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第三話 みかんの友達

みかんが俺を睨んでいる。
これは俺に、ノート使えという無言の圧力だ。
昼過ぎに起きて飯を食った後、部屋に戻ってから10分、ずっとこの状況が続いている。
 宗司「はぁ~。今日もなんか書いてみるか。」
 みかん「宗司最後ーー!!!」
それを言うなら最高でしょ?
それともホントに最後なのか?
死ぬのか俺?
そう言えば、2日前まで俺は死にたいと思っていたんだよな。
でもなんだろう。
今はそんな気が全くしない。
 宗司「みかん?」
 みかん「うーん。早く~!書いて書いて~!」
・・・
可愛い。
こいつのおかげかな?
なんだか死ぬのが惜しくなってきたような気がする。
よし、ノート書くか。
で、何を書く?
欲望のままに書いても、それはどうせ達成されない気がする。
些細な事を書くか?
些細な事なら、自分で普通にできるよな。
てか、善意に優しく、悪意に厳しいとか言ってたな。
ココは自分の為じゃなく、誰かの為に使うってのがいいのかも。
でもさ、俺友達いないじゃん?
ニートじゃん?
そんな事言っても、誰にも俺の善意を与えられないじゃないか。
ふと、俺の目に入るのは、小さな魔女ッ子みかん。
 宗司「おまえさ、何か欲しい物とか望みとかあるか?」
俺はみかんに聞いてみた。
 みかん「望み?んー、エナジーくれ!」
ノートを書いてくれれば良いって事か?
それだとなんにもならないんだけど。
 宗司「それ以外だと?」
 みかん「遊ぼう!!」
・・・子供だ・・・
あっ!そうか。
よく考えたら、こいつはどう見ても子供。
まあ、このまま人間サイズになったら、子供ってよりも、中学生くらいの容姿っぽいけど、子供に必要なのは友達じゃないだろうか?
 宗司「お前、仲間とかっているのか?」
 みかん「仲間?」
 宗司「ああ、お前と同じ、ちっこい魔女ッ子がいるのかと聞いている。」
 みかん「んー。いるんじゃないかな?見たことないけど。」
ほう、いるのか。
でも見たことが無い?
 宗司「見たことないのに、どうしているってわかるんだ?」
 みかん「この星にいるかどうかはわからないけど、いるのは確かなのさ。で、おそらくはこの星にも、いる確率はそこそこあるのだ。」
 宗司「ふむ。じゃあ、誰かと一緒にこの星に来たわけではないのか。でもおそらくいるだろうと。」
 みかん「うん。」
 宗司「じゃあ、ココに魔女ッ子に会うって書いたら、会えるのか?そしてみかんと友達になったって書いたら、友達になれるのか?」
やっぱり、友達って大切だよね。
俺友達いないから、凄く欲しいモン。
なんでも話せる友達が。
できれば女の子がいいけど。
 みかん「宗司優しいのだ・・・」
みかんは目に涙を浮かべて感動していた。
しかし・・・
 みかん「でも、無理だと思うのさ・・・」
みかんの顔はすぐに悲しそうな顔になった。
 宗司「どうしてだ?ノートに書いたら、実現されるんだろ?」
悲しそうな顔を見ていたら、こっちも悲しくなってきた。
 みかん「そうなんだけど、この星にいないと流石に無理なのさ。」
 宗司「さっきいるっていったじゃん?」
いるって言ったのにいない?
どういう事だ?
 みかん「おそらくいるけど、出会う事のできる魔女ッ子がいないのさ。」
こいつ、自分で魔女ッ子って言ってやがる。
ふふふ。
って、それはどうでもいいんだけど。
 宗司「どうしてだ?」
いるのに会えない。
なんか悲しくなるだろが。
 みかん「んー。一言で言うと、ノートを持つ人間同士が干渉しあえないように、魔女ッ子同士ではお互いが見えなくなるの。もちろん人間の方からも。」
なるほど。
こんなノートを持つ奴が集まったら、何しでかすかわからないとでも言うのだろうか。
確かに、今俺一人だから何していいか思いつかないけど、沢山集まれば何かとんでもないことができてしまうかもしれない。
ん?まてよ。
でも、俺はこいつにノートを貰う前に出会ったわけで、もう一人同じように見えれば、そいつも俺の魔女ッ子になるんじゃ?
 宗司「ご主人様が決まってない魔女ッ子に会っても見えないのか?」
 みかん「ううん。見えるよ。でももう何日も経ってるし、ご主人様をみつけてない魔女ッ子なんて、いないと思う。」
見込みはほとんどないって事か。
でも、ゼロではないんだよな。
 宗司「試してみて、いいか?」
おれは一応聞いてみた。
 みかん「そんな事する人って、いるんだね。ご主人様の過去の歴史の中で、そんな事する人見たことないのだ。」
 宗司「おお!俺って史上最初の人間になるのか。なんかかっけぇー!」
俺はノートに書き始めた。
魔女ッ子がいれば、見つけるのに、たいして手数が必要な気がしない。
それにこれは善意だ。
と思う。
俺はノートの二行目に、「俺はみかん以外の魔女ッ子に出会った」と書いた。
 みかん「きっと、出会ったの後に、気分をあじわったとか書かれちゃうのさ。」
なるほど。
無理な事を書いた時は、そんなふうにかわされるのか。
文字が書かれ始めた。
一行だけだったので、すぐにその行為は終わった。
なになに、「今日も俺は散歩に出る。すると公園で」書かれていたのはこれだけ。
その後に、俺が書いた、「俺はみかん以外の魔女ッ子に出会った」があるだけ。
 みかん「えっ!?もしかして、まだ本当にご主人様が決まっていない魔女ッ子がいるの?てか、こんなに近くに?」
みかんが驚いている。
これはそうとう珍しい事なのだろう。
ってか、俺が初めてこんな事を書いたんだから、珍しいどころか初めてなんだろうけど。
 宗司「まあ、そういう事だ。とりあえず公園、行ってみるか。」
俺は少しフリーズ状態のみかんを肩に乗せると、家を出た。
今日は犬とすれ違う事もなく、すぐに公園についた。
パッと見、魔女ッ子らしい姿はない。
 宗司「小さいからな。」
俺はちょっと不安そうなみかんの頭を指でなでた。
みかんはちょっと嬉しそうにしていた。
ベンチまで来た。
しかし魔女ッ子らしい姿は見えない。
 みかん「やっぱり、何かの間違いだったのかなぁ~」
少し、いやかなり、みかんは残念そうな顔をしていた。
 宗司「そうあわてなさんな。ココで会うことになってるんだから、少し待ってみるべ。」
俺はベンチに座って、背もたれに体をあずけて上を見る。
ポコッ!
