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第四魔法学園防衛戦(前編)

 我が第十八部隊は、とりあえず学園防衛の任務を言い渡されていた。
 他の部隊も、どうやら皆同じらしい。
 で、教師達は、高村産学園長を残して、楽浪の拠点、楽浪城を奪取すべく出撃していた。
 どうやら、できる限り学園を戦場にしないように配慮したのだろうが、どうせ戦闘は免れようもないし、この作戦は愚策としか言いようがない。
「もしかしたら生徒が戦わずに済むかもしれない」作戦よりも「より多く生き残れる」作戦を考えてもらいたいものだ。
 まあそれでも、すぐに戦闘にならないのなら、その時間は有効に使わなければならない。
 私は部隊のみんなと、学園長室へと赴いた。
 目的は、跳雲と話す為だ。
 学園の主要な人物は、多少は力量を理解している。
 だけど、跳雲だけは未知数だし、連携するにも話し合いは必要だと思えた。
「第十八部隊リーダーの凰印です」
「あ、跳雲です。私は一年なので、敬語は不要です」
「そうです・・・そうか。私たちも皆一年なので、普通に話しましょう」
 私は、跳雲からあふれ出る魔力を、近くで感じていた。
 魔力というのは、魔法を使っていな時でも、極微量ながら漏れ続けている。
 気配を感じるという感覚は、正にその魔力を感じとったものだ。
 それは人間に限らず、動物や植物、魔宝石やマジックアイテムからも出ているわけで、それを敏感に感じ取れてしまう私にとって、普段の生活は、漏れる魔力の霞の中で生活しているようなものだ。
 そんな私から見た跳雲は、深い霧の中にいるようだった。
 要するに、気配だけで判断すれば、跳雲は此処にいる誰よりも強いと感じられた。
「で、私に話とは?」
「そうだな。まずはどの程度の使い手なのか知っておきたかったわけだが、聞かなくても分かったからそれはいいや」
 体つきを見れば、身体強化系の武闘派である事もわかるし、もしかしたら罵蝶よりも強いかもしれない。
「そうか。これでも第一の主席だからな。それなりにはやれると思う」
 部屋の隅には、槍が立てかけられていた。
 罵蝶と同タイプの武士か。
 だが、魔力の量も侮れないし、それなりに魔法の心得もありそうだ。
「ふ~ん。槍を使うのか。一度手合わせしてみたいものだな」
 罵蝶に相手の力量が測れるとは思えないが、強い者は強い者を知ると言うし、何かを感じているのかもしれない。
「まあ、戦争が終わってから検討しよう」
 跳雲は、罵蝶の言葉にも真面目に返答していた。
「それよりも私が聞きたいのは、敵の戦力がどの程度のものなのか知りたいのだが」
 本来なら、学園長から発表があっても良いものだ。
 だが、その辺りは全く伝えられていない。
 楽浪と遼東の兵力をそのまま考えれば、四千人規模だと予想はできるが、正確な数字を把握しておくにこしたことはない。
「数か。正直全ては把握していないが、反乱軍全てで約五万だ。それを超える事はあるまい」
 跳雲の言う事に違いはない。
 ただ、こういう言い方をしたのは、自分の強さに自信があるからなのか。
 それとも、全く予想できないのか。
 はたまた言わない方が良いと思って、ごまかしているのか。
 その本意は読みとれそうになかった。
「では、この戦争、この学園に限定して、勝てる見込みはあると思うか?」
 跳雲は私達を順番に見て、少し考えてからこたえた。
「凰印、何故君がこの部隊のリーダーなのか分からない。もしこの部隊を、私に預けてもらえれば、勝てる可能性はかなりあると思うが?」
 まあ、そう思われても仕方がないだろう。
 私もそう思わなくもないからな。
 もし、みんながそれで納得するなら、私は別にそうしてもかまわない。
 だが、うちのメンバーは、そんな事を素直に受け入れる奴らではなかった。
「ふっ。跳雲は、凰印が弱いと思っているみたいだから、一応言っておくけど、たぶん戦ったら、あなた負けるよ?」
 おいおい愁癒、それは言いすぎだろう。
「ほう。私がこの中の誰かに負けるとは思えないが?」
 跳雲は第一の主席だ。
 だからそれなりにプライドは持っているようで。
 少しプライドを傷つけられて、今日初めて感情的に反論してきた。
「私も、誰にも負けるつもりはない。だが、もし負けるとしたら、凰印だけだろうな」
 プライドの高い愁癒が、そんなに私を評価してくれるのは嬉しいが、やっぱり言いすぎだって。
「俺も負けるつもりはないぜ。魔力の強さだけが、戦闘での強さだと思うなよ」
 歌琥まで少し熱くなっていた。
 それに何気に、私をフォローするような事も言っているし。
「私は歌琥と一心同体だよぉ~w」
 兎琴とのコンビは、確かに最強かもしれない。
 その主張が、何を言いたいのかは理解できないが。
「何を言っている。私が最強だ。なんせ学園どころか、世界一だからな」
 罵蝶が言うと、結構あり得ると思えるから不思議だ。
「わ!うちは、そんなに強くはないけど・・・」
「凰印と組めば、無敵モードが発動できる」
 香那、君はこの中で唯一、マスタークラスだとハッキリ言える使い手なのだよ。
 それに愁癒は、何故そんなに私をよいしょしてくれるのだ?
