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第四十話 インドの強さ

艦船が出発してから到着するまでには約7時間から8時間かかる。
索敵に引っかからないよう注意しながら、航路は沖田艦長に任せていた。
他の艦船に関してはそれについていくよう自動航行設定にしている。
沖田艦長には申し訳ないが、今の内に休める人は休み、風呂や食事は少し早めの22時半までに済ませて戻るよう指示をだした。
途中でもしも索敵にひっかかり見つかれば、全速力で進む事になるので、22時半過ぎには戦闘に入る可能性があるから。
とは言えこんな祭りで寝るような人はほとんどいなかった。

カッチ「というわけで、インドには何か弱い所があるんじゃないかと思うんだけど」
ドリーム「そうねぇ。戦闘はとにかく強いんだけど、何処か本気でアルテミスを落としに来ているんじゃない気もするんだよね」
カズミン「うん。要塞自体にはほとんど攻撃をして来てないんじゃないかな」
アライヴ「だから俺達がこうして防衛戦から抜け出せたってのもある」
カッチ「とは言え、抜けた事で要塞攻撃もしてくるようになったら、アルテミス要塞がヤバいんじゃ?」
サラ「その辺りはジークが何か秘策があるとか」
紫苑「うむ。ジークが自信を持って言っていたから大丈夫だろう」
じぇにぃ「えぇ~!紫苑さん、いつのまにぃ~?」
チョビ「お久しぶりです」
紫苑「よっ!(^0^)/なんとか最後間に合ったよ!」

いやまさか紫苑まで来てるとは。
ちなみに紫苑は『絆Ⅱ』第1回大会の優勝チーム大将であり、最優秀プレイヤーでもある。
人型乗りとしても優秀で、一生くんほどではないけれどかなり強いらしい。

紫苑「で、インドの強さに違和感は、確かにあるんだよな」
ダイスケ「うん。まあ何がどうって事は言えないんだけどな」
ドリーム「でも何とかなる気がする。私はもう負けないよ」
カズミン「2人でやれば少しずつでも削っては行けるさ」

結局インドの強さに関して答えは出なかった。
でもこれだけのメンバーが集まったのだから勝てる気がする。
俺は戦闘が待ち遠しかった。

22時半を廻った頃、徐々に緊張感が高まってきた。
ここまで沖田艦長のおかげで、敵の索敵には引っかかっていないようだ。
見つかれば美菜斗からこちらに連絡が入ってくる手はずになっていた。
カペラ要塞が目視できるところまで行ければ、元帥は絶対に逃がさない。
まあもちろんこの程度の戦力から攻められた所で、逃げるとは思えないけどね。
そして23時になろうかという所で、とうとうカペラ要塞を目視できるところまできた。
いよいよ戦いの始まりである。

カッチ「よし、全人型は出撃せよ!作戦は伝えた通りだ。別の師団からきた人達は十分注意してね!」
ドリーム「どんな戦いをするのか、まずはカッチ旅団のお手並み拝見といくわ」
カズミン「まっ、味方の攻撃に当たる方が悪いという事で」
ドリーム「そんな事言って、当たったら笑ってあげるよ」
カズミン「あり得ない」
月読命「さあ祭りのはじまりじゃー!」
天照皇大神「流石久弥くん~かっこいい~」
カッチ「おい!アマテラス突撃だぞ!」
天照皇大神「合点承知のすけぇ」

まずは予定通りアマテラスの高天原が敵の中へと突っ込んでいった。
そしてここでいつもの艦船ドリフトで敵の量産機を大量に薙ぎ払う。

ドリーム「凄いね。こういうのするのはしゃこたんと小麗だけかと思っていたよ」
紫苑「確かに。でもまさか体当たりとはね」
じぇにぃ「小麗さんわぁ~上に暗黒天国さん乗っけてたよねぇ~」
チョビ「うん。暗黒天国さんの重火力攻撃で倒すスタイルだった」
紫苑「今回はあそこまでの重火力カスタマイズができないから、威力半減してるよ」
ドリーム「さて次はどんな事するのかな」
カッチ「クシナダヒメ、ゴー!」

