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第十二話 対決!大魔王武漢

カリフォルニャンにきて既に五日が経っていた。
集まる予定だったメンバーは既に揃っていて、明日の決戦に向けて戦いの最終確認を行っていた。
「今回の戦いを取り仕切らせてもらう、メリーベン近衛騎士隊隊長の風間だ。皆には明日、魔王の魔物軍団と戦ってもらう事になる」
部屋に集まっているのは、前で仕切っている風間の他に、二十一人の使い手たちだった。
中には恵美を暗殺しようとやってきた刺客の一人もいた。
罪人ではあるが、流石に魔王との戦いという事で、戦力になるならと呼ばれていた。
理屈では恵美たちもそれには納得していたが、感情的には少し不安も覚えていた。
「現在魔物軍団は西からメリーベンの帝都へと攻撃を続けている。我々は更に西からその背後を突く」
壁に貼られた地図を指さしながら、風間は作戦を説明していた。
「この軍団の中に、幹部悪魔の三人がいる。その三人はバトルロイヤル優勝チームの四人に任せる。他は集まってくれた冒険者や各国兵士を率いて魔物を討伐してくれ」
集まっていた一人が質問する。
「俺たちは幹部悪魔とそいつらの戦いに邪魔が入らないようにすればいいという事か?」
「そうだ。正直勇者パーティーが敗れた今、奴らを倒せる可能性があるのはこのメンバーしかない」
そういう風間も、あまり拳魔たちを信用していなかった。
半分以上は既に諦めていて、一縷の望みがあるとしたら、その程度の期待しかなかった。
「で、当の本人さんたちは勝てると思っているのかねぇ?」
そう言いながら拳魔たちに視線を向けてきたのは、恵美を暗殺にきたメンバーの一人だった。
「そうね。この中では私たちが一番強いでしょうし、こっちの子は去年勇者たちと一緒にドラゴン討伐に参加していたわ」
恵美がそう言うと、少しだけ部屋がざわついた。
皆希望はなく、ほとんど死にに行く覚悟をしている者たちばかりだったが、ほんの少しだけ表情が和らいだ。
「そうなのさ。去年一緒したのさ。多分あの時の勇者よりは、今の私の方が強いのさ。それに同じくらい恵美ちゃんも一茶さんも強いのさ。悪魔はなんとかなるのさ」
映里がそう言うと、更に皆の表情に期待がうかがえるようになってきた。
しかし幹部の悪魔三人を倒せたとしても、問題はやはり大魔王武漢である。
皆その辺りの勝算が気になっているようだった。
察しの悪い映里でも、なんとなく皆の思いは感じ取る事ができた。
「きっと大丈夫なのさ。拳魔がいるから負ける気がしないのさ!」
拳魔に関しては、皆力量を測りかねていた。
そんな中で映里から頼みの綱のような扱いで拳魔の名前が出た事で、皆又少し肩を落とした。
バトルロイヤルでは最後に残ってはいたが、見た目からもそんなに強そうには見えない。
男としては体もやや小柄だし、顔に覇気もないので当然の評価だった。
でも映里は、皆が少しがっかりしている中でも、表情を変えなかった。
「どちらにしても、もうこの四人に懸けるしかない。頼んだぞ」
風間がそう言うと、四人はそれぞれ返事をした。
「やれるだけやってみるわ」
「全力でやるだけです」
「きっとなんとかなるのさ。それよりも、みんなも死なないように頑張るのさ!」
「はい‥‥」
この日はこの後、皆で少し食事をした。
酒を飲む事も許されていた。
ほとんどの者たちが、明日までの命であると思っていたから‥‥

戦いは早朝、日の出と共に始まった。
魔物の中には夜行性のものも多く、更に夜に強くなる種まで存在する。
戦うのなら陽が出ている間が望ましい。
そしてなんとか陽が沈むまでに武漢をも倒したいという願望があった。
尤も、ほとんどの者は倒せるなどとは思ってはいなかった。
しかし戦闘が始まると、皆徐々に期待が大きくなっていった。
四人の、とりわけ拳魔以外の活躍が凄まじかったからだ。
「勝てる!勝てるぞ!みんな生き残るんだ!」
風間の声が皆を納得させるには十分だった。
中でも映里の魔法は半端なく強かった。
町一つが吹っ飛ぶような魔法を放ち、魔物たちを一掃していた。
