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歌琥との出会い

 いよいよ、冀州は広宗へ、出発する日がやってきた。
 この二日間は、新しい盾の調整や、コントロールダガーとコントロールシールドを、カチューシャで操作できるように更新していた。
 正直カチューシャをつけるのは、男にとってはどうかと思うが、これだけの魔力を使えるのだから、恥ずかしさも何処かに忘れていた。
 新しい盾は、これまたハートの形をしていて可愛い感じだが、少し使いにくくて、どうやって合わせて使おうかと苦労した。
 まあ四葉のクローバーのように組み合わせれば、綺麗に一枚の盾になるようになっていて、莉句遜のセンスに関心したわけだが。
「どうだ?使いこなせそうか?」
 共に出発するべく、馬車へ向かって歩いていた莉句遜が尋ねてきた。
「最高だよ。莉句遜のおかげだ」
 私は自然と笑顔でこたえた。
「そっか」
 すると莉句遜も、少し照れた様子で、とても良い笑顔を返してくれた。
 さて、いよいよこれから出発するわけだが、移動は皆、荷馬車などに乗ったり、基本的には馬の力に頼る事になる。
 この世界には船も存在するが、それほど大きな船も無いし、数も足りない。
 それに目的地もやや内陸だし、馬車が中心になるのは必然だった。
 空を飛ぶ乗り物も実は存在したりするが、大勢で移動できるものはない。
 そんな物を作れる技術は、この世界には無いからね。
 一人乗りの乗り物が、少し存在するだけだった。
 それを沢山作れば、大勢で移動する事も可能だとは思うが、いくつかの理由で、そういう考えにはなかなか至らない。
 第一に、沢山の乗り物を作るのに、どれだけの魔宝石が必要になるか考えると、コストがかかりすぎる事。
 第二に、空を飛ぶ魔法が存在する事だ。
 おそらく後者の方が、空飛ぶ乗り物があまり作られてはいない、主な要因だと思う。
 人間は楽をしたがるからね。
 そんな物を、大金を使って必死につくるより、空を飛ぶ努力をした方が楽ってわけだ。
 とはいえ、空を飛ぶ魔法をマスターするのも、そんなに楽ではないけどね。
 結局のところ、空を飛べる人ってのは、極稀だから。
 歌琥は風の精霊魔術師だから、もしかしたら飛べるかもしれないと私は考えているが。
 一応説明しておくと、空を飛ぶ魔法には、一般的に知られているものが二つある。
 風の精霊魔術による「飛翔」と、黒魔術による「浮遊」と「推進」だ。
 まず飛翔は、風を操り己の体を自由にする事で空を飛べる。
 風を操れる繊細さと、それなりの魔力が必要とされる。
 浮遊は自分の体を空中に浮かせる魔法で、それに推進の魔法を合わせて、飛ぶ事ができるようになる。
 二つの魔法を同時に使う為、こちらはかなり難しく、当然戦闘に使用するには、無理がある魔法と言えるだろう。
 浮遊の魔法は、高いところから飛び降りる時などに使うってのが一般的だ。
 普通の人は、複数の魔法を同時に使うのは困難で、三つ以上の魔法を同時に使える人は、少なかった。
 だから空を飛びたい人は、風の精霊魔術を覚えて、マスタークラスを目指す。
 ちなみに私の持つコントロールシールド達も、重さに耐えられるだけの魔力があれば、空飛ぶ乗り物として機能するだろう。
 これは、浮遊と推進の魔法を、アイテムに付与しているもので、原理としては黒魔術であった。
 まあこの原理で、空を飛ぶ乗り物は、極僅かにつくられているわけだが、大量に人を運ぶには、やはり馬の力に頼るしかないって事だ。
 そういうわけでまもなく、私は馬車に乗って広宗を目指していた。
 罵蝶や跳雲など、武力に自信の有る者は単騎馬に乗っている。
 後は馬車と荷馬車に乗っているが、快適な馬車には、成績優秀者が優先して乗る事ができた。
 私は魔力が少なく、今まで劣等生として扱われてきていたが、戦争での活躍を認められ、今では成績優秀者の仲間入りだ。
 魔力だけが全てではない事を証明できたようで、なんだか嬉しかった。
 その快適な馬車には、|御者《ぎょしゃ》をする生徒が二人と、車両には私を含めて四人乗っていた。
 その四人とは、私と歌琥と、愁癒に莉句遜だった。
「凰印、さっきから気になっていたんだが、その頭についているのはなんだ?」
