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2022年2月16日【水】14時07分52秒
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2022年1月16日【日】18時18分34秒
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2021年12月27日【月】08時34分33秒
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2020年5月14日【木】16時24分38秒
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2017年2月25日【土】11時13分21秒
【(゚∀゚)】フリー写真館を狛犬画像室にリニューアルしました♪
2013年11月4日【月】19時44分48秒
【(*´∇`*)】川柳と短歌を始めました。
2013年11月4日【月】19時43分21秒
【(*´ω`*)】現在エッセイ&詩以外の更新は休止しています。
2013年1月7日【月】18時48分51秒
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本物の舞台

カエとメグミを救出する為にやってきたこの場所で見たのは、山瀬さんと吉沢さんだった。
俺は驚いた。
まさか、どうしてこの二人がこの場所にいるのか、意味が分からなかった。
唖然としている俺に、山瀬さんが説明してくれた。
「すみませんね。高橋さん。あ、西口さんと言った方がいいですか。」
山瀬さんはいつもの笑顔だった。
「いったい・・・」
俺はまだ意味がわからなかった。
いや、分かりたくなかった。
「最初から、私たちはあなたを監視していたのですよ。」
山瀬さんの言葉に、俺は納得せざるを得なかった。
ああ、そうなのか。
どおりで、変だと思ったんだ。
どうして俺みたいな人間に、ヤクザが突然仕事を依頼してくるのか。
どうしてマフィアの捜索をする事になったのか。
どう考えても変じゃないか。
ただ害虫退治をしていただけの万屋に、こんな仕事がくるなんて。
「そういう事です。あなたの事は全て、筒抜けだったのですよ。」
山田が嫌らしい笑顔で俺を見ていた。
やられた。
どうして俺は、山瀬さんを信じたのだろう。
どうしてヤクザにも良い人がいるなんて思ったのだろう。
全てを疑う事が、俺の座右の銘ではなかったのか。
俺は山瀬さんをにらんだ。
山瀬さんは、いつもの笑顔だった。
悪い事をしたなんて、微塵も感じないのか。
山田は、相変わらず嫌な顔をしている。
こいつは悪魔か何かだろうか。
吉沢さんは・・・
なんだろうか。
悪い事をしたとでも思っているのか。
少し下を見て、俺と目を合わさないようにしているように見えた。
「で、今日君を呼んだのは、アレを渡してもらおうと思ってね。」
突然話しかけられたが、山田の言っている意味が分からなかった。
「あれとは?」
感情そのままの意味で聞き返したが、山田は俺が隠していると思ったようだった。
「隠すとこの二人が死ぬ事になるぞ。鈴木が、お前に渡したと言っていたからな。」
そう言われても、俺はそんなに山田が欲しがる物を、鈴木から渡された覚えがない。
山田が顎を少し動かすと、山瀬さんと吉沢さんが、拳銃をメグミとカエに突きつけた。
「ちょっと待ってくれ。ちゃんと説明してくれないか。」
俺は慌てて説明を求めた。
「あれだよあれ。人を自由に操る事ができるウィルスの入った、ペン型の注射器、預かってるんだろ?」
「えっ?」
俺は、色々な意味で驚いた。
と同時に、おかしくなってきた。
そうか、あのペン型注射器は、そういう物だったのか。
それで山田は、俺を監視するなかでその存在を知り、個人的野望で、それを手に入れようとしているわけか。
鈴木を殺したのは、人々が鈴木に従属する前に殺さないと、これが効かなくなるもんな。
それにしても、鈴木は面白いものを残してくれたものだ。
流石に俺の親友だ。
「ああ、持ってきている。」
俺はそれをポケットから出して、目の前に突き出した。
山田は山瀬さんに、コレを取りにくるように顎で指示した。
「まずは人質を解放してくれ。」
山瀬さんが一歩踏み出したところで、俺はドラマでありがちな台詞を言った。
なんだか面白かった。
演技じゃなく、本気で言う時ってのは、こんな気持ちだったのだなと感動していた。
「駄目だ。それを確認してからだ。」
山田のセリフも、セオリーどおりで笑えた。
「しかたねぇなぁ。ほらよっ!」
俺はそのペン型注射器を、山田の方へと投げた。
山田は慌てて、それを取ろうとした。
落としそうになりながらも、なんとかつかみ取った。
「何をする!大切なものを。これで世界を変えられるかもしれないのだぞ。」
山田は本気で怒っていた。
それにしても、山田もまた、この世界を変えたい人の一人なのだな。
みんな今が良くないと思っていながら、結局何も変わらなかったということか。
それは一体どういう事なのだろうと思った。
「おい!これ、既に中身がないぞ!」
そらそうだ。
それは昨日、俺が使用したからな。
「悪いが、それは俺が使わせてもらった。全ての人は、俺の指示に従うように、今世界は変わったのだ。」
俺は遊んでいた。
追い詰められたギリギリの場所で、俺は俳優としての大一番を演じていた。
後は、後は俺の勘が間違っていない事を祈るだけだ。
「なんだと。山瀬、吉沢、あいつを殺ってしまえ!」
山田の指示に、二人はこちらに銃を向けた。
「違うだろ!俺の指示にしたがえ!お前ら、山田を殺れ!」
俺は二人に命令した。
そう、俺は全ての人の上に立つ王なのだ。
独裁者なのだ。
俺の支持は絶対なのだ。
すると二人は、銃を山田に向けた。
「すみません。彼の命令にはさからえません。」
山瀬さんが言った。
「そうやな。わしも体が勝手にうごくんじゃ。」
吉沢さんの演技は下手だった。
たとえこれが本当に、あのウィルスのような分泌液を感染させる注射だったとしても、1日でその効果はでない。
それは、実際鈴木が試して分かっている。
そしてそれ以前に、コレがそんなものである保証はない。
というか、可能性は限りなく低いだろう。
鈴木ならそういう事をする可能性も無いとは言えないが、鈴木は俺に、「栄養剤みたいなものだ。」と言ってこれを渡したのだ。
奴が俺に、こんな嘘をつくだろうか。
「みたいな物」ってのにはひっかかるが、99%栄養剤だ。
そして、山瀬さんと吉沢さん、この二人は、俺は信用できる人だと思った。
さっきは少し、自信を無くして疑っていたが、吉沢さんは、隠しきれない人だ。
麻雀でも、すぐに顔に出る人なんだ。
俺と視線を合わせない時点で、これは何かあるとわかる。
おそらく、言う事をきかないと家族が死ぬ事になるとか、脅されてやっているに違いない。
だから俺は、人を操作できるフリをして、二人に動いてもらったわけだ。
決着がついたかな。
俺は少し安心した。
だが、まだ全て終わってはいなかった。
「くそー!」
山田が叫んで、銃をメグミに向けた。
銃声が4発、同時に鳴り響いた。
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