それに気が付いた幹部悪魔がすぐにやってくるほどに強かった。
「今の魔法を放ったのは、お前か?」
「そうなのさ。あんたが悪魔なのさ?どうなのさ?」
見るからに悪魔である悪魔に対して、映里は一応確認を入れた。
「この角、悪魔の羽、何処からどう見ても悪魔だろうが?!」
「変な人間ね」
「どんな人間だろうと、俺たちはぶっ殺すだけだ」
気が付いたら、三人の悪魔幹部たちが揃っているようだった。
「いきなり来たわね、悪魔三人衆。あんたたち三人は、私たち四人が相手よ!」
「おいおい、普通は三人を相手にするのは三人だろ?さてはお前は主人公じゃないな?」
悪魔幹部の中では一番まともそうなヤツは、こちらのパーティーの事を一瞬にして見抜いていた。
「何言ってるの!私がこのパーティーのリーダーよ!それを証明する為に、あんたは私が一人で相手してあげるわ」
一茶はやれやれといった表情をした後、女性らしき悪魔へと向かって飛んだ。
「ではあなたの相手は私がします!」
「へぇ~。割とイケメンね。あんた負けたら私のペットになりなさい」
どうやら対戦相手は決まったようだった。
「となると、俺の相手は‥‥」
「私なのさ!かかってくるといいのさ!」
既に拳魔の事は忘れられていた。
でもこれは好都合だった。
拳魔はいつも通り、コッソリと映里の前の石ころを排除しつつ、仲間のサポートを始めていた。
まずは祝福の魔法から、なるべく普通の魔法使いがやりそうな事をやっていった。

恵美は、三人の悪魔の中でもリーダー格の、バランスの良い悪魔と空中で戦っていた。
俺が見た所戦いは互角だが、恵美のクラーケン絶対防御は、悪魔にすら破られそうになかった。
しかし恵美には決め手もなく、勝負の際はクラーケンの力を攻撃にも使う必要があるだろう。
それは隙にもなるわけで、そこでどちらが相手を倒すか、そんな戦いと言えそうだ。
続いて一茶の相手だが、女の悪魔でスピードを重視する戦い方をしている。
しかし一茶もそのスピードに負けておらず、集中力の勝負になるかもしれない。
こちらも戦闘は空で行われていた。
さて映里だが、映里は地上から、空を行くパワー型の悪魔に対して魔法を放っていた。
ハッキリ言って空を行く悪魔の方が圧倒的に有利に見える。
石ころに躓いたら映里は負けるだろうから、拳魔のサポートは超絶重要だった。
しかし映里には決め手があるので、何かしら悪魔に隙ができれば、一瞬で勝敗は決まりそうでもあった。
拳魔はまず、映里に勝負をつけさせようと考えた。
既に一発大きな魔法を放っているし、魔法使いが最も戦いで魔力を消耗する。
おそらくこの後武漢と戦う事になるが、倒せるのは拳魔を除けば映里の魔法だけだ。
映里にはなるべく万全の状態で武漢戦に臨んでもらいたい。
拳魔は少し強力な、それでもあまり目立たない風系の魔法で悪魔の動きを制限しようと魔法を放っていった。
「拳魔!敵の動きを封じて欲しいのさ!」
拳魔が必死に目立たないようにサポートしていると、映里はいきなり動きを止め魔力を高め始めた。
「ちょっ!何してるの!動き止めたらやられちゃうよ!」
拳魔がそう言うのももう既に映里には聞こえていなかった。
集中力が半端なかった。
「馬鹿なヤツだ!そんな隙を俺が見逃すはずがないだろうが!」
悪魔は空から映里に向かって真っすぐに向かっていった。
「くっそ!」
拳魔は悪魔よりも速く映里の所まで駆け寄ると、映里を右肩に抱えて悪魔の攻撃をかわした。
「何っ?」
「あっぶねぇ~!なんでこんな戦いの最中に魔法に集中できるんだよ!」
拳魔が嘆くのもお構いなしに、悪魔は再び向かってきた。
「これで仕留める!」
悪魔は何処からともなく剣を取りだし、右手に持って斬りつけてきた。
丁度その時だった。
魔力をため終わったのか、映里が正気に戻った。
「さあ拳魔!動きを止めるのさ!」
「いや、今それどころじゃないから!つかなんでこんな時に正気に戻るかな!」
映里に気を取られた拳魔は絶体絶命の状態になっていた。
仕方なく拳魔は何処からともなく剣を取りだし、左手で持って悪魔の剣を受け止めた。
悪魔のパワーはかなりのもので、拳魔の足が少し地面へとめり込んだ。
