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【(゚∀゚)】フリー写真館を狛犬画像室にリニューアルしました♪
2013年11月4日【月】19時44分48秒
【(*´∇`*)】川柳と短歌を始めました。
2013年11月4日【月】19時43分21秒
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2013年1月7日【月】18時48分51秒
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感慨

 16日土曜日の朝、幸恵は明子と共に迎えの車に乗って、早々にマンションを発った。
 音子に聞いたところ、その際の幸恵からは、死への予感はなかったと言う。
 だけど「大丈夫なのさ!」と言う音子の笑顔が、少し悲しく見えた。
 気のせいかもしれないが、豊は少し気になった。
 命は大丈夫だけれど、何か不安があるのか。
 それとも、本当はまだ、死への予感は払拭されていないのか。
 どちらにしても、此処から先は、音子の言葉を信じて、幸恵の無事を願うしかなかった。
 明子がついているのだから、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせた。
 そしていよいよ、音子の本当の目的を達成させる為のタイムリミット、運命の日はおそらく明日だ。
 昨日夜、明子に聞かされた病院、そしておそらく今日泊まりそうなホテルにベクトル線を引いてみると、綺麗にラインが一致した。
 病院の周りをストリートビューで調べたら、すぐに事故現場が見つかった。
 豊と音子は、今日は元々学校を休むつもりだったし、朝から命の恩人探しをする為に横浜へと向かった。
 昼ごろ、事故現場付近をウロウロしてみたが、それらしい人物は見つからない。
「そんなに簡単に見つかるわけもないか。」
 豊のそんな言葉にも、音子は豊の腕にぶら下がりならが、楽しそうにキョロキョロと辺りを見回していた。
「あっ!」
 不意に音子が声をあげた。
 豊は、命の恩人が見つかったのかと思った。
 音子が指差す先を見ると、小さな公園があった。
 どうやら見つかったわけでは無かったようだ。
 豊は音子に引かれるがまま公園に入ると、そこには沢山の猫がいた。
 走りまわる猫、昼寝をする猫、何かを食べている猫、色々いた。
 この中に、人間になる前の音子がいるのかと思ったが、それらしい三毛猫はいなかった。
 もしかしたら、この猫たちは、猫だった頃の音子の友達なのかもしれないと、豊は思った。
 それと、何故だかわからないが、少し懐かしい感じがしていた。
 そのまま歩いて公園を抜けると、場外馬券売り場があった。
 豊は競馬の事はよく知らないが、音子が興味を示していたので、入り口付近のモニターを眺めていた。
 すると音子が「おおwこの馬覚えているのさ。一着でゴールするのさ。」と、聞き捨てならない事を言ってきた。
 未来から来た音子だ。
 その音子が見たって言うなら、それが一着でくるはずである。
 豊は少し期待して音子に尋ねた。
「じゃあ、二着はどいつがくるんだ?」
 すると音子は少し「う~」とうなりながら画面を眺めていたかと思うと、突然「こいつなのさ!」と声をあげた。
 馬の番号で言うと、4番と13番だった。
 両方縁起の悪い数字だったが、騎手の名前には「豊」の文字と「幸」の文字が入っていたので、豊は少し買いたくなった。
 本当は高校生が買っていい物ではないが、豊はコッソリと「馬単4-13」を千円分買った。
 買った後で配当を見たら、二千倍を超えていたので、少しドキドキしてモニターを見ていたが、音子が腕を引っ張るので、結果を見る前にこの場を離れた。
 この時豊と音子は、ほんの少し離れたところにいた、命の恩人の姿に気がつく事はなかった。
 結局、1日かけて歩きまわったが、命の恩人と出会う事はなかった。
 残された手段は、当日その場で待ち伏せし、その男を助ける事だけ。
 そしてその際、きっとこの世界の音子も出てくるはずだ。
 そちらも助けなければならない。
 豊は此処まで、そんなに深くは考えていなかったが、命の恩人を助けたら、音子は助けられず死ぬ事になるのだろうか。
 それとも、音子は人間になれないまま、姿を消す事になるのだろうか。
 やっぱり人間になって、豊の世界線にくるのだろうか。
 何事もなかったとしても、音子は未来に帰る事になるのだろうか。
 正直どうなるかなんて、豊にはわからない。
 だけどきっと、明日が終われば、音子とはお別れする事になるのだろう。
 そう考えると、豊は凄く寂しい気持ちになった。
 横にいる音子を見た。
 音子は、キョトンとした顔で豊を見つめた後、満面の笑みを浮かべた。
「豊、ありがとうね。」
 そう言って、白い歯を見せた。
 豊はその音子の顔を見て、凄く照れくさい気持ちになった。
 同時に、涙があふれてきた。
 豊は涙を見られたくなくて、音子を抱きしめた。
「まだ、終わってないよ。明日、助けような。」
 豊の言葉には、少し涙が混じっているようだった。
 だけど、とても暖かく、とても力強かった。
 音子は豊の顔のすぐ横で「うん」と、一言だけこたえた。
  
 豊と音子は、公園のベンチに座って、星空を見ながら話をしていた。
 と言っても、星はそれほど多くは見えない。
 本当は、無数の星が輝いているはずなのに。
 自分の周りには沢山の人々がいるけれど、実はそのほとんどが見えていないのだろうなと、豊は思った。
 豊と音子の話は、たわいない話ばかりだった。
 二人とも、明日の来るべき別れについて、話す事はなかった。
 やはり音子には寂しい顔は似合わないから。
 いつのまにか、二人は公園のベンチで寄り添い眠っていた。
 そしていよいよ、運命の日の朝を迎えた。
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