 今日会った時から、歌琥がカチューシャを気にしている事は分かっていた。
 いや、歌琥だけではない。
 愁癒も、そして私を知る他のみんなも、私の頭についているものを、好奇の目で見ている事に、私は気がついていた。
 とは言え、先日の事は、莉句遜から口止めされている。
 なんとこたえていいやら、私は少し苦笑いした。
 すると、何を血迷ったのか莉句遜が
「私が作って上げたのだから」
 と、何やら勝ちを誇ったように言っていた。
「あれ?内緒じゃなかったのか?」
 私がそう言うと、莉句遜は驚いて自分の口をおさえ
「今のは嘘だから。決して莉句遜はアルケミストではないだから」
 と、自分で全てを暴露していた。
 歌琥は「ほぉ~」と少し感心していたが、愁癒は少し|眉間《みけん》を指で押さえ、やれやれといった感じで、莉句遜を見ていた。
 それでも、この二人になら、知られてもきっと問題はないだろう。
 ペラペラと人に喋る人達でもないし、莉句遜に魔宝石を要求するとも思えないから。
 でも莉句遜が、自分がアルケミストである事を内緒にしておきたい気持ちは分かる。
 こんな能力を持っていると分かれば、いろんな人が莉句遜の元に集まってくるだろう。
 その中にはきっと、莉句遜を利用して金儲けを目論む者もいるだろうし、魔宝石目当てで友達づらをする人も出てくる。
 私が歌琥や愁癒と仲良くできるのは、私みたいな劣等生でも、関係無く接してくれて、そのうえで良いところは認めてくれるからだ。
 何か利益を目的に近寄ってこられていたら、きっと友達にはなれない。
「ま、そういう事だから、追及はしないでやってくれ」
 私は、向かいに座る歌琥と愁癒にそう言った。
 別に言う必要もないと思うが、何故だか私はそう言っていた。
 横に座る莉句遜は「むきー!」とか言いながら、私の腕をポカポカ叩いていた。
 そんな様子を見て、歌琥は少し驚いているようだった。
「凰印って、実は子供と仲良くなるのが早いのな」
 歌琥の、歯に衣着せぬ「子供」という暴言に、莉句遜は
「子供ってゆうな!」
 と、私の腕を叩く力を強めていた。
 私は「やっぱりこれはNGワードだったか」と体を震わせた。
 それにしても歌琥は、キャラで得しているよなぁ。
 結構言う奴なのに、歌琥だと許されるというか、今回も代わりに私が叩かれているし。
 でも、出会った時はまだ、そうではなかったか。
 ・・・
 中等部に上がった頃、私には友達と言える者は、誰一人いなかった。
 魔力がほとんどなく、中等部の魔法授業には全くついて行けていなかったからか、私に話しかけてくる者などいなかった。
 そんなある日の授業で、魔法の矢を三本同時に発射し、それぞれ別の的に当てるという課題がだされていた。
 魔法の矢は、絶対に命中すると言われている魔法だから、当然的を外す奴なんておらず、みんな的を豪快に貫いていた。
 そんな中、私の順番がきた。
 だけど私は、みんなが放つような魔法の矢を放てるだけの魔力がない。
 だから放つ魔法の矢をとにかく小さくして魔力を確保し、的に当てるだけではなく、ど真ん中を貫いて、みんなを驚かせてやろうと思った。
 私は見事に、的のど真ん中を撃ち抜いていた。
 だけど、誰も私が魔法を放った事に気が付いていなかった。
 間もなくクラスメイトからは笑いが溢れ、私は頭をかきながら苦笑いしていた。
「魔法の矢も撃てないのかよ」
 みんな私をバカにしていた。
 そんな時だった。
 先生も気がつかなかった私の魔法に、一人だけ気がついていた者がいた。
 歌琥だった。
「凰印凄いな。的に当てるだけじゃなくて、全部ど真ん中かよ」
 私の魔法に気がついただけではなく、その結果も認めてくれていた。
 だけどこの時歌琥はまだ、魔力も成長途上で、優等生と認識されてはいなかった。
 当然クラスメイトからは、バカにする言葉がぶつけられていた。
 それでも歌琥は、皆に責められながらも、表情には余裕の笑みがあった。
 それから私は、なんとなく歌琥の事が気になり始めた。
 歌琥はいつも一人で、ただ黙々と毎日の課題をこなす。
 成績は平均点なのだが、何故か歌琥のやる事には、私を引きつけるものがあった。
 一週間後、再び魔法の矢の課題をする時がやってきた。
 先週できなかったと判断されたのは私だけで、再びやるのも当然私だけのはずだった。