 なんだか照れくさくなってきた。
「そうか。私は高村産学園長の支持で動く予定だったが、君達と同行したくなった」
 跳雲が、いきなりそんな事を言いだした。
 強い者が加わってくれると言うなら、それは喜ぶべき事なのだろうが、預かる命が増えるのは、正直重荷にも感じる。
 私はすぐには返事ができなかった。
 すると愁癒が跳雲に尋ねた。
「それは、凰印の支持に従うという事だが、それで良いのか?」
 愁癒の言葉に、跳雲は少し笑みを浮かべて「いいだろう」と了解していた。
 それから間もなく、臨戦態勢を取るようにとのチャイムが、学園内に鳴り響いた。

 全生徒は、臨戦態勢に入っていた。
 もう間もなく反乱軍が、第四を壊滅させる為に攻撃をしかけてくる。
 それは即ち、教師達の攻撃が失敗に終わったという事だ。
 やはり教師も、共に行動するべきであったろう。
 でも今更、そんな事は言ってはいられない。
 現有戦力で、我々は戦闘のプロ達と戦わなければならなかった。
 そこで私は、少しでも優位に戦えるように、学園内を一人歩いていた。
 敵が来れば、携帯電話で呼び出してもらう事になっている。
 その前に、生き残る為の仕掛けをしておきたかった。
「よし、こんなもんか」
 正直仕掛けをしてはいたが、本当にこれを使う事があるのか疑問ではあった。
 そこまでする必要はないかもしれない。
 これを使わないまま死ぬかもしれない。
 でも、そう思いながらも、やれる事はやるのが私のポリシーだ。
 それに、私は戦争を知らないのだから。
 全ての仕掛けを終えると、私は皆の所に戻った。
 すると時を同じくして、敵の姿を視界にとらえた。
「学園正門前、敵の軍勢確認。皆の者、迎え撃て!」
 学園長の声に、生徒は校舎の窓から一斉に攻撃魔法を放っていた。
 我が部隊では、歌琥、兎琴、愁癒、そして跳雲が攻撃魔法を放った。
 我が部隊は一年生ばかりだが、どこの部隊からの攻撃よりも、圧倒的な攻撃力があった。
 これに、旺盛先輩、露色先輩、そして珍形先輩がいれば、もっと凄かっただろう。
 今更ながら、敵の策略にやられた事を実感した。
 まずは遠方からの、魔法の撃ち合いとなった。
 パッと見たところ、戦力差は|五六《ごろく》倍あるように見えるが、正門前をクロスファイヤーポイントとして侵入を防いでいるので、今のところ五分に戦えている。
 それでも、一人、また一人と、学園周りの高い塀を超えてくる者が現れた。
「第六部隊、第七部隊で、侵入者に対応せよ!」
 学園長の命令通り、一階に待機していた、第六第七部隊は移動を開始した。
 だが、塀を超えてきているのは、敵の中でも上位の使い手に見える。
 対応は厳しいように思えた。
「もう少し戦線を維持したいな。いずれ突破されるにしても、此処でできるだけ削りたい」
 私の言葉に、愁癒も歌琥も頷いた。
「跳雲、君は独自に指揮権を認められていたよね?」
 実は跳雲は、高村産学園長に、副司令官として指名されていた。
 学園長がやられた時にも、全てを引き継ぐ事になっている。
「君の権限で、私の支持を許可してもらいたい」
 私の言葉に、跳雲は少し考えてから頷いた。
「良いだろう。で、誰に何を支持するんだ?」
 跳雲の許可を得て、私は直接本人に支持を出した。
 時間が惜しいと思ったから。
「罵蝶、右からの侵入者を薙ぎ払ってきてくれ」
 私がそう言うと、罵蝶は「おっけい!暴れてくるよ!」とこたえて、すぐに窓から外に飛びおりて走っていった。
 どうやら何もしていない状況は、罵蝶には退屈だったようだ。
「で、跳雲、君には左からの侵入者を止めてもらいたい」
 この状況なら、まだ兎琴でも対応できるだろうが、後の事を考えれば、やはり跳雲の能力も見ておいた方が良いと思えた。
「ふむ。まあ私も、魔法よりは槍での戦いの方が良いからな」
 跳雲は槍を一振りすると、罵蝶と同じように窓から飛び降りて、歩いて左からの侵入者へと向かって行った。
 まったく、二人とも常識はずれだな。
 三階から飛び降りても、何も問題がないのだから。
 さて、これで後しばらくは、この戦線を維持できるだろう。
 だけど、正門を突破されたら、一気に昇降口から敵がなだれ込んでくる。
 そこからはゲリラ戦だ。
