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終戦、そして旅立ち

 門が開いてからは、一気に戦況が変わった。
 北の城壁門から入った第四の生徒たちは、学園長の指揮の元、城壁内の町中を駆け抜けて、東の城壁門の守備兵の背後を突いた。
 そして間もなく馬に乗ってやってきた、第三、第十の生徒達は、北の城壁門から入って、西の城壁門へと向かう。
 数では、敵の方がはるかに勝っているのだが、我々の内側からの奇襲に挟み撃ちにされ、統制がみだれ、敵兵の防衛ラインは一気に瓦解していた。
 私はそのまま更に上空へと昇り、城を中心とする全てを見渡した。
「勝ったな・・・」
 私はそう思った。
 敵は右往左往し、戦力となっている者も少ない。
 此処からの敵の対応は、全てを凌駕する力で状況を打開するか、それとも逃げ出す事か、どちらかしかないだろう。
 そう思った私は、北の城壁門を出たところへ、急降下した。
 そして異次元アクセスの魔法で、天界にアクセスして、魔力球を二つ取りだす。
 それを間隔を開けて埋めておいた。
 私は再び、クローバー型に乗って、上空へと昇った。
 私以外にも、上空にいる学生が何人かいた。
 皆勝利を確信しているのか、遊ぶように浮遊しながら、敵に魔法を放っていた。
 油断していたら足元すくわれるぞ。
 なんて思っていたら、案の定、城からの魔法にやられていた。
 いくら魔力があって、強力な魔法が使えても、戦いはそんなに甘くはない。
 それに敵の総大将は、まだ健在なのだから。
 城の最上階に、かなりの使い手の姿をとらえた。
 あれが、兆角か。
 聞くところによると、兆角も兆砲と同様、妖術を使うらしい。
 此処で姿が確認できたのは良かったな。
 何かあっても、千里眼で追跡できる可能性が高くなる。
 ただ、魔力量や戦況から見て、もう兆角には、なす術がないように見えた。
 間もなく、西の城壁門、そして東の城壁門と開けられていった。
 なだれ込む正規軍と学生たち。
 そして城壁の上へと階段を駆け上がる。
 まともに機能している敵は、南の城壁にいる者と、城の者だけだ。
 これなら、兆角を叩きに行っても大丈夫だろう。
 私は城へ向けて空を進んだ。
 すると横から、私を追い抜いて、城へ向かう者がいた。
 歌琥だった。
「強い敵と戦う為に、第四に来たんだ。兆角は俺の獲物だ」
 私はそういう歌琥の笑顔を見て、素直に
「よし、任せた。頼んだぜ親友!」
 と言っていた。
 不思議な気分だった。
 私たちが今、この大きな反乱軍討伐戦で、敵の総大将に一番近い位置にいる。
 中等部の頃、クラスメイトからバカにされていた私たちがだ。
 そして決して、倒せないとは思えないのだ。
 私でも歌琥でも、きっと倒せると思えるのだ。
 私は、自分で倒す事にこだわりはない。
 そもそも、戦いなんて得意ではないし、理屈ではやりたくないと思っている。
 だから、歌琥と兆角の戦いが、見てみたいと思った。
 歌琥は城を射程距離にとらえると、雷撃系魔法を放った。
 それは、今まで見た歌琥の魔法の中でも、かなり強力なものだった。
 兆角のいた辺りを直撃すると、大きな爆発が起こる。
 私は千里眼で、その位置を確認する。
 兆角の気配が、不自然に消えた。
 愁癒がもし横にいたら、きっと「妖術だな」とか言って、色々見解を述べるに違いない。
 その愁癒は、城壁の上を制圧し、そこから敵へ向けて攻撃をしている。
 愁癒にフィールドアドバンテージを与えたら、対応できる奴なんてそうはいない。
 それは、兆角にもう逃げ道は無いって事だ。
 さあ何処にいる兆角。
 私は千里眼を使って、全てを見渡す。
 そして間もなく、本体をとらえた。
「歌琥!兆角は、南の城壁門内側だ!南に逃げるつもりだ!」
 逃げ道が無いと思っていたが、唯一戦力がまだ残っていて、統制が取れているのが、南の城壁門だけだった。
 敵戦力の少ない場所ではなく、味方の中に逃げ込んだわけか。
 しかしそれは、理にかなっている。
 唯一、現状勝っているのが、南側だけなのだから。
 私は南へ向けて飛んだ。
 歌琥も向かいながら、魔力を高めていた。
 城壁内での地上への魔法は、町中であるため使いづらいが、敵の総大将を目前にしていては、そうも言ってはいられないか。
 きっと町の建物は、魔法耐性を付与されていると思うが、歌琥、やるのか?
