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ライバル一進一退

大会4日目は、人気のドリームダストが出てくる。
そして今日は日曜日。
いやが上にも盛り上がる。
1位通過のドリームダストが、初戦から登場した。
相手は大人の男女。
見た目恋人か夫婦っぽいから、コンビネーションは良さそうだ。
しかし、ドリームダストの敵ではなかった。
開始30秒程度で、ものの見事にあっさり破壊されていた。
部屋のテレビで見ているより、大型モニタで観戦してると、その強さが伝わってくる。
やはりギャラリーが多いのも、臨場感というか迫力を増幅させているように感じた。
今日は警備員も昨日の倍になっている。
関係者の俺達でさえ、知里ちゃんとかには近づけなかった。
一回戦の6戦目、先に対戦するであろうブライトスターが登場だ。
去年の優勝機で、準決勝で俺達が負けた機体。
流石にドリームダストも、今では数回負けてはいるが、最初に土をつけた機体でもある。
このチームの一番面白いのが、戦闘中状況に応じて、攻撃系と移動系を交代するところ。
よくもまあできるものだ。
世間では恋人同士だとか言われているけど、なんにしても息があっているからこそできる芸当だ。
さて、どんな戦いをするのだろうか。
・・・
いたって普通の戦いで、普通に接戦を制して勝っていた。
あまり強く見えなかったのは、俺達が強くなったからだろうか?
まあまだ対戦する迄には一戦あるから、もう一度後で見ればいいか。
こうして一回戦の最終戦、俺達の出番が来た。
 大輔「さあ、絶対勝つぞ。」
 吐息「まあまあ、リラックスなのさ。」
俺と吐息は席についた。
 沙羅「まああんた達なら、大丈夫でしょ。」
 乙女「伊達に予選2位じゃないしねぇ~」
 竜郎「何故お前達が強いのか、よくわからんがな。」
竜郎の言うとおり、俺は誰と組むより吐息が一番息が合う。
沙羅はまあ、単独が得意だからいいとしても、乙女なんかの方が理屈では良いはずだ。
てか、俺と組むより、竜郎と組んだ方が、よっぽど欠点を補い合える。
理屈ではないって事なんだろうけどね。
登録が終わって、機体が表示される。
敵は、ドリームダストやブライトスターと同じ、中長距離機だ。
こちらは、近接格闘と長距離の得意な特殊機。
離れるか、超接近するか。
更に他と違うのは、ガードではなく盾を持っているところ。
俺達の機体は、どちらかというと反主流。
これは、ドリームダストへの挑戦と反感だ。
ゲームがスタートした。
序盤は様子見だ。
相手の出方を見てから考える。
向こうも同じ事を考えているようだ。
 大輔「どうする?」
 吐息「焦る必要ないのさ。残り30秒が勝負なのさ。」
俺達の戦術は、残り30秒に力を集中する事。
まあ別に、それまでに動くなら動いても良いけど、30秒有れば勝てるって事だ。
離れた位置からの攻撃。
当たる訳がない。
しかしこちらは、中長距離などど中途半馬な鍛え方はしていない。
競馬で言えば、2400mから3200mが得意な馬ではなく、4000mが得意な馬なのだ。
様子を見るならそれでも良いが、少しずつ削るよ。
 大輔「そろそろだな。」
 吐息「まあ、我慢できなさそうなのさ。」
まだ1分しか経っていないのに、敵は戦術を変えて近づいてきた。
それでもおそらく中距離狙いか。
でも、向こうから近づく時に、こちらも近づけば、一気に距離は詰められるわけで。
 吐息「ゴー!」
盾を構えてとにかく前進。
距離は中距離から近距離へと一気に詰まる。
慌てて敵が旋回する。
 大輔「馬鹿が!」
いくら近距離が不得手でも、後ろからなら関係ない。
ロックオンせずにビーム砲。
 吐息「でも当たるのさ。」
後は離れる敵に、こちらもバックしつつビーム砲連射。
横道に逃げようとしたところで、追尾ミサイルで決めた。
 大輔「ま、まずは楽勝だったな。」
 吐息「予選通過者でも、弱いのいるのね。」
もしかしたら、誰かうまい人が代わりにやって、予選通過したんじゃないかと思った。

再び、ドリームダストが登場だ。
俺達の戦いなんか比較にならない数のギャラリーが、再び集まる。
しかし開始1分ですぐに勝利して、またすぐギャラリーはいなくなった。
ホント、ちょっと可愛いからって、みんな騒ぎすぎだよ。
・・・
まあ俺も、その中の一人なんだけどね。
 大輔「はぁ~」
 吐息「どうしたのさ?」
 大輔「人気あるなぁ~って思ってさ。」
 吐息「決勝が終われば、私のファンが全国に溢れるのさ。」
・・・
無いな・・・
しばらくして、再びブライトスターが現れた。