 だけど歌琥がいきなり
「俺にももう一度やらせてください」
 と言って、私より先に前に出て、魔力を高め始めた。
 歌琥の魔力の流れは、そよ風のように優しく滑らかで美しかった。
 歌琥の放った魔法の矢は、全て的には当たっていたが、全て的の隅をかすめるように命中していた。
「おいおい、歌琥の魔法の矢はひねくれてるぞ。使いものにならねぇな」
 それを見て何人かはバカにしていたが、私には、そいつらが言うようには思えなかった。
 歌琥が、わざと的を外そうとしていたように思えたから。
 魔法の矢は絶対に命中する魔法で、頭に浮かべた対象に必ず当たる。
 とは言っても、それは狙い撃てるものではなく、小さな対象などには、放つ事もできなくなる魔法だ。
「的を撃つ」と思って撃てば、大きな的には必ず当たるが「的の真ん中を撃つ」と思って撃てば、魔法の矢自体放つ事が不可能になる。
 その感覚を説明するのは難しいが、とにかくそういう物だと理解してほしい。
 魔法の矢は、外的要因が無い限り、放たれれば必ず命中するものなのだ。
 それを放ったにも関わらず、的からはずれそうだった。
 それは私からみれば、歌琥の能力の高さに他ならないと感じた。
「凄いな」
 私の独り言に、歌琥は少し白い歯を見せていた。
 次に私の順番がやってきた。
 私は先週の失敗を反省し、魔宝石を使わせてもらう許可をとっていた。
 その分成績は評価されないが、これ以上こんな事を続けるもの面倒だったから。
 私は先週と同じように、全てど真ん中を撃ち抜いていた。
 だけどやっぱり、生徒たちは私の魔法には気がつかなった。
 又笑われるのかと思っていたら、先生が驚いたように的の方に走って行った。
 そして近くで的を確認し、その全ての的に小さな穴が空いているのを見つけていた。
「全部ど真ん中に命中しているそ。もしかして、先週もそうだったのか?」
 先生がそう言うと、生徒はざわつき始めた。
 これでみんな、私を認めてくれるのか。
 私は期待していたが、結局生徒たちが発した言葉は、私をバカにするものだった。
「そんな威力じゃど真ん中に当てても、魔法耐性を持つ人には全く通用しないじゃん」
「そうそう、結局戦いではなんの役にもたたないし」
「それはそうだが、彼も彼なりに頑張っているんだから。確かにお前たちの言う通りだが」
 先生のフォローも、どうやらバカがバカなりに頑張った程度の評価か。
 結局魔力を持たないものは、何をやっても認められないって事だ。
 私がそう思って俯いた時、歌琥が叫んだ。
「お前たちバカか!?凰印がやった事の凄さもわからないのか?だいたいこんな課題で調子に乗って、こんなものは小等部でもできる事だろうが!」
 確かに歌琥の言う通り、小等部でもできる奴がほとんどだろう。
「それができたくらいで調子にのって。できて当然なんだから、それ以上を目指すつもりはないのかよ。凰印なんてな、的に魔法の矢を放つだけでなく、魔法の矢を小さく針のようにして、的の真ん中に命中させているんだぞ?誰にこんな事ができるよ?俺はできないね。だけど俺は負けたくないから、全部的から外してやろうと思ったよ。まあ無理だったが、的に当たっただけで満足しているお前らよりは、ずっとマシだと思っているよ」
 普段|寡黙《かもく》な歌琥が、いきなりこれだけの事を言った事に私は驚いたが、それ以上に、クラスメイト達は驚いて唖然としていた。
 私は涙がでていた。
 私をこんなにも認めてくれる人が、初めて現れたのだから。
 そしてこんなにも真剣に、私をかばってくれているのだから。
 あの日からだったか、歌琥が何を言っても、それに逆らえる奴はいなくなっていた。
 歌琥の評価は一気に上がっていた。
 私の評価も多少はマシになったが、大っぴらにバカにはされなくなったくらいで、本心から認められるには至らなかった。
 だけどそんな私が、第四に合格した時には、みんなの見る目が一気に変わって面白かったかな。
 それで少し、私は自分の能力に自信が持てるようになった。
 まあ、戦力としての自信は、つい最近まで得る事ができなかったのだけれどね。
「凰印、何を笑っている?」
 愁癒が目の前で、キョトンとした顔をしていた。
 どうやら私は、ニヤニヤしながら昔の事を思い出していたようだ。
