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第四話 再会

今日はテストプレイ4戦目。
俺と陽菜はもう共にプレイするのが当たり前といった感じで、最初の頃の照れは既になかった。
お互いがお互いを相棒と認め、呼吸もあっている。
もう誰にも負ける気はしなかった。

さて、今日これからは要塞防衛が任務だ。
ここまで攻略と防衛が交互にきていて、3戦全てにミッションコンプリートしている。
今日もおそらく俺と陽菜のコンビなら大丈夫だろう。
そう思ってゲームを始めたのだが‥‥

和也「一生くん!」
陽菜「アライヴさん!」

俺たちは同時に声を上げた。
なんと今回要塞攻略にやってくるのは、アライヴの機体、名前は‥‥

和也「ラブトイキだぁ?」

一生くんの乗っている機体は二人乗り用で、アライヴ以外に『トイキ』というプレイヤーが搭乗していた。
俺の知らない人だが、この機体名から推察するに、多分一生くんの彼女か何かなんだろう。
なんだかちょっと複雑な気持ちになったが、俺は目標である一生くんとの対戦に少し体が熱くなってきた。

さてしかし、これからバトルを始めようかと思った時に、メッセージ着信音が鳴り響いた。
メッセージはID宛てに送られるメールで、表示されたのは陽菜のディスプレイだ。
モニターを横に並べているので、俺もそれを読むことができた。

アライヴ「おお、チョビじゃん!久しぶり!元気にしてたかい?」
チョビ「はい!まさかこんな所で再開するなんてー!」

直ぐにチョビはゲーム機に繋げてあるキーボードをたたいて返事を返した。

アライヴ「こんな時間にゲームしてるって事は、どうやら今回は最初から完全体のようだね!」
チョビ「やりますよー!今回はかっちゃんと一緒にアライヴさんにも負けない予定です!」
アライヴ「かっちゃん?ああ、相方のカッチさんの事ね。ふふふ、俺もトイキという相棒を得て、超絶強くなってるぞ!」

なんか楽しそうに会話する二人を見ているとムニョムニョする俺は、返事を返そうとしている陽菜の持つキーボードを奪って代わりに返事を打ち込んだ。

チョビ「一生くん、俺だよ。従弟の和也だよ。勝負だぜ!」
アライヴ「えっ?和也くん?チョビが?そんなわけないか。もしかしてカッチって和也くんなのかい?ふふふ、そうか。チョビはお前の彼女か。これは面白い!」

おい、一生くん!
とんでもない事言わないでくれ。
タダの幼馴染だよ!
と思ったわけだが、俺は特に否定はしなかった。

チョビ「とにかくだ一生くん!勝負だ!」

俺はそれだけメッセージを打ち込むと、コントローラーをもってスサノオをラブトイキに向けて操作した。

アライヴ「よしこい!」

それだけ返事が返ってくると、ラブトイキもこちらに向かって突進してきた。
機体はどうやら瞬発力型のようだが、俺たちと同じく盾を持っていた。
お互い多少|牽制《ケンセイ》しあったが、直ぐに接近戦となる。
動きではどうやらラブトイキの方が上回っていた。
しかし若干攻撃が軽いので、陽菜の盾が確実に攻撃を止める。

アライヴ「相変わらず盾の守りは固いな!チョビ」

戦いの中でも一生くんはメッセージを送ってくる。

和也「なんでこの戦いの中でメッセージ送れるんだ?」
陽菜「アライヴさんはコントローラーをキーボードの上辺りに固定しているって言ってた。それでもメッセージ打つ余裕なんてないけど!」

俺との力の差は明らかだった。
しかし、陽菜が敵の攻撃を完全に止めている。
つまり俺が相手にダメージを与えれば勝てるわけで‥‥

俺は重い攻撃を繰り出した。
しかしそれはあっさりと盾に止められた。

陽菜「トイキさんって、プロゲーマー集団ゴッドブレスのメンバーで、盾での絶対防御が有名な人だよ」
和也「マジかよ!つーことはつまり、俺たちとほぼ同型の相手って事か!」
陽菜「しかも力はおそらく両方が上。私たちじゃ勝てないかも!」

確かに陽菜の言う通り、どうやら力量は相手が上のようだ。
しかし、この同型機対決の場合、瞬発力型よりもパワー型ベースの方に分がある。

俺はできる限り素早く攻撃を続けた。
すると少しずつ敵の盾が削れてゆく。
盾は消耗品であり、パワーの上回る敵が相手だと、いずれは破壊されてしまうのだ。

和也「俺たちが何故スピードよりもパワーを優先したか?!それは確実に盾の利点を生かす為!」

ちょっと悔しいが、俺たちは陽菜の守りを生かした方が強いと考えた。
例えば俺達がスピード型の機体に乗っても宝の持ち腐れになる。
盾なんか持たずに相手の攻撃をかわした方が良いからだ。
お互いの力を最大限発揮できて、それでいて最高に強くなる機体はパワー型だと判断した。
ラブトイキは一旦後ろに飛んで下がった。

