電話を切った。
どうやら交渉は上手くいったみたいだな。
「ちゃんと許可を取ったし!」
「でも俺は会長から許可取ってないんだけど?」
会話の内容は聞こえていたし間違いはないけれど、雇用主の会長からは何も言われていない。
これで勝手に連れ出したら、後で何か言われる可能性も‥‥。
「大丈夫だし。今の会話は録音してあるし」
なるほど。
まあいいか。
恵美がそこまで言っているこのシーンは俺の魔法記憶に記録してある。
何か言われれば映像化して証拠として出せばいいだろう。
それに恵美を守ればいいだけだ。
「分かったよ」
「やたー!」
こうして俺は恵美を連れて香港の街に繰り出すのだった。

その後は結局何もなかった。
ただプラプラとフリーマーケットを巡って、後は嫁隊を手伝ったり、五十億円でインテリジェンスジュエルを売ったり。
恵美にも十分楽しんでもらえたみたいで良かった良かった。
ちなみに恵美は金を持っておらず、フリマで買った物の代金は、全て俺が立て替えた。
ちゃんと返してくれるんだろうな‥‥。

そんな日も過ぎて、いよいよ目玉オークションの初日がやってきた。
ここからが俺たちの仕事の本番だ。
但し、おそらくだけれど今日何かが起こる可能性は低いと思われる。
一日目、二日目、最終日と、出品物がドンドン高価な物に変わっていくからだ。
狙うなら最終日だと誰でも普通は考える。
まして襲うのが|帝国雑技団《ゲジ》となれば尚更だ。
そんな訳で俺たちはリラックスして会場へと入った。
オークションは三人一組で入る事になっているので、会長・恵美・セバスクン・そして俺たち三人が二組に分かれる事になる。
と言っても横一列に座るので、座席が離れて守れないという心配はない。
セバスクン、会長、恵美、俺、狛里、天冉の順番で座っていった。
基本的に会長の守りはセバスクンで、恵美を俺たち三人が守る形。
尤も俺は全員守るつもりだけれどね。
そんな訳で決められた椅子に座っていると、見知った奴から声を掛けられた。
「よお!」
「君たちも来ていたのか?」
見るとそこには、デンジャー試験で一緒だったモブエロとタピオカが立っていた。
何故か仲良く手を繋いでいる。
こいつら、まさかそういう関係なのか?
「久しぶりだな」
「仲良しなの‥‥」
「あら、こんにちわぁ~」
狛里の言葉に少し照れくさそうに、二人は繋いでいた手を離した。
「お前たちも‥‥どうやら俺たちと同じ目的でここにいるようだな」
モブエロの後ろには、昨日団長と一緒にカフェに向かった女とその父親らしき者の姿があった。
あの漫画の原作だと、ボディーガードの仕事にモブエロは参加していなかったはずだけれど‥‥。
「そうだな」
つか護衛中に話しかけてきていいのか?
俺たちは問題ないけれど。
「モブエロ。仕事中だ‥‥」
だよね。
流石はタピオカ。
「お、おう!そうだったな。じゃあ仕事中だから失礼するぜ」
「ああ」
ちゃんと仕事をしないと雇い主が怒るぞ。
モブエロとタピオカは、護衛対象と思われる二人と、他デンジャーらしき者を二人引き連れ少し離れた席へと歩いていった。
ふむ、しかしあの二人、仲良さ気だったな。
俺は二人の関係が気になり、念の為神眼でモブエロとタピオカの性別を確認した。
するとあの漫画の原作とは違い、タピオカは普通に女だった。
危ない危ない。
下手に漫画を知っているせいで、普通の判断ができなくなっている。
ちゃんと神眼で確認は必要だな。
しかしあの二人がねぇ‥‥。
つか、他にも俺は勘違いしている所があるかもしれない。
ゴルゴとキルリアの設定が逆だったような、この二人にもそんな事があるような気がした。