 歌琥の今までで最高の魔法が、今、放たれた。
 歌琥の放った、電気を帯びた魔力の塊は、南の城壁門へ向かって飛んでゆく。
 それを止めようと、城壁の上にいる敵兵が、魔法の盾を展開する。
 いくつもの魔法の盾に阻まれながらも、歌琥の放った魔力の塊は、ことごとくそれらを突き破っていった。
 そしてとうとう、南の城壁門辺りに、着弾した。
 大きな爆発と共に、南の城壁門が破壊される。
 城壁門の内側は、魔法耐性加工はしていなかったようだ。
 それよりも兆角はどうなった。
 千里眼で見ると、門の前で倒れてはいるが、まだ健在のようだった。
 しかし直後、南側から攻撃をしていた、第二の生徒の一人が、兆角の首を斬り裂いていた。
 兆角の気配は、完全に消えた。
 終わったか・・・
 これは、実質歌琥の勝利だな。
 そう思って歌琥を見ると、目の前で今にも落ちてしまいそうな雰囲気だったので、クローバー型の上に乗せた。
「美味しいところは持っていかれたな」
「まあいいさ。俺もまだまだって事だろう」
 流石に二人乗ると、重量オーバーのようだ。
 私はカチューシャの魔力を使って、自らを浮遊させて、クローバー型の持ち手をつかんで、香那の待つ高台へと飛行を続けた。
 間もなく、反乱軍は全面降伏を宣言した。

 広宗城での戦いは、漢帝国が反乱軍を鎮圧したという事で、全てが収まった。
 地方に残る残党も、順次討伐され、大規模な活動はもう見られない。
 戦争に参加していた各学園も、元の学び舎に戻り、今では普通の授業が行われている。
 だけど、我が第四は、解体される事が決まっていた。
 残った生徒は、他の学園に受け入れてもらう事になっている。
 第四の活躍は、全学園が知るところで、生き残った百六十八名は引っ張りだこだった。
 私は、洛陽の第一に転校する事が決まっていた。
「凰印、またな」
 歌琥は、長安にある第八に行く事になっていた。
 歌琥とは同じ学園に行く事も考えたが、歌琥曰く
「もう俺がいなくても、今の凰印なら大丈夫だろう」
 という事だった。
 そうだったのか。
 歌琥は、私を守る為に、同じ学園に通ってくれていたのか。
 いや、それはきっと、歌琥の真意ではないな。
 強い敵と戦う為に、第四を選んだと言っていた。
 そしてそれは、達成された。
 力も全国に示せたと言って良いだろう。
 よって、ただ単に実家のある場所へ戻るって事だ。
「ああまた」
 親友との別れは、この一言だけで良いのだろう。
 どうせまた、会う事になるのだから。
 私は預かっていた衣装を差し出すと、歌琥はそれを無言で受け取り、笑顔をつくって去っていった。
「・・・凰印ちゃん・・・」
 兎琴は、少し泣いていた。
 許昌の第二に行く事になっていて、歌琥とはお別れだからだ。
「でも、愛の力があれば、きっと大丈夫だよ」
 この結果は、歌琥が逃げたのか、それとも別の意味があるのか。
 私には分からない。
 だけどきっとこの二人なら、いつかまた一緒になる気がする。
「私はこの学園に転校してきて、短い間だったが楽しかった」
 跳雲は、幽州の領主になった、高村産元学園長の元で、しばらく手伝いをするらしい。
 その後は、旅に出るとか。
 優等生は、まったく何を考えているのかわからない。
 でも、旅か・・・
 私も学園を卒業したら、全国を回ってみるのも面白そうだ。
 それに、人の住む地域だけではなく、その外、亜人種たちが住む場所も。
「私は跳雲が転校してきてくれて、凄く助かったという感じかな」
 本当にそうだ。
 跳雲が転校してこなければ、おそらく第四の死者は、もっと増えていただろう。
「何しけた顔してるんだ。別に死んだわけでもあるまいし」
 罵蝶は、いつもぶれないな。
 この強さは、尊敬に値するよ。
