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2013年11月4日【月】19時43分21秒
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ハイレベルの戦い

4日のバトルグリード全国大会決勝。
合計8組のうち、5組が森学ゲーム部、2組が俺達ゴッドブレス、1組が秋葉のゲーセン集団。
流石に森学は強いけど、次が俺達ってのは、ライバル視している俺達としては嬉しい。
しかし、これだけ差があると、やはり悔しいのも事実で。
 大輔「来年は、もう少し詰めたいなぁ~」
 吐息「来年言う前に、まずは目の前なのさ。」
 大輔「そうだな。」
俺と吐息は、待合室で待機していた。
テレビモニタが設置されていて、放送はココで見れる。
待合室はそれぞれ別で、知里ちゃん達とは会えない。
まあ、隣の部屋だから、押し掛けてもいいんだけど。
それに対戦の時には、会う事ができる。
 吐息「大輔、バトルの事、考えてないでしょ。」
 大輔「いや、ちゃんと考えてるって。」
やばいやばい、知里ちゃんの事を考えているのが、顔にでていたようだ。
やっぱり会えるのは嬉しい。
 吐息「沙羅がでてるよ。」
テレビモニタには沙羅が映っていた。
 アナ「さて、いよいよ決勝です。相手はあのドリームですが、勝算はありますか?」
 沙羅「・・・どうでしょう。まあ、胸をかりるつもりでいきます。」
 アナ「なんだかクールな方ですねぇー!ちっ!では、夢ちゃん、1年ぶりの参戦ですが、どうですかぁ~」
 大輔「あのアナ、舌打ちしてたぞ?」
 吐息「あれが売りなんだってさ。」
意味のわからない人が売れる時代なのかな?
 夢「えっと、まあ、勝ちます。」
 アナ「流石夢ちゃん~!自身がありそうです。」
 大輔「流石に自身ありか。」
 吐息「素人目に見ても、9:1で負けてるのさ。」
その1をつかんでほしいんだけどな。
 アナ「では、席についてください~」
アナウンサーってか、もはや司会者なアナが、着席を促す。
沙羅と夢ちゃんが席について、コントローラーを握った。
 アナ「では、登録しちゃってください。」
アナの言葉に、二人は操作を開始する。
すぐに機体が表示される。
お互い中長距離機だ。
フィールドが表示される。
おきまりの街だ。
俺と吐息は、黙ってモニタを見続ける。
機体が表示され、カウントダウンが開始。
そして今、ゲームがスタートした。
ドリームはいつもどおり、レッドストーンに直進してくる。
中長距離機なのに、平気で近寄ってくるのは、圧倒的強さを持つ者の自信だ。
沙羅は射程に入る直前に左へとんで、追尾ミサイルを発射。
右に体を回転させて、バック。
ドリームは飛んでくる追尾ミサイルをあっさりと回避。
ミサイルが建物に当たって爆発した。
確実に距離を詰めてくる。
沙羅の視界にドリームが入る。
瞬時にビーム砲と追尾ミサイルの連射。
ドリームはかまわず突進してゆく。
 大輔「おいおい。」
強い者が、弱い者を追いつめる迫力。
ドリームにビーム砲が命中、追尾ミサイルは斬られた。
既に近接格闘武装に切り替えている。
沙羅はまさか突進してくるとは思っていなかったようで、一気に距離を詰められた。
旋回して逃げるか、それとも真っ向勝負か。
逃げれば、その時にかなりダメージをくらうかもしれない。
沙羅も向かっていった。
近接格闘で真っ向勝負か。
素早い動きから繰り出される攻撃と、的確なガード。
沙羅のビーム弾からの連携は、ほとんどダメージは与えられない。
現状少しだけリードしているが、すぐに逆転されるだろう。
武装変更の隙に斬られる。
右腕をやられた。
ゲームなので、一撃で切り落とされたりはしないが、スピードは落ちる。
沙羅は右腕を諦め、左手でビームソードをつかんだ。
ガードが無い右腕での防御だから、少し防御がきついだろうが、攻撃を重視したようだ。
斬り合う。
右腕に傷がある分だけ、沙羅が不利。
見た目戦いは五分に見えるが、ダメージは沙羅の方が多く受けている。
このままでは負ける。
防御を捨てて、回避と牽制に切り替えた。
ビームバルカンがドリームに命中する。
しかしドリームはかまわず斬ってくる。
かわせない。
勝負は見えた。
終わってみれば、楽勝とは言えないが、夢ちゃんの圧勝だった。
 大輔「沙羅でも、全く歯が立たなかったな。」
 吐息「そんな事ないのさ。後少しのような気がするのさ。」
 大輔「いや、夢ちゃんなら、まだ何か持ってるような気がするよ。」
シングルでは、まだまだ勝てない気がした。
沙羅が待合室に戻ってくる。
いつも冷静で無表情な沙羅が、少しイライラとしていた。
 沙羅「あーもう、なんであんなに強いのよ。」
慰めても仕方がなさそうだ。
 大輔「人間業じゃないよ。あの動きは。自分の手足のように操ってるからな。」
 吐息「操作してる指、見えないし。」
 沙羅「こうなったら、毎日指立てふせよ。」
まあ、やりたければやってもいいけど、関係ないと思うよ。
沙羅は俺の横の椅子を荒々しく引いて座った。