とは言ったものの、いつもほどアマテラスは敵を倒せていない。
1割から良くて2割程度だ。
これでクシナダヒメが突っ込んでいって大丈夫だろうか。

クシナダヒメ「あわわわ~」
月読命「敵がいつもより強い分対応できていないな」
カッチ「だな。沖田艦長とこのみで援護してくれ!クシナダヒメは一旦離脱だ!」
沖田艦長「うむ」
このみ「了解であります!」
ドリーム「クシナダヒメさん、結構やるわね。でも流石にこの数と強い人型相手だと難しい」
カッチ「予定通りとはいかなかったけど、この後は皆さん作戦通りよろしく」
カズミン「了解!」
アライヴ「さあ暴れっか!」

作戦は前回同様だ。
要塞へのダメージは主に町田中尉や沖田艦長によるレーザー砲に任せる。
要塞から出てくる人型へはアマテラスの艦船アタックで薙ぎ払い、そのエリアを抜けてこちらに来る敵を人型で迎え撃つ。
アマテラスの艦船アタックは味方でも怖いので、専用の戦場を設定しているわけだ。
本当は人型戦闘の中心にクシナダヒメを置いてサポートさせたかったが、今回は敵が強すぎるのでそれは使えない。
このみと一緒に町田中尉や沖田艦長のサポートをしてもらう事にする。

爽真「これは本当に強いですね。こんなに強い人たちがどうしてこんなにいるんですか」
じぇにぃ「攻撃がぁ~全くあたらないよぉ~」
カッチ「反応が異常に早いな。みんな無理はするなよ。命を大事にモードでいってくれ」

戦闘が始まって15分が経った頃、将官チャットにジークからのメッセージが入ってきた。

ジーク「インド軍が5師団揃って攻めてきやがった(笑)」
美菜斗「まだこちらには到着していませんが、地球や月を攻めていた師団も戦闘を止め、こちらに向かってきているようです」
ビューティフルベル「もしかしたら私たちは敵の罠にはまったのかもしれない」

そういう事か。
インドが何故か本気で攻めてこなかったのは、主力とアルテミス要塞の分断が目的だったのか。
俺達はまんまとそれにはまってしまったわけだ。
しかし俺達が勝つ方法もこれしかなかったわけで、間違いだったとは思えない。
ただ今の戦況を見る限り、俺達の負けはほぼ確定的か。
まだあきらめるには早すぎるが‥‥
それにしても今回こちらに合流してきたプレイヤー達は凄いな。
太郎くんでも互角の相手に余裕で対応している人もいる。
まだまだ一生くん達トッププレイヤーとは差があったのだ。
俺達は強いと思っていたけれど、ちょっと浮かれすぎていたのかもしれない。

ドリーム「3機目撃墜!あっちは美鈴さんやウララさんもいるし、なんとかするでしょ」」
カズミン「まだまだ負けんよ!4機目落とした!姉貴はあてにならんけどな」
アライヴ「俺も4機目だ。向こうの心配より目の前の敵だな」
紫苑「本国はジークがなんとかするって言ったんだからなんとかなるだろ。俺達は此処を落とすのみ!」

確かに目の前の敵に集中する時だ。
なんとしても元帥の首をとる。
俺は目の前の敵に集中した。
それから1時間が過ぎただろうか。
かろうじて死者は出ていないものの、悪即斬やいけぬま、ぺ天使の3人は機体の修理の為に一旦クシナダヒメの艦船『山田のお餅』に引き上げていた。
元々数の少ない少数精鋭だから、たった3人の士官の離脱も負担になってくる。
戦況はますます悪くなっているようだった。
そして既にアルテミス要塞でも戦いが始まっているようだった。