おそらくココで勝ってくれば、俺達と対戦する事になる。
相手は予選3位のチームだ。
力は互角だろう。
ブライトスターのバトルが始まった。
 大輔「ブライトスターって、いつも弱気な戦いに見えるよな。」
 吐息「あの達也って人の性格でしょ?」
 大輔「ふむ。」
戦いは、同型機同士の撃ち合い。
見ていて面白いものではない。
 吐息「あっ、仕掛けたのさ。」
ブライトスターが、接近を開始した。
 大輔「やばくね?」
先に動くリスク、何発かビーム砲をくらっていた。
現在その分だけ負けている。
お互い同じ機体なんだから、これはまずい。
腕も敵の方が上に感じる。
 大輔「あっ!」
 吐息「コントローラーを入れ替えたね。」
接近戦になった。
てか近接格闘戦。
ビームソードでの戦いも、敵が有利みたいだ。
そう思った次ぎの瞬間。
爆発音が鳴り響く。
 大輔「え?何が起こった?」
 沙羅「超近距離で、ロケット弾撃ったのね。」
後ろから沙羅が状況を報告してくれた。
 大輔「ロックオンできないでしょ?」
 沙羅「射線さえあえば、当たるわね。大輔の得な技でしょ。」
そうだ。
ロックオンしないで撃つのは、俺の得意技。
基本的には、相手の後ろをとった時に使う。
それも近中距離で使うのが基本なんだけどな。
話してる間に、追尾ミサイルも発射。
近距離での追尾?
 沙羅「これも射線が合えば可能ね。更に電磁波で微調整してるし。」
ブライトスターの、大逆転勝利だった。

次は俺達の二回戦。
相手はさほど強い相手ではない。
まあ、本戦に出てくる機体だから、弱いってわけではないけど、あくまで俺達にとってね。
ゲームが始まる。
相手は近中距離機で、俺達にとって実に相性が良い機体。
普通は、得意で無いところでくる相手は苦手なはずだけど、俺達は自分たちの得意なところにもっていくのが得意だから。
まずは俺達は様子見。
むこうは少しずつ距離を詰めようとする。
俺達は全速で離れる。
徐々に向こうもスピードを上げる。
スピードが速くなってくると、操作も難しくなる。
すると、微妙だけど隙ができる。
まだかなり距離が離れているけど、目視できれば俺達の得意距離だ。
ビーム砲で牽制しつつの追尾ミサイル。
ドリームダストの得意戦術を、超長距離で使う。
少しずつ削る。
すると更に相手は焦り、全速で近づこうとする。
 吐息「いくのさ。」
 大輔「オッケー!」
だから俺達も、一気の接近を試みる。
近距離戦だ。
外れても良いからビーム砲を一発撃って、ビームソードに持ち替えた。
近接格闘戦に持ち込んだ。
後は逃がさないだけ。
逃げるなら、後ろから集中砲火を浴びせるだけだ。
 大輔「さっきのためしていいか?」
 吐息「まあ、良いんじゃないの。」
俺は少しのダメージ覚悟で、機体を正面に向けてもらう。
 大輔「ココか!」
俺は正面に電磁波と、更に追尾ミサイルを発射した。
 吐息「ロケット弾じゃなくて?」
 大輔「あっ!近すぎたかな?」
・・・
爆発した。
どうやら、無事命中して、敵機を落とせたようだ。
とっさに吐息が機体を下げていたようにみえたけど。
 大輔「ナイス!」
 吐息「ナイスじゃないのさ。一緒に爆発に巻き込まれるところだったのさ。」
 沙羅「まあ、勝って良かったね。」
 乙女「そうそう、巻き込まれてもおそらく勝てたでしょ。」
 竜郎「楽勝楽勝。」
とりあえず、準決勝進出だ。
そして次は、去年の雪辱を果たすためのリターンマッチ。
ブライトスターが相手だ。
俺は武者震いした。

準決勝一戦目、ドリームダストはまたも楽勝。
こんな機体に、一体誰が勝ったんだよってくらい強い。
そんな機体に去年勝ったブライトスターに、今から俺達が挑む。
予選通過順位はこちらが上だけど、やたらと本番に強いんだよな。
モニタには、両機体が表示される。
ブライトスターは、俺達の機体を見ても、変更点はなさそうだ。
もちろん俺達も、変更点は無い。
フィールドが決定する。
 大輔「って、さばくぅ!!??」
このところ街ばかりだったのに、この大一番で砂漠とはついていない。
目視回避は不可能。
狙いも定まらないから、追尾ミサイルが最大の威力を発揮する。
 吐息「何言ってるのさ。私達が圧倒的に有利なのさ。」
 沙羅「回避できないマップだけど、防御はできるよね。その盾なら。」
なるほど。
言われてみれば、有利かも。
 沙羅「私が相手の立場だったら、絶対に近接格闘にいくわね。」
だろうな。
撃ち合いだったら、盾持ちのこっちが、圧倒的に有利だもんな。
でも相手はブライトスターだ。
素直にくるだろうか?