拳魔自身はそのパワーに十分対抗できるだけの力はあったし、拳魔が戦っているのなら楽勝ではあったのだが、今は『映里を守らないと』という意識でいっぱいだった。
悪魔が映里を攻撃しようとしたら、それを止めるという所に意識を集中していた。
「チャーンスなのさ!超絶爆裂なのさ!」
「ちょっ!こんな近くで爆裂とか、自分もヤバいだろが!」
「なにー!?道連れにするつもりか!?」
拳魔たちのいる所を中心に、町がいくつも吹き飛ぶような大爆発が起こった。
「逃げろみんな!」
「結界魔法を!」
「窪みに隠れろ!」
仲間たちは必死に逃げ惑った。
「映里やってくれるわね!」
恵美はクラーケンの絶対防御の中へと身を隠した。
一茶は高速でその場から離脱した。
爆発はゆっくりと広がって行き、辺り一帯あらゆるものを吹き飛ばした。
「おい映里!流石に今のはどうかと思うぞ!」
拳魔は咄嗟に結界を張って身を守った。
「そう言われれば近すぎたのさ。でもなんとかなったのさ。やっぱり拳魔なのさ」
映里は全く反省する様子もなく、拳魔に抱えられながらいつも通りの笑顔で笑っていた。
それを見て拳魔は、これ以上何かを言う気を失くしていた。
「ぐっ‥‥な、ん、なん、だ‥‥」
映里の魔法を食らった悪魔はまだ生きていた。
それを見た映里は拳魔の肩から自ら降りると、スタップで悪魔のクビを突き刺した。
「まだ生きてるのさ。なかなかしぶといのさ」
そう言いながら、更に何度も何度も悪魔の体にスタップを突き刺していった。
何度目かで悪魔は完全に死んで、その場に魔石だけを残して消えた。
「う、映里‥‥」
拳魔は少し涙ぐんでいた。
「どうしたのさ。じゃあ魔石を回収しておくのさ」
俺はもちろん、拳魔にも映里の事はよく分からなかった。
映里はいつも通りだった。

さてとりあえず、一人悪魔を倒した。
残りはあと二人である。
そしてその後にはきっと武漢が現れるだろう。
もしかしたらすぐにでも現れるかもしれない。
映里の行動に混乱している暇はなかった。
恵美は相変わらず互角の戦いを続けていたが、一茶は完全に押していた。
相手の悪魔は既にボロボロになっていた。
どうやら女の悪魔は映里の爆裂魔法に巻き込まれたようだった。
距離はあったので致命傷とはならなかったが、相当なダメージを負ったようで勝負は決まっていた。
ほどなくして一茶は女の悪魔にとどめを刺していた。
「くっ‥‥逃げ足勝負で負けたという事か‥‥」
「すまない。まさかこんな形で勝つ事になろうとは‥‥」
女の悪魔は一茶の剣に貫かれたまま、空の上で息絶えた。
一茶は申し訳ない気持ちで、涙を一滴流した。
「残りは俺だけだと?なんだこの人間どもの強さは?!」
リーダー格の悪魔は動揺した。
恵美はその動揺した隙を見逃さなかった。
「クラーケン!」
恵美はクラーケンの力を、全て持っている刀に注ぎ込んだ。
刀は巨大化し、次の瞬間悪魔の首をはねていた。
「勝ったわね!」
三人の悪魔との対戦は、完全勝利だった。
地上で魔物と戦う風間たちも、概ね魔物を倒していた。
さきほどの映里の爆裂魔法による所が大きいわけだが、かろうじて死人もなく此処までの戦いは上手くいったといっていいだろう。
死人がでなかったのには訳があった。
戦いの前に拳魔は、みんなに魔石アイテムを配っていた。
それは死ぬような何かがあった時、一度だけ防御力を超絶上げるアイテムだった。
それによって皆致命傷を免れていたのだった。
「後は魔王武漢ね!」
「そうですね‥‥」
「でも、こないのさ。何処にもいないのさ」
魔王武漢は、接収した森の中にある屋敷でくつろいでいた。
それをただ一人拳魔だけは察知していた。
探索魔法を使うまでもなく、巨大な魔力がダダ洩れだった。
流石に魔王である。
「魔王なら、あの森の中にいると思う」
拳魔はなんとなく言ったあと後悔した。
向こうがやってこないなら、一旦町に入って体を休める事もできたはずだ。
しかしおそらく、魔王が森にいると知ったら‥‥
「じゃあいくわよ!」
「魔王退治なのさ!」
「宝統さん!行きますよ!」
誰も休もうなどど考える者はいなかった。
拳魔は諦めてついて行った。
「分かった‥‥」