 父親が第五の学園長で、転校先はそこにするらしい。
 罵蝶も歌琥と同様、実戦を経験する為に、第四にきたからな。
「じゃあ罵蝶は、絶対しけた顔をしないわけだな」
 人間いずれは死ぬ事になるが、罵蝶なら笑顔で死んでいくような気がする。
「凰印さん、またね。ぐすん」
 孫感先輩は、この学園にきて、どれだけ泣いたのだろうか。
 こんなやさしい人、なかなかいないと思う。
 転校先は第六だったかな。
 あの龍美って人が生徒会長の学園か。
 他に二人、やたらと強い人がいた。
 一人は薙刀で、そしてもう一人は矛を振りまわし、罵蝶や跳雲でも負けるかもしれないと思わせるほど、無双していた武士。
 あの人達とも、少し話がしてみたかった。
「孫感先輩、私は先輩の事を、心の中では女神と呼んでいたんですよ」
 なんだか照れくさい台詞も、最後だから普通に言えた。
 孫感先輩は、笑顔を返してくれた。
 その笑顔は、最後まで女神だった。
「凰印さん、今回の戦いを見て、あなたが歴史を動かす人物であると確信しました。次会う時は、きっと戦場でしょう」
 祭縁の言う事は、相変わらず私の想像を超えている。
 私がそんな人物な訳がないじゃないか。
 今後はもう、戦闘力ではなく、別の事に力を入れるつもりだし。
「やめてくれよ。私はもう戦いはこりごりなんだから」
 そうは言っても、戦いの中にあるのは、恐怖だけではなかった。
 祭縁が行く事になっている第六には、大勢の強力な使い手がいた。
 あの人達を見て、私はなんだかワクワクしたのだ。
 いや、それでもやはり、戦争がしたいなんて、私は思いたくないな。
「凰印、また何処かで」
 流喜か。
 彼は正直、どういう人物で、どういう使い手なのか、結局何も分からなかったけれど、悪い奴ではない事は分かる。
 そして、父親が第九の学園長だって事くらいか。
 当然転校先は、第九って事だ。
「ああ。きっとまた何処かで」
 正直話もほとんどしていなかったので、最後も話す事がない。
 ちょっと気まずいかも。
「凰印、お前のおかげで、最後はなかなか楽しかったぞ」
 天射も確か、兎琴と同じく第二に行くんだったか。
 それにしても、これだけ強い奴が第四にいたとはね。
 罵蝶だけかと思っていたのに。
「天射がいてくれたから、最後の作戦は成功したんだと思うよ。ありがとう」
 もしかしたら、第四にもまだ、強い人がいたのかもしれないな。
 強さは魔力だけでは測れない。
 それを証明したのは、私自身だったはずなのに。
「凰印さん、ありがとうございました。よく分からないのですが、凰印さんと共に行動するようになって、体調が少し良くなってきた気がするのですよ」
 これだけの潜在魔力を持っていながら、その魔力を使えない核花。
 何だか凄く親近感が湧いてくる。
 同じ学園に転校したかったという気持ちもあるけれど、行くのは兎琴や天射と同じく、第二だそうだ。
 第二は、あの兆角の首をとった「|奏颯《そうそう》」とかいう人がいる学園。
 そう言えば、あの兆角は実は弟の|兆了《ちょうりょう》で、兆角は既に病死していたって話もあったな。
 確かに大将にしては、あっさりとやられ過ぎな気もするし。
 黄色いマスクをしていてよく分からなかったから、真意は闇の中だけれど。
「核花・・・じゃあ・・・」
 一緒に洛陽にくればいいよと言いそうになった。
 私の気まぐれで、人の人生を左右するわけにはいかないよな。
「じゃあまた、そのうち会いにいくよ」
 まあ、この辺りが妥当な返事だろう。
「何を良い雰囲気になっているだから!お前には五十万円早いだから!」
 莉句遜、五十万円って。
「相変わらず、莉句遜だな」
「なんじゃそりゃー!そんな事言っていると、教えてやらないだから!」
 教えてやらない?