いつの間にか会場は満員になっていた。
いよいよオークションの開始だ。
今日の出品は、一億円以下で落札が予想される物ばかり。
まずは軽く肩慣らしといった感じで、皆気楽にオークションを楽しんでいるようだった。
このオークションのルールは、だいたい普通のルールと同じだ。
但し間違って入札額を言ってしまって取り消したなら、それよりも安い価格で決定した場合は差額を支払わなくてはならないというルールがある。
例えばAさんが百万円と言った後に、Bさんが百十万円と言いそれを取り消した場合、Aさんの百万円で決定すれば、Bさんは十万円出品者に支払う事になる訳だ。
差額が大きれば買ってしまった方が良い場合もあるけれど、刻んでいる時なんかは取り消しも作戦として使える。
落札額を釣り上げる為に参加している者も結構いて、それを含めて世界最高峰のオークションイベントとなっているんだね。
このやり方は、間違って超高額を言った時の取り消しをさせないものでもある。
高額入札は緊張感が高まるよ。
尤も持っていない金は払えないから、あらかじめ最初に参加金額を登録していて、それ以上は瞬時に無効とされるので払えなくなる心配はない。
俺たちは五十億を上限に登録している。
昨日インテリジェンスジュエルが売れたからね。
これだけあれば、そこそこは楽しむ事ができるだろう。
ちなみに俺たちもオークションには参加する。
参加しない人は入れず、一度は参加しないといけない事になっているから。
そんな訳で、とっとと何かに参加しておきたいな。
安いので一度参加しておけば、後はボディーガードに集中できる。
しかしなかなか俺の鑑定で割安な物は見つけられない。
買った所で使えない物ばかりで、どうせすぐに店で売る事になる。
売る予定なのだから当然利益は求めてしまうのだ。
コレも駄目だな。
今出されているのは壺だけれど、開始価格は二十万円。
しかし俺の鑑定だと十五万円となっている。
それを金持ちは競り合って、価格は二十九万円で落札されていた。
金持ちのゲームだよな。
出品側は笑いが止まらないだろう。
さて次は等身大の仏像か。
資料によると、かなり重いので銅が詰まっているみたいだ。
正直買っても持って帰るのにかなり苦労するだろう。
更に表情があまり良くなくて、開始価格は百万円となっている。
つまりほとんど素材の価格に近いって所だな。
俺は一応鑑定した。
すると価値は十億を超えていた。
えっ?なんだこれ?
俺の鑑定に間違いが?
いや違う。
多分この|坐像《ざぞう》には何かがあるんだ。
俺は入札札を掲げて声を上げた。
「百万!」
誰も買おうとしておらず入札不調で終わる所だったので、普通ならこのまま買えるだろう。
ただしルールで釣り上げがしやすくなっているので、もしかしたら誰かが参加してくるかもしれない。
そう思っていると、やはり声を上げる者がいた。
すぐ隣で。
「百十万だし!」
「えっ?」
見ると隣で恵美がニコニコとしていた。
俺に張り合おうっていうのだろうか?
「なんで?」
「勝負だし!昨日は負けたけど、私の力は本来オークションでこそなのだし」
なるほどね。
通りで会長ではなく恵美が入札フダを持っている訳だ。
「はい!三百二番、百十万が出ました!」
どう対抗しようか。
とりあえず普通に百二十万と言おうとしたけれど、恵美の能力によってそれができない。
オークションの事は忘れてなんとなく言えばと試してみたけれど、入札札を上げる動作と連動しているからかオークションをしているという事実からは逃れられない。
どうしたものか。
ドラゴンカウンターで能力を無効化する手はあるけれど、それで競り合った所で金を持っている恵美の方が有利な訳で。
負けてあげるのも良いけれど、あの仏像が十億の価値ってのは気になる。
どうしても手に入れたいな。
仕方ない。
あれを使うか。
俺は使い所がなくてずっと使わずにいた魔法を仏像に向けて発動した。
『|口吸《くちす》い!』
分かりやすく言うと『ディープキス』だな。
この魔法は、欲しい物に俺の唾(魂)を付ける為のものだ。
『唾を付ける』、つまり仏像を俺の物にしてしまう。
但し持ち主とのつながりが強い場合には使えない。
オークションに出していて売る事が確定していたり、自分の物だという思いがあまりなかったりすれば発動する。
もちろん誰の物でもない場合にも確実に発動するよ。
この魔法が発動すると、その物に意識を向けている全ての人は、その物を敬遠するようになる。
つまり‥‥。
「私、下りるし!あんなのいらないしー」
「承りました。では百万!他にいますか?いないようですので、三百三番が百万円で落札決定です」
よし!これで又も大儲けだ。
いやぁ~、万能賢者なら金儲けなんて楽勝だなぁ。
「アレ?私負けちゃったし!?十万円損したしー!」
「恵美の能力は凄いけど、俺は一応プロのデンジャーだから」
プロだからと言って、他のデンジャーがこれくらいやれるかは知らんけどw
「プロって凄いんだし‥‥」
そんな感じで一日目の目玉オークションは終わった。
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