風間たちも、なんとなく後ろから付いてきていた。
拳魔自身、自分なら魔王武漢にも勝てると確信を持っていたわけで、他の者たちの行動に注文を付けるつもりはなかった。
本当は休んでほしかったんだけどね。
ほどなくして、森の中にある屋敷が見えてきた。
誰の屋敷か知らないけれど、魔王武漢がいると思うと魔王城にも見える佇まいだった。
「この建物は、おそらく昔日本人が住んでいた屋敷でしょうね」
恵美の云う通り、この屋敷は昔日本人が暮らしていた。
まだ日本という国ができる前の話だ。
日本人が冒険者としてこの世界を渡り歩いていた頃、その一人が此処で暮らしていたのだろう。
その建物から、人影が出てくるのが見えた。
悪魔のようだが、武漢ではなく屋敷を守る者たちのようだった。
こちらに気が付いた悪魔たちは向かってきた。
先ほど戦った三人の悪魔とは違って、あまり脅威には感じられないただの悪魔のようだった。
「みんな離れるのさ!私の魔法でイチコロなのさ!」
既に魔力をためていた映里は、建物の方へと巨大な魔法を放った。
射線上にいた悪魔たちは皆魔力にのまれ、悪魔たちを飲み込んだ魔力は屋敷へと命中し大きな爆発を起こした。
「映里は相変わらずだな」
「生き延びる為には先手必勝なのさ!」
「もしかしたらこれで魔王武漢も倒せたのかしら?」
「それならいいのですが‥‥」
そう言いながら一茶が指さす先には、一人の悪魔が立っていた。
誰もが分かった。
この悪魔こそ魔王武漢であると。
「ようやくラスボス登場ね」
「はい。後はみんなで倒すだけです」
恵美と一茶は既に戦闘体勢に入っていた。
映里は流石に大魔法を放った後だったので、直ぐに次へのアクションは起こせない状態だった。
「人間がこんな所に?俺の部下がこうもアッサリやられるとは‥‥もしかしてあいつらもやられたのか‥‥」
魔王武漢はそう言いながら、少し驚いたようではあったが、表情からは感情が感じられなかった。
しかし次の瞬間、殺気が拳魔たちへ向けられた。
拳魔たちについてきていた風間たちは、その殺気に気圧された。
戦える状態ではなかった。
完全に蛇に睨まれた蛙状態だった。
そんな中でなんとか拳魔たち四人は正気を保っていた。
拳魔以外は多少押されてはいたが、戦いに影響が出るほどではなかった。
「行くわよ一茶!」
「分かりました恵美さん」
息を合わせた二人は、同時に魔王武漢へと向かっていった。
直ぐに魔王武漢は上空へと上がる。
二人もそれについて行くように飛翔した。
しかし次の瞬間、恵美と一茶は地面へと叩き付けられていた。
風間たちは何が起こったのか分からなかった。
かろうじて映里には見えたが、当然対応できるスピードではなかった。
ハッキリと見えていたのは拳魔だけだった。
ただし拳魔でも何か対応する事は不可能だった。
地面にたたきつけられた恵美と一茶は完全に気を失っていた。
ただ命に別状はなかった。
クラーケンの守りもあり、拳魔の作った魔石たちが武漢の一撃を致命傷から守っていた。
拳魔は考えていた。
これはまずい。
二人がやられ、映里でも倒せる相手ではない。
となると自分が倒すしかないわけだが、どうやって倒そうかと。
バトルロイヤルの時のように一瞬閃光を発して倒すにしても、流石にこの相手を一瞬で仕留める事はできない。
尤も拳魔や武漢の動きを目で追える者など映里くらいしかいなかったわけで、普通に戦っても拳魔が倒したとバレない可能性は高かったが、そこまで考えられる拳魔ではなかった。
そんな一瞬の刹那、動いたのは映里だった。
「くらえ!私の最大魔法!」
映里がいきなり魔法を魔王武漢へと向けて放った。
その魔力は魔王の横を抜け、空で大きくはじけた。
「えっ?閃光?ライト?」
映里が放った魔法は、ただの巨大|閃光《ライト》の魔法だった。
閃光の魔法は、ただ辺りを明るくするだけの魔法だ。
バトルロイヤルで拳魔が目くらましに使っていた魔法と同じだ。
ただ一つ違うのは、明るさと持続時間が全く違っていた。
映里は全魔力をこの光に込めていた。
辺りは光によって真っ白な世界へとなった。
誰も何も見る事ができない、光に包まれた世界だった。
拳魔はなんとなく映里のいた方向へと視線を向けた。