ジーク「しっかり訓練され統率された軍隊のようだな。」
美菜斗「対人型を担当する師団、要塞攻撃を担当する師団、艦船を守る師団、サポートをする師団、そして1師団は待機しているみたいですね」
サイファ「おそらく待機しているのは交代要員か、いや、装備を見る限り要塞内戦闘用かな」
ビューティフルベル「ここまで完全に役割分担して戦われると、この要塞も長くは持たない気がする」
サイファ「せいぜい3時間か‥‥」
ジーク「そこまで早くはさせない。切り札があると言っただろう。そろそろ本気でやってもらうか。」
美菜斗「では伝えておきますね」
ジーク「とはいえこの要塞も持って7時頃までだろう。カッチ旅団が6時くらいまでに勝負を決められなければ、日本は負ける。」

どうやら、俺達は6時までに勝たなければならないようだ。
既に日付は変わっている。
タイムリミットまでもう6時間を切っていた。
ハッキリ言って絶望的だった。
しかし少し、戦況に変化が出始めていた。
月読命が何故かこの強力なインド軍に対して互角以上に戦い始めたのだ。

月読命「そろそろなれてきたぜ!伊達に元大将ではないのであ~る!」
天照皇大神「流石久弥くん~かっこいい~」
俺「俺もなんとか最低限対応はできるようになってきた」

今は直幸くんではなく坂本選手が操作をしている『俺』だけど、こちらもなんとか戦えるようになっている。
月読命は『なれた』と言っていたが、慣れれば戦えるようになるものなのだろうか。
そう考えると、一生くんたち助っ人たちが多少余裕を持って戦えているのも頷ける。
そういえば幼子先輩は初対決する人に対しては強いらしいが、慣れてくると負けると言っていたな。
戦い方が特殊で、一度相手に見られると対応されてくるとか。
インド軍には何か違和感を覚えるって人も少なからずいて、確かに此処まで戦ってそのような感じはする。
そう、なんだか全てが精密機械のように寸分違わず動いているようなそんな感じ。
実際そうでもないんだけど、なんだろうかこの違和感は。

チサト「もしかしてAI?」
カッチ「それだ!!」
ドリーム「チリがそういうなら間違いないよ」
ダイスケ「流石俺の嫁だ!」
紫苑「なるほどな。あまりにバリエーションが多すぎて無意識に排除していた考えだけど、言われてみればそんな気もするな」
月読命「うむ。ジークが言ったように統率されているのは当たり前で、皆プログラムによって連動されているんだろうな」
クシナダヒメ「そっか!なんだか全然艦船に対して攻撃してくる人がいないなーなんて思ってたんだけど、それでかな(笑)」
カッチ「早く言ってよw」

普通艦船は戦場に遠い位置から攻撃なりサポートなりをする。
しかし離れていたとしても、大抵少しくらいは艦船を攻撃しようとしてくる人はいる。
全く知らない人達が集まってゲームをしているわけで、個人的なポイントを簡単に稼ぎたいと思う人はいるから。
動いて攻撃してくる人型を狙うよりも、射程ギリギリから止まっている艦船への攻撃は比較的安全で、あまり大きなダメージは与えられないまでもポイントはある。
だから少しくらいは艦船を守る為の人員は確保する必要があるし、今も幼子先輩やえり先生は艦船を背に、艦船の守りも含めて支援射撃でサポートしているわけだ。
しかし敵がもしもAIだとするならば、無駄な人員を配置する必要もないし、行動パターンさえ分かれば対応ができるはずだ。

カッチ「よし、俺は今からAIと決めつけて行動パターンを何とか見極めようと思う。それができれば皆をより効果的にサポートできるはずだ」
月読命「俺は感覚でもうだいたい分かってきているがな」
天照皇大神「流石久弥くん~かっこいい~」
紫苑「それにしてもコレがAIだとしたら凄いな。バレないように不要な所で人間らしい動作も仕込んである。あ、一応ジークには連絡を入れたおいたから」
カッチ「ありがとう」
アライヴ「それにしても流石IT大国インドだよな。eスポーツ界ではやや遅れているが、まさかこんな戦いをしてくるなんて」
月読命「規約に引っかからないのかね?」
紫苑「プログラムの改変は禁止されている。しかし別のプログラムでコントローラー操作をするとなれば問題ないだろう。今後禁止される可能性はあるが」

とりあえずインドの強さの秘密が分かったかもしれない。
俺達は勝利の為にギリギリの戦いを続けるのだった。
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