「いや、歌琥と出会った頃を少し思い出していたんだ」
 私がそうこたえると、莉句遜が嫌な事を言ってきた。
「昔を思い出すのは年寄りだから。もしくは死期が近いか?どちらにしても凰印に未来はないだから」
 莉句遜はそう言って笑っていた。
「莉句遜、冗談でもそういう事は言うものではないぞ」
 愁癒は少しだけ語気を強くして、莉句遜を小突いていた。
 莉句遜はシュンとなって
「お姉さま、ゴメンなさいだから」
 と、上目づかいで許しを請うていた。
 そのやり取りを見て、私は違和感を覚えた。
 それを歌琥が代弁してくれた。
「愁癒と莉句遜って、知り合いなのか?」
 そうなんだ。
 今日初めて会う間柄かと思っていたのに、全くそんな感じがしなかったから、不思議だったのだ。
「まあな。莉句遜とは同じ中等部だったんだ」
 愁癒の言葉に、私は納得した。
 類は友を呼ぶと言うが、天才は天才を呼ぶのかもしれない。
 だとすると、私は何故このメンバーの中にいるのだろうか。
 もしも私も同類だと言うのならば、それはこの上なく嬉しい事だ。
 こんなにも凄いメンバーの中にいるのだから。
 そんな事を考えていた私だったが、先ほどの莉句遜の言葉に何かが引っかかっていた。
 そう、莉句遜が愁癒の事を「お姉さま」と呼んだ気がする。
 これってどういう意味だろうか。
 私は尋ねていいものか少し迷ったが、疑問が解消されないのは気持ちが悪いものだ。
 私は意を決して聞いてみた。
「ところでさ、お姉さまって言ったように聞こえたけど、どういう意味?」
 女性が女性を好きな場合そう呼んだりするらしいが、そうでない事を私は祈った。
「言葉の通りだから」
 莉句遜は「何を言っているのだこのアホは?」みたいな顔をして私を見ていたが、向かいに座る愁癒は、再び眉間に手を当てていた。
「姉妹だったの?でも姓が違うようだね。それに全然似てないから、双子って言うには無理がありそうだし・・・」
 私は自分でそう言っていて、やはり世間で噂の百合関係ではなのかと、少しドキドキしてきた。
 しかしそんな期待?も、あっさりと否定された。
「いや、莉句遜は私の妹分でさ・・・」
 愁癒は此処まで言うと、私の方に顔を近づけてきて、耳元で
「実は莉句遜はまだ、中等部二年なんだ。第四は、試験にさえ合格すれば入れるからな」
 私は愁癒の言葉に、まずは驚きよりも、納得する気持ちの方が大きかった。
 何故ならそれは、見た目も言動も、やはり高等部の生徒には思えなかったから。
 そして間もなく、驚きの気持ちがわき上がってきた。
 中等部二年で、この莉句遜の能力は凄すぎると。
 女性は男性よりも多少成長が早い。
 だから高等学校の入試に受かる事も可能かもしれない。
 だけど学園二位の魔力って、常識ではあり得ない。
 これはおそらく、呪いではないだろうか。
 体と精神の成長分を、魔力に取られたに違いない。
 そうでもない限り、この莉句遜のバランスの悪さは理解できない。
 気がつくと私は、莉句遜の顔をじっと見つめて
「よしよし、お兄ちゃんがいつか、呪いをといてやるからな。元気だせよ」
 と言いながら、小さな頭をなでていた。
 すると莉句遜は、一瞬嬉しそうな顔をして、なでられるがままになっていたが、いきなりハッとした表情をして、私の腕を掴んでどけていた。
「私は子供じゃないだから。それに呪いってなんだ!別に呪われてないだから」
 少しすねたようなそぶりを見せたが、特に怒っているようではなかった。
「一応、これは内緒だからな」
 愁癒は私と、それに歌琥にも視線を送ってそう言ったが、歌琥は特に興味がないといった感じで二回頷いていた。
 私もまあ、だからと言って何かが変わるわけでもなく、むしろ莉句遜に会えた事は、私にとっては幸運だったと思うし、誰かに喋るつもりも元々ないので、了解を伝える為に頷いた。
 その後は愁癒に、私が先ほど思い出していた、歌琥と出会った頃の話を聞かせて欲しいと言われ、思い出していた事を話した。
 こうして、兆角討伐の出発当日は、グループの連携などについて話す事もなく、それぞれの事を話したり、思い出話に花を咲かせて一日を終えた。
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