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第五十一話 クリスマスと誕生日

12月25日クリスマス。
本当は25日こそ本番なのだけど、イヴの方が重視されるのは何故だろう。
しかし我がゲーム部は、25日こそ盛り上がる日となった。
クリスマスパーティーをするのは当然として。
 達也「今日、舞先生の誕生日だよね」
 きらら「あ、チリチリも誕生日だよね」
そんなわけで、急遽、誕生日&クリスマスパーティーの開催とあいなりました。
俺はきららと、ケーキとかパーティーグッズとか、街まで買いにでていた。
 達也「ケーキ買ったし、クラッカー買ったし、これもそれもどれも買ったし」
 きらら「どれって何?」
うんうん。
俺の教育の成果で、きららも少しはツッコミをいれられるようになったようだ。
 達也「そうだ!あれ買ってないや!」
 きらら「だからどれって何?」
 達也「だからプレゼントだよ」
そうなのだ。
舞とチリちゃんへのプレゼントを買うのを忘れていた。
 きらら「えー!ひとりだけ買うつもりー!」
 達也「え?きららも何かあげるんでしょ?」
もしかして、プレゼント上げないつもりだったのか?
 きらら「当然だよ」
当然だよな。
だったらさっき、「えー!」とか言ったのは何故?
まあ深く考えてもわからないだろうから、とにかく俺はプレゼントを買う事にした。
 達也「この辺りで選ぼうと思うんだけど、きららはどれが良いと思う?」
俺はファンシーグッズが並んでる一角で足を止める。
 きらら「あー!私これほしい!」
 達也「いやいや、チミのではないのだよ。きららくん」
なんだろうか。
今日のきららは少しいつもより子供っぽく見える。
やはりクリスマスだからはしゃいでいるのだろうか。
 きらら「私にもこれ買ってよぉ~」
今度はチリちゃんの真似してるし。
しかもそんな真似されると、買ってあげたくなるじゃないか。
 達也「みんなには内緒だからな」
俺はきららがもっていた、あまり可愛くない熊の絵が描かれているシャーペンを取り上げた。
 きらら「買ってくれるの?やっぱりチリチリの真似が良かったのかな?」
なんだか意味ありげな視線を向けてくる。
 達也「何が?」
言いたいことはわかるけど、俺はしらばっくれる。
 きらら「だって今朝、チリチリが達也の事、お兄ちゃんって呼んでたよ?大阪では同じ部屋に泊まったんでしょ?何かあったのかなぁ~って」
まあ、何もなかったわけではないけど、何かあったわけでもない。
 達也「朝話したとおりだよ。朝までいろいろ喋って、妹みたいだっていったら、それからお兄ちゃんって呼ぶようになった。それだけ」
ぶっちゃけそういう事だ。
嘘は言ってないよな?
 きらら「いろいろってなあにぃ~?」
男と女の間であった事は、あまり話すもんじゃないからな。
この辺で勘弁してよ。
 達也「いろいろは色々だ。ゲーム部の話だったり、中学時代の話だったり」
俺は恋愛関係の事を人に話すのが嫌いだ。
話している人を見るのもあまり好きではない。
お互いを信用しあって好きになるわけだから、他の人に話したり、悩みを聞いてもらうのはおかしいと思うんだけど。
どうだろう?
 きらら「中学の?達也・・・は、記憶無いから、チリチリの中学時代かな?」
そういえば、チリちゃんの中学時代なら、おそらく俺よりきららの方が知っているんだろうな。
 達也「ああ、ゲーム部に入ってたとかそんな話」
はやくこの話題終わらないかなぁ~
俺はファンシーグッズのカチューシャとイヤリングを手に取った。
 きらら「そういえば、チリチリ入学した時やたらと暗かったから、私とうららがゲーム部に入るように進めたんだよね」
えっ?