 私に全指揮権があれば、なだれ込んできた敵に魔力球をぶつけてやるところだが、第六第七部隊を巻き込みそうだし、この作戦は使えない。
 となると、中に誘いこんでから戦うのが上策ではあるが、我が学園の布陣を見ると、昇降口を死守しようとしているように見える。
 それをすると、今度は逆に敵の集中砲火を浴びて、大ダメージを受けるのはこちらになるわけだが、さて、どうしたものか。
 良い作戦を思いつく前に、どうやら正門が突破されそうだった。
 そう判断した私は、携帯電話で罵蝶の携帯電話を呼び出す。
「五、送信っと」
 異世界でのバイブ着信のように、罵蝶の携帯電話を揺らした。
 罵蝶がこちらを見ているのを確認すると、手をこちら側に戻るように動かして、撤退を促した。
 罵蝶は明らかに残念そうだったが、一人倒してからこちらに走ってきた。
 それを見て跳雲も、ゆっくりとこちらに戻ってきた。
 それらの行動を見て、第六第七部隊も一度引いてくれればと思っていたが、学園長からの支持も無く、そのまま戦い続けていた。
 ほどなくして、一気に正門は突破された。
 敵からの魔法攻撃が、我々のいる窓へも行われ始めた。
 最後に魔力球を敵の中に投げ込みたかったが、第六第七部隊の学生がまだ残っていたので、それはできずに、対魔法加工を施してある窓を閉めた。
 罵蝶と跳雲が戻ってくる頃には、既に昇降口への侵入を許していた。
 私としては、侵入を阻止するより、入ってくるところで迎え撃てればと思っていた。
 しかし千里眼で確認したところ、正に入り口を死守しようとしていた為、守りについていた部隊は一気に壊滅させられていた。
 ちなみに私の千里眼は、その名にふさわしくなく、一里すら見通せない。
 その距離は色々な条件によっても変わるが、知る場所は見通しがきくので、学園内の戦闘を確認するのは容易い。
 校舎前の広場も確認すると、外で頑張っていた第六第七部隊も、既に壊滅していた。
 命令に従うのも結構だが、死んでしまっては意味がないと私は思う。
 別に軍人ではないのだから、自分で考えて行動するべきだ。
 ひとりの勝手な行動で戦線が維持できなくなるとか、そんなものは、ただの学生に求められても、知った事ではない。
 まずは自分自身を守る事だろう。
 とにかく、いくつかの部隊は、あえなく壊滅していった。
 さて、学園の校舎は、上から見るとコの字になっている、三階建ての建物だ。
 コの字の縦部分の真ん中に昇降口があり、角と端に階段が計四か所ある。
 端と昇降口の奥には内側への出口があり、中庭や、更に奥の施設、生徒寮棟や、部隊ルームのある第二校舎、鍛冶場、洋裁工房へと続く。
 現在中庭には、高村産学園長と合計三十部隊程度が、中庭に出てこようとする敵を食い止めている。
 作戦としては、ゆっくりと中庭に敵を引きこみ、校舎の教室の窓から、一斉に魔法攻撃をする予定だ。
 校舎自体を破壊されれば、意味は無いように思える戦い方だが、校舎はそう簡単に壊せるものではない。
 城などもそうだが、学園の校舎もその基礎的な部分は、多くの魔法使いの手によって、魔法に対する耐性を持たされて建てられているのだ。
 敵もこの状況をすぐに把握し、学園長のいる中庭への侵攻よりも、まずは校舎内の制圧へと作戦を変更してきた。
 我が部隊は、昇降口から入って右側、南側校舎の三階、手前の階段と、そこに一番近い三年三組の教室の防衛が担当だ。
「歌琥と兎琴は三組の教室の窓から、中庭の様子を見つつ援護、他は昇降口横の階段から上がってくる敵を撃つ」
「了解!」
 皆の声は、特に悲観的には聞こえなかったが、やはり実際に攻められてみると、その圧倒的な圧力に、少し気持ちが押されているように感じた。
 なのに、私はどういうわけか、気持ちが落ち着いていた。
 だが考えてみると、それはそれほど不思議な事でもない。
 この三カ月はみんなに守ってもらうだけで、自分で自分の命を守れる状況ではなかった。
 それだけじゃない。
 子供の頃から魔力が小さかった私が、生きていけるかどうかは、全て他人任せだったのだから。
 だけど今は違う。
 自分の意思で自分の命を守れる立場にあるのだ。
 それなりの対策もしてある。
 みんなの命を預かっているのは気が重いが、それでも今はやられる気が全くしない。
 これだけの仲間がいるのだから。