和也「ふぅ~流石に一生くんだ。かなりヤバかったな」
陽菜「アライヴさんとはかなり一緒に戦ってたからなんとか動きについていけたけど‥‥でも怖いよー!」
和也「結構簡単に止めてるように見えたけど、ギリギリだったか?」
陽菜「うん、ちょっとでもミスると瞬殺されそうだよ」

まあ相手は瞬発力型だから、こちらが一発受けたからと言ってそれが致命傷になる事はないだろう。
でも一度崩れたら相手のスピードについていけなくなるから、その後攻撃を止めるのはかなり難しい。
再びラブトイキがこちらに向かって突っ込んできた。
なんとか俺が盾に阻まれず相手にダメージを与えなくては‥‥
近づいてくる敵に、陽菜が盾からビームを放つ。
瞬間、目の前からラブトイキが消えた。

和也「えっ?」
陽菜「右だよ!」

陽菜の声にカメラを右へ向けると向かってくるラブトイキが映った。
だが少し何か違和感を覚える。
なんだ?

陽菜「ソードを持ってないよぉー!」

陽菜の声に俺は再びカメラを左側に向けた。
ダガーフェンネルが目の前まで迫っていた。
ダガーフェンネルは、遠隔操作可能な物理武器だ。
かわせるか?

陽菜「前だよ!」

又も陽菜の声に、俺は後ろにかわそうと思っていたが機体を前に操作した。
盾を盾にラブトイキに体当たりをした。
まさかこちらが向かってくるとは思わなかったようで、ダガーフェンネルはスサノオの後ろを通り過ぎ、そして少しだが体当たりのダメージも与えた。

陽菜「前に避けるんじゃなくて、前から来てるよって意味だったんだけどー!」
和也「だが結果オーライ!」

どうやらこの体当たりは予想外だったようだ。
俺は一気に倒すべく、ビームソードを振るった。
しかしこの程度で動じる相手ではなかった。
確実に盾で止められた。
そして向こうもビームソードで攻撃してくる。
それは確実に陽菜が止める。
連続攻撃の応酬だ。
しかしまた何か違和感を覚える。
太刀筋がさっきと違うような‥‥
明らかに攻撃が雑だ。
俺がそう気が付いた時、右側からダガーフェンネルが盾を持つ右腕を貫いた。

一度攻撃されたくらいで、しかもダガーフェンネル程度の攻撃なら、盾が使えなくなるほどのダメージは無い。
しかしほんの少し動きの落ちた右腕では、一生くんの攻撃を止める事は難しいだろう。
俺は相手が操作系の変更をする一瞬を見逃さず、とにかく相手から離れた。

陽菜「アライヴさんはずっとフェンネルダガーの操作をしていたのね」
和也「ああ、トイキさんが攻撃と防御、両方やってたみたいだな」
陽菜「それが分かっていたら、私も攻撃したのに!」
和也「まあおかげでこうして逃げる事はできたけどな」

何にしても、この勝負に勝つのは難しくなった。
しかし、今日のミッションは要塞防衛だ。
他の奴らはどうやら五分の戦いをしているようで、要塞はまだ守られている。
俺らがラブトイキを止められれば、ミッションはコンプリートできるはずだ。
なんとしても止めねばならない。
俺たちが離れたのを見て、要塞へ向かおうとしていたラブトイキの前に、再び俺たちは立ちはだかった。
テストプレイでやられたからと言って、別にゲームオーバーになるわけじゃない。
本番でも死なない限りは、機体さえあればすぐに復帰できる。
死んだら今回は1ヶ月後の復帰か、或いは訓練兵からのやり直しという話だったが、この辺りはまだ決定事項ではない。
ちなみにテストプレイを行わず、階級が定められていないユーザーは皆、訓練兵からのスタートとなる。
今はどうでもいい話だけどね。

ラブトイキはすぐに俺たちに攻撃をしかけてきた。
陽菜の盾防御だけでは防ぎきれない。
かといってパワー型で瞬発力型の攻撃をかわし続けるのは難しい。
両方で頑張ればなんとかなるかもしれないが、かなり息を合わせる必要がある。
ここまでは割となんとかなっている。
一緒にゲームをやり込んでいたのはかなり昔の事たけど、体は覚えているのだろうか。
俺と陽菜の息はピッタリだった。

ただ、これは一生くんと俺たちだけの戦いではなかった。
ラブトイキは二人乗りだ。
攻撃がほとんど来ないと悟ったのか、どうやら今度はトイキがフェンネルダガーで攻撃してきた。
少しずつ削られる。
しかも他のプレイヤーも俺たちがピンチと見るや、攻撃してきた。
ここまでのようだ。
俺たちは最後まで頑張ったが、とうとうやられてしまった。
終わった。

和也「でもまあ、ミッションはコンプリートだな」
陽菜「何とかギリギリ時間切れで守りきれたよね」

個人的な勝負には負けたが、戦いは俺たちチームの勝利だった。
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