 達也「そうなんだ・・・あっ!すみません。プレゼント用でお願いします」
レジに商品を出しながら、俺はきららの話が気になった。
 きらら「うん。義経先生が顧問だったし、チリチリゲーム好きだから、もしかしたら元気になるかなって」
 レジの人「お待たせしました。1800円になります」
 達也「あっ!はい」
俺は慌ててレジの人に2000円を渡す。
 達也「義経先生が顧問だったから?」
あの頃は既に高鳥姉妹と仲良くなっていたけど、俺はそこまで信頼されるような先生では無かったと思う。
何故なら、今ほどこの子達の事を知らなかったんだから。
 きらら「うん。義経先生って、ああいった子に凄く優しい先生だったから」
 レジの人「200円お返しです。こちら商品です」
俺はお釣りと商品を受け取り、きららと一緒に歩き出す。
 達也「ああいう子?」
 きらら「うん。家庭に問題があったり、辛い悩みを抱えていたり、それで沈んでる子?私達もそうだったからわかるんだよ」
ああ、そういう事か。
きららとうららに出会った頃、この2人も元気が無かったな。
確か、親が別居中だとかで、きららは父と、うららは母と暮らしていたとか言っていた。
あっ!だから、中身がこれだけ違うんだな。
 達也「きららも、義経先生に助けられたと?」
 きらら「うん。直ぐに私達の問題は解決したから、言うほどじゃないけどね。ほんの数ヶ月。でもうららは凄く助けられたみたいだよ。私より色々考えちゃう子だから」
そっか。
自分では自覚していなかったけど、俺はそういう子を放っておけないたちだったのか。
そう言えば、俺が今まで付き合ってきた子とか、好きになる子って、そんな子が多かったような気がする。
 達也「助けられたって、具体的にどんな事してくれたの?」
でも、俺は何かした覚えがない。
いったいどんな事で助けられたのか。
 きらら「一緒にいて、笑ってくれるだけで、結構救われたりするんだよ」
きららが、俺を見て、満面の笑みを浮かべた。
ドキッとした。
確かに笑顔は良いな。
俺は納得した。
 きらら「でも、義経先生が亡くなって、またチリチリは元気が無くなって、どうしようかと思っちゃった。達也がいて良かったよ」
この話はチリちゃんから聞いている。
しかし、俺の知らないところで、色々な知らない気持ちが動いているんだな。
普段は自分の気持ちを中心に全てを考えているけど、この世には沢山の人がいて、そして皆それぞれに想いをもっている。
そんな当たり前の事だけど、それを意識するかしないか、そこには大きな差があるような気がした。

学校に戻ると、俺はさきほど買ったシャーペンだけを袋から取り出した。
 達也「ああ、これ先に上げるよ。きららにだけクリスマスプレゼント上げたら、みんなに責められそうだし」
 きらら「わー!ホントにくれるんだ!ありがとー!」
シャーペンを受け取ったきららは、とにかく嬉しそうだった。
こんな熊の何処がいいのだろうか?
ムスッとした熊の絵。
世間ではムスクマとか言われて、結構人気があるらしいけど。
 きらら「じゃあ、私は一旦部屋に戻るから、達也は荷物を部室まで宜しくね」
きららはそういって、もっている荷物を俺に押しつける。
 達也「部室までもってってくれてもいいじゃん」
大した荷物でもないけど、一応文句を言う。
なんとなく、こんな時は言うものでしょ?
 きらら「あとでねー!」
聞いちゃいねぇ。
でもまあいいか。
俺はなんとなく嬉しい気持ちで部室へ向かった。
部室には料理なんかがすでに並べられ、舞ときらら以外の部員が集まっていた。
 うらら「おかえり」
 知里「お兄ちゃんおかえりだよぉ~」
 まこと「なんでお兄ちゃんなの?」
 美鈴「1歳年上だからじゃない?」
 夢「変!」
皆それぞれの挨拶で、俺を迎え入れてくれた。
のか?