映里の気配は、拳魔を笑顔で見ているようだった。
「そういう事か!」
拳魔はこの光の中でも、全ての人を魔力で捕らえていた。
目で見えなくても、誰が何処で何をしているのか感じ取っていた。
拳魔は武漢へ向けて飛翔した。
武漢も並みの悪魔ではない。
当然それを察知して対応する。
一瞬重い音が連続して辺りに響き渡る。
殴る拳魔のコブシを武漢が受け止めていた。
武漢は反撃も試みるが、拳魔にそんな隙はなかった。
辺りの光は持続しているが、この光はずっと維持できるほど消費魔力が優しくはない。
映里でも数十秒が限界だろう。
拳魔は出し惜しみせず、本気で冒険を楽しんでいた昔のように力を出して攻撃した。
そして最後は、武漢が腕でガードする上から、腕もろとも首をマジックソードで切断していた。
「やべっ!これだと映里が魔法で倒したようには見えないぞ!」
拳魔は魔石を瞬時に回収すると、その場に大きな爆裂魔法を放った。
そして爆発よりも早く、拳魔は元いた場所へと戻った。
「映里!やったな!」
白々しくも大きな声で拳魔は映里に伝えた。
それを聞いた映里は、閃光の魔法を停止させた。
「拳魔‥‥私疲れちゃったのさ‥‥」
光が収まり、皆の視界が戻った所で、映里はその場で倒れそうになった。
直ぐに拳魔が移動し、映里が倒れる前に体を受け止めた。
「速!」
「なんだ今の動きは?」
「見えなかった」
拳魔が瞬間的に移動する所を皆に見られてしまった。
しかし皆、疲れているのか何かは分からないが、あまり気にしている様子はなかった。
「愛の力かな」
「駄目だ、なんだか疲れたよ‥‥」
「だな‥‥」
風間たちも適当な事を云いながらその場に腰を下ろしていった。
こうして拳魔たちは、大魔王武漢の討伐に成功したのだった。

魔王武漢の討伐から一週間が過ぎていた。
拳魔たちは相変わらずの生活に戻っているように見える。
でも少し違う所があった。
一つは、拳魔があまり自分の力を隠そうとしなくなった事だ。
魔王武漢を倒した後、拳魔たちはメリーベンの人たちに祝福された。
その時に映里がうっかりと『武漢を倒したのは拳魔なのさ』と言ってしまったのだ。
それだけなら皆冗談だと思ったかもしれない。
或いはアイテムのおかげという意味でとらえられたのだろう。
しかしその後、『あ、これは内緒だったのさ!今言った事は忘れてほしいのさ!』とか言いたしちゃうもんだから、拳魔が倒したというのを隠せなくなってしまったのだ。
尤も今でも半信半疑くらいで受け取られているわけで、人々によって考えは違うわけだが、それでも拳魔の事を日本人だとか考える人は皆無で、多少は拳魔も大丈夫だと判断したのだろう。
それに無邪気な映里が傍にいる事で、拳魔を危険視するような人は誰もいなかった。
人類を救った英雄でもあるわけだしね。
そんなわけで、拳魔は今までよりも少し気を抜いた生活をしていた。
それともう一つ違っていたのが、拳魔と映里の関係だ。
メリーベンで人類の救世主、英雄となった四人は、数日の間色々な所で皇帝やら王様やらに色々と聞かれたわけだが、その時拳魔と映里の関係を聞かれて、映里は『私たちは結婚しているのさ』と、何のためらいもなく答えてしまった。
拳魔にはその気はなくとも、そんな場でハッキリと云われては、拳魔には否定しようがなかった。
特にそれが不満というわけでもなく、むしろその方が自然だと受け入れてしまったのだ。
そして世界中が認めるカップルとなった。
だからといって表面上は何も変わらないわけだが、内心はお互いの信頼関係もアップしているのだろう。
さて、今の拳魔たちを見るに、俺が不安に思っていた事も、期待していた事も、一応決着がついた気がする。
これからも拳魔を見守る仕事は続くわけだが、他の者たち同様、これからは時々確認するくらいでいいだろう。
おそらく数百年は次の大魔王も出現しないだろうしね。
またその時は拳魔たちを追う事もあるかもしれないが、今回はこの辺りで終わる事にしよう。
ではでは、もしかしたら又どこかで。
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