 何か教えてくれるつもりだったのか。
 ならきっと、何を言っていても、莉句遜なら教えてくれるのだろう。
「何を教えてくれるの?」
「ふっ!聞いて驚くだから」
 莉句遜はそう言って、私の耳元に顔を寄せてきた。
「魔宝石の作り方・・・の・・・ヒント、だから」
 それはそれは、ありがたくご教授願いたいものだ。
「うん。ありがとう」
 私は先にお礼を言うと、莉句遜は少し赤くなって、話し始めた。
「マジックアイテムは、魔宝石によって命を授かった、生きたアイテムの事だから。だから壊れた魔法反射の盾は、蘇生する事が出来ただから。そして魔宝石は、生きた宝石の事だから。それが教えられる全てだから」
 なるほどねぇ。
 と言っても、全く何もわからない。
 マジックアイテムは、そこに有る命を付与してできるが、魔宝石は、命そのものをつくる行為って事かな。
 何にしてもそのあたりは、洛陽に行ってから、研究を続けよう。
「ありがとう莉句遜。君のおかげで、私の未来が少し、見えてきた気がするよ」
 私の未来。
 当面はアルケミストを目指してみようと思う。
 なんとなくだけど、一番自分に向いている気がするから。
「凰印、ありがとうね。第四に来て、正直つまらなかったのだけど、凰印と会えて、楽しく過ごせたよ」
 愁癒は、莉句遜と一緒に、建業の第三に行く事になっていた。
 どうやら、許嫁のような男がいるからだそうだ。
 ハッキリ愁癒がそう言ったわけではないけれど、私には分かってしまう。
 何故なら、私はきっと、愁癒が好きだから。
「こちらこそ。ありがとう。そして最後だから言わせてくれ。私はどうやら、愁癒の事が好きだ」
 私が第四に進学した理由は、青春を謳歌したかったからだ。
 その最後の日に告白しても意味は無いのかもしれない。
 だけど今、私はその目的をようやく達成できたようで、なんだか清々しい気分だ。
 愁癒の反応は、少し照れているようだけれど、私の気持ちにこたえる事が無いであろう事は、分かっている。
 でも告白は、好きになった方の最低限の権利だ。
 そして、それに答えを出す義務が、惚れられた人にはある。
 さあ、どう返事をくれるのだろうか。
 私は、楽しかった。
 何故なら、どういう答えが返ってきても、私たちの関係は、もうきっと変わらない。
 仲間という絆で、結ばれているはずだから。
 私がニコニコしながら返事を待っていたら、愁癒はいきなり顔を寄せてきた。
 そして気がついたら、キスされていた。
 いや、ちょっと待て。
 まさかその返事はないだろう。
 私が放心状態で立ちつくしていると、愁癒は
「じゃあね。またどこかで」
 と言って、建業に向かう馬車の方へと走っていった。
 私はその姿を見送りながら、キスの意味を勝手に理解した。
 これはきっと、いつかどこかで再開する為の、約束なのだろうと。
 しばらく呆けていると、となりで香那が、私の腕をクイクイと引っ張っていた。
 共に洛陽の第一に行くのは、私の知る人の中では香那だけだった。
「じゃあ行くか」
 私がそう言うと、香那は嬉しそうに
「うん。いくよ。未来に向かってゴーゴーだよ」
 と言って、私の腕を引っ張って、洛陽行きの馬車へと一歩踏み出した。
 そしてこの一歩はきっと、何かの始まりへの第一歩なのだと、私は期待に胸を膨らまさずにはいられなかった。
【<┃】 【┃┃】 【┃Ξ】
ドクダミ

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