 大輔「シングルなら、お前は間違いなく強いよ。」
慰めるつもりはなかったけど、なんとなく俺は言っていた。
 沙羅「さあ、次、ダブル観るよ。」
悔しい思いを押さえて、沙羅はテレビを見ていた。
そう簡単に切り替えられるものではないだろうけど、沙羅は既に次を見ていた。
次は、ドリームとカズミンペア、トゥデイとダストペアの対戦だ。
同僚対決だけど、彼女たちは本気でぶつかるから、対戦はきっと面白いものになるはずだ。
それに、ドリームが負けるとしたら、ダストが一番確率が高い。
調べてはいないけど、ドリームがダスト以外に負けたのって、果たしてどれくらいあるのだろうか。
そんな事を考えているうちに、機体4機が全て表示される。
ダストとトゥデイは、俺が対戦した時と同じ、スピード型万能機と、とにかく武器を積みまくってる鈍重な機体。
ドリームは中長距離機で、カズミンは近中距離の万能型。
カズミンの機体は、俺の機体にかなり似ている。
この戦いの結果を予想すれば、9割はドリームとカズミンペアの勝利だろう。
しかし知里ちゃんは、敵を知れば最強だと言われている。
マップは普通に街で、そこに機体が表示される。
間もなくバトルがスタートした。
ドリームは相変わらず、敵機へと突き進む。
カズミンもその後ろから続く。
ダストとトゥデイは、その場からあまり動いていない。
それにしても、あのトゥデイに対して、簡単に近づいていくもんだ。
ドリームの自信に感心した。
すぐにお互いが射程内に入る。
攻撃タイミングはほぼ同時。
ドリームとカズミンが散開して、左右にかわす。
トゥデイの大量攻撃も、この二人にかかれば、かわすのはたやすいのか。
いや、ドリーム回避にあわせて、ダストがビーム砲で、ドリームを攻撃していた。
命中。
流石にドリームの動きをよく知っている知里ちゃんだ。
しかし、それはお互い様のようだ。
ドリームのビーム砲が、ダストに命中していた。
まずは五分の立ち上がり。
散開したドリームを追いかけるように、ダストが急進する。
スピードは五分か。
しかし背後から追うダストが有利。
カズミンがその間に、トゥデイを遠目から狙う。
少しずつ削るが、トゥデイは装甲が厚いし、距離が離れすぎている。
一気に倒すのは無理だ。
トゥデイはカズミンを警戒しつつ、ゆっくりとドリームへと近づく。
知里ちゃんは、ドリームを落とすつもりだ。
カズミンの方が良いような気もするが、ドリームを自由に動かすのも危険と判断したのだろう。
このゲーム、カズミンが長距離が得意な機体だったら、既に勝負が決定していたかもしれない。
まあそれならそれで、こんな戦術は取らないだろうけど。
それにしてもドリームは戦い辛そうだ。
全ての動きが読まれている。
それでも全くダメージをくらわない回避力は流石だけど、徐々に退路が限られてきた。
完全に、知里ちゃんの作戦どおりだろう。
ドリームをトゥデイの射程内に追い込み、挟み撃ちにするつもりだ。
でも果たしてそれが成功したところで、ドリームに通用するのだろうか?
 大輔「えっ?」
 沙羅「早い!」
トゥデイの一斉攻撃のタイミングが早い。
ロックオンせずに攻撃したのか?
でも、この距離でこの角度、ドリームなら楽勝でかわすだろう?
爆発音が響く。
 大輔「当たった!」
 吐息「凄い。この人もロックオンせずに攻撃するのが得意なのかな?」
いや、得意って言うか、今のはたまたま良いところに飛んだだけな気がする。
それが証拠に、当たったのは一部だけだ。
しかし、この状況はドリームにまずい。
すぐにまた攻撃されるし、後ろから知里ちゃんが既に絶好の位置だ。
ドリームが負けるのか?
トゥデイの再びの一斉攻撃。
まただ。
ロックオンしていては発射できないタイミングだ。
後ろには下がれないドリーム。
だけどドリームなら問題なくかわせるはずだ。
またも爆発音が響く。
 大輔「何故当たる?!」
 沙羅「このトゥデイの子、運がいいわね。」
あの五月蠅くて、竜郎が気に入ってる子だ。
そう言われれば、なんとなくギャンブラーな雰囲気を持っていたかも。
それにしても、運だけでドリームが負けるのか?
次撃たれたらやばいかも。
 吐息「カズミンが来てる!」
 沙羅「まあ、これだけ隙作ったら、近づかれるわね。」
 大輔「でも、装甲が厚そうだから、タイム的には不利だぞ。」
しかし、俺の懸念はすぐに解消された。
 沙羅「カズミンうまい。完全に急所を狙ってる。」
なんだ?この人。
相手の動きが遅いとはいえ、少しの誤差もなく、更には優先順位も間違いなく連続攻撃。
トゥデイの攻撃が止まった。
射程に入ったドリームのビーム砲と追尾ミサイルの攻撃。
一瞬にして、トゥデイが落とされた。
戦術では、間違いなく知里ちゃん達が勝っていた。
トゥデイの強運が必然とするならばだけど。
しかし、ドリームの強さと、カズミンのうまさがそれを上回った。
いやあ、まいったね。
やっぱ強いは。
俺はしばらく、戦闘の終わった画面を、ただ眺めていた。
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