 私は出し惜しみせず、コントロールシールドと魔法反射の盾を展開しておいた。
「大丈夫。今のところ私たちの部隊がやられる要素は何もない」
 そう、私たちの部隊は。
 心配があるとしたら、他の部隊だが・・・
「あったりまえだろ!私は無敵だからな」
 流石に罵蝶だ。
 超名門の血筋は、こんな時でも一切曇りがないのだな。
 私は後ろを振り返った。
 長い廊下が続いていて、一組と二組の教室にはそれぞれに部隊が待機しているのだろう。
 そして東よりの階段は、別の部隊が守りについている。
 私に今不安があるとしたら、そちらの階段より上がってきた敵に、後ろを取られて挟み撃ちにされる事か。
「香那、一応東側の様子を見ておいてくれないか。敵が一人でも三階まで来るような事があったら報告よろしく」
「わ、分かったよ。す、すぐに報告するよ」
 香那は、少し平静ではないようだ。
 我が部隊最高の能力者ではあるが、それは戦闘能力ではないからね。
 恐怖して当然だ。
 こんな幼い子供みたいな可愛い子が、どうして戦争に参加させられるんだ。
 私は勝手ながら、納得いかない気持ちでいっぱいになった。
「私がきっと守るから。だから戦いが終わったら、デートしてね」
 香那は、顔を真っ赤にして、私の腕のあたりをはたいてきた。
 まったく、私はこんな時に何を言っているのやら。
 それにしても、香那は今まで会った女の子とは違うんだよな。
 あれだけの能力を持った人には、無能者の私なんて、まず相手にもしてもらえなかった。
 何を言っても「バカじゃないの?」みたいな目で見られていたのに。
 それを言うなら、この部隊のメンバーみんながそうか。
 多少バカにはしているところもあるけれど、認めてくれてもいる。
 私は愁癒の肩にポンと手を乗せて、後ろに下がるよう促すと、部隊の一番前に出て、階段の踊り場を、壁の陰から覗き見た。
 下の階から大勢の声が聞こえてくる。
 私は神経を研ぎ澄ませ、下の階から伝わってくる魔力を感じた。
 千里眼はなるべく使わない。
 魔力の回復力はあっても、やはり疲れるからね。
 使わなくても良いところで、無理に使う必要もないだろう。
 魔力気配を感じるかぎり、どうやら今、二階の階段付近は制圧されたようだ。
 魔力のぶつかりあう地点が、階段付近から離れていた。
 もうすぐこちらにも、敵がやってくる。
 私は少しドキドキしていた。
 先日も戦闘していたのに、おかしな話だ。
 まっ、規模が違いすぎるからかな。
 それよりも今、魔力気配を感じ取っていて思ったのだが、今日の愁癒からは、いつも以上の魔力を感じる。
 何かマジックアイテムでも持っているのだろうか。
 体調によっても魔力は上下するから、いつもと違うからと言って、別に懸念する材料にはならないが。
 それに、いつもよりも強い魔力なのだから、特に考える必要はないだろう。
 そんな事を考えている中、とうとう敵の姿を踊り場でとらえた。
 私は壁の陰に入ってから、携帯電話を操作した。
「えっと、踊り場の爆破は、一、一、〇、送信っと」
 すぐに大きな爆発音が辺りに鳴り響いた。
 爆風が、すぐ横を勢いよく通り抜ける。
「ちょっと強すぎたか?」
 他の部隊の学生が巻き込まれていないか心配だが、気配は無かったので大丈夫だろう。
「凄いね。相変わらず」
 愁癒が横で笑っていた。
 先ほどまでは少し険しい顔をしていたが、この爆破でリラックスできたのか。
 いや、目が覚めたと言った感じかもしれない。
 私は愁癒に笑顔でこたえてから、皆に支持をだした。
「罵蝶、跳雲は、ここで上がってくる敵を止めてくれ。愁癒はそのサポート。あと一応、西側校舎から敵が来た場合も対応よろしく」
「ひゃっほーい!」
 罵蝶は階段を一気に飛びおり、踊り場へと降り立った。
「ふん!一人も通さない」
 跳雲は優雅に、でもやっている事は罵蝶と同じだった。
 愁癒は笑顔で、やれやれといった感じに私の顔を見ていた。
 さて、今の爆破の一撃は、流石に敵も堪えたようで、階段を上がってくる敵は慎重だった。
 少数で少しずつ上がってくる。
 だけど、少数だと罵蝶と跳雲の敵ではない。
 更に愁癒もいるのだから、階段を突破される懸念は全く無かった。
 西側校舎の三階を通ってこちらに来たとしても、この三人なら間違いなく対応できる。