白だ。
何かが上から落ちてきた。
そして顔に乗っかった。
おそらく、ベンチの上まで張り出している枝から落ちてきたのだろう。
もちろん、鳥の糞が落ちてきたわけではない。
なんせドキドキワクワクな白が見えたのだから。
 魔女ッ子「あれ?どうしたんだろ?この人、私を通り抜けないよ?もしかして、ご主人様?」
ちょっと喜んでいるようだ。
良かった良かった。
でも、先に顔からおりてくれないかな?
ずっと白いのが見えてるんですけど。
 みかん「・・・」
 宗司「どうしたみかん。お前にも見えるのか?」
 魔女ッ子「ええっ!もしかして、この方は、既に所有者になっちゃってる?」
俺の顔の上で立つ魔女ッ子の前に、みかんが立つ。
ってか、俺の顔の上で、なにしてんだこの野郎。
野郎じゃないな、白いのが二つ見えるもんな。
 みかん「うん。こいつは私のなのさ。」
いや、別にみかんの持ち物になった覚えは無いぞ?
 魔女ッ子「うーん。譲ってくれる気は?」
なんと、譲る事とかもできるんだ。
ってか、二人とも俺が面倒みる事はできないのか?
 みかん「譲るなんて、できないのさ。」
 魔女ッ子「だよね・・・」
魔女ッ子は俺の顔の上で、ガックリと座り込む。
白いのが見えなくなった。
 宗司「てか、いつまでチミ達は、俺の顔の上にいるのかね?」
俺は二人を捕まえる。
 みかん「うわぁぁ!!」
 魔女ッ子「きゃー!な、何を?」
暴れる二人を、二人?
まあいいや、二人をベンチの上に置いた。
二人とも、ちょこんと座ってこっちを見ていた。
・・・
可愛いよな。
俺はオタクではないけど、美少女フィギュアを集める方々の気持ちが、少し分かった気がした。
 宗司「お前達、今日から友達な。」
俺は二人を、交互に指さす。
 みかん「んー。ロボダッチ?」
 宗司「いや、全然違うし。しかもなんでそんな古いもの知ってるんだ?」
 魔女ッ子「あっ!勉強ロボ!」
 宗司「ああいたね。って、お前もなんでそんなの知ってるんだ!?」
俺のツッコミは無視して、みかんと魔女ッ子は見つめ合っていた。
 みかん「よろしくなのさ。」
 魔女ッ子「うん。こちらこそ。」
うんうん、良かった良かった。

俺は、両肩に両魔女ッ子を乗せて、家路に向かっていた。
 宗司「で、お前名前は?ああ、俺は尾北宗司だ。」
 みかん「ああ!名前言っちゃった!」
どういう事だ?
 宗司「名前言っちゃダメなのか?」
 みかん「契約を成立させるには、名前を聞き出して、それをノートに書く事なんだよ!」
 宗司「じゃあ二人とも俺に仕えればいいじゃないか。」
 みかん「ダメだよ。後から契約されちゃうと、先の人が追い出されるのさ。きっと・・・」
・・・
きっとってのは、過去に実例がないからって事なんだろうけど。
 魔女ッ子「そんな事しないよ。だって友達でしょ。」
魔女ッ子はニッコリと笑った。
 みかん「うん。ありがとう。」
んー、俺としては、この子でも全く問題ないんだけどな。
 みかん「うわーん。今、宗司が私を捨てようと考えたよー!」
 宗司「いや、そんな事しないって、大丈夫だから、大丈夫。」
 みかん「ほ、ほんと?」
 宗司「ああ、この目を見てみろ?な?」
・・・
今一信じられないか?
でも俺はみかんを捨てる気はないけどな。
みかんの顔が笑顔になった。
 みかん「わーい!」
みかんが俺の顔に抱きついてきた。
 宗司「顔に張り付くな。全く・・・」
通りすがりのおばさんの顔が、不信感いっぱいだ。
やばい。
俺は顔のみかんを引き剥がすと、元の肩にのせて、黙って歩いた。
 魔女ッ子「私は、ゆずっていいます。ヨロシクです。」
さっきの質問の答えだ。
 みかん「あれ?名前教えても大丈夫だったっけ?」
 ゆず「そう言えば、前例がないね。」
 みかん「やっぱり私、追い出されちゃうのかな?うう・・・」
 宗司「ああ!大丈夫だって。捨てたりしないし。」
俺はなんだかとても楽しかった。
数日前からは考えられないくらい、充実した時間をすごしている気がした。
だが、この後とんでもない事に巻き込まれる事になる。
この時の俺には、気づくよしもなかった。
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