機体が表示される。
考えている暇はもうない。
後はその場その場で判断だ。
 大輔「まあ、適当に頑張るぞ!」
 吐息「オーなのだ!」
ゲームがスタートした。
スタート直後、お互い少しだけ距離を詰める。
 大輔「一発!」
俺は追尾ミサイルの射程に入ると、すぐに敵方向に発射する。
ロックオンは必要ない。
なんせココは、視界以外の全ての障害は存在しない。
敵も同じタイミングで追尾を発射していたようで、数秒後のタイミングでこちらに追尾ミサイルが映る。
俺達は盾で防いだ。
微妙だけど、こちらのゲージが少し減る。
しかし、敵のゲージは変わらずだ。
 大輔「この中でかわした?」
 沙羅「いえ、迎撃したんでしょ。」
回避のタイミングは、目視出来る距離が近すぎる為に、まずあわせる事が不可能。
夢ちゃんあたりなら、もしかしたら回避してくるかもしれないけれど、普通はまず無理。
でも、迎撃なら、全く不可能ってわけではない。
 吐息「ビーム砲なのさ!」
おっと、集中しなくては。
ビーム砲が両脇を抜けてゆく。
ロックオンできないから、命中率は極めて低い。
俺はすぐに次の追尾ミサイルを発射する。
そして吐息が、自分の得意距離に距離をあける。
 大輔「って、もう次の攻撃かい!」
吐息がうまく盾で防ぐ。
ダメージって程ではないが、現状負けている事は確か。
 吐息「また外れた?」
 沙羅「迎撃?やるわね。」
連続で防がれるなんて。
 吐息「ビーム砲!」
 大輔「当たるかよ。」
狙いは俺達の移動方向やや前方、吐息は動きを止めて回避。
俺はすかさず追尾ミサイル発射。
動きが止まってる方が、狙いが定めやすいからな。
って、動きを止めて?
吐息は既に得意距離をキープ。
直後盾で防いだ。
 沙羅「またダメージをくらっていない?」
 吐息「何故当たらない?」
 竜郎「迎撃ったって、この砂漠じゃかなりきついだろ?」
確かに三度もかわされるなんて、何かある。
 大輔「って、またビーム砲かよ。」
 吐息「当たるわけないのさ。」
また前方へのビーム砲。
砂漠マップでも、ビームは比較的見えやすいから、注意していればかわせる事もあるし、そもそも当たりにくい。
一応進行を止めて、ビーム砲をかわす。
 大輔「今度こそ!」
って、これか?
俺は追尾ミサイルの発射をやめて、吐息が動き出してから発射する。
直後追尾ミサイルがとんでくる。
 大輔「吐息!」
 吐息「私を誰だと思ってるのさ。」
 沙羅「吐息でしょ。」
 竜郎「吐息じゃん。」
 乙女「吐息だよぉ~」
盾で追尾ミサイルを防いだ。
動きだしのタイミングで、盾で攻撃を防げるのは、おそらく吐息以外じゃほとんどいないはずだ。
再び動き出す。
敵ゲージが一気に減った。
当たった。
やはりそうだ。
ドリームダストが1000連勝目前の頃、マップが砂漠になった。
追尾ミサイルの運任せの戦いが主流の中、ドリームダストは敵を追いつめてから、ビーム砲で牽制し動きを止め、追尾ミサイルを撃たせた。
決まった軌道を通る追尾ミサイルは、簡単にガードで防がれていた。
おそらくは、あれの応用。
ブライトスターは、追尾ミサイルを斬るのがうまい。
まずはビーム砲で牽制し、相手の動きを止める。
瞬時に武器をビームソードに変更。
その頃こちらでは、牽制してきたビーム砲を確実にかわす為に、動きを止める。
 吐息「またビーム砲!」
で、止まってる方が、ロックオンせずにミサイルを撃つにはやりやすいから、俺はこのタイミングで追尾ミサイルを撃つ。
今回は撃たないけど。
吐息が機体を動かした直後に、俺は追尾ミサイルを撃った。
このタイミングで撃てるのは、俺がロックオンせずに狙うのが得意だから。
もし止まったタイミングで撃った追尾ミサイルなら、タイミングも射線も読めるから、おそらくビームソードで斬ったんだ。
最初の一発だけは、迎撃したんだろうけど。
 沙羅「吐息!」
 吐息「楽勝なのさ!」
動き出しにミサイルが来るから、防御は難しいけど、吐息ならいける。
相手のゲージがまた減った。
ロックオンせずに狙える俺と、どんな状況でも防御する吐息、俺達だったから看破できた戦術。
流石にブライトスターだ。
今回の砂漠は、圧倒的に俺達有利だったのに。
俺達はなんとかブライトスターを倒した。
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