 問題があるとしたら、やはり後ろか。
 私は振り返って、香那のところまで歩いて行った。
「こっちの階段は大丈夫だが、あちらはヤバそうだな」
 私は香那の頭の上に手を乗せて、廊下の向こうで、動きが慌ただしくなっているのを、この目で確認した。
「うん、大丈夫かな?だよ」
 正直、大丈夫とは言えない。
 あちらの階段の様子から、こちらの校舎の一階か二階は、既に敵に占拠されてしまっている事がわかる。
 だとすると、中庭の攻防もそろそろ限界だろうし、校舎を固持し続けるのも、戦略的意味が薄れてくるな。
「もう少し見張りよろしく」
 私は香那にそう言って、頭をポンポンとなでるように叩いてから、歌琥のいる教室の中へと入っていった。
 歌琥と兎琴が中庭に向かって魔法を放つ横から、私は中庭の様子を|窺《うかが》った。
 もう完全に、我々の部隊は中庭から追い出されていた。
「もうすぐ学園長は、寮棟か第二校舎まで引く事になるだろう」
 歌琥は魔法を放ちながら、こちらに視線を向ける事なくそう言った。
「だな」
 私も歌琥と同じ見解だ。
 だったら学園長が引く前に、私は一発魔力球を、敵の中に放り込もうと思っていた。
 だから|一二《いちに》階の状況を確認する為、私は千里眼を発動した。
 一階はどうやら全滅のようだが、二階にはまだ生徒の部隊が残っているようだった。
 一階も二階も全滅していれば、気兼ねなく魔力球を放り込む事ができただろう。
 だけど今、魔力球を放り込んだら、味方を傷つけてしまう事になるかもしれない。
 味方の全滅を望みはしないが、私は複雑な気持ちになった。
 全滅するなら一刻も早く、そうでないなら、逃げてはくれないものだろうかと。
 もしくは、下の階のリーダーにも、携帯電話を持たせる事ができていれば、一時的に窓から離れるように支持を出せたのに。
 そうこうしている間に、学園長と各部隊は、一気に後退を開始した。
 チャンスを失ったか。
 そう思った時、最後まで抵抗していた下の階の窓から、爆発の炎が噴き出した。
 やられたか!
 私は一瞬、喜んでしまった。
 喜んだ自分を嫌悪しつつも、私はチャンスを逃すまいと、魔力球を敵のど真ん中へと投げ込んだ。
 それが敵の中に消えていく寸前に、私は針のような魔法の矢を、魔力球に突き刺した。
 大きな爆発音と共に、爆風と炎が大勢の敵を呑み込んだ。
 敵は一瞬にして煙の中に沈む。
 爆風と一緒に飛んできた鉄の破片が、私の頬をかすめた。
 頬から少しだけ血が流れ出た。

 爆発は私の思った以上で、三階にいる自分まで傷を負う事になった。
 幸い他の学生に怪我は無さそうではあるが、不用意にこれは使えないと思った。
 全てを把握していれば、私が指揮をとっているなら、使いどころはもっとあるのだろうが。
 だが、結果的には、敵の多くを一気にたたく事ができた。
 人数的にもまだまだ我々が不利ではあるが、多少はマシになったと思いたかった。
 私は再び廊下に出ると、香那の見つめる先、東の階段方向を確認した。
 まだなんとか持ちこたえているようで、後しばらくは大丈夫そうだ。
 すぐに西の階段を確認に行くと、罵蝶と跳雲が無双していた。
 愁癒は少しあきれた顔で、私の顔を見た。
「うぉらぁ~!これで百二十一人目!」
「なんの!私もこれで百二十一人目だ!」
 罵蝶と跳雲は、二人で二百人以上を倒しているようだ。
 流石に二人の言葉を聞いて、敵もたじろぐ。
「愁癒、きっと敵も、このままで終わらないだろう。何かしてくる可能性があるから、その時はよろしく」
「まあ、何があっても大丈夫そうだけどね」
 愁癒の言う通りだとも思うが、油断は禁物だ。
 敵は戦争のプロなのだから。
 それにしても、殺した人の数を誇らしげに言うのも、正直どうかと思う。
 いやこれは、別に罵蝶たちを批判しているわけではない。
 戦争とはそういうものなのだから。
 私もたぶん、既に百人ほどは殺しているだろう。
 始まって数時間の戦争だが、何だかやりきれない気持ちになった。
 私は再び、香那の所へと移動した。
 廊下の向こうには、戦う生徒の姿が見える。
 が、もう間もなく突破されるに違いない。
 なんとか助けられないだろうかとも考えたが、私はまともに戦った事がない。
 助けに行く勇気はでなかった。
 悔しさで私が唇を噛んで俯いた時、いきなり担当する教室の隣、二組の教室で爆発が起こった。
 ドアは破壊され、煙が廊下に流れ出てきた。
 驚いてしゃがみ込む香那の前に、私は無意識に体を入れていた。
 理屈としては、私が死んでも香那がなんとかしてくれると考えられるが、そこまでは考えていなかった自分の無意識の行動に、私は自分自身驚いた。
 私にもこんな事ができるのだなと、少し救われた気持ちになった。
 中庭への攻撃をした時の自己嫌悪が、まだ気持ちを沈ませていたから。
 少し火の手が収まってくると、私は香那と共に、爆発のあった教室の中を覗き込んだ。
 教室の中はボロボロで、生徒が何人か倒れていた。
 私の見たところ生存者は無かった。
「香那、みんなを蘇生する事はできるか?」
 私はきっと、みんなは無理だろうと思っていた。
 蘇生の魔法は、そんな簡単なものではない。
 条件も厳しく、一日一人ってのが普通だろう。
 だが、私の考えとは逆のこたえが返ってきた。
「完全に蘇生する事はできないけど、六人とも蘇生は可能だと思うよ」
 なんて子だ。
 流石に癒しの天使だ。
 だけど、少し喜んだのもつかの間、香那は言葉を付け加えた。
「でも早急に、誰か白魔術師の治療が無いと、再びすぐに死んでしまうと思うよ。蘇生できると言っても、全ての魔力と引き換えだよ」
 なるほどそういう事か。
 香那の蘇生は、一日一回、全ての魔力と引き換えに行える。
 複数人も可能だが、その場合回復度合いは当分されるわけか。
 どうする?
 私は判断を迷った。
 だが、助けられるなら、一人でも助けた方が良いだろう。
「よし、誰か一人でも・・・」
 私がそこまで言った時、窓から教室の中に火球が飛び込んできた。
 ヤバイと思ったが、退避する時間は無かった。
 なんとか香那を守らないと。
 私は香那の前に、向かい合うようにして立ち、背中の方向にコントロールシールドを展開した。
 香那の顔を見ると、その目には何も映っていないようだった。
 爆発音が響く。
 敵の火球の大きさから、当然コントロールシールドだけでは、全てを防ぎきれないと思っていたが、何も背中を襲うものは無かった。
 振り向くと、そこには魔法による盾が展開されていた。
「聖なる盾?・・・」
 私は初めて見るものだが、話に聞いたそのままなので一目で分かった。
 光り輝くその盾は、あらゆる物を遮断しそうな雰囲気だった。
 ちなみに、魔法の盾は、魔力により攻撃などを遮断するが、聖なる盾は、物理的に盾がそこに存在する。
 ある意味、盾の召喚と言った感じだ。
「凰印、無事か?」
 香那がそう私に尋ねてきたが、明らかにいつもの香那とは思えない違和感を覚えた。
「あ、ああ。香那?」
 それに香那の目は、私を見ているはずなのに、何処か違う世界を見ているようだった。
「私は、香那であるが、香那ではない。この子と契約している、天界のガブリエルだ。この子の身に危険が迫った時だけ、私が体を預かる事になっている」
 なんとまあ、まさかこんなところで、天界の住人と話をする事になろうとは、思いもしなかった。
 しかもガブリエルとは。
 ガブリエルは、天界の四大天使の一人で、守りに強い守護天使だ。
 と、聞いた事がある。
 そんな天使が、香那の契約者だったとはね。
 白魔術、黒魔術、精霊魔術、妖術は、それぞれ天界、魔界、精霊界、妖精界の住人との契約によって使う事のできる魔法である。
 そしてその契約は、なるべく、その世界の有力者であればあるほど良いのは当然だ。
 その人の力を借りるのだから。
 つまり、香那は世界最高峰の白魔術師になり得る逸材だって事だ。
「そうか。ありがとう」
 私はガブリエルの香那にお礼を言うと、遠くに悲鳴が聞こえた気がしたので、東側の階段方向を見た。
 階段で戦闘をしていた生徒は、どうやらみんなやられてしまったようだ。
 そしてこちらに敵が向かってくる。
 すると時を同じく、一番向こう側の教室から、生徒が出てきて鉢合わせしていた。
 お互いいきなりの遭遇に驚く中、教室内で爆発があったようで、爆炎がドアから噴き出して、敵味方両方を呑み込んだ。
 更に後ろの教室からも、歌琥と兎琴が飛び出してきて、ドアの陰に入ったところで、教室内で爆発が起こった。
 どうやら完全に中庭は制圧されたようだ。
 今後は窓から入ってくる敵にも警戒が必要だろう。
「教室の死守はそろそろ限界だ。どうする?」
 歌琥と兎琴が私の横まできてそう尋ねてきた。
「とりあえず、来る敵を叩くしかないか。どうにもならないようなら、窓から逃げて、高村産学園長と合流かな」
 逃げる算段はしっかりしてある。
 だけど私は、なんとか逃げずに、南側校舎に残りたいと思っていた。
 理由は当然、敵の背後をかき回したかったから。
 正規軍と、まともに向かいあって戦うなんて、馬鹿げているしね。
「そうだな。一組の連中も、そろそろ限界そうだし」
 歌琥も兎琴も、一組の教室の前で奮闘している部隊を援護する為、此処から攻撃魔法を放っていた。
 だけど歌琥の言う通り、状況はこちらに不利な様子た。
 そんな様子を見ていると、一組と二組の教室の間にある、資料室のドアのガラス部分から、赤い光が揺れているのが目に留まった。
 どうやら資料室内が燃えているようだった。
「歌琥、資料室が燃えているようだが、あの部屋には窓が無かったよな?」
 私は、その資料室のドアを見た時、あるデジャヴュを感じていた。
 そしてその意味をすぐに理解した。
 そう、同じような場面を、異世界のある映像で見ていたのだ。
「ああ。下の階か、横の教室か、熱によって発火したようだな」
 なるほど、それなら・・・
「歌琥、敵が資料室の前に来たら、ドアを破壊する事はできるか」
「部屋のドアは、対魔法加工はされていないから、楽勝だが」
「では、頼む」
 私は、今のところある程度安全なところにいる。
 このまま敵の攻撃が続き、罵蝶や跳雲ですらやられる事があって、全滅って可能もあるだろうが、現状を見る限り、私にはそんな想像はできなかった。
 だからだろうか。
 目の前で、喋った事もないとはいえクラスメイトが殺されている状況でも、私はこの戦いが、少し楽しいとさえ感じてしまっていた。
 私はそんな思いを振り払おうと、首をなんどか横に振った。
 間もなく、一組の教室前で戦っていた学生が全てやられ、敵がこちらに向かって歩いてきた。
 もしかしたら、校舎内で残って戦っているのは、我が部隊だけかもしれない。
 東側の階段からは、敵が湯水のごとくあふれ出るように上ってきていた。
 一瞬辺りが静かに感じた。
 歌琥も兎琴も攻撃を止め、敵が近付いてくるのを待つ。
 香那は私の腕をつかんで、少し震えているようだった。
 どうやらガブリエルは、天界に帰ったようだ。
 私の展開しているコントロールシールドたちが、音も無く前方を浮遊していた。
 歌琥が、魔法を放った。
 敵が一斉に魔法の盾を展開する。
 しかし歌琥が狙ったのは、敵の横にある、資料室のドアだった。
 魔法がドアに命中すると、ドアは一気に破壊された。
 すると部屋で爆発が起こり、敵を呑み込むように、炎が一気に廊下に出てきた。
「凄いな」
「異世界では、バックドラフトって言うらしい」
 原理まではよく知らないが、私が異世界で見た映像そのままだった。
 大勢の敵が炎で焼かれる中、一人が涼しい顔をして、炎の中からでてきた。
「あのおっさんは炎をレジストしたのか。強いな。罵蝶や跳雲と互角か」
 魔力だけでは強さは測れないが、私にはそう見えた。
 私は拳銃を構えた。
 おそらく、コレを使わないと勝てない。
 だが、歌琥は静かに拳銃にふれ、下げるように促してきた。
「ここは、俺と兎琴に任せてもらおう」
 兎琴は笑顔で頷いていた。
 なるほど、アレを使うのか。
「風の衣に|雷《いかずち》の翼!」
「|纏《まと》いて戦士、踊りませう。兎琴、まいります!」
 歌琥の魔法により、一時辺りの景色は、幻想世界へと変化する。
 兎琴の周りに風の波が漂い、やがてそれは体を包む。
 そして背中には、光り輝く翼があらわれた。
「思うのだが、その呪文のような台詞は、言わないと駄目なのか?」
 私は前に見た時、ちょっと恥ずかしいのではないかと思っていた。
「ああ。言わないと調子が出ないらしい」
 言霊という奴か。
 言葉にして発する事で、不可能も可能になるとか、誰かが言っていたな。
 兎琴を見ると、舞うように強い敵へと向かっていった。
 今の兎琴は、おそらく罵蝶や跳雲よりも強い。
 だが、この魔法にはデメリットもある。
 横を見ると、身動きのとれなくなった歌琥が、つっ立っていた。
 こちらに攻撃がくれば、私が歌琥を守らなければならない。
 歌琥へ攻撃なんて、そんな事は兎琴がさせないとは思うが、敵も強い。
 罵蝶たちの様子も見に行きたいが、今此処を離れるわけにはいかなかった。
「仕方がない。千里眼を使うか」
 私は魔力の回復が早いから、魔法を出し惜しみする必要はない。
 だけど、私の使う魔法は繊細で、繊細な魔法というのは、とにかく神経を使うわけで、ようするに疲れるのだ。
 特に千里眼は、見ている光景と、千里眼による映像が重なって、気持ちが悪くなり倍疲れるから、戦闘中に使うのはどうもはばかられる。
 それでも、今胸につけてあるブローチから、魔力の助力を受ける事ができるから、今までよりは楽になったのだけれどね。
 と言っても、この程度のマジックアイテムじゃ、そんなに大きくは変わらない。
 もっと良いアイテムがあればと、私は思った。
 たとえば、魔法の助力となるものとして代表されるのが、魔法使いが使う「スタッフ」がある。
 魔法の杖というやつだ。
 杖には魔宝石が埋め込まれ、魔法使いの魔力、コントロール、両方で補佐する。
 たとえて言うなら、十キロのオモリを移動させる際、十キロのオモリを持ち上げる力が必要なのは当然だが、十キロに耐えうる腕や、掴んでいられる指も必要となる。
 そういう物の代わりをしたり、純粋に力で援助したり、はたまた方向性を変えたりするのがスタッフの役割だ。
 十キロのオモリを持ちあげるのではなく、横に移動させるなら、或いはそれなら十キロのオモリを球状にするとか、テコの原理を利用させるとか、アイデアは色々だ。
 私は魔力が少ないから、普段から十キロのオモリを持ち上げようとはしない。
 オモリを球状にして、転がすように魔法を使っている。
 それで魔力の消費量を減らす事ができるわけだが、その分疲れるというわけ。
 そこで、このブローチのようなマジックアイテムの出番だ。
 このブローチには、そこそこ強力な魔力を持つ、魔宝石が埋め込まれている。
 この魔力を魔法に利用する事で、神経を使う細かい魔法の組み立てをせずに済み、今までよりは疲れないというわけだ。
 歌琥とか愁癒なら、こんな物、あってもなくても対して変わりは無いが、私にとってはそれなりに助けになる物だった。
 私は千里眼で、後方へと視界を進ませた。
 視界が階段に行くまでに、三組の教室の前を通るので、私は教室内を確認した。
 窓から敵が入ってくる事を懸念していたからだ。
 案の定、敵が数人窓から入ってきていた。
 私は携帯電話を取り出し
「三年、三組、送信っと」
 と言って、携帯電話のボタンを押した。
 後方の部屋で、大きな爆発が起こった。
 これも、戦争前にセットしておいた、魔力球が爆発したものだ。
 無駄になるかもしれないと思いつつセットしておいた物だが、意外に使えている事に、私は逆に不安を覚えた。
 上手く戦えてはいるのだけれど、それ以上に、此処までやらなければ勝てないのかと。
 一体何人殺せばいいのかと。
 とりあえず窓からの侵入者を排除し、千里眼を西の階段まで走らせた。
 階段からと、西校舎からの敵の進撃に、戦場は階段を上がった辺りに移動していた。
 愁癒もサポートだけではなく、確実に戦闘に参加していた。
 だけど、まだまだ余裕はありそうだった。
 その時だった。
 罵蝶の槍を折る敵が現れた。
「罵蝶大丈夫か?」
 愁癒が叫ぶ声は、私のところまで直接届いた。
「ふっ、槍を折られたくらいで、この罵蝶が負けるものか。とはいえ敵も強くなってきた。少しだけ本気を見せてやる!」
 そう言うと罵蝶は、掌を床につけた。
「これが私の槍「|雨沼矛《あめのぬぼこ》イザナギ」だ!」
 罵蝶が、床をつかむようにして手を挙げると、その手には光輝く槍が掴まれていた。
 それを片手で何度か回すと、罵蝶は槍を折った敵に向かっていった。
「どうやら、まだまだ大丈夫そうだな」
「ん?何?」
 私の独り言に、横にいた香那が不思議そうな顔をしていた。
 目の前では、兎琴が強敵を打ち破っていた。
 それからしばらくして、向かってくる敵はいなくなっていた。
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