俺はケーキをテーブルの中心に置く。
そして少しの飾りを壁に貼り付けた。
別に何も無くても良いんだけど、まあなんとなく飾りたいよね?
13時を過ぎた頃、きららと舞もそろって、俺達のパーティーは始まった。
 達也「えー・・・舞先生とチリちゃん、誕生日おめでとう!!そしてメリクリ?」
最近あまり言わなくなったメリクリを使ってしまった。
でも誰も気にはしていないようだ。
 一同「誕生日おめでとー!そしてメリークリスマス!」
みなジュースをのみぃ~の、料理たべぇ~の、歌いぃ~の、はしゃぎぃ~の、とにかく楽しんだ。
皆が騒ぎ疲れた頃、俺は買ってきたプレゼントを取り出す。
皆各々プレゼントをあげていたみたいで、どうやら俺が最後のようだ。
俺はまずチリちゃんに近づく。
そしてちょっと悪戯。
 達也「わっ!」
俺は後ろから驚かした。
 夢「うわわわあ!」
反応が無い?
むしろ向かいに座っていた夢ちゃんの方がビックリしているみたいだ。
俺はチリちゃんの顔をのぞき込む。
ん?
 知里「わぁ~ビックリしたよぉ~」
・・・
反応おそ!
恐竜ですかあんたは!
 達也「ごめんごめん。つい悪戯心がね。暴走しちゃったよ」
 知里「暴走しちゃったんだぁ~。だったら仕方ないよねぇ~」
仕方ないのか?
向かいの夢ちゃんがため息をついていた。
知里ちゃんの親友としては、知里ちゃんの将来が心配なのだろう。
俺もだよ。
夢ちゃん。
 達也「これ、誕生日プレゼント」
俺は買ってきたカチューシャをプレゼントした。
偶にチリちゃんがカチューシャをつけているのを見て、似合うと思っていたから。
チリちゃんは早速、リボンをほどきカチューシャを取り出す。
 知里「うわぁ~ムスクマさんだぁ~!かわいい~!ありがとうお兄ちゃん」
やっぱりその熊で喜ぶのね?
可愛いと思う感覚は、俺には一生わからない感覚なんだろうな。
なんとなく確信していた。
 夢「ねぇ」
夢ちゃんが、俺の袖をつまんで引っ張ってきた。
私にもくれと言っている。
目が間違いなくそう言っている。
 達也「夢ちゃんの誕生日は何時?」
くれと言われる前に、俺は誕生日を聞いた。
 夢「明日?」
・・・
嘘だな。
疑問系だったし。
 達也「本当は?」
 夢「うー」
唸ってる。
これはきっとかなり先なのだろう。
 達也「その時、気が向いたらね」
俺はそう言って2人から離れた。
後ろからは、唸り声と、ありがとうの声が聞こえた。
俺は美鈴とまこちゃんと話してる舞に近づいた。
俺はプレゼントを取り出して、舞に差し出す。
 達也「あー舞せんせ、誕生日おめでとう」
正直照れる。
今この場で、他の誰にあげるにしても照れたりはしない気がする。
先生にあげるからだろうか。
それとも実の妹だからだろうか。
とにかく照れた。
 舞「あっ!ありがと」
なんとなく舞も照れているようだ。
 舞「あけるね」
そう断ってから、舞はプレゼント袋をあけた。
中から出てきたのは、ムスクマのイヤリング。
舞はピアスはしないから。
 舞「・・・」
ん?
舞がなんか止まってるな。
あっ!
俺は気がついた。
舞は妹だから、どうしても子供扱いしてしまうわけで。
プレゼントも子供向けなわけで。
流石にムスクマイヤリングなんて恥ずかしい歳だ。
それでも舞は嬉しそうに、耳に付けてくれた。
いや、かなり無理してるのが見えるけど。
 舞「あっ、ありがとうね」
来年はもう